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Oracle® Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド
11g リリース2 (11.2)
B56290-06
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4 Oracle RAC One Nodeの管理

Oracle Real Application Clusters One Node(Oracle RAC One Node)は、クラスタ内の1つのノードで実行されるOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースのシングル・インスタンスです。このオプションによって、Oracleでのデータベース統合の柔軟性が向上します。フェイルオーバーによる保護で高可用性を実現しながら、多くのデータベースを最小限のオーバーヘッドで1つのクラスタに統合でき、オンラインでのローリング・パッチ適用、オペレーティング・システムおよびOracle Clusterwareのローリング・アップグレードも可能になります。

内容は次のとおりです。

Oracle Real Application Clusters One Nodeの概要

リソース・マネージャ・インスタンス・ケージングを介して、クラスタ内のサーバーごとに個々のデータベース・インスタンスのCPU使用率を制限でき、必要に応じてこの制限を動的に変更できます。Oracle RAC One Nodeでは、サーバーのスケーラビリティは無制限で、アプリケーションが増大して単一ノードで提供できるリソース以上のリソースを必要とする場合には、アプリケーションをOracle RAC構成にオンラインで簡単にアップグレードできます。Oracle RAC One Nodeを実行しているノードがオーバーロードした場合、オンライン・データベース再配置ユーティリティを使用することにより、アプリケーション・ユーザーの停止時間なしで、クラスタ内の別のノードにインスタンスを再配置できます。

Oracle RAC One Nodeは、Oracle RACの動作が保証されているすべてのプラットフォームでサポートされています。Oracle RACと同様に、Oracle Virtual Machine(Oracle VM)でのOracle RAC One Nodeの動作が保証されます。Oracle RACまたはOracle RAC One NodeをOracle VMで使用すると、Oracle RACの高可用性およびスケーラビリティによってOracle VMのメリットが大きくなります。

Oracle RAC One Nodeのオンライン・データベース再配置を使用して、現在のサーバーのリソースが不足したり、オペレーティング・システムのパッチなどのメンテナンス操作が必要な場合に、Oracle RAC One Nodeインスタンスを別のサーバーに再配置できます。同じ技術を使用して、クラスタで使用可能なリソースに応じたワークロードの変化などに対応するために、Oracle RAC One Nodeインスタンスを大容量のサーバーに再配置できます。さらに、新しいサーバーでOracle RAC One Nodeインスタンスの配置をさらに最適化するために、Resource Manager Instance Cagingまたはメモリー最適化パラメータを動的に設定できます。

単一クライアント・アクセス名(SCAN)を使用してデータベースに接続すると、クライアントは、データベースが実行されているノードのサービスを独自に特定できます。したがって、クライアント接続によっては、Oracle RAC One Nodeインスタンスの再配置がクライアントに対してほとんど透過的になります。クライアントでの再配置の影響を最小限に抑えるために、Oracleの高速アプリケーション通知または透過的アプリケーション・フェイルオーバーのいずれかを使用することをお薦めします。

Oracle RAC One Nodeデータベースの管理は、Oracle RACデータベースまたは非クラスタ・データベースとは若干異なります。管理者管理Oracle RAC One Nodeデータベースの場合は、候補ノード・リストを監視し、可能であればサーバーがいつでもフェイルオーバーに使用できるようにしておく必要があります。候補サーバーは汎用サーバー・プールに存在し、データベースとそのサービスは、いずれかの候補サーバーにフェイルオーバーします。

ポリシー管理Oracle RAC One Nodeデータベースの場合は、その現在のノードが使用できなくなった場合に備えて、サーバーがデータベースのフェイルオーバーに使用できるようにサーバー・プールが確実に構成されている必要があります。また、ポリシー管理Oracle RAC One Nodeデータベースでは、オンライン・データベース再配置用の宛先ノードを、データベースのサーバー・プールに配置する必要があります。


注意:

すべての障害の可能性に対応するために、少なくとも1つの動的データベース・サービス(Oracle Clusterware管理データベース・サービス)をOracle RAC One Nodeデータベースに追加する必要があります。


関連項目:

Oracle RAC One Nodeデータベースのインストールについては、Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドのLinux版およびUNIX版を参照してください。

Oracle RAC One Nodeデータベースの追加

srvctl add databaseコマンドを使用して、クラスタにOracle RAC One Nodeデータベースを追加します。次に例を示します。

srvctl add database -c  RACONENODE [-e server_list] [-i instance_name] [-w timeout]

管理者管理Oracle RAC One Nodeデータベースを追加する場合は、-eオプションおよび-iオプションを使用します。

Oracle RAC One Nodeデータベースの作成にDBCAを使用すると、新しく作成されたデータベースがクラスタに追加されます。


関連項目:


Oracle RAC One Nodeデータベースで各サービスを構成する場合、SERVER_POOLS属性には基礎となるデータベースと同じ値を使用します。Oracle RAC One Nodeデータベースにサービスを追加する場合、サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)は配置情報を受け入れることはありませんが、かわりに、SERVER_POOLS属性の値を使用して、サービスを構成します。


注意:

管理者管理Oracle RAC One Nodeデータベースを追加する場合は、オプションで、srvctl add databaseコマンドの-i instance_nameオプションを使用してインスタンス接頭辞を指定できます。こうすると、インスタンスの名前は、prefix_1になります。インスタンス接頭辞を指定しないと、データベースの一意の名前の最初の12文字が接頭辞になります。インスタンス名は、オンライン・データベース再配置時にprefix_2に変更され、後続のオンライン・データベース再配置時にprefix_1に戻されます。フェイルオーバーでは、同じインスタンス名が使用されます。

データベースの変換

SRVCTLを使用して、インスタンスが1つのOracle RACデータベースをOracle RAC One Nodeデータベースに変換できます。その逆も同様に可能です。

この項の内容は次のとおりです。

Oracle RACからOracle RAC One Nodeへのデータベースの変換

次のように、srvctl convert databaseコマンドを使用して、インスタンスが1つのOracle RACデータベースをOracle RAC One Nodeデータベースに変換できます。

srvctl convert database -d db_unique_name -c RACONENODE [-i instance_name
-w timeout]

関連項目:

srvctl convert databaseコマンドの詳細は、「convert」を参照してください。


注意:

Oracle RAC One Nodeに変換するOracle RACデータベースでは、Oracle Managed Filesを使用しているか(自動スレッド割当てを有効にするため)、または2つ以上のREDOスレッドを保持している必要があります。

Oracle RACデータベースをOracle RAC One Nodeデータベースに変換する前に、Oracle RACデータベースのインスタンスが1つのみであることを確認する必要があります。

Oracle RACデータベースが管理者管理である場合は、すべてのサービスの構成を変更して、変換後でもOracle RAC One Nodeデータベースであるようなインスタンスに優先インスタンスを設定する必要があります。サービスにPRECONNECT TAFポリシーがある場合は、変換プロセスを開始する前に、そのTAFポリシーをBASICまたはNONEに更新する必要があります。これらのサービスでは、使用可能インスタンスが不要になります。

Oracle RACデータベースがポリシー管理である場合は、すべてのサービスの構成を変更して、Oracle RACデータベースをOracle RAC One Nodeデータベースに変換する前に、すべてのサービスで同じサーバー・プールが使用されるようにしておく必要があります。

Oracle RAC One NodeからOracle RACへのデータベースの変換

次のように、srvctl convert databaseコマンドを使用して、データベースをOracle RAC One NodeからOracle RACに変換できます。

srvctl convert database -d db_unique_name -c RAC [-n node_name]

データベースが起動済で実行中である場合に、データベースが実行されているノードを指定しないと、ノードを指定するように示すエラーが戻されます。

オンライン・データベース再配置を使用してOracle RACに変換するデータベースを再配置している場合、またはオンライン・データベース再配置が失敗した場合は、srvctl convert databaseコマンドを実行する前に、再配置を強制終了するか、完了させる必要があります。


関連項目:

詳細は、「convert」を参照してください。

管理者管理Oracle RAC One NodeデータベースをOracle RACデータベースに変換すると、シングル・インスタンスが優先されるようにすべてのデータベース・サービスが設定されます。データベースの変換後、DBCAを使用してインスタンスを追加できます。

ポリシー型管理のOracle RAC One NodeデータベースをOracle RACデータベースに変換すると、すべてのデータベース・サービスのカーディナリティがUNIFORMに設定されます。また、このデータベースが現在実行されているサーバー・プールが再利用されることになります。変換では、このデータベースがサーバー・プール内のすべてのノードで実行されるように再構成されます。このコマンドでは、追加のインスタンスは起動されませんが、srvctl start databaseコマンドを実行すると、サーバー・プール内のすべてノードでこのデータベースが起動します。

オンライン・データベース再配置

オンライン・データベース再配置ユーティリティを使用して、サービスの可用性を維持したまま、Oracle RAC One Nodeデータベースを別のノードに再配置できます。データベースの新規ノードへの再配置中に、データベース・セッションを継続できるように、計画的なオンライン・データベース再配置中にのみOracle RAC One Nodeデータベースの第2インスタンスが作成されます。

Oracle RAC One Nodeデータベースが管理者管理である場合、データベースを再配置するターゲット・ノードは、候補リストまたは空きサーバー・プールに含まれている必要があります。ターゲット・ノードが空きサーバー・プールにある場合、そのノードは候補リストに追加されます。


注意:

データベースの候補サーバー・リストに存在していないターゲット・ノードにデータベース・インスタンスを再配置する場合は、パスワード・ファイル(構成されている場合)をターゲット・ノードにコピーする必要があります。

共有パスワード・ファイルを使用せずにOracle RAC One Nodeデータベースのリモート管理に対してパスワード・ファイルベースの認証を使用する場合、データベースを実行できるノードごとに、SID_prefix_1およびSID_prefix_2という名前の2つのパスワード・ファイルが必要です。パスワード・ファイルを更新するたびに、これらの両方のファイルをすべての候補ノードに再コピーする必要があります。これは、ポリシー管理型と管理者管理型の両方のデータベースに当てはまります。

OS認証をかわりに使用するか、またはOracle Clusterwareを使用してデータベースの起動および停止を行い、他の管理についてはデータ・ディクショナリにユーザーを定義することをお薦めします。


srvctl relocate databaseコマンドを使用して、Oracle RAC One Nodeデータベースの再配置を実行します。次に例を示します。

srvctl relocate database -d rac1 -n node7

関連項目:

詳細は、「srvctl relocate database」を参照してください。