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Oracle® Automatic Storage Management管理者ガイド
11gリリース2 (11.2)
B61035-04
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3 Oracle ASMインスタンスの管理

この章では、自動ストレージ管理(Oracle ASM)インスタンスの管理方法について説明します。Oracle ASMインスタンスのパラメータの構成方法と、Oracle ASMで使用するOracle Databaseパラメータの設定方法についても説明します。また、Oracle ASMのアップグレード、パッチ適用およびOracle ASMインスタンス・アクセスの認証についても説明します。この章の手順を使用して、Oracle ASMを使用するようにデータベースを移行することもできます。

Oracle ASMインスタンスの管理はOracle Databaseインスタンスの管理と似ていますが、必要な手順は少なくなっています。ユーザーは、Oracle Enterprise ManagerおよびSQL*Plusを使用してOracle ASMインスタンス管理タスクを実行できます。

Oracle ASMは、Oracle Databaseホームとは別のOracle Grid Infrastructureホームにインストールされます。1つのサーバーでは1つのOracle ASMインスタンスのみがサポートされます。Oracle ASMインスタンスを管理する場合、管理アクティビティをOracle Grid Infrastructureホームで実行する必要があります。

この章の内容は次のとおりです。

Oracle ASMインスタンスの詳細は、「Oracle ASMインスタンスについて」を参照してください。Oracle Enterprise Managerを使用したOracle ASMの管理の詳細は、第9章「Oracle Enterprise ManagerによるOracle ASMの管理」を参照してください。

Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスの異なるリリースの同時使用

Oracle Database 11gリリース2(11.2)のOracle自動ストレージ管理(Oracle ASM)では、Oracle Database 10gを含む11gリリース2(11.2)以前のソフトウェア・バージョンのOracleデータベース・インスタンスがサポートされます。Oracle ClusterwareとOracle ASM間の互換性を実現するには、Oracle ClusterwareのリリースがOracle ASMのリリース以上である必要があります。


注意:

  • 11gリリース2(11.2)のOracle Databaseをサポートするには、Oracle ASMインスタンスは11gリリース2(11.2)である必要があります。

  • Oracle Exadataストレージが存在する場合、Oracle ASM 11gリリース2(11.2)でサポートされるOracle Databaseのバージョンの詳細は、Oracle Exadataのドキュメントを参照してください。


異なるリリースのOracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスが含まれるディスク・グループを使用する際は、他にも互換性に関する考慮事項があります。ディスク・グループの互換性属性設定の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。

異なるソフトウェア・バージョンが使用されている場合、データベース・インスタンスは使用されている最も古いリリースのOracle ASM機能をサポートします。たとえば、11.2のOracle ASMインスタンスとともに動作している10.1のデータベース・インスタンスは、Oracle ASM 10.1の機能のみをサポートします。

V$ASM_CLIENTビューには、ソフトウェアのバージョン番号およびインスタンス互換性レベルに関する情報を示すSOFTWARE_VERSION列およびCOMPATIBLE_VERSION列が含まれます。

V$ASM_CLIENTビューでは、Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスの両方について問い合せることができます。V$ASM_CLIENTビューでの問合せを示す例は、例6-4「V$ASM_CLIENTによるディスク・グループ・クライアントの表示」を参照してください。V$ASM_CLIENTおよびV$ASM_*の詳細は、「Oracle ASMディスク・グループ情報を表示するビュー」を参照してください。

Oracle ASMインスタンスの初期化パラメータの構成

この項では、Oracle ASMインスタンスの初期化パラメータ・ファイルとパラメータ設定について説明します。Oracle ASMインスタンスをインストールして初期構成を実行するには、Oracle Universal Installer(OUI)とOracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)を使用します。Oracle ASMのインストールおよび構成の詳細は、プラットフォーム固有の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

単一インスタンスOracle DatabaseまたはOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境にOracle ASMインスタンスをインストールしたら、Oracle ASMの最終構成を実行できます。構成する必要があるのは、いくつかのOracle ASM固有のインスタンス初期化パラメータのみです。通常、デフォルト値で十分です。


関連項目:

Oracle ASMのベスト・プラクティスについては、Oracle Technology Network Webサイトhttp://www.oracle.com/technetwork/database/cloud-storage/index.htmlの「Oracle Cloud Storage」ページを参照してください。

この項の内容は次のとおりです。


関連項目:

  • 初期化パラメータについては、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

  • 初期化パラメータ・ファイルについては、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


Oracle ASMインスタンスの初期化パラメータ・ファイル

Oracle ASMをOracle Restart(スタンドアロン)構成でインストールすると、Oracle Universal Installer(OUI)により、Oracle ASMインスタンス用に別のサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)とパスワード・ファイルが作成されます。ASM SPFILEはインストール時にディスク・グループに格納されます。

Oracle ASMをクラスタOracle ASM環境にインストールする場合、OUIはディスク・グループ内にOracle ASM用に1つの共有SPFILEを作成します。

Oracle ASMインスタンスをアップグレードするときに、ASM SPFILEが元々共有ファイルシステムにあった場合には、Oracle ASMインスタンスをアップグレードしてもSPFILEは同じ場所に保持されます。元のOracle ASMインスタンスがPFILEを使用していた場合、アップグレード後もインスタンスはPFILEを使用し続けます。

SPFILEまたはテキストベースの初期化パラメータ・ファイル(PFILE)は、Oracle ASMインスタンス・パラメータ・ファイルとして使用できます。SPFILEをOracle ASMクラスタ環境で使用する場合は、ディスク・グループ、共有RAWデバイスまたはクラスタ・ファイルシステムにSPFILEを配置する必要があります。Oracle ASM SPFILEはディスク・グループに配置することをお薦めします。既存のOracle ASM SPFILEに対して作成された新しいエイリアスを使用してOracle ASMインスタンスを起動することはできません。

共有Oracle Grid Infrastructureホームを使用しない場合、Oracle ASMインスタンスではPFILEを使用できます。データベース初期化パラメータ・ファイルに適用されるファイル名、デフォルトの場所、および検索順序に関するルールは、Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルにも適用されます。

Oracle ASMインスタンスが初期化パラメータ・ファイルを検索する場合、検索順序は次のとおりです。

  1. Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルに指定された初期化パラメータ・ファイルの場所

  2. GPnPプロファイルに場所が設定されていない場合、検索順序は次のように変ります。

    1. Oracle ASMインスタンス・ホームのSPFILE

      たとえば、Linux環境のOracle Grid Infrastructureホームでは、Oracle ASM用のSPFILEのデフォルト・パスは次のとおりです。

      $ORACLE_HOME/dbs/spfile+ASM.ora

    2. Oracle ASMインスタンス・ホームのPFILE


注意:

PFILEまたはSPFILEは、構成でOracle ASMインスタンスのデフォルト以外の初期化パラメータを使用する場合に必要です。

Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルは、SQL*Plus、Oracle Enterprise Manager、ASMCAおよびASMCMDコマンドを使用して管理できます。Oracle Enterprise Managerの詳細は、「Oracle Enterprise ManagerによるOracle ASM初期化パラメータの構成」を参照してください。ASMCAの詳細は、第11章「Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント」を参照してください。ASMCMDコマンドの詳細は、「ASMCMDインスタンス管理コマンド」を参照してください。


関連項目:

  • 初期化パラメータ・ファイルの作成とメンテナンスの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • 初期化パラメータの表示と変更の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  • CREATE SPFILE SQL文を使用したSPFILEの作成の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。


Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルのバックアップ、コピーおよび移動

Oracle ASM SPFILEは、spbackupspcopyまたはspmoveの各ASMCMDコマンドを使用してバックアップ、コピーまたは移動できます。これらのASMCMDコマンドの詳細は、「spbackup」「spcopy」および「spmove」を参照してください。

また、Oracle ASMインスタンスへの接続時に、SQL CREATE SPFILEを使用してOracle ASM SPFILEを作成することもできます。

特定のプラットフォームで使用できるコマンド(Linuxの場合はcpなど)により、Oracle ASM SPFILEをコピーおよび移動できます。

SPFILEまたはPFILEをコピーまたは移動した後で、新しい場所のSPFILEまたはPFILEを使用するには、そのSPFILEまたはPFILEを使用してインスタンスを再起動する必要があります。

ディスク・グループのCOMPATIBLE.ASMディスク・グループ属性が11.2以上に設定されている場合、Oracle ASM SPFILEをディスク・グループに作成、コピーおよび移動できます。

たとえば、Oracle ASMインスタンスを11gリリース1(11.1)から11gリリース2(11.2)にアップグレードした後、Oracle ASM SPFILEをCOMPATIBLE.ASMが11.2に設定されているディスク・グループに配置できます。

次の手順では、Oracle ASM 11gリリース2(11.2)インスタンスで$ORACLE_HOME/dbs/asmspfile.oraに格納されているPFILEを使用していることが前提となっています。SQL CREATE SPFILE文を使用して、ローカル・ファイルシステムまたは共有ファイルシステムに格納されているPFILEからSPFILEを作成できます。PFILEが存在しない場合は、SQL CREATE PFILE文を使用して作成できます。

SPFILEをディスク・グループで作成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle ASMインスタンスに接続します。

    次に例を示します。

    $ sqlplus / as sysasm
    
  2. SQL CREATE SPFILE文を使用し、COMPATIBLE.ASMが11.2に設定されているディスク・グループでSPFILEを作成します。

    たとえば、既存のPFILEからOracle ASM SPFILEを作成します。

    SQL> CREATE SPFILE = '+DATA/asmspfile.ora' 
           FROM PFILE = '$ORACLE_HOME/dbs/asmpfile.ora';
    

    CREATE SPFILEは、Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルも更新します。spget ASMCMDコマンドを使用すると、GPnPプロファイルでのOracle ASM SPFILEの場所を確認できます。「spget」を参照してください。

  3. Oracle ASMインスタンスを再起動し、インスタンスで新しい場所のSPFILEを読み取るようにします。

    Oracle ASMインスタンスの停止および起動の詳細は、「Oracle ASMインスタンスの起動」および「Oracle ASMインスタンスの停止」を参照してください。

ディスク・グループの互換性属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。Oracle ASMインスタンスのアップグレードの詳細は、「Oracle Universal InstallerによるOracle Restart構成のOracle ASMインスタンスのアップグレード」を参照してください。


関連項目:

  • 初期化パラメータ・ファイルの作成とメンテナンスの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • CREATE SPFILE SQL文を使用したSPFILEの作成の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

  • Grid Plug and Play(GPnP)の詳細は、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド』を参照してください。


Oracle ASM初期化パラメータの設定

Oracle ASMインスタンスに対し、いくつかの初期化パラメータを設定する必要があります。これらのパラメータは、Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)を使用して設定できます。Oracle Enterprise Managerや、SQLのALTER SYSTEM文またはALTER SESSION文を使用して、データベースの作成後にこれらのパラメータの一部を設定することもできます。

INSTANCE_TYPE初期化パラメータは、Oracle ASMインスタンス・パラメータ・ファイルの唯一の必須パラメータです。Oracle ASM*パラメータでは、ほとんどの環境に適したデフォルト値を使用しています。名前の接頭辞がOracle ASM*のパラメータは、データベース・インスタンス・パラメータ・ファイルで使用できません。

Oracle ASMインスタンス初期化ファイルに対して有効なデータベース初期化パラメータもあります。一般にOracle ASMでは、Oracle ASMインスタンスに関連するデータベース・パラメータに対して適切なデフォルトが選択されます。

Oracle Enterprise Managerを使用したOracle ASMパラメータ設定の詳細は、「Oracle Enterprise ManagerによるOracle ASM初期化パラメータの構成」を参照してください。

Oracle ASMの自動メモリー管理

自動メモリー管理では、MEMORY_TARGETパラメータによってOracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスの両方のメモリー関連のパラメータが自動的に管理されます。自動メモリー管理は、MEMORY_TARGETパラメータが明示的に設定されていない場合でも、Oracle ASMインスタンスに対してデフォルトで有効になります。MEMORY_TARGETに使用されるデフォルト値は、ほとんどの環境に適しています。これは、完全なOracle ASMメモリー管理を行うために設定する必要がある唯一のパラメータです。Oracle ASMの自動メモリー管理を使用することを強くお薦めします。

MEMORY_TARGETの値は設定せずにメモリー関連の他のパラメータの値を設定した場合、Oracleはこれらのメモリー・パラメータの値に基づいてMEMORY_TARGETの最適値を内部で計算します。データベース・インスタンスの場合と同様に、MEMORY_TARGETMEMORY_MAX_TARGETパラメータの値まで動的に増やすことができます。

推奨事項ではありませんが、Oracle ASMパラメータ・ファイルでMEMORY_TARGETの値を0に設定するか、ALTER SYSTEM SET MEMORY_TARGET=0文を実行することで自動メモリー管理を無効にできます。自動メモリー管理を無効にすると、Oracleは自動共有メモリー管理および自動PGAメモリー管理に戻ります。Oracle ASM SGAメモリーを手動で管理するためにOracle Database 10gリリース2(10.2)の機能に戻すには、ALTER SYSTEM SET SGA_TARGET=0文も実行します。これにより、メモリーベースのOracle ASMパラメータ設定について記載された「ASMパラメータ設定の推奨事項」の情報を使用してOracle ASMメモリーを手動で管理できます。Oracle ASMインスタンスでの自動メモリー管理パラメータの作用は、明記されていないかぎり、Oracle Databaseインスタンスでの作用と同じです。


注意:

  • Linux環境では、/dev/shmが使用できない、あるいは小さい場合、自動メモリー管理は機能しません。詳細は、Oracle Database管理者リファレンス for Linux and UNIX-Based Operating Systemsを参照してください。自動メモリー管理をサポートするプラットフォームについては、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracle ASMのMEMORY_TARGETの最小値は256MBです。MEMORY_TARGETを100MBに設定すると、MEMORY_TARGETの値は自動的に256MBに増加します。



関連項目:

  • Oracle ASMとは異なるデータベース・インスタンスの自動メモリー管理機能の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • メモリー管理方法の概要は、『Oracle Database概要』を参照してください。


Oracle ASMパラメータ設定の推奨事項

この項では、Oracle ASMの次のパラメータについて説明します。


関連項目:

  • 初期化パラメータ・ファイルの作成とメンテナンスの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • 初期化パラメータの表示と変更の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。


ASM_DISKGROUPS

ASM_DISKGROUPS初期化パラメータでは、Oracle ASMインスタンスが起動時にマウントするディスク・グループ名のリストを指定します。起動時にNOMOUNTオプションを指定した場合、またはALTER DISKGROUP ALL MOUNT文を実行した場合、ASM_DISKGROUPSに設定した値は無視されます。ASM_DISKGROUPパラメータのデフォルト値はNULL文字列です。起動時にマウントされるディスク・グループの詳細は、「起動時のディスク・グループのマウントについて」を参照してください。

ASM_DISKGROUPSパラメータは動的です。サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用している場合は、ASM_DISKGROUPSの値を手動で変更する必要はありません。ディスク・グループが正常に作成またはマウントされると、Oracle ASMによってこのパラメータにディスク・グループが自動的に追加されます。ディスク・グループが削除またはディスマウントされると、ディスク・グループはこのパラメータから自動的に削除されます。

ASM_DISKGROUPSパラメータを動的に設定する例を次に示します。

SQL> ALTER SYSTEM SET ASM_DISKGROUPS = DATA, FRA;

テキスト初期化パラメータ・ファイル(PFILE)を使用している場合は、インスタンスの起動時に自動的にマウントされるように、初期化パラメータ・ファイルを編集してディスク・グループの名前を追加する必要があります。自動的にマウントされる必要のないディスク・グループの名前を削除する必要があります。

初期化ファイル内のASM_DISKGROUPSパラメータの例を次に示します。

ASM_DISKGROUPS = DATA, FRA


注意:

ALTER DISKGROUP...ALL MOUNTコマンドまたはALTER DISKGROUP...ALL DISMOUNTコマンドを発行しても、ASM_DISKGROUPSの値に影響はありません。

Oracle ASMディスク・グループのマウントの詳細は、「ディスク・グループのマウントおよびディスマウント」を参照してください。


関連項目:

ASM_DISKGROUPS初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

ASM_DISKSTRING

ASM_DISKSTRING初期化パラメータでは、Oracle ASMインスタンスによって検出されるディスクのセットを制限する文字列のカンマ区切りリストを指定します。検出文字列には、ワイルドカード文字を含めることができます。文字列のいずれかに一致するディスクのみが検出されます。同じディスクを2回検出することはできません。

検出文字列の書式は、使用しているOracle ASMライブラリとオペレーティング・システムによって異なります。パターン一致がサポートされます。デフォルトのパターン一致の詳細は、使用しているオペレーティング・システム固有のインストレーション・ガイドを参照してください。

たとえば、ASMLibを使用しないLinuxサーバーで、/dev/rdsk/mydisksディレクトリにあるディスクのみを対象とするように検出プロセスを制限するには、ASM_DISKSTRING初期化パラメータを次のように設定します。

/dev/rdsk/mydisks/*

アスタリスクは必須です。名前がdisk3またはdisk4で終わるディスクのみを含めるように検出プロセスを制限するには、ASM_DISKSTRINGを次のように設定します。

/dev/rdsk/*disk3, /dev/rdsk/*disk4

パスの最初の文字として?文字を使用すると、対象がOracleホーム・ディレクトリまで広がります。オペレーティング・システムによっては、?文字をパスの他の場所で使用すると、1文字のワイルドカードになります。

ASM_DISKSTRINGパラメータのデフォルト値はNULL文字列です。NULL値を使用すると、デフォルト・パスで、Oracle ASMインスタンスが読取りおよび書込みアクセス権を持つシステム内の全ディスクが検索されます。デフォルトの検索パスは、プラットフォーム固有です。デフォルトの検索パスの詳細は、ご使用のオペレーティング・システム用のインストレーション・ガイドを参照してください。

クラスタ内のすべてのOracle ASMインスタンスが固有の検出文字列のいずれかを使用してディスクを検出できないかぎり、Oracle ASMではそのディスクを使用できません。すべてのノードで名前が同じである必要はありませんが、クラスタ内のすべてのノードで全ディスクが検出可能である必要があります。そのため、場合によっては、初期化パラメータを動的に変更して新しいストレージを追加できるようにする必要があります。

ディスク検出の詳細は、「Oracle ASMディスク検出」を参照してください。


関連項目:

  • Oracle Exadata用のOracle ASM検出文字列の書式は、Oracle Exadataのドキュメントを参照してください。

  • ASM_DISKSTRING初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


ASM_POWER_LIMIT

ASM_POWER_LIMIT初期化パラメータでは、ディスク・グループのディスク・リバランスのデフォルトの指数を指定します。値の範囲は0から1024です。デフォルト値は1です。値0の場合、リバランスは無効です。値が大きいほどリバランス操作の完了は早くなりますが、I/Oオーバーヘッドとリバランス処理が増える可能性があります。

  • ディスク・グループのASM互換性が11.2.0.2以上(たとえばCOMPATIBLE.ASM = 11.2.0.2)に設定されているディスク・グループの場合、リバランス指数の可能な値の範囲は0から1024です。

  • ディスク・グループのASM互換性が11.2.0.2よりも低く設定されているディスク・グループの場合、可能な値の範囲は0から11です。ASM_POWER_LIMITの値が11よりも高い場合、11の値がこのディスク・グループに使用されます。

ディスク・グループのリバランス操作の指数は、ALTER DISKGROUP ... REBALANCE SQL文のPOWER句で指定することもできます。POWER句で指定可能な値の範囲は、ASM_POWER_LIMIT初期化パラメータと同じです。ASM互換性が11.2.0.2よりも低く設定されたディスク・グループに対しPOWER句に11よりも大きい値を指定すると、警告が表示されて、11と同じPOWERの値がリバランスに使用されます。

ASM_POWER_LIMIT初期化パラメータとPOWER句の詳細は、「ディスク・グループの手動リバランス」および「リバランス操作の調整」を参照してください。ディスク・グループの互換性の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。


関連項目:

  • ASM_POWER_LIMIT初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

  • ALTER DISKGROUP REBALANCE SQL文のPOWER句の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。


ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS

ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS初期化パラメータの値は、特定のインスタンスによって優先的に読み取る必要がある障害グループを指定する文字列のカンマ区切りリストです。ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPSパラメータ設定はインスタンス固有です。デフォルト値はNULLです。このパラメータは、通常、クラスタ化されたOracle ASMインスタンスに使用され、その値はノードによって異なってもかまいません。

次に例を示します。

diskgroup_name1.failure_group_name1, ...

ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPSの詳細は「優先読取りの障害グループ」を参照してください。


関連項目:

  • 拡張クラスタ内の優先ディスクの構成については、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_DISKGROUPS初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


DB_CACHE_SIZE

自動メモリー管理を使用する場合、DB_CACHE_SIZE初期化パラメータの値を設定する必要はありません。DB_CACHE_SIZEパラメータの設定により、バッファ・キャッシュのサイズが決まります。このバッファ・キャッシュは、メタデータ・ブロックの格納に使用されます。このパラメータのデフォルト値は、ほとんどの環境に適しています。


関連項目:

  • DB_CACHE_SIZE初期化パラメータの設定については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • メモリー構成の詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。

  • DB_CACHE_SIZEパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


DIAGNOSTIC_DEST

DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータでは、インスタンスの診断が格納されるディレクトリを指定します。Oracle Grid Infrastructureインストールの場合、Oracle ASMインスタンスのデフォルト値は$ORACLE_BASEディレクトリです。

例3-1にOracle ASMインスタンスの診断ディレクトリの例を示します。

例3-1 Oracle ASMインスタンスの診断ディレクトリの例

$ ls $ORACLE_BASE/diag/asm/+asm/+ASM
alert  cdump  hm  incident  incpkg  ir  lck  metadata  stage  sweep  trace

関連項目:

  • DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータの設定と障害診断のインフラストラクチャについては、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • DIAGNOSTIC_DESTパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


INSTANCE_TYPE

INSTANCE_TYPE初期化パラメータは、Oracle Grid InfrastructureホームのOracle ASMインスタンスのオプションです。

初期化ファイル内のINSTANCE_TYPEパラメータの例を次に示します。

INSTANCE_TYPE = ASM


関連項目:

INSTANCE_TYPEパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

LARGE_POOL_SIZE

自動メモリー管理を使用する場合、LARGE_POOL_SIZE初期化パラメータの値を設定する必要はありません。

LARGE_POOL_SIZEパラメータの設定は、大きな割当てに使用されます。このパラメータのデフォルト値は、ほとんどの環境に適しています。


関連項目:

  • LARGE_POOL_SIZE初期化パラメータの設定については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • メモリー構成の詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。

  • LARGE_POOL_SIZEパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


PROCESSES

PROCESSES初期化パラメータはOracle ASMに影響しますが、ほとんどの場合、デフォルト値が適しています。ただし、複数のデータベース・インスタンスが1つのOracle ASMインスタンスに接続している場合、次の式を使用できます。

PROCESSES = 50 + 50*n

ここで、nはOracle ASMインスタンスに接続しているデータベース・インスタンスの数です。


関連項目:

  • PROCESSES初期化パラメータの設定の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • PROCESSESパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE

REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE初期化パラメータでは、Oracle ASMインスタンスでパスワード・ファイルをチェックするかどうかを指定します。このパラメータは、Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスに対して同じように機能します。


関連項目:

  • REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE初期化パラメータの設定については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILEパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


SHARED_POOL_SIZE

自動メモリー管理を使用する場合、SHARED_POOL_SIZE初期化パラメータの値を設定する必要はありません。SHARED_POOL_SIZEパラメータの設定により、インスタンスの管理に必要なメモリーの量が決まります。このパラメータの設定は、エクステント・ストレージ用に割り当てられる領域のサイズの決定にも使用されます。このパラメータのデフォルト値は、ほとんどの環境に適しています。


関連項目:

  • SHARED_POOL_SIZE初期化パラメータの設定については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • メモリー構成の詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。

  • SHARED_POOL_SIZEパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


Oracle ASMで使用するデータベース初期化パラメータの設定

データベース・インスタンスで自動メモリー管理を使用しない場合、Oracle ASMをサポートするにはデータベース・インスタンスのSGAパラメータ設定を少し変更する必要があります。自動メモリー管理を使用する場合、この項で説明するサイズ指定データは、情報としてのみ、またはSGAに使用する適切な値を判断するための補足情報として扱うことができます。自動メモリー管理を使用することを強くお薦めします。


関連項目:

  • Oracle Databaseインスタンスでのメモリー割当て管理については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • メモリーの構成および使用の詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。


データベース・インスタンス上のSGAサイズ指定に関するガイドラインを次に示します。

  • PROCESSES初期化パラメータ: 現在の値に16を追加します。

  • LARGE_POOL_SIZE初期化パラメータ: 現在の値に600Kを追加します。

  • SHARED_POOL_SIZE初期化パラメータ: 次の問合せの値を集計して、Oracle ASM上にあるか、またはOracle ASMに格納される現在のデータベース記憶域のサイズを求めます。次に、冗長性タイプを確認し、集計値を入力として使用してSHARED_POOL_SIZEを計算します。

    SELECT SUM(bytes)/(1024*1024*1024) FROM V$DATAFILE;
    SELECT SUM(bytes)/(1024*1024*1024) FROM V$LOGFILE a, V$LOG b
           WHERE a.group#=b.group#;
    SELECT SUM(bytes)/(1024*1024*1024) FROM V$TEMPFILE 
           WHERE status='ONLINE'; 
    
    • 外部冗長性を使用しているディスク・グループの場合は、100GBの領域ごとに1MBの追加共有プールと2MBが必要です。

    • 標準冗長性を使用しているディスク・グループの場合は、50GBの領域ごとに1MBの追加共有プールと4MBが必要です。

    • 高冗長性を使用しているディスク・グループの場合は、33GBの領域ごとに1MBの追加共有プールと6MBが必要です。


関連項目:

  • Oracle Databaseインスタンスでのメモリー割当て管理については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • メモリーの構成および使用の詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。


Oracle ASMインスタンスの管理

この項では、Oracle ASMインスタンスを管理する方法について説明します。内容は次のとおりです。

サーバー制御ユーティリティによるOracle ASMインスタンスの管理

この項で説明するOracle ASMの管理手順の他に、Oracle ASMクラスタ環境でサーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用して、次のOracle ASM管理タスクを実行できます。

  • Oracle Cluster Registry (OCR)のOracle ASM CRSリソースの追加と削除

  • Oracle ASMインスタンスの有効化、無効化、起動および停止

  • Oracle ASMインスタンスの構成とステータスの表示


関連項目:

SRVCTLによるOracle ASMインスタンスの管理の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

Oracle Restartの使用

Oracle Restartにより、Oracleデータベースの可用性が高まります。スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールすると、Oracle ASMとOracle Restartの両方が組み込まれます。Oracle Restartは、Oracle Databaseホームとは別にインストールするOracle Grid Infrastructureホームから実行されます。

Oracle Restartでは、単一インスタンスの(クラスタ化されていない)Oracle Database、Oracle ASMインスタンス、サービス、リスナー、およびサーバー上で実行されているその他のプロセスの起動および再起動が管理されます。ハードウェア障害またはソフトウェア障害後にサービスの割込みが発生すると、Oracle Restartは自動的にコンポーネントを再起動するために必要な処置を取ります。

サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用すると、Oracle ASMインスタンスなどのコンポーネントをOracle Restartに追加できます。次に、Oracle ASMインスタンスに対してOracle Restart保護を有効にします。SRVCTLを使用して、Oracle Restart保護の削除または無効化も行います。


関連項目:

  • Oracle Restartの構成および管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracle RACノードにある単一インスタンス・データベースの自動再起動の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Grid Infrastructureのインストールの詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。


Oracle ASMインスタンスの起動

この項では、Oracle ASMインスタンスを管理する方法について説明します。内容は次のとおりです。

Oracle ASMインスタンスへの接続およびOracle ASMインスタンスの起動

多少の違いはありますが、Oracle ASMインスタンスを、Oracleデータベース・インスタンスと同様の方法で起動します。

Oracle ASMインスタンスの起動時には、次のことに注意してください。

  • SQL*PlusでローカルOracle ASMインスタンスに接続するには、ORACLE_SID環境変数をOracle ASMシステム識別子(SID)に設定します。

    単一インスタンス・データベース用のデフォルトOracle ASM SIDは+ASM、Oracle RACノード用のデフォルトOracle ASM SIDは+ASMnode_numberです。node_numberはノードの番号です。ORACLE_HOME環境変数は、Oracle ASMがインストールされているグリッド・インフラストラクチャ・ホームに設定する必要があります。


    注意:

    デフォルトのOracle ASM SID名を変更しないことをお薦めします。

  • 初期化パラメータ・ファイルには、次のエントリが含まれている必要があります。

    INSTANCE_TYPE = ASM

    このパラメータは、データベース・インスタンスではなくOracle ASMインスタンスが起動中であることを示します。

  • データベースをマウントしてオープンするかわりにSTARTUPコマンドを実行すると、Oracle ASMディスク・グループのマウントが試みられます。

    起動時にマウントされるディスク・グループの詳細は、「起動時のディスク・グループのマウントについて」を参照してください。

    Oracle ASMインスタンスが起動したら、ALTER DISKGROUP...MOUNTコマンドを使用してディスク・グループをマウントできます。詳細は、「ディスク・グループのマウントおよびディスマウント」を参照してください。

  • 関連するOracle ASMインスタンスを起動するときに、関連するOracleデータベース・インスタンスが動作している必要はありません。

Oracle ASMによってSQL*Plus STARTUPコマンド・パラメータがどのように解釈されるのかを次に示します。

  • FORCEパラメータ

    再起動する前にSHUTDOWN ABORTをOracle ASMインスタンスに発行します。

    Oracle自動ストレージ管理クラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)ファイルシステムがOracle ADVMボリュームに現在マウントされている場合は、そのファイルシステムを先にディスマウントする必要があります。そうしないと、アプリケーションでI/Oエラーが発生し、Oracle ASMストレージの隔離前にOracle ACFSのユーザー・データおよびメタデータがストレージに書き込まれない可能性があります。Oracle ACFSファイルシステムのディスマウントの詳細は、「ボリュームおよびOracle ACFSファイルシステムの登録解除、ディスマウント、無効化」を参照してください。

  • MOUNTまたはOPENパラメータ

    ASM_DISKGROUPS初期化パラメータで指定されたディスク・グループをマウントします。コマンド・パラメータが指定されていない場合は、これがデフォルトになります。

  • NOMOUNTパラメータ

    ディスク・グループをマウントせずにOracle ASMインスタンスを起動します。

  • RESTRICTパラメータ

    制限モードでインスタンスを起動します。制限モードでは、CREATE SESSIONRESTRICTED SESSIONの両方のシステム権限を持つユーザーに対してのみアクセスが許可されます。RESTRICT句は、MOUNTNOMOUNTおよびOPEN句と組み合せて使用できます。


    関連項目:

    詳細は「制限モードについて」を参照してください。

    制限モードでは、データベース・インスタンスはディスク・グループを使用できません。つまり、データベースはそのディスク・グループに含まれるファイルを開くことができません。また、クラスタの他のインスタンスによってディスク・グループをマウントすることもできません。制限モードでディスク・グループをマウントする場合、そのディスク・グループをマウントできるOracle ASMインスタンスは1つのみです。このモードは、構成の問題を修復するためにディスク・グループをマウントする際に役立ちます。

Oracle ASMインスタンスを起動する場合のSQL*Plusセッションの例を次に示します。


SQLPLUS /NOLOG
SQL> CONNECT SYS AS SYSASM
Enter password: sys_password
Connected to an idle instance.

SQL> STARTUP
ASM instance started

Total System Global Area   71303168 bytes
Fixed Size                 1069292 bytes
Variable Size              45068052 bytes
ASM Cache                  25165824 bytes
ASM disk groups mounted

ユーザー認証の詳細は、「Oracle ASMインスタンスにアクセスするための認証」を参照してください。


関連項目:

  • 環境変数を使用したインスタンスの選択の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracleインスタンスの起動および停止の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracle RACでのSRVCTLによるOracle ASMインスタンスの起動の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Clusterware Clusterのサブコンポーネント・プロセスおよびバックグラウンド・プロセスの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • Oracleデータベース・バックグラウンド・プロセスの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。

  • Oracleバックグラウンド・プロセスの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


SPFILEパスが不正な場合のOracle ASMの起動

GPNPプロファイルのSPFILEパスが不正な場合は、次のようにしてOracle ASMインスタンスを起動します。

  1. SPFILEへのパスを特定する1行のPFILEを作成します。

    次に例を示します。

    次を含む/u01/oracle/dbs/spfileasm_init.oraファイルを作成します。

    SPFILE='+DATA/asm/asmparameterfile/asmspfile.ora'

  2. 初期化パラメータ・ファイルを使用してインスタンスを起動します。

    次に例を示します。

    SQL> STARTUP PFILE=/u01/oracle/dbs/spfileasm_init.ora

  3. インスタンスの実行後、ASMCMD spsetコマンドを使用してGPNPプロファイルのSPFILEパスを更新します。「spset」を参照してください。

    次に例を示します。

    ASMCMD> spset +DATA/asm/asmparameterfile/asmspfile.ora


関連項目:

非デフォルトのサーバー・パラメータ・ファイルでのSTARTUPの使用の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

起動時のディスク・グループのマウントについて

起動時に、Oracle ASMインスタンスは次のディスク・グループをマウントしようとします。

  • ASM_DISKGROUPS初期化パラメータで指定されたディスク・グループ

  • クラスタ同期化サービス(CSS)で投票ファイルに使用されるディスク・グループ

  • Oracle ClusterwareでOracle Cluster Registry(OCR)に使用されるディスク・グループ

  • Oracle ASMインスタンスでASMサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)の格納に使用されるディスク・グループ

このリストのディスク・グループが検出できない場合、起動時にOracle ASMインスタンスはディスク・グループを一切マウントしません。Oracle ASMインスタンスが起動したら、ALTER DISKGROUP...MOUNTコマンドを使用してディスク・グループをマウントできます。詳細は、「ディスク・グループのマウントおよびディスマウント」を参照してください。

制限モードについて

メンテナンスの実行中は、STARTUP RESTRICTコマンドを使用してOracle ASMインスタンスへのアクセスを制御できます。Oracle ASMインスタンスがこのモードでアクティブの場合、ASM_DISKGROUPSパラメータで定義されるすべてのディスク・グループはRESTRICTEDモードでマウントされます。これにより、データベースはOracle ASMインスタンスに接続できません。また、ALTER SYSTEM文の制限句はOracle ASMインスタンスに対して無効です。ALTER DISKGROUP diskgroup MOUNT文を拡張すると、Oracle ASMは制限モードでディスク・グループをマウントできます。

RESTRICTEDモードでディスク・グループをマウントする場合、ディスク・グループをマウントできるのは1つのインスタンスのみです。そのノード上のOracle ASMのクライアントは、ディスク・グループがRESTRICTEDモードでマウントされている間はそのディスク・グループにアクセスできません。RESTRICTEDモードを使用すると、クライアントから干渉されずにOracle ASMインスタンスのディスク・グループに対してメンテナンス・タスクを実行できます。

ディスク・グループがRESTRICTEDモードの場合に行われるリバランス操作により、Oracle RAC環境のOracle ASMインスタンス間で発生する、エクステント・マップのメッセージ機能のロックおよびロック解除がなくなります。そのため、リバランス全体のスループットが向上します。メンテナンス期間の最後に、ディスク・グループを明示的にディスマウントして、標準モードでリマウントする必要があります。

Oracle ASMインスタンスの停止

SQL*PlusでSHUTDOWNコマンドを実行すると、Oracle ASM停止プロセスが開始されます。このコマンドを実行する前に、Oracle ASMインスタンスに接続できるようにORACLE_SID環境変数がOracle ASM SIDに設定されていることを確認してください。単一インスタンス・データベース用のデフォルトOracle ASM SIDは+ASM、Oracle RACノード用のデフォルトOracle ASM SIDは+ASMnode_numberです。node_numberはノードの番号です。ORACLE_HOME環境変数は、Oracle ASMがインストールされているグリッド・インフラストラクチャ・ホームに設定する必要があります。

Oracle ASMインスタンスの停止を試みる前に、Oracle ASMインスタンスを使用するデータベース・インスタンスをすべて停止し、Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)ボリュームにマウントされているファイルシステムをすべてディスマウントすることを強くお薦めします。

Oracle Cluster Registry(OCR)または投票ファイルがディスク・グループに格納されている場合、ディスク・グループは、ノードのクラスタウェアの停止の一部としてOracle ASMインスタンスの停止によってのみディスマウントできます。クラスタウェアを停止するには、crsctl stop crsを実行します。


関連項目:

  • 環境変数を使用したインスタンスの選択の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracleインスタンスの起動および停止の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • 投票ファイル、Oracle Cluster Registry(OCR)およびOracle Local Registry(OLR)の管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


Oracle ASMインスタンスを停止するには、次の手順を実行します。


SQLPLUS /NOLOG
SQL> CONNECT SYS AS SYSASM
Enter password: sys_password
Connected.
SQL> SHUTDOWN NORMAL

ユーザー認証の詳細は、「Oracle ASMインスタンスにアクセスするための認証」を参照してください。

SHUTDOWNモードと、各モードにおけるOracle ASMインスタンスの動作を次に示します。

  • NORMAL

    Oracle ASMは、進行中のSQLが完了するのを待ってから、すべてのディスク・グループを順番にディスマウントし、Oracle ASMインスタンスを停止します。インスタンスを停止する前に、現在接続しているすべてのユーザーがインスタンスから切断するのを待ちます。Oracle ASMインスタンスに接続されているデータベース・インスタンスがある場合は、SHUTDOWNコマンドからエラーが返され、Oracle ASMインスタンスは動作した状態のままになります。NORMALはデフォルトの停止モードです。

  • IMMEDIATEまたはTRANSACTIONAL

    Oracle ASMは、進行中のSQLが完了するのを待ってから、すべてのディスク・グループを順番にディスマウントし、Oracle ASMインスタンスを停止します。インスタンスに現在接続しているユーザーが切断するのを待ちません。Oracle ASMインスタンスに接続されているデータベース・インスタンスがある場合は、SHUTDOWNコマンドからエラーが返され、Oracle ASMインスタンスは動作した状態のままになります。Oracle ASMインスタンスにはトランザクションが含まれないため、TRANSACTIONALモードの動作はIMMEDIATEモードと同じになります。

  • ABORT

    ディスク・グループを順番にディスマウントすることなくOracle ASMインスタンスがすぐに停止します。これにより、次回のOracle ASM起動時にはリカバリが行われます。

    Oracle ASMインスタンスに接続されているデータベース・インスタンスがある場合は、そのデータベース・インスタンスは中断されます。

    Oracle自動ストレージ管理クラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)ファイルシステムがOracle ADVMボリュームに現在マウントされている場合は、そのファイルシステムを先にディスマウントする必要があります。そうしないと、アプリケーションでI/Oエラーが発生し、Oracle ASMストレージの隔離前にOracle ACFSのユーザー・データおよびメタデータがストレージに書き込まれない可能性があります。Oracle ACFSファイルシステムのディスマウントの詳細は、「ボリュームおよびOracle ACFSファイルシステムの登録解除、ディスマウント、無効化」を参照してください。Oracle ASMインスタンスに対するユーザー認証の詳細は、「Oracle ASMインスタンスにアクセスするための認証」を参照してください。

Oracle Universal InstallerによるOracle Restart構成のOracle ASMインスタンスのアップグレード

この項では、Oracle ASMインスタンスをOracle Restart 11gリリース2(11.2)構成にアップグレードするプロセスについて説明します。Oracle Universal Installer(OUI)を使用して、Oracle ASMインスタンスをアップグレードする方法をお薦めします。以前のリリースのOracle ASMインスタンスが検出されると、OUIは自動的にデフォルトのアップグレード・モードになります。

この項では、次の項について説明します。


注意:

  • Oracle ASMの11.1.0.6から11.2.0.1へのローリング・アップグレードの詳細は、Oracle DatabaseのReadmeを参照してください。

  • Oracle ASMの11.2.0.1から11.2.0.2へのアップグレードの詳細は、「アウトオブプレース・アップグレード」を参照してください。

  • Oracle Clusterware構成では、Oracle ASMインスタンスはOracle Clusterwareのアップグレードの一部としてアップグレードされます。

  • Oracleソフトウェアを変更する場合には、Oracleソフトウェアのバックアップを作成することをお薦めします。



関連項目:

  • Oracle Grid Infrastructureのインストールおよびアップグレードの詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • Oracle ASMのアップグレードの詳細は、My Oracle Support (https://support.oracle.com)の「記事」を参照してください。


アップグレード後のOracle ASMインスタンスの初期化パラメータ・ファイルのコピーおよび移動の詳細は、「Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルのバックアップ、コピーおよび移動」を参照してください。


注意:

この項では、Oracle ASMインスタンスとOracle Restart(スタンドアロン)構成をアップグレードする手順を説明します。Oracle DatabaseおよびOracle Enterprise Managerをアップグレードするには、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

Oracle Universal InstallerによるOracle Restart構成のOracle ASMインスタンスの11.1から11.2へのアップグレード

次の手順では、Oracle ASMインスタンスを11gリリース1(11.1)からOracle Restart(スタンドアロン)構成の11gリリース2(11.2)にアップグレードする方法について説明します。ここでの前提は次のとおりです。

  • Oracle ASMおよびOracle Database11gリリース1(11.1)のインスタンスは別々のホームに存在します。

  • Oracle Grid Infrastructure11gリリース2(11.2)は別のホームにインストールし、Oracle ASMインスタンス11gリリース2(11.2)はOracle Restart(単一インスタンス)構成として設定します。

  1. 古い方のデータベース・ホームおよびOracle ASMホームで、Oracle Enterprise Managerエージェント、Oracle Databaseインスタンス、Oracle ASMインスタンスおよびリスナーを停止します。

    • emctl stop dbconsoleを実行してOracle Enterprise Managerエージェントを停止します。

    • 権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してデータベース・インスタンスに接続し、SHUTDOWNコマンドを実行します。

    • 権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してOracle ASMインスタンスに接続し、SHUTDOWNコマンドを実行します。

    • lsnrctlを実行し、STOPコマンドを入力してリスナーを停止します。

    Oracle ASMインスタンスの停止の詳細は、「Oracle ASMインスタンスの停止」を参照してください。


    関連項目:

    • Oracle Enterprise Managerエージェントの起動および停止の詳細は、Oracle Enterprise Managerのマニュアルおよびオンライン・ヘルプを参照してください。

    • Oracleインスタンスの起動および停止の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    • リスナーの構成の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。


  2. Oracle Grid InfrastructureのOUIを起動し、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードのオプションを選択します。

  3. OUIインストーラの画面への入力を完了し、表示されたスクリプトを実行します。

    たとえば、Linuxでは、rootユーザーとしてroot.shスクリプトを実行する必要があります。

    # GRID_HOME/root.sh
    
  4. リスナーおよびOracle ASMインスタンスがOracle Grid Infrastructureホームで動作していることと、Oracle DatabaseインスタンスおよびOracle Enterprise Managerエージェントが古いデータベース・ホームで動作していることを確認します。

    • リスナーが動作していることを確認します。

      動作していない場合は、サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用してリスナーを起動します。

      次に例を示します。

      $ srvctl start listener
      
    • Oracle ASMインスタンスが動作していることを確認します。

      次に例を示します。

      $ srvctl status listener
      $ srvctl status asm
      

      動作していない場合は、SRVCTLを使用してOracle ASMインスタンスを起動します。

      次に例を示します。

      $ srvctl start asm
      
    • データベース・インスタンスが動作していることを確認します。動作していない場合は、権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してデータベース・インスタンスに接続し、STARTUPコマンドを実行します。

    • Oracle Enterprise Managerエージェントが実行されていることを確認します。または、emctl start dbconsoleを使用してOracle Enterprise Managerエージェントを起動します。

Oracle Universal InstallerによるOracle Restart構成のOracle ASMインスタンスの11.2.0.xから11.2.0.3へのアップグレード

次の手順では、Oracle ASMインスタンスを11gリリース2(11.2.0.x)からOracle Restart(スタンドアロン)構成の11gリリース2(11.2.0.3)にアップグレードする方法について説明します。ここでの前提は次のとおりです。

  • Oracle ASMおよびOracle Database11gリリース2のインスタンスは別々のホームに存在します。

  • Oracle Grid Infrastructure11gリリース2(11.2.0.3)は別のホームにインストールし、Oracle ASMインスタンス11gリリース2(11.2.0.3)はOracle Restart(単一インスタンス)構成として設定します。

  1. 古い方のデータベース・ホームでOracle Enterprise Managerエージェント、Oracle Databaseインスタンスおよびリスナーを停止します。

    • emctl stop dbconsoleを実行してOracle Enterprise Managerエージェントを停止します。

    • 権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してデータベース・インスタンスに接続し、SHUTDOWNコマンドを実行します。


      関連項目:

      • Oracle Enterprise Managerエージェントの起動および停止の詳細は、Oracle Enterprise Managerのマニュアルおよびオンライン・ヘルプを参照してください。

      • Oracleインスタンスの起動および停止の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


  2. Oracle Grid InfrastructureのOUIを起動し、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードのオプションを選択します。

  3. OUIインストーラの画面への入力を完了し、表示されたスクリプトを実行します。

    たとえば、Linuxでは、rootユーザーとしてrootupgrade.shスクリプトを実行する必要があります。

    # GRID_HOME/rootupgrade.sh
    
  4. リスナーおよびOracle ASMインスタンスがOracle Grid Infrastructureホームで動作していることと、Oracle DatabaseインスタンスおよびOracle Enterprise Managerエージェントが古いデータベース・ホームで動作していることを確認します。

    • リスナーが動作していることを確認します。

      動作していない場合は、サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用してリスナーを起動します。

      次に例を示します。

      $ srvctl start listener
      
    • Oracle ASMインスタンスが動作していることを確認します。

      次に例を示します。

      $ srvctl status listener
      $ srvctl status asm
      

      動作していない場合は、SRVCTLを使用してOracle ASMインスタンスを起動します。

      次に例を示します。

      $ srvctl start asm
      
    • データベース・インスタンスが動作していることを確認します。動作していない場合は、権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してデータベース・インスタンスに接続し、STARTUPコマンドを実行します。

    • Oracle Enterprise Managerエージェントが実行されていることを確認します。または、emctl start dbconsoleを使用してOracle Enterprise Managerエージェントを起動します。

Oracle Restart構成でのOracle ASMインスタンスのダウングレード

この項では、Oracle Restart構成(スタンドアロン)にアップグレードしたOracle ASMインスタンスをダウングレードするプロセスについて説明します。


注意:

  • Oracle Clusterware構成では、Oracle ASMインスタンスはOracle Clusterwareのダウングレードの一部としてダウングレードされます。

  • Oracleソフトウェアを変更する場合には、Oracleソフトウェアのバックアップを作成することをお薦めします。



関連項目:

  • Oracle Clusterwareのダウングレードの詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • Oracle ASMのダウングレードの詳細は、My Oracle Support (https://support.oracle.com)の「記事」を参照してください。


次の手順では、Oracle ASMインスタンスをOracle 11gリリース2(11.2)からOracle 11gリリース1(11.1)にダウングレードする方法について説明します。ここでは、Oracle ASMインスタンスはすでにOracle 11gリリース1(11.1)ホームからOracle Restart(スタンドアロン)構成の11gリリース2(11.2)にアップグレードされています。Oracle 11gリリース1(11.1)ホームは削除されていません。

  1. ディスク・グループの互換性属性設定を確認します。

    互換性属性が拡張されている場合は、ダウングレードしたOracle ASMインスタンスとOracle Databaseインスタンスでアクセスできる互換性属性を使用してディスク・グループを再作成する必要があります。古い互換性属性を使用して新しいディスク・グループを作成し、ディスク・グループにあったデータベース・ファイルをリストアする必要があります。

    新しいディスク・グループを古い互換性属性設定に戻すと、Oracle ASMの最新機能は使用できなくなります。たとえば、ディスク・グループの互換性を11.2より前の値に戻した場合、Oracle ACFS機能は使用できません。

    ディスク・グループの互換性を戻す前に、ディスク・グループにあるOracle ASM SPFILEをファイルシステムにコピーまたは移動します。初期化パラメータをチェックしてOracle ASM 11gリリース1(11.1)と互換性があるかどうか確認します。

    ディスク・グループの互換性を戻す方法の詳細は、「ディスク・グループの互換性を戻す方法」を参照してください。ディスク・グループ間のデータファイルの移動の詳細は、「RMANを使用したOracle ASMディスク・グループ間でのデータファイルの移動」を参照してください。

  2. クライアント・データベースを11gリリース2(11.2)から11gリリース1(11.1)にダウングレードします。


    関連項目:

    Oracle DatabaseおよびOracle Enterprise Managerのダウングレードの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  3. データベース・ホームおよびOracle ASMホームで、Oracle Enterprise Managerエージェント、Oracle Databaseインスタンス、Oracle ASMインスタンスおよびリスナーを停止します。

    • emctl stop dbconsoleを実行してOracle Enterprise Managerエージェントを停止します。

    • 権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してデータベース・インスタンスに接続し、SHUTDOWNコマンドを実行します。

    • サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用してOracle ASMインスタンスを停止します。

      $ srvctl stop asm
      
    • SRVCTLを使用してリスナーを停止します。

      $ srvctl stop listener
      

    Oracle ASMインスタンスの停止の詳細は、「Oracle ASMインスタンスの停止」を参照してください。


    関連項目:

    • Oracle Enterprise Managerエージェントの起動および停止の詳細は、Oracle Enterprise Managerのマニュアルおよびオンライン・ヘルプを参照してください。

    • Oracleインスタンスの起動および停止の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    • リスナーの構成の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

    • サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


  4. Oracle Restart 11gリリース2(11.2)の構成を解除します。

    rootとしてroothas.plスクリプトを実行します。

    たとえば、Linuxでは次のようにします。

    # GRID_HOME/crs/install/roothas.pl -deconfig
    

    Oracle 11gリリース2(11.2)のinittabおよびinit*スクリプトは、Oracle Clusterwareの構成解除により削除されます。

  5. Oracle ACFSドライバをアンロードします。

    たとえば、Linuxでは、rootとしてacfsload stopを実行します。

    # GRID_HOME/bin/acfsload stop
    

    Oracle ACFSドライバ・リソース管理の詳細は、「Oracle ACFSドライバ・リソース管理」を参照してください。

  6. Oracle ASM 11gリリース1(11.1)のリソースを再作成します。

    rootとしてlocalconfigを実行し、Oracle ASM 11gリリース1(11.1)ホームにリソースを追加します。

    たとえば、Linuxでは次のようにします。

    # ORACLE_ASM_11.1_HOME/bin/localconfig add
    

    localconfig addが失敗した場合は、resetオプションの後にORACLE_HOMEを指定して既存のリソースをリセットします。

    たとえば、Linuxでは次のようにします。

    # localconfig reset ORACLE_ASM_11.1_HOME
    
  7. Oracle ASM PFILEおよびlisterner.oraファイルがOracle ASM 11gリリース1(11.1)ホームに存在することを確認します。

    Oracle ASM 11gリリース1(11.1)ホームが削除されていない場合、ファイルは使用できます。

  8. Oracle ASM 11gリリース1(11.1)ホームで、他の構成ファイルを構成します。

    たとえば、Linuxコンピュータでは/etcディレクトリのファイルを更新します。

    /etc/oratabのOracle ASMエントリを更新し、Oracle ASM 11gリリース1(11.1)ホームを指すようにします。次に例を示します。

    +ASM:/ORACLE_ASM_11.1_HOME/product/11.1.0/asm_1:N

    11gリリース2(11.2)のinittabおよびinit*スクリプトは、Oracle Clusterwareの構成解除により削除されます。

  9. リスナー、Oracle ASMインスタンス、Oracle DatabaseインスタンスおよびOracle Enterprise Managerエージェントが11gリリース1(11.1)のOracle ASMホームおよびデータベース・ホームで動作していることを確認します。

    • lsnrctlを使用してSTARTオプションを入力し、リスナーを起動します。

      必要に応じて、netcaを使用し、Oracle ASM 11gリリース1(11.1)ホームでNetwork Configuration Assistant(NETCA)を起動します。ウィザードの指示に従ってリスナーを再構成します。

    • 権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してOracle ASMインスタンスに接続し、STARTUPコマンドを実行します。

    • 権限を持つユーザーとしてSQL*Plusを使用してデータベース・インスタンスに接続し、STARTUPコマンドを実行します。

    • emctl start dbconsoleを使用してOracle Enterprise Managerエージェントを起動します。

      Oracle Enterprise ManagerではOracle ASMインスタンスをダウングレードした後に構成が必要な場合があります。

アウトオブプレース・アップグレード

アウトオブプレース・アップグレードでは、インストーラはOracle Grid Infrastructureの新しいバージョンを別のOracle Grid Infrastructureホームにインストールします。

Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2のインプレース・アップグレードはサポートされません。たとえば、Oracle Grid Infrastructure 11.2.0.1から11.2.0.2へのアップグレードは、アウトオブプレース・アップグレードである必要があります。


関連項目:

Oracle Grid Infrastructureのインストールとアウトオブプレース・アップグレードおよびOracle Grid InfrastructureとOracle ASMのローリング・アップグレードの実行の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

構成ウィザードによるOracle Grid Infrastructureの構成

Oracle Grid Infrastructure構成ウィザードにより、Oracle Grid Infrastructure環境の構成を、ソフトウェアのインストール後に変更することができます。構成ウィザードは、ユーザーの入力を受け入れて検証し、構成データをCRSCONFIG_PARAMSファイルに移入します。追加のスクリプトを実行する必要がある場合は、構成ウィザードにより、該当するスクリプトの実行がユーザーに指示されます。


関連項目:

Oracle Grid Infrastructure構成ウィザードの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

Oracle ASM用のアクティブ・セッション履歴サンプリング

アクティブ・セッション履歴サンプリングは、Oracle ASMインスタンスで使用できるようになりました。このアクティビティは、V$ACTIVE_SESSION_HISTORY動的ビューで公開されます。アクティブ・セッション履歴サンプリングには、Oracle ASMインスタンス用の診断パック・ライセンスが必要です。


関連項目:

  • パフォーマンス統計の収集の詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。

  • V$ACTIVE_SESSION_HISTORYビューの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


Oracle ASMのローリング・アップグレードの使用


注意:

Oracle ASMの11.1.0.6から11.2.0.1へのローリング・アップグレードの詳細は、Oracle DatabaseのReadmeを参照してください。

Oracle ASMのローリング・アップグレードでは、データベースの可用性に影響を及ぼすことなく、クラスタ化されたOracle ASMノードのアップグレードやパッチ適用を独立して行うことができるため、稼働時間を増すことができます。ローリング・アップグレードとは、クラスタ内の1つ以上のノードが異なるソフトウェア・バージョンを使用している場合に、Oracle ASMクラスタ環境の一部の機能が動作し続けるということです。Oracle Clusterwareのローリング・アップグレードの実行時に、Oracle ASMのローリング・アップグレードを実行することをお薦めします。Oracle ASMは、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2(11.2)のホームにあるOracle 11gリリース2(11.2)以上のOracle Clusterwareでアップグレードされています。

Oracle 11gリリース1(11.1)からOracle 11gリリース2(11.2)へのローリング・アップグレードを実行するには、環境を用意する必要があります。Oracle ASMのローリング・アップグレードを開始する前に、Oracle Clusterwareを次のパッチまたはリリースに完全にアップグレードする必要があります。また、高可用性と最大稼働時間を保証するために、ローリング・アップグレードの方法でOracle Clusterwareを準備する必要があります。Oracle 11gリリース2(11.2)へのローリング・アップグレードにより、Oracle ASMインスタンスは11gリリース2(11.2)のOracle Grid Infrastructureホームに移動します。

単一のOracle ASMインスタンスは、Oracle Universal Installer(OUI)を使用してアップグレードできます。詳細は、「Oracle Universal InstallerによるOracle Restart構成のOracle ASMインスタンスのアップグレード」を参照してください。


注意:

  • ローリング・アップグレードはクラスタ化されたOracle ASMインスタンスにのみ適用され、Oracle Database 11g以上の環境でのみ実行できます。つまり、この機能を使用してOracle Database 10gからOracle Database 11gにアップグレードすることはできません。

  • Oracle Exadataストレージが存在する場合、Oracle ASMインスタンスのローリング・アップグレードの実行の詳細は、Oracle Exadataのドキュメントを参照してください。



関連項目:

  • Oracle ASMのローリング・アプグレードの実行の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Databaseのアップグレードについては、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • ALTER SYSTEMコマンドのローリング移行句の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。


Oracle RAC環境でのOracle ASMインスタンスのパッチ適用

Oracle RAC環境では、Oracle Clusterwareバージョンが、Oracle Databaseに適用するパッチのバージョンと最低でも同じであることを確認してください。最初にOracle Grid Infrastructureホームにパッチを適用し、次にOracle Databaseホームにパッチを適用します。


注意:

Oracle Grid Infrastructureホームにパッチを適用した後に、Oracle Databaseホームにパッチを適用する必要があります。

Oracle ASMインスタンスにアクセスするための認証

Oracle ASMインスタンスはデータ・ディクショナリを備えていないため、Oracle ASMインスタンスに接続するには3つのシステム権限(SYSASMSYSDBAまたはSYSOPER)のいずれかを使用するしか方法はありません。Oracle ASMインスタンスへの接続モードには、次の3つがあります。


関連項目:

Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスにメンバー・ディスク・アクセス権があることを確認する方法の詳細は、オペレーティング・システム固有の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

この項の内容は次のとおりです。

Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスは、ディスク・グループへの読取り/書込みオペレーティング・システム・アクセス権を持っている必要があります。たとえば、Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスは、関連するOracle ASMディスク・グループを構成しているディスクに対して、同じ読取り権限と書込み権限を持っている必要があります。LinuxおよびUNIXシステムの場合は通常、これは共有のLinuxおよびUNIXグループ・メンバーシップ(OSASMグループ)によって提供されます。Windowsシステムでは、Oracle ASMサービスは管理者として実行する必要があります。ファイルの権限およびOracle ASMファイル・アクセス制御の詳細は、「ディスク・グループのOracle ASMファイル・アクセス制御の管理」を参照してください。

Oracle ASMの権限について

Oracle ASMのインストール時に、1つのオペレーティング・システム・グループをすべてのユーザーに使用できます。あるいは、システム権限を分けて、データベース管理者、ストレージ管理者およびデータベース・オペレータが個別のオペレーティング・システム権限グループをそれぞれ持つようにすることができます。

個別のオペレーティング・システム権限グループを作成するか、1つのグループを使用してすべてのシステム権限にオペレーティング・システム認証を提供するかにかかわらず、Oracle ASMインスタンスを管理するにはSYSASMを使用する必要があります。SYSDBA権限は、Oracle ASMインスタンスの管理には使用できません。SYSDBA権限を使用してOracle ASMインスタンスに対して管理コマンドを実行すると、エラーが発生します。SYSDBA権限は、データベースでディスク・グループへのアクセスに使用するためのものです。

また、Oracle ASMインスタンスの監視には、SYSDBA権限を持つASMSNMP(インストール時に作成)など、より権限の低いユーザーの使用をお薦めします。

OSDBA、OSOPERおよびOSASMとして指定されるグループのメンバーシップを使用したオペレーティング・システム認証は、すべてのOracleプラットフォームで有効です。SYSASMとしてOracle ASMインスタンスに接続すると、使用可能なすべてのOracle ASMディスク・グループと管理機能に対する完全なアクセス権が付与されます。

この項の内容は次のとおりです。

権限およびOracle ACFSの詳細は、「Oracle ACFSとファイル・アクセスおよび管理セキュリティ」を参照してください。

Oracle ASMユーザーへの1つのオペレーティング・システム・グループの使用

システム権限のアクセスを個別のオペレーティング・システム・グループに分けない場合、メンバーにOSDBA、OSOPERおよびOracle ASM用のOSASM権限でアクセス権が付与されるグループとして1つのオペレーティング・システム・グループを指定できます。通常、これらすべてのデフォルトのオペレーティング・システム・グループ名はdbaで、そのグループはデフォルト構成用に選択されます。

表3-1に、Oracle ASMユーザーに権限を分けないLinuxデプロイの例を示します。

表3-1 すべてのOracle ASMユーザーに対する1つのオペレーティング・システム・グループおよび権限セット

ロール/ソフトウェア所有者 ユーザー グループ/権限

Oracle ASM管理者/Oracle Grid Infrastructureホーム

oracle

dba/SYSASM、SYSDBA、SYSOPER

データベース管理者1/データベース・ホーム1

oracle

dba/SYSASM、SYSDBA、SYSOPER

データベース管理者2/データベース・ホーム2

oracle

dba/SYSASM、SYSDBA、SYSOPER

オペレーティング・システム・ディスク・デバイス所有者

oracle

dba


Oracle ASMユーザーへの個別のオペレーティング・システム・グループの使用

Oracle ASMの権限用のオペレーティング・システム認証グループとして個別のオペレーティング・システム・グループを指定できます。Oracle ASM用の個別のオペレーティング・システム・グループと、そのメンバーに付与される権限を次に示します。

  • OSASMグループ

    このグループにはSYSASM権限が付与されます。この権限は、Oracle ASMインスタンスに対する完全な管理権限を提供します。たとえば、このグループはasmadminとなります。

  • Oracle ASM用のOSDBAグループ

    このグループにはOracle ASMインスタンスに対するSYSDBA権限が付与されます。この権限は、Oracle ASMに格納されているデータへのアクセス権を付与します。このグループには、OSASMグループの権限のサブセットがあります。

    管理者権限を分ける場合、Oracle ASMインスタンス用には、データベース・インスタンス用に選択するグループ(dbaなど)とは異なるOSDBAグループを選択します。たとえば、このグループはasmdbaとなります。

  • Oracle ASM用のOSOPERグループ

    このグループにはOracle ASMインスタンスに対するSYSOPER権限が付与されます。この権限により、ディスク・グループの起動、停止、マウント、ディスマウント、チェックなどの操作が可能になります。このグループには、OSASMグループの権限のサブセットがあります。たとえば、このグループはasmoperとなります。

Oracle ASM管理者とデータベース管理者の役割を分ける場合、この構成にはそれぞれ異なるグループおよびソフトウェア所有者が必要です。暗黙的にこれを実現するには、OSASMとOSDBAが異なるグループであることが必要です。この構成の場合、Oracle ASMインスタンスにアクセスするには、Oracle ASM用のOSDBAグループを作成し、データベース・インスタンスをそのグループのメンバーとする必要があります。

Oracle Grid Infrastructureとして構成されたインストールでは、Oracle ASMユーザー(gridなど)はOracle DatabaseのOSDBAグループ(dba1dba2など)のメンバーである必要はありません。これは、Oracle Clusterwareデータベース・エージェントがデータベース所有者として動作し、SYSDBAを使用してデータベースに接続できるためです。

しかし、Oracle Restart構成では、Oracle ASMユーザー(grid)は各データベースのOSDBAグループ(dba1dba2など)のメンバーである必要があります。Oracle RestartソフトウェアはOracle ASMユーザー(grid)として動作し、このユーザーはCONNECT / AS SYSDBA認証を使用してデータベースを起動および停止できる必要があるため、この要件は必須です。

さらに、オペレーティング・システム・ディスク・デバイスの所有者は、Oracle ASMソフトウェアの所有者と同じである必要があります。

表3-2に、Oracle ASMユーザーに個別のオペレーティング・システム権限グループを使用するLinuxデプロイの例を示します。

表3-2 Oracle ASMユーザーに対する個別のオペレーティング・システム・グループおよび権限

ロール/ソフトウェア所有者 ユーザー グループ/権限

Oracle ASM管理者/Oracle Grid Infrastructureホーム

grid

asmadmin(OSASM)/SYSASM

asmdba(ASM用のOSDBA)/SYSDBA

asmoper(ASM用のOSOPER)SYSOPER

dba1、dba2など(Oracle Restart構成の場合はデータべース用のOSDBA)

データベース管理者1/データベース・ホーム1

oracle1

asmdba(ASM用のOSDBA)/SYSDBA

oper1(データベース1用のOSOPER)/SYSOPER

dba1(データベース1用のOSDBA)/SYSDBA

データベース管理者2/データベース・ホーム2

oracle2

asmdba(ASM用のOSDBA)/SYSDBA

oper2(データベース2用のOSOPER)/SYSOPER

dba2(データベース2用のOSDBA)/SYSDBA

オペレーティング・システム・ディスク・デバイス所有者

grid

asmadmin(OSASM)


Oracle ASMを管理するためのSYSASM権限

SYSASMは、SYSDBAデータベース管理権限とOracle ASMストレージ管理権限を区別できるシステム権限です。SYSASM権限へのアクセスは、OSASMグループとして指定されるオペレーティング・システム・グループのメンバーシップによって付与されます。これはSYSDBA権限やSYSOPER権限と似ています。SYSDBA権限やSYSOPER権限は、OSDBAおよびOSOPERオペレーティング・システム・グループとして指定されるグループのメンバーシップによって付与されるシステム権限です。これらのシステム権限すべてに対して1つのグループを指定するか、オペレーティング・システム権限ごとに別のグループを指定することができます。

「Oracle ASMのパスワード・ファイル認証」で説明しているように、パスワード・ファイル認証とともにSYSASM権限を付与することもできます。

SQL*Plusによるパスワード認証を使用してSYSASMとしてローカル接続するには、次の文を使用します。

sqlplus SYS AS SYSASM
...
Enter password:

SQL*Plusによるパスワード認証を使用してSYSASMとしてリモート接続するには、次の文を使用します。

sqlplus sys@\"myhost.mydomain.com:1521/+ASM\" AS SYSASM
...
Enter password:

この例では、+ASMはOracle ASMインスタンスのサービス名です。

SQL*Plusによるオペレーティング・システム認証を使用してSYSASMとしてOracle ASMインスタンスにローカル接続するには、次の文を使用します。

sqlplus / AS SYSASM

Oracle ASMコンポーネントを管理するためのSYSADBA権限

SQL*PlusまたはASMCMDコマンドを使用してデータベースに関連するOracle ASMコンポーネントを管理するには、SYSADBAとして接続します。SQLまたはASMCMD操作をSYSADBA権限で実行する場合は、Oracle ASMインスタンスではなくデータベース・インスタンスに接続します。

SYSADBAとしてデータベース・インスタンスに接続すると、Oracle ASM権限セットが制限されます。たとえば、SYSADBA権限で接続している場合はディスク・グループを作成できません。

SYSADBAとしてデータベース・インスタンスに接続した場合、Oracle ASM操作は次のとおり制限されます。

  • ファイル、エイリアス、ディレクトリ、テンプレートの作成および削除

  • 各種Oracle ASMインスタンス・ビューの調査

  • このユーザーによって作成されたファイルに対する操作、または別のユーザーが明示的にアクセス権を付与したファイルへのアクセスのみ

  • 他のユーザーへのOracle ASMファイル・アクセス制御の付与

SYSASM権限によるユーザーの作成

SYSASMとしてOracle ASMインスタンスにログインすると、CREATE USERおよびGRANTのSQL文を組み合せて、SYSASM権限を持つユーザーを作成できます。また、REVOKEコマンドを使用してユーザーのSYSASM権限を取り消したり、DROP USERコマンドを使用してパスワード・ファイルからユーザーを削除できます。


注意:

これらのコマンドでは、ローカルOracle ASMインスタンスのパスワード・ファイルのみが更新されます。

次の例では、new_userとして識別されるユーザーについて、これらのSQL操作の実行方法を示します。

REM create a new user, then grant the SYSASM privilege
SQL> CREATE USER new_user IDENTIFIED by new_user_passwd;
SQL> GRANT SYSASM TO new_user;

REM connect the user to the ASM instance
SQL> CONNECT new_user AS SYSASM;
Enter password:

REM revoke the SYSASM privilege, then drop the user
SQL> REVOKE SYSASM FROM new_user;
SQL> DROP USER new_user;

ASMパスワード・ファイルでユーザーの最後の権限を取り消しても、ユーザーはOracle Databaseパスワード・ファイルでの実行のように自動的に削除されることはありません。DROP USERを実行して、Oracle ASMパスワード・ファイルで権限を持たないユーザーを削除する必要があります。

Oracle ASMコマンドライン・ユーティリティ(ASMCMD)を使用したユーザー作成の詳細は、「orapwusr」を参照してください。Oracle Enterprise Managerを使用したユーザー作成の詳細は、「Oracle Enterprise ManagerによるOracle ASMユーザーの管理」を参照してください。

Oracle ASMのオペレーティング・システム認証

OSASMグループとして指定されたオペレーティング・システム・グループのメンバーシップにより、SYSASMシステム権限のオペレーティング・システム認証が提供されます。OSASMはOracle ASMに対して排他的に提供されます。その権限の個別のオペレーティング・システム・グループを使用する場合、最初はASMをインストールするユーザーのみがOSASMグループのメンバーになります。ただし、その他のユーザーを追加できます。OSASMグループのメンバーは、SYSASM権限を使用した接続が認可され、Oracle ASMへの完全なアクセス(Oracle ASMインスタンスによって管理されるすべてのディスク・グループへの管理アクセスなど)が可能です。

LinuxおよびUNIXシステムの場合、dbaがOSASM、OSOPERおよびOracle ASM用のOSDBAとして指定されるデフォルトのオペレーティング・システム・グループです。Windowsシステムの場合、ora_dbaがOSASM、OSOPERおよびOSDBAとして指定されるデフォルト名です。

SQL*Plusコマンド、ASMCMDコマンドおよびASMCAでは、オペレーティング・システム認証を使用します。


関連項目:

  • オペレーティング・システム認証の使用の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracle Grid Infrastructureのインストールの詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。


Oracle ASMのパスワード・ファイル認証

Oracle ASMのパスワード・ファイル認証はローカルとリモートの両方で機能します。パスワード・ファイル認証を有効にするには、Oracle ASMのパスワード・ファイルを作成する必要があります。Oracle Enterprise ManagerでOracle ASMにリモート接続できるようにする場合にも、パスワード・ファイルが必要です。

Oracle ASMストレージ・オプションを選択した場合、ASMCAはOracle ASMディスク・グループの初期構成時に初期ユーザー(SYSおよびASMSNMP)を使用してOracle ASMのパスワード・ファイルを作成します。パスワード・ファイルに他のユーザーを追加するには、「Oracle ASMの権限について」で説明したように、CREATE USERコマンドとGRANTコマンドを使用できます。

ASMCAを使用せずにOracle ASMインスタンスを構成する場合は、手動でパスワード・ファイルを作成し、ユーザーSYSにSYSASM権限を付与する必要があります。

SQL*PlusコマンドおよびOracle Enterprise Managerでは、パスワード・ファイル認証を使用します。


関連項目:

  • パスワード・ファイルの作成と維持の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • CREATE USERおよびGRANTコマンドの詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

  • データベース・セキュリティの詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

  • V$PWFILE_USERSビューの詳細は『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。このビューは、パスワード・ファイルから導出されたものとしてSYSASMSYSDBAおよびSYSOPER権限が付与されたユーザーをリストします。


Oracle ASMを使用するためのデータベースの移行

Oracle DatabaseおよびOracle ASMを新規にインストールする場合、最初にデータベースを作成し、Oracle ASMストレージ・オプションを選択します。オペレーティング・システムのファイルシステムまたはRAWデバイスにデータベース・ファイルを格納する既存のOracleデータベースがある場合は、データファイルの一部または全部をOracle ASMストレージに移行できます。

データベースをOracle ASMに移行するには、いくつかの方法があります。Oracle ASMを使用すると、データベース記憶域の管理の自動化と簡略化が可能になります。Oracle ASMに移行するには、次の項で説明する方法を使用できます。


注意:

Oracle Database 10g以上にアップグレードしてから、データベースをOracle ASMに移行する必要があります。

Oracle Enterprise Managerを使用したOracle ASMへのデータベースの移行

Oracle Enterprise Managerでは、GUIを使用してコールドおよびホット・データベース移行を実行できます。Oracle Enterprise Managerのホームページの「データベースの変更」ヘッダーの下から移行ウィザードにアクセスできます。

Oracle Enterprise Managerを使用したOracle ASMへのアップグレードの詳細は、第9章「Oracle Enterprise ManagerによるOracle ASMの管理」を参照してください。

Oracle Recovery Managerを使用したOracle ASMへのデータベースの移行

Oracle Recovery Manager(RMAN)を使用して手動でOracle ASMに移行できます。RMANを使用すると、単一の表領域またはデータファイルをOracle ASMに移行することもできます。

詳細は、第8章「RMANによるOracle ASMのデータ移行の実行」を参照してください。

Oracle ASMへの移行に関するベスト・プラクティスのホワイト・ペーパー

Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)のWebサイトには、次のような異なるシナリオに基づく、高度なベスト・プラクティスのテクニカル・ホワイト・ペーパーが提供されています。

  • 最小停止時間によるOracle ASMへの移行

  • トランスポータブル表領域を使用したプラットフォームの移行

  • トランスポータブル・データベースを使用したプラットフォームの移行


関連項目:

Oracle ASMを使用していない環境からOracle ASMに移行するためのOracle ASMのベスト・プラクティスの詳細は、Oracle Technology NetworkのMAAリンクを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/maa-096107.html