Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成

第 10 章 Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

この章では、Sun Cluster ノード上で Sun Cluster HA for Sybase ASE の構成と管理を行う手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、フェイルオーバーデータサービスとして構成する必要があります。データサービス、リソースグループ、リソース、関連事項については、『Sun Cluster 3.1 の概念』および第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

表 10-1 に、必要なインストール作業や構成作業とその説明のある節を示します。

表 10–1 作業マップ: Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

作業 

参照箇所 

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの準備 

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの準備

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール 

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール

Sybase データベース環境の作成 

Sybase ASE データベース環境の作成

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール 

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール

Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースタイプの登録とリソースグループおよびリソースの構成 

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認 

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題 

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題

Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成 

Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成

障害モニターの情報の表示 

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニター

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの準備

Sun Cluster HA for Sybase Adaptive Server 12.0 のインストールに先立って、次のファイルのインストール先を選択する必要があります。

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール

この節で説明する手順を使用して、以下の操作を行います。


注 –

Sun Cluster HA for Sybase ASE を構成する前に、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』の手順に従って各ノードの Sun Cluster ソフトウェアを構成する必要があります。


ノードの準備

この手順では、Sybase ASE ソフトウェアのインストールに先立ってノードをどのように準備する必要があるかを説明します。


注意 – 注意 –

この作業のすべての手順をすべてのノードで実行してください。すべてのノードでこれらの手順がすべて実行されないと、Sybase ASE インストールが完全に行われず、Sun Cluster HA for Sybase ASE は起動に失敗します。



注 –

この手順を始める前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。


  1. すべてのノードでスーパーユーザーになります。

  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに Sun Cluster HA for Sybase ASE の起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、次の group エントリのどれかを /etc/nsswitch.conf ファイルに指定します。


    group:
    group: files [NOTFOUND=return] nis
    group: files [NOTFOUND=return] nisplus

    Sun Cluster HA for Sybase ASE は、su user コマンドを使ってデータベースノードの開始や停止を行います。

    クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。group に上のどれかのエントリが追加されていると、su(1M) コマンドは、NIS/NIS+ ネームサービスが使用できない場合にはそのネットワーク情報ネームサービスを参照しません。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE のクラスタファイルシステムを構成します。

    データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスの構成方法については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

    Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を使用する場合は、UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングか raw ミラー化メタデバイスを使用するように Sybase ASE ソフトウェアを構成します。raw ミラー化メタデバイスの構成方法については、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager のマニュアルを参照してください。

  4. ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。


    注 –

    Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティング環境の再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。


  5. 各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。

    rootsybase ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じてほかの DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するどのノードでも同じでなければなりません。次は、その例です。


    dba:*:520:root,sybase
    

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。その場合には、ネットワークネームサービスに依存するのを避けるために、これらのエントリをローカルの /etc/group ファイルにも追加します。

  6. 各ノードで、Sybase システム管理者のエントリを作成します。

    次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者のエントリで更新します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase
    

    sybase ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するどのノードでも同じでなければなりません。

Sybase ASE ソフトウェアのインストール

Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順は次のとおりです。

  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. Sybase ASE インストールの要件に注意します。

    Sybase ASE バイナリは、次のどちらにインストールすることもできます。

    • クラスタノードのローカルディスク

    • 高可用性なローカルファイルシステム

    • クラスタファイルシステム


      注 –

      Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする場合は、まず、Sun Cluster ソフトウェアを起動し、ディスクデバイスグループの所有者になる必要があります。


    ソフトウェアのインストール場所については、Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの準備 を参照してください。

  3. ネットワークとアプリケーションのリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。

    -h nodelist

    マスターになり得る物理ノードの名前または ID を、コンマで区切ったリストで指定します (オプション)。フェイルオーバー時に Resource Group Manager (RGM) が主ノードとして選択する順番がこのリスト上のノードの順序で決まります。


    注 –

    ノードリストの順序を指定する場合は、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. Sun Cluster HA for Sybase ASE で使用するすべてのネットワークリソースが /etc/inet/hosts ファイルまたはネームサービス (NIS、NIS+) データベースに追加されていることを確認します。

  5. ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [-n netiflist] 
    -l logical-hostname

    ネットワークリソースを指定します。ネットワークリソースは、クライアントが Sun Cluster HA for Sybase ASE にアクセスするために使用する論理ホスト名または共有アドレス (IP アドレス) です。

    -n netiflist

    各ノード上の IP Networking Multipathing グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。netiflist 内の各要素の書式は、 netif@node でなければなりません。netif は、sc_ipmp0 などの IP Networking Multipathing グループ名として指定できます。ノードは、sc_ipmp0@1sc_ipmp@phys-schost-1 などのノード名またはノード ID で識別できます。


    注 –

    現在 Sun Cluster では、netif にアダプタ名を使用できません。


  6. scswitch(1M) コマンドを実行して次の作業を行います。

    • リソースと障害の監視を有効にします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
  7. 作成したばかりのリソースグループをマスターするノード上で、sybase としてログインします。

    Sybase バイナリのインストールは、対応する論理ホストが動作しているノードで実行する必要があります。

  8. Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。

    Sybase ASE ソフトウェアをどこにインストールする場合でも、Sybase ASE の標準的なインストール手順を使用する場合と同じように、各ノードの /etc/system ファイルを変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアのインストール手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。


    注 –

    どの Sybase サーバーでも、ホスト名の指定を求められた時にはネットワークリソースに関連付けられたホスト名を入力してください。


次に進む手順

Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を使用する場合は、Sybase ASE ソフトウェアのインストールが終了した後で、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスの構成に進みます。VERITAS Volume Manager (VxVM) を使用する場合は、VERITAS Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスの構成 に進みます。

Sybase ASE のインストールの確認

Sybase ASE ソフトウェアのインストールを確認する手順は次のとおりです。

  1. sybase ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。

  2. scstat(1M) コマンドを実行して、Sun Cluster ソフトウェアが正しく動作することを確認します。

Sybase ASE データベース環境の作成

この節の手順では、次の作業を行います。

Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスの構成

Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を使用する場合は、次の手順に従って Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager により Sybase ASE データベースアクセスを構成します。

  1. Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。

    Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager の構成方法については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

  2. データベースを raw デバイスに格納する場合は、次のコマンドを使って、各 raw ミラー化メタデバイスの所有者、グループ、モードを変更します。

    raw デバイスを使用しない場合は、この手順を実行しないでください。

    1. raw デバイスを作成する場合は、Sybase ASE リソースグループをマスターできる「各ノードで」デバイスごとに次のコマンドを実行します。


      # chown sybase /dev/md/metaset/rdsk/dn
      # chgrp dba /dev/md/metaset/rdsk/dn
      # chmod 600 /dev/md/metaset/rdsk/dn
      
      metaset

      ディスクセットの名前を指定します。

      /rdsk/dn

      metaset ディスクセット内の raw ディスクデバイスの名前を指定します。

    2. 変更が有効になっているか確認します。


      # ls -lL /dev/md/metaset/rdsk/dn
      

VERITAS Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスの構成

VxVM ソフトウェアを使用する場合は、次の手順に従って、VxVM ソフトウェアによる Sybase ASE データベースアクセスを構成します。

  1. VxVM ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。

    VERITAS Volume Manager の構成方法については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

  2. データベースを raw デバイスに格納する場合は、現在のディスクグループ主ノードで次のコマンドを実行して各デバイスの所有者、グループ、モードを変更します。

    raw デバイスを使用しない場合は、この手順を実行しないでください。

    1. raw デバイスを作成する場合は、raw デバイスごとに次のコマンドを実行します。


      # vxedit -g diskgroup set user=sybase group=dba mode=0600 volume
      
    2. 変更が有効になっているか確認します。


      # ls -lL /dev/vx/rdsk/diskgroup/volume
      
    3. ディスクデバイスグループをクラスタに再登録して、クラスタ内での VxVM 名前空間の整合性を確保します。


      # scconf -c -D name=diskgroup
      

Sybase ASE データベース環境の作成

この手順を行う前に、必ず次の作業を行ってください。

次の手順に従って、Sybase ASE データベース環境を作成します。

  1. GUI ベースのユーティリティー srvbuild を実行して Sybase ASE データベースを作成します。

    このユーティリティーは、$SYBASE/ASE_12-0/bin ディレクトリに含まれています。詳細は、Sybase ASE の『Installing Sybase Adaptive Server Enterprise on Sun Solaris 2.x (SPARC)』を参照してください。

  2. データベースが正しくインストールされていることを確認するために、すべてのサーバーが正しく起動するか確認します。

    ps(1) コマンドを実行してすべてのサーバーの動作を確認します。エラーがある場合は、Sybase ASE サーバーのログに出力されます。

  3. Sybase ASE システム管理者アカウントのパスワードを設定します。

    sa ログインパスワードの変更方法については、『Sybase Adaptive Server Enterprise System Administration Guide』を参照してください。

  4. 障害監視に使用する Sybase ASE アカウントを新しく作成します。

    障害モニターは、このアカウントを使って次の作業を行うことができます。

    • システムテーブルのクエリーをサポートします。

    • ユーザーテーブルの作成や更新を行います。


    注 –

    この目的で sa アカウントを使用することは避けてください。


    詳細については、Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターを参照してください。

  5. 停止ファイルの sa パスワードを更新します。

    停止ファイルには sa パスワードが格納されているため、適切なアクセス権でこのファイルを保護するとともに、このファイルを、システム管理者が選択するディレクトリに置く必要があります。停止ファイルの読み取り、書き込み、実行は、sybase ユーザーだけからできるようにします。

    停止ファイルについては、重要なセキュリティの問題を参照してください。

次に進む手順

Sybase ASE データベース環境を作成したら、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストールへ進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール

scinstall(1M) ユーティリティーを使って、SUNWscsyb (Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージ) をクラスタにインストールします。このときに、非対話型の scinstall にすべてのデータサービスパッケージをインストールする -s オプションを指定しないでください。

Sun Cluster のインストール時に SUNWscsyb データサービスパッケージをすでにインストールしている場合は、Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成へ進んでください。まだインストールしていない場合は、次の手順に従って SUNWscsyb パッケージをインストールします。

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール

この手順を実行するには、Sun Cluster 3.1 Agents CD-ROM が必要です。この手順は、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージが動作するすべてのクラスタノードで行う必要があります。

  1. Sun Cluster 3.1 Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入します。

  2. オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。

    scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。

  3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

    scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

  4. Sun Cluster 3.1 Agents CD-ROM のパスを指定します。

    このユーティリティーには、この CD は“data services cd”と示されます。

  5. インストールするデータサービスを指定します。

    選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。

  6. scinstall ユーティリティーを終了します。

  7. ドライブから CD を取り出します。

次に進む手順

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストールが終わったなら、Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成

この節で説明する手順を使用して、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの登録と構成を行います。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、フェイルオーバーデータサービスとして登録し構成します。

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成

この手順では、scrgadm (1M) コマンドを使って Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成を行う方法を説明します。

この手順には、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを作成する方法も含まれます。このリソースタイプは、HAStorage と Sun Cluster HA for Sybase ASE 間でアクションの同期をとって、高可用性ローカルファイルシステムを使用できるようにします。Sun Cluster HA for Sybase ASE ではディスクに負荷がかかるため、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを構成する必要があります。

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの詳細については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページおよびリソースグループとディスクデバイスグループの関係を参照してください。


注 –

その他のオプションでもデータサービスの登録および構成を行うことができます。これらの方法については、データサービスリソースを管理するためのツールを参照してください。


この手順を実行するには、次の情報を確認しておく必要があります。


注 –

次の手順は 1 つのクラスタメンバー上で実行します。


  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. scrgadm コマンドを実行して Sun Cluster HA for Sybase ASE のリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sybase
    

    -a

    データサービスのリソースタイプを追加します。

    -t SUNW.sybase

    当該データサービス用にあらかじめ定義されているリソースタイプを指定します。

  3. SUNW.HAStoragePlus リソースタイプをクラスタに登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    

  4. タイプ SUNW.HAStoragePlus のリソース sybase-hastp-rs を作成します。


    # scrgadm -a -j sybase-hastp-rs -g sybase-rg -t SUNW.HAStoragePlus \
    -x GlobalDevicePaths=sybase-device-group1,/dev/global/dsk/dl \
    -x FilesystemMountPoints=/global/sybase-inst \
    -x AffinityOn=TRUE
    


    注 –

    フェイルオーバーを行うためには、AffinityOn が TRUE に設定され、ローカルファイルシステムが広域ディスクグループ上に存在する必要があります。


  5. scswitch コマンドを実行して、次の作業を完了し、リソースグループ sybase-rg をクラスタノード上でオンラインにします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。

    このノードは、デバイスグループ sybase-set1 および raw デバイス /dev/global/dsk/d1 のプライマリになります。ファイルシステムに関連するデバイスグループ (/global/sybase-inst など) もこのノード上でプライマリになります。


    # scswitch -Z -g sybase-rg
    
  6. Sybase ASE アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。


    # scrgadm -a -j resource -g resource-group \
    -t SUNW.sybase \
    -x Environment_File=environment-file-path \
    -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name \
    -x Backup_Server_Name=backup-server-name \
    -x Text_Server_Name=text-server-name \
    -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name \
    -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path \
    -x Stop_File=stop-file-path \
    -x Connect_string=user/passwd
    -y resource_dependencies=storageplus-resource
    
    -j resource

    追加するリソースの名前を指定します。

    -g resource-group

    リソースグループ名を指定します。RGM はここにリソースを入れます。

    -t SUNW.sybase

    追加するリソースのタイプを指定します。

    -x Environment_File=environment-file

    環境ファイルの名前を設定します。

    -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name

    適応サーバーの名前を設定します。

    -x Backup_Server_Name=backup-server-name

    バックアップサーバーの名前を設定します。

    -x Text_Server_Name=text-server-name

    テキストサーバーの名前を設定します。

    -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name

    監視サーバーの名前を設定します。

    -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path

    適応サーバーのログファイルへのパスを設定します。

    -x Stop_File=stop-file-path

    停止ファイルへのパスを設定します。

    -x Connect_string=user/passwd

    障害モニターがデータベースに接続するときに使用するユーザー名とパスワードを指定します。

    デフォルト値を持つ拡張プロパティを指定する必要はありません。詳細については、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成を参照してください。

  7. リソースと障害の監視を有効にします。


    注 –

    Sybase サーバーが起動されると、Sybase はコンソールにログを出力します。これらのログメッセージをコンソールに表示したくない場合は、メッセージをほかのファイルにリダイレクトするように、該当する RUN ファイルを更新します。



    # scswitch -Z -g resource-group
    

次に進む手順

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成が終わったなら、 Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認

次の確認検査を実行し、 Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成が正しく行われているか確認してください。

これらの確認検査では、 Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するすべてのノードで Sybase ASE データサーバーを起動できるかどうかと、この構成のほかのノードから Sybase ASE データサーバーにアクセスできるかを確認します。これらの検査を実行して、 Sun Cluster HA for Sybase ASE から Sybase ASE ソフトウェアを起動する際に起こる問題を特定してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認

  1. Sybase ASE リソースグループをマスターしているノードにログインします。

  2. Sybase ASE 環境変数を設定します。

    この環境変数は、Environment_file 拡張プロパティで指定する変数です。これらの環境変数の設定については、表 10–2を参照してください。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースがオンラインになっているかどうか確認します。


    # scstat -g
    
  4. Sybase ASE ログを調べて、エラーがある場合は、その原因を判別します。

  5. データサーバーに接続できることを確認してから、次のテストコマンドを実行します。


    # isql -S adaptive-server -U sa
    
    isql> sp_help
    isql> go
    isql> quit
    

  6. Sybase ASE データサービスのプロセスを終了させます。

    Sun Cluster ソフトウェアがこのプロセスを再起動します。

  7. Sybase ASE リソースを持つリソースグループを別のクラスタメンバーに切り替えます。


    # scswitch -z -g resource-group -h node
    

  8. この時点でそのリソースグループを持つノードにログインします。

  9. 手順 3 から 手順 5までを繰り返します。


    注 –

    Sybase ASE クライアントの接続は、Sun Cluster HA for Sybase ASE のスイッチオーバーが起こると無効になります。つまり、スイッチオーバーが起こると、Sybase ASE へのクライアント接続は停止されます。したがって、クライアントは接続を再確立する必要があります。スイッチオーバー後の Sun Cluster HA for Sybase ASE の回復時間は、Sybase ASE トランザクションログの再生にどのくらいの時間が必要かによって異なります。


Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題

この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題について説明します。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギング

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、メッセージを /opt/SUNWscsyb/log ディレクトリの message_log ファイルに記録します。このファイルの最大サイズは 512K バイトですが、Sun Cluster HA for Sybase ASE は、古いログファイルを削除しません。したがって、ログファイルの数が多数になることがあります。

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、 すべてのエラーメッセージを syslog ファイルに記録します。さらに、Sun Cluster HA for Sybase ASE は、障害モニターの履歴を log ディレクトリの restart_history ファイルに書き込みます。これらのファイルの数もまた多数に上ることがあります。

定期的なファイル整理の一貫として次のログファイルを検査し、必要がなければ削除してください。

重要なセキュリティの問題

Sun Cluster HA for Sybase ASE では、システム管理者のパスワードが停止ファイルに組み込まれていなければなりません。/opt/SUNWscsyb/bin ディレクトリには、停止ファイルのテンプレート sybase_stop_servers が含まれています。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このファイルを使って Sybase ASE 環境にログインしたり、Sybase ASE サーバーを停止します。したがって、停止ファイルを実行できるように sybase ユーザーを設定してください。ただし、一般ユーザーからのこのファイルへのアクセスは防止する必要があります。読み取り、書き込み、実行の特権は次のユーザーだけに与えます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成

この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成手順を説明します。通常、拡張プロパティは、Sybase ASE リソースを作成するときに、コマンド行から scrgadm -x parameter=value を実行して構成します。拡張プロパティは、第 15 章「データサービスリソースの管理」に示す手順を使ってあとで構成することもできます。

Sun Cluster のすべての拡張プロパティについては、r_properties(5) と rg_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

表 10–2 に、Sybase ASE サーバーリソース用に設定可能な拡張プロパティを示します。拡張プロパティの中には動的に変更できるものもありますが、それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。「調整」の欄には、そのプロパティをいつ変更できるかが示されています。

表 10–2 Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Environment_ File

すべての Sybase ASE 環境変数が格納されているファイル。Sun Cluster HA for Sybase ASE では、SYBASE SYBASE_ASE、および SYBASE_OCS の各環境変数を定義する必要があります。定義したほかの変数は、環境変数として Sybase サーバーに渡されます。

各環境変数の定義は、書式に従う必要があります。 


VARIABLE_NAME=VARIABLE_VALUE

これらの環境変数は、Environment_File 内で 1 行に 1 つずつ指定しなければなりません。

通常、ユーザーは Sybase のインストールによって作成される SYBASE.sh 環境ファイルを使用します。

デフォルト:なし

範囲: 最小 =1

調整:無効になっている時

Adaptive_ Server_Name

データサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。

 

デフォルト:なし

範囲: 最小 =1

調整:無効になっている時

Backup_ Server_Name

バックアップサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE はこのサーバーを管理しません。

 

デフォルト:Null

範囲: なし

調整:無効になっている時

Monitor_ Server_Name

モニターサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE はこのサーバーを管理しません。

 

デフォルト:Null

範囲: なし

調整:無効になっている時

Text_Server_ Name

テキストサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスはこのサーバーを管理しません。

 

デフォルト:Null

範囲: なし

調整:無効になっている時

Adaptive_ Server_Log_ File

アダプティブサーバーのログファイルへのパス。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、このプロパティを絶えず読み取り、エラーを監視します。 

 

デフォルト:なし

範囲: 最小 =1

調整:無効になっている時

Stop_File

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、サーバーの stoppages の間にこのプロパティを使用します。このプロパティには、sa パスワードが含まれています。このプロパティを一般ユーザーのアクセスから保護してください。

 

デフォルト:なし

範囲: 最小 =1

調整:無効になっている時

Probe_timeout

障害モニター検証で使用するタイムアウト値。 

 

デフォルト:30

範囲: 199999

調整: 任意の時点

Debug_ level

Sun Cluster HA for Sybase ASE ログに書き込むためのデバッグレベル。 

 

デフォルト:0

範囲: 015

調整: 任意の時点

Connect_string

user/password 形式の文字列。Sun Cluster HA for Sybase ASE は、データベースの検証時にこのプロパティを使用します。

 

デフォルト:なし

範囲: 最小 =1

調整:無効になっている時

Connect_cycle

Sun Cluster HA for Sybase ASE が新しい接続を確立する前に行われる障害モニター検証サイクルの回数。 

 

デフォルト: 5

範囲: 1100

調整: 任意の時点

Wait_for_ online

START メソッドが、自身が終了する前に、データベースがオンラインになるのを待つかどうかの指定。

 

デフォルト:FALSE

範囲: TRUEFALSE

調整: 任意の時点

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニター

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、Sybase ASE サーバーの状態を調べてサーバーが正常かどうかを判定します。


注 –

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、アダプティブサーバーだけを監視します。この障害モニターは、補助サーバーは監視しません。


障害モニターは、次のプロセスから構成されています。

次の各項では、Sun Cluster HA for Sybase ASE の障害モニタープロセスと、障害モニターが使用する拡張プロパティについて説明します。

主障害モニタープロセス

障害モニタープロセスでは、エラーを診断し、統計情報を検査します。障害モニターは、次の条件が満たされたときに、操作が正常であったとみなします。

操作が失敗に終わると、主プロセスは、アクションテーブルを検査してとるべきアクションを特定し、あらかじめ決められたアクションをとります。操作が失敗に終わった場合、主プロセスは、次のアクションをとることができます。これらのアクションでは、外部プログラムがバックグラウンドの別プロセスとして実行されます。

  1. 現在のノードでリソースを再起動します。

  2. 現在のノードでリソースグループを再起動します。

  3. リソースグループのノードリストに存在する次のノードにリソースグループをフェイルオーバーします。

さらに、サーバーの障害モニターは Adaptive_Server_Log ファイルをスキャンし、エラーが見つかれば、それを訂正するアクションをとります。

データベース-クライアント障害検証

データベース-クライアント障害検証では、活動検査とテストトランザクションを実行します。拡張プロパティ Connect_string では、すべてのデータベース操作を行うアカウントを指定します。拡張プロパティ Probe_timeout では、タイムアウト値を設定します。障害機構は、この値を使って、正常なデータベース検証の間に経過した時間を計算します。

拡張プロパティ

障害モニターでは、次の拡張プロパティを使用します。

これらの拡張プロパティについては、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成を参照してください。