Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成

Sun Cluster HA for SAP liveCache の登録と構成

この節では、Sun Cluster HA for SAP liveCache を構成する手順について説明します。

Sun Cluster HA for SAP liveCache 拡張プロパティ

表 13–3表 13–4 の拡張プロパティを使用して、リソースを作成します。リソースを作成するときは、次のコマンド行を使用して拡張プロパティを構成します。


scrgadm -x parameter=value 
すでにリソースを作成してある場合は、第 15 章「データサービスリソースの管理」 の手順を使用して拡張プロパティを構成してください。拡張プロパティの中には動的に変更できるものもありますが、それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。表 13–3表 13–4 の「調整」の欄は、各プロパティをいつ更新できるかを示しています。Sun Cluster の全プロパティの詳細は、付録 A を参照してください。

表 13–3 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_xserver) 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_List (オプション) 文字列

liveCache ソフトウェアのためのディレクトリ、およびインスタンスディレクトリ。 

デフォルト:/sapdb

範囲: なし

調整:作成時

Monitor_retry_count

障害モニターに許されている PMF 再起動の回数。 

 

デフォルト:4

調整:任意の時点

Monitor_retry_ interval

障害モニターを再起動する間隔 (分単位)。 

 

デフォルト:2

調整: 任意の時点

Probe_timeout

検証のタイムアウト値 (秒)。 

 

デフォルト:120

調整: 任意の時点

Soft_Stop_Pct (オプション) 整数

SAP xserver の停止に使用される停止タイムアウトの割合。 SAP ユーティリティー x_server stop を使用して SAP xserver を停止した後、SIGKILL を使用して SAP xserver のすべてのプロセスを停止します。

デフォルト:50

範囲: 1-100

調整:無効になっている時

Xserver_User (オプション) 文字列

SAP xserver システム管理者のユーザー名。 

デフォルト:root

範囲: なし

調整:作成時

表 13–4 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_livecache) 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_list (オプション) 文字列

liveCache ソフトウェアのためのディレクトリ、およびインスタンスディレクトリ。 

デフォルト:/sapdb

範囲: なし

調整:作成時

Livecache_name (必須) 文字列

liveCache データベースインスタンスの名前。 

デフォルト:なし

範囲: なし

調整:作成時

Monitor_retry_count

障害モニターに許されている PMF 再起動の回数。 

 

デフォルト:4

調整:任意の時点

Monitor_retry_interval

障害モニターを再起動する間隔 (分単位)。 

 

デフォルト:2

調整: 任意の時点

Probe_timeout

検証のタイムアウト値 (秒)。 

 

デフォルト:90

調整: 任意の時点

Sun Cluster HA for SAP liveCache の登録と構成

次の手順を使用して、Sun Cluster HA for SAP liveCache を liveCache データベースのフェイルオーバーデータサービスとして構成し、SAP xserver をスケーラブルデータサービスとして構成します。この手順では、データサービスパッケージがすでにインストール済みであることを前提としています。Sun Cluster の初期インストール時に Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージをインストールしていない場合は、Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージのインストールに進み、データサービスパッケージをインストールしてください。インストール済みの場合は、この手順を使用して Sun Cluster HA for SAP liveCache を構成します。


注意 – 注意 –

同じクラスタ上に複数の SAP xserver リソースを構成しないでください。1 つの SAP xserver は複数の liveCache インスタンスにサービスを提供します。同じクラスタ上で複数の SAP xserver リソースが動作すると、SAP xserver リソース間で衝突が生じます。このような衝突が生じると、SAP xserver リソースがすべて利用できなくなります。SAP xserver を 2 度起動しようとすると、Address already in use というエラーメッセージが表示されます。


  1. liveCache リソースをホストするクラスタ内のノードの 1 つでスーパーユーザーになります。

  2. lccluster ファイルを lcinit ファイルと同じ場所にコピーします。


    # cp /opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster \
    /sapdb/LC-NAME/db/sap
    
    LC-NAME

    liveCache データベースインスタンスの大文字名

  3. lccluster ファイルを編集して、put-LC_NAME-hereput-Confdir_list-here の値を置き換えます。

    1. lccluster ファイルを開きます。


      # vi /sapdb/LC-NAME/db/sap/lcclusterLC_NAME="put-LC_NAME-here"
      CONFDIR_LIST="put-Confdir_list-here"
    2. put-LC_NAME-here を liveCache インスタンス名で置き換えます。liveCache インスタンス名は、Livecache_Name 拡張プロパティで定義した値になります。

      例については、手順 c を参照してください。


      LC_NAME="liveCache-instance-name"
      
    3. put-Confdir_list-hereConfidir_list 拡張プロパティの値で置き換えます。


      CONFDIR_LIST="liveCache-software-directory"
      

    例:

    liveCache インスタンス名が LC1 で、liveCache ソフトウェアディレクトリが /sapdb の場合、lccluster スクリプトを次のように編集します。


    LC_NAME="LC1"
    CONFDIR_LIST="/sapdb"
    
  4. SAP xserver のリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sap_xserver
    
  5. SAP xserver のスケーラブルリソースグループを作成します。SAP xserver は、liveCache が動作するすべての潜在ノードで実行するように構成します。


    注 –

    liveCache がフェイルオーバーできるすべてのノード上で SAP xserver が起動するように、SAP xserver を構成します。この構成を実装するには、SAP xserver リソースグループと liveCache リソースグループの nodelist パラメータに同じノードが含まれている必要があります。さらに、SAP xserver リソースの desired_primariesmaximum_primaries の値は、liveCache リソースの nodelist パラメータにリストされたノードの数と同じでなければなりません。



    # scrgadm -a -g xserver-resource-group \
    -y Maximum_primaries=value \
    -y Desired_primaries=value \
    -h nodelist
    
  6. このスケーラブルリソースグループの中に SAP xserver リソースを作成します。


    # scrgadm -a -j xserver-resource\
     -g xserver-resource-group -t SUNW.sap_xserver 
    

    どのような拡張プロパティがあるかについては、Sun Cluster HA for SAP liveCache 拡張プロパティ を参照してください。

  7. SAP xserver リソースが含まれているスケーラブルリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g xserver-resource-group
  8. HAStoragePlus リソースを liveCache リソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    # scrgadm -a -j livecache-storage-resource -g livecache-resource-group \
    -t SUNW.HAStoragePlus -x filesystemmountpoints=mountpoint,... \
    -x globaldevicepaths=livecache-device-group
    

    HAStoragePlus リソースの設定手順については、HAStoragePlus リソースタイプの設定を参照してください。

  9. liveCache リソースを有効にします。


    # scswitch -e -j livecache-storage-resource
    
  10. liveCache データベースのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sap_livecache
    
  11. liveCache のクラスタ上での動作可能化で作成したフェイルオーバーリソースグループに liveCache リソースを作成します。


    # scrgadm -a -j livecache-resource -g livecache-resource-group \
    -t SUNW.sap_livecache -x livecache_name=LC-NAME \
    -y resource_dependencies=livecache-storage-resource
    
  12. SAP xserver と liveCache との間の依存性を設定します。


    # scrgadm -c -g livecache-resource-group \
    -y rg_dependencies=xserver-resource-group
    
  13. liveCache リソースが含まれているフェイルオーバーリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g livecache-resource-group
    
  14. liveCache がフェイルオーバーできるノード上で APO アプリケーションサーバーを実行しているかどうかを確認します。

    • 実行していない場合は、この手順を完了します。

    • 実行している場合は、手順 15に進みます。

  15. APO アプリケーションサーバーのリソースグループが、すでに RGOffload リソースの rg_to_offload リストに含まれているかどうかを確認します。


    # scrgadm -pvv | grep -i rg_to_offload | grep value:
    
    • 含まれている場合は、この手順を完了します。

    • 含まれていない場合は、liveCache リソースグループへの RGOffload リソースの追加を検討してください。

      この構成により、APO アプリケーションサーバーが動作していたノードに liveCache リソースがフェイルオーバーした場合、APO アプリケーションサーバーを自動的に停止することができます。

      RGOffload リソースの設定手順については、RGOffload リソースの設定を参照してください。