この節では、Sun Cluster HA for SAP liveCache を構成する手順について説明します。
表 13–3 と 表 13–4 の拡張プロパティを使用して、リソースを作成します。リソースを作成するときは、次のコマンド行を使用して拡張プロパティを構成します。
scrgadm -x parameter=value |
名前/データタイプ |
説明 |
---|---|
Confdir_List (オプション) 文字列 |
liveCache ソフトウェアのためのディレクトリ、およびインスタンスディレクトリ。 デフォルト:/sapdb 範囲: なし 調整:作成時 |
Monitor_retry_count |
障害モニターに許されている PMF 再起動の回数。
デフォルト:4 調整:任意の時点 |
Monitor_retry_ interval |
障害モニターを再起動する間隔 (分単位)。
デフォルト:2 調整: 任意の時点 |
Probe_timeout |
検証のタイムアウト値 (秒)。
デフォルト:120 調整: 任意の時点 |
Soft_Stop_Pct (オプション) 整数 |
SAP xserver の停止に使用される停止タイムアウトの割合。 SAP ユーティリティー x_server stop を使用して SAP xserver を停止した後、SIGKILL を使用して SAP xserver のすべてのプロセスを停止します。 デフォルト:50 範囲: 1-100 調整:無効になっている時 |
Xserver_User (オプション) 文字列 |
SAP xserver システム管理者のユーザー名。 デフォルト:root 範囲: なし 調整:作成時 |
表 13–4 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_livecache) 拡張プロパティ
名前/データタイプ |
説明 |
---|---|
Confdir_list (オプション) 文字列 |
liveCache ソフトウェアのためのディレクトリ、およびインスタンスディレクトリ。 デフォルト:/sapdb 範囲: なし 調整:作成時 |
Livecache_name (必須) 文字列 |
liveCache データベースインスタンスの名前。 デフォルト:なし 範囲: なし 調整:作成時 |
Monitor_retry_count |
障害モニターに許されている PMF 再起動の回数。
デフォルト:4 調整:任意の時点 |
Monitor_retry_interval |
障害モニターを再起動する間隔 (分単位)。
デフォルト:2 調整: 任意の時点 |
Probe_timeout |
検証のタイムアウト値 (秒)。
デフォルト:90 調整: 任意の時点 |
次の手順を使用して、Sun Cluster HA for SAP liveCache を liveCache データベースのフェイルオーバーデータサービスとして構成し、SAP xserver をスケーラブルデータサービスとして構成します。この手順では、データサービスパッケージがすでにインストール済みであることを前提としています。Sun Cluster の初期インストール時に Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージをインストールしていない場合は、Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージのインストールに進み、データサービスパッケージをインストールしてください。インストール済みの場合は、この手順を使用して Sun Cluster HA for SAP liveCache を構成します。
同じクラスタ上に複数の SAP xserver リソースを構成しないでください。1 つの SAP xserver は複数の liveCache インスタンスにサービスを提供します。同じクラスタ上で複数の SAP xserver リソースが動作すると、SAP xserver リソース間で衝突が生じます。このような衝突が生じると、SAP xserver リソースがすべて利用できなくなります。SAP xserver を 2 度起動しようとすると、Address already in use というエラーメッセージが表示されます。
liveCache リソースをホストするクラスタ内のノードの 1 つでスーパーユーザーになります。
lccluster ファイルを lcinit ファイルと同じ場所にコピーします。
# cp /opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster \ /sapdb/LC-NAME/db/sap |
liveCache データベースインスタンスの大文字名
lccluster ファイルを編集して、put-LC_NAME-here と put-Confdir_list-here の値を置き換えます。
lccluster ファイルを開きます。
# vi /sapdb/LC-NAME/db/sap/lcclusterLC_NAME="put-LC_NAME-here" CONFDIR_LIST="put-Confdir_list-here" |
put-LC_NAME-here を liveCache インスタンス名で置き換えます。liveCache インスタンス名は、Livecache_Name 拡張プロパティで定義した値になります。
例については、手順 c を参照してください。
LC_NAME="liveCache-instance-name" |
put-Confdir_list-here を Confidir_list 拡張プロパティの値で置き換えます。
CONFDIR_LIST="liveCache-software-directory" |
例:
liveCache インスタンス名が LC1 で、liveCache ソフトウェアディレクトリが /sapdb の場合、lccluster スクリプトを次のように編集します。
LC_NAME="LC1" CONFDIR_LIST="/sapdb" |
SAP xserver のリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.sap_xserver |
SAP xserver のスケーラブルリソースグループを作成します。SAP xserver は、liveCache が動作するすべての潜在ノードで実行するように構成します。
liveCache がフェイルオーバーできるすべてのノード上で SAP xserver が起動するように、SAP xserver を構成します。この構成を実装するには、SAP xserver リソースグループと liveCache リソースグループの nodelist パラメータに同じノードが含まれている必要があります。さらに、SAP xserver リソースの desired_primaries とmaximum_primaries の値は、liveCache リソースの nodelist パラメータにリストされたノードの数と同じでなければなりません。
# scrgadm -a -g xserver-resource-group \ -y Maximum_primaries=value \ -y Desired_primaries=value \ -h nodelist |
このスケーラブルリソースグループの中に SAP xserver リソースを作成します。
# scrgadm -a -j xserver-resource\ -g xserver-resource-group -t SUNW.sap_xserver |
どのような拡張プロパティがあるかについては、Sun Cluster HA for SAP liveCache 拡張プロパティ を参照してください。
SAP xserver リソースが含まれているスケーラブルリソースグループを有効にします。
# scswitch -Z -g xserver-resource-group |
HAStoragePlus リソースを liveCache リソースグループに追加します。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus # scrgadm -a -j livecache-storage-resource -g livecache-resource-group \ -t SUNW.HAStoragePlus -x filesystemmountpoints=mountpoint,... \ -x globaldevicepaths=livecache-device-group |
HAStoragePlus リソースの設定手順については、HAStoragePlus リソースタイプの設定を参照してください。
liveCache リソースを有効にします。
# scswitch -e -j livecache-storage-resource |
liveCache データベースのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.sap_livecache |
liveCache のクラスタ上での動作可能化で作成したフェイルオーバーリソースグループに liveCache リソースを作成します。
# scrgadm -a -j livecache-resource -g livecache-resource-group \ -t SUNW.sap_livecache -x livecache_name=LC-NAME \ -y resource_dependencies=livecache-storage-resource |
SAP xserver と liveCache との間の依存性を設定します。
# scrgadm -c -g livecache-resource-group \ -y rg_dependencies=xserver-resource-group |
liveCache リソースが含まれているフェイルオーバーリソースグループを有効にします。
# scswitch -Z -g livecache-resource-group |
liveCache がフェイルオーバーできるノード上で APO アプリケーションサーバーを実行しているかどうかを確認します。
実行していない場合は、この手順を完了します。
実行している場合は、手順 15に進みます。
APO アプリケーションサーバーのリソースグループが、すでに RGOffload リソースの rg_to_offload リストに含まれているかどうかを確認します。
# scrgadm -pvv | grep -i rg_to_offload | grep value: |
含まれている場合は、この手順を完了します。
含まれていない場合は、liveCache リソースグループへの RGOffload リソースの追加を検討してください。
この構成により、APO アプリケーションサーバーが動作していたノードに liveCache リソースがフェイルオーバーした場合、APO アプリケーションサーバーを自動的に停止することができます。
RGOffload リソースの設定手順については、RGOffload リソースの設定を参照してください。