Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成

既存のリソースの新しいバージョンのリソースタイプへの移行

この手順は、scsetup の Resource Group オプションを使用して実行することもできます。scsetup については、scsetup(1M) のマニュアルページを参照してください。

既存のリソースタイプのバージョン、および新しいバージョンの変更点により、新しいバージョンへの移行方法が決定されます。リソースタイプのアップグレードに関するマニュアルに、移行が可能かどうかが記載されていることでしょう。移行がサポートされない場合は、そのリソースを削除してアップグレードバージョンの新しいリソースで置き換えるか、そのリソースを古いバージョンのリソースタイプのままで維持します。

既存のリソースを移行すると、次の値が変わるかもしれません。

デフォルトのプロパティ値

リソースタイプのアップグレードバージョンが、デフォルト値を持つプロパティに対して新しいデフォルト値を宣言する場合、新しいデフォルト値が既存のリソースによって継承されます。

新しいリソースタイプバージョンの VALIDATE メソッドは、既存のプロパティ設定が適切かどうかを検査します。設定が適切でない場合は、既存リソースのプロパティを編集して適切な値にしてください。プロパティを編集するには、手順 3を参照してください。

リソースタイプ名

RTR ファイルには、次のプロパティが含まれており、リソースタイプの完全修飾名の形成に使用されます。

  • Vendor_id

  • Resource_type

  • RT_Version

リソースタイプのアップグレードバージョンを登録する場合、vendor_id.rtname:version という名前で格納されます。新しいバージョンに移行されたリソースは、上に示したプロパティから構成される、新しい Type プロパティを持ちます。

リソースの type_version プロパティ

標準のリソースプロパティ Type_version は、リソースタイプの RT_Version プロパティを格納します。Type_Version プロパティは RTR ファイルに含まれません。次のコマンドを使用して、Type_Version プロパティを編集します。


scrgadm -c -j resource -y Type_version=new_version
  1. 既存リソースをそのリソースタイプの新しいバージョンに移行する前に、新しいリソースタイプに付属するアップグレードマニュアルを読んで、移行が実施できるかどうかを判断してください。

    そのマニュアルには、移行をいつ行うべきかも示されるでしょう。

    • 任意の時点

    • リソースが監視されていないとき

    • リソースがオフラインのとき

    • リソースが無効になっている時

    • リソースグループが管理されていないとき

    移行がサポートされない場合は、そのリソースを削除しアップグレードバージョンの新しいリソースで置き換えるか、そのリソースを古いバージョンのリソースタイプのままで維持します。

  2. 移行するリソースタイプの各リソースごとに、リソースまたはそのリソースグループの状態をアップグレードマニュアルに示されている適切な状態に変更します。

    たとえば、リソースを非管理状態にする場合は、次のように変更します。


    scswitch -M -n -j resource
    

    リソースをオフラインにするには、次のように変更します。


    scswitch -n -j resource
    

    リソースを無効化する場合は、次のように変更します。


    scswitch -n -j resource
    

    リソースグループを非管理状態にする場合は、次のように変更します。


    scsswitch -n -j resource-group
    scswitch -F -g resource_group
    scswitch -u -g resource_group
    
  3. 移行するリソースタイプの各リソースごとにリソースを編集して、その Type_version プロパティを新しいバージョンに変更します。


    scrgadm -c -j resource -y Type_version=new_version \
    -x extension_property=new_value -y extension_property=new_value
    

    必要に応じて、同じリソースの別のプロパティを適切な値で編集します。同じコマンドを使用して、コマンド行に —x と —y オプションのいずれかまたは両方を追加します。

  4. 手順 2 で入力したコマンドとは逆の操作を行うコマンドを実行して、リソースまたはリソースグループを前の状態に戻します。

    たとえば、リソースを再び監視状態にするには、次のように入力します。


    scswitch -M -e -j resource
    

    リソースを再び有効状態にするには、次のように入力します。


    scswitch -e -j resource
    

    リソースグループを管理状態でオンラインにするには、次のように入力します。


    scswitch -o -g resource_group
    scswitch -Z -g resource_group
    

例 1 – 既存のリソースを新しいバージョンのリソースタイプに移行する

この例では、既存リソースを新しいバージョンのリソースタイプに移行する方法を示します。新しいリソースタイプパッケージに含まれるメソッドは、新しいパスの場所にあります。メソッドはインストール時に上書きされないため、アップグレードされたリソースタイプがインストールされるまで、そのリソースを無効にする必要はありません。

この実例では、次の前提に基づいています。


(ベンダの指示に従い、すべてのノードに新しいパッケージをインストールする)
# scrgadm -a -t myrt -f /opt/XYZmyrt/etc/XYZ.myrt
# scswitch -n -j myresource
# scrgadm -c -j myresource -y Type_version=2.0
# scswitch -e -j myresource

例 2 – 既存のリソースの新しいバージョンのリソースタイプへの移行

この例では、既存リソースを新しいバージョンのリソースタイプに移行する方法を示します。新しいリソースタイプパッケージは、モニターファイルと RTR ファイルのみを含みます。モニターファイルはインストール時に上書きされるため、アップグレードされたリソースタイプをインストールする前に、リソースを無効化する必要があります。

この実例では、次の前提に基づいています。


# scswitch -M -n -j myresource
(ベンダの指示に従って、新しいパッケージをインストールする)
# scrgadm -a -t myrt -f /opt/XYZmyrt/etc/XYZ.myrt
# scrgadm -c -j myresource -y Type_version=2.0
# scswitch -M -e -j myresource