Sun Cluster 3.1 データサービス開発ガイド

GDS の任意入力

GDS の任意入力には次のものがあります。

Network_resources_used

このプロパティのデフォルト値は Null です。 アプリケーションが 1 つ以上の特定のアドレスにバインドする必要がある場合は、このプロパティを指定する必要があります。このプロパティを省略するか、このプロパティが Null の場合、アプリケーションはすべてのアドレスに対して待機するものとみなされます。

GDS リソースを作成する場合は、 LogicalHostnameSharedAddress リソースがあらかじめ構成されていなければなりません。LogicalHostname または SharedAddress リソースの構成方法については、『Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成』を参照してください。

値を指定する場合は、1 つまたは複数のリソース名を指定します。個々のリソース名には、1 つ以上の LogicalHostname か 1 つ以上の SharedAddress を指定できます。詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

Stop_command

stop コマンドは、アプリケーションを停止し、アプリケーションが完全に停止した後で終了します。 このコマンドは、アプリケーションを停止するシェルに直接渡される完全な UNIX コマンドでなければなりません。

Stop_command が指定されていると、GDS 停止メソッドは、停止タイムアウトの 80% を指定して停止コマンドを起動します。さらに、GDS 停止メソッドは、停止コマンドの起動結果がどうであれ、停止タイムアウトの 15% を指定して SIGKILL を送信します。タイムアウトの残り 5% は、処理のオーバーヘッドのために使用されます。

stop コマンドが省略されていると、GDS は、 Stop_signal に指定されたシグナルを使ってアプリケーションを停止します。

Probe_command

probe コマンドは、特定のアプリケーションの状態を周期的にチェックします。このコマンドは、引数を備えた完全な UNIX コマンドでなければなりません。コマンドは、アプリケーションの状態をチェックするシェルに直接渡されます。アプリケーションの状態が正常であれば、probe コマンドは終了ステータスとして 0 を返します。

probe コマンドの終了ステータスは、アプリケーションの障害の重大度を判断するために使用されます。終了ステータス (probe ステータス) は、0 (正常) から 100 (全面的な障害) までの整数でなければなりません。probe ステータスは 201 という特別な値をもつことがあります。この場合には、Failover_enabled が false に設定されている場合を除き、アプリケーションのフェイルオーバーが直ちに行われます。 GDS プローブアルゴリズム (scds_fm_action(3HA) のマニュアルページを参照) は、この probe ステータスを使って、アプリケーションをローカルに再起動するか別のノードにフェイルオーバーするかを決定します。終了ステータス 201 なら、アプリケーションは直ちにフェイルオーバーされます。

probe コマンドが省略されていると、GDS は、Newtork_resources_used プロパティか、 scds_get_netaddr_list(3HA) の出力から得られる IP アドレス群を使ってアプリケーションに接続する独自の簡単な検証を行います。この検証では、接続に成功すると、接続を直ちに切り離します。接続と切り離しが両方とも正常なら、アプリケーションは正常に動作しているものとみなされます。


注 –

GDS 提供の検証は、全機能を備えたアプリケーション固有の検証を代替するものではありません。


Start_timeout

このプロパティでは、start コマンドの起動タイムアウトを指定します (詳細は、Start_commandを参照)。Start_timeout のデフォルトは 300 秒です。

Stop_timeout

このプロパティでは、stop コマンドの停止タイムアウトを指定します (詳細は、Stop_commandを参照)。Stop_timeout のデフォルトは 300 秒です。

Probe_timeout

このプロパティでは、probe コマンドのプローブタイムアウトを指定します (詳細は、Probe_commandを参照)。Probe_timeout のデフォルトは 30 秒です。

Child_mon_level

このプロパティでは、PMF を通してどのプロセスを監視するかを制御します。 このプロパティは、フォークされた子プロセスをどのようなレベルで監視するかを表します。これは、pmfadm(1M) コマンドの -C 引数と同等です。

このプロパティを省略するか、このプロパティにデフォルト値の -1 を指定することは、pmfadm コマンドで -C オプションを省略するのと同じ効果があります。つまり、すべての子プロセスとその子孫プロセスが監視されます。 詳細については、pmfadm(1M) のマニュアルページを参照してください。


注 –

このオプションは、標準的な Sun Cluster 管理コマンドを使用するときだけ指定できます。SunPlex Agent Builder を使用するときには指定できません。


Failover_enabled

ブール値のこの拡張プロパティでは、リソースのフェイルオーバー動作を制御します。この拡張プロパティに true を設定すると、アプリケーションは、再起動回数が retry_interval 秒間に retry_count を超えるとフェイルオーバーされます。

この拡張プロパティに false を設定すると、再起動回数が retry_interval 秒間に retry_count を超えてもアプリケーションの再起動やフェイルオーバーは行われません。

この拡張プロパティを使用すれば、アプリケーションリソースがリソースグループのフェイルオーバーを引き起こすことを防止できます。デフォルトは true です。

Stop_signal

GDS は、整数値のこの拡張プロパティを使って、PMF によるアプリケーションの停止に使用するシグナルを判別します。 指定できる整数値については、signal(3head) のマニュアルページを参照してください。デフォルトは 15 (SIGTERM) です。