サーバーインスタンスは、単一のノードの Application Server 上で稼動する単一の Java EE 互換 Java 仮想マシン (JVM) です。ドメインの各サーバーインスタンスは一意の名前を持ちます。クラスタ化されたサーバーインスタンスはクラスタのメンバーであり、親クラスタからすべてのアプリケーション、リソース、および設定を受け取るため、クラスタのすべてのインスタンスは均一になります。クラスタ化されていないサーバーインスタンスはクラスタに属さないため、アプリケーション、リソース、および設定で独立したセットを使用します。次の図は、アプリケーションサーバーインスタンスの詳細を示しています。アプリケーションサーバーインスタンスは、Application Server のクラスタリング、ロードバランス、セッションの持続性といった各機能の基本を構成するものです。
Sun Java System Application Server は、インストール時に server という名前のアプリケーションサーバーインスタンスを作成します。多くのユーザーは、1 つのアプリケーションサーバーインスタンスがあれば、要件は満たされるでしょう。ただし、環境によっては、1 つ以上の追加のアプリケーションサーバーインスタンスを作成する場合があります。たとえば、開発環境で、異なるアプリケーションサーバーインスタンスがあれば、異なる Application Server 設定でテストしたり、異なるアプリケーション配備を比較およびテストしたりすることができます。アプリケーションサーバーインスタンスは簡単に追加または削除できるため、これらを使用して、一時的にサンドボックス領域を作成して試用することができます。
さらに、各アプリケーションサーバーインスタンスに対して、仮想サーバーを作成することもできます。単一のインストールされているアプリケーションサーバーインスタンス内で、企業または個人のドメイン名、IP アドレス、いくつかの管理機能を提供できます。ユーザーにとっては、ハードウェアを持つことも、サーバーの基本的な保守を行うこともなく、自分の Web サーバーを所有しているのとほぼ同じです。このような仮想サーバーは、複数のアプリケーションサーバーインスタンスにまたがりません。仮想サーバーの詳細については、第 13 章「HTTP サービスの設定」を参照してください。
運用上において、複数のアプリケーションサーバーインスタンスの代わりに仮想サーバーをさまざまな用途に応じて使用できます。ただし、仮想サーバーがニーズを満たさない場合、複数のアプリケーションサーバーインスタンスを使用することも可能です。アプリケーションサーバーインスタンスを停止すると、そのアプリケーションサーバーインスタンスは新しい接続を受け付けなくなり、未完了の接続がすべて完了するまで待機します。マシンがクラッシュしたり、オフラインになったりすると、サーバーは終了し、処理中の要求が失われる可能性があります。
アプリケーションサーバーインスタンスは、アプリケーション実行環境の基本単位となります。各インスタンスは 1 つのドメインに属し、それぞれに固有のディレクトリ構造、設定、および配備されたアプリケーションが含まれます。各サーバーインスタンスには、Java EE プラットフォームの Web および EJB コンテナも含まれます。新しいサーバーインスタンスは、そのインスタンスが置かれるマシン上で稼動するノードエージェントと関連付ける必要があります。
開発者プロファイルを持つドメインでは Application Server インスタンスを作成できません。開発者プロファイルを持つドメインに含めることのできるインスタンスは、デフォルトで生成される server1 のみです。複数のインスタンスを作成するには、クラスタプロファイルでドメインを作成する必要があります。ドメインの作成については、create-domain コマンドのマニュアルページを参照するか、または管理コンソールのオンラインヘルプを参照してください。
サーバーインスタンスには次の 3 つのタイプがあります。
スタンドアロンサーバーインスタンスの場合、設定はほかのサーバーインスタンスやクラスタとは共有されません。
共有サーバーインスタンスの場合、設定はほかのインスタンスやクラスタと共有されます。
クラスタ化されたサーバーインスタンスの場合、設定はクラスタ内のほかのインスタンスと共有されます。
クラスタは、アプリケーション、リソース、および設定情報の同じセットを共有するサーバーインスタンスの集まりです。1 つのサーバーインスタンスは 1 つのクラスタにのみ属することが可能です。特に注目すべき点は、クラスタを使用すると、複数のマシン間で負荷が分散されることによってロードバランスが容易になり、インスタンスレベルのフェイルオーバーによって高可用性を実現できることです。
開発者プロファイルを持つドメインの場合、管理コンソールの「アプリケーションサーバー」パネル内の「一般」タブからは、次のタスクを実行できます。
「インスタンスを起動」をクリックして、インスタンスを起動します。
「インスタンスの停止」をクリックして、インスタンスを停止します。
「ログファイルを表示」をクリックして、サーバーのログビューアを開きます。
「ログをローテーション」をクリックして、インスタンスのログファイルをローテーションします。
この操作ではログファイルのローテーションは予約されるのみで、実際のローテーションは、次にログファイルにエントリが書き込まれたときに行われます。ローテーションは、デフォルトのサーバー (DAS) に対してはただちに実行されますが、ほかのスタンドアロンサーバーに対しては遅れます。
「JNDI ブラウズ」をクリックして、実行中のインスタンスの JNDI ツリーをブラウズします。
「トランザクションの回復」をクリックして、未完了のトランザクションを回復します。
さらに、次のタブを選択して、追加のタスクを実行できます。
「アプリケーション」タブ: 選択したアプリケーションを配備します。
「JVM 設定」タブ: Application Server で使用する JVM 一般設定を設定します。
「リソース」タブ: 選択したリソースを管理します。
「プロパティー」タブ: インスタンス固有のプロパティーを設定します。
「ログ」タブ: Application Server で使用するログレベルを設定します。
「監視」タブ: JVM、サーバー、スレッドプール、HTTP サービス、トランザクションサービスの監視データを表示します。
「詳細」タブ: 配備するアプリケーション用の一般プロパティーを設定します。
開発者プロファイルで管理コンソールを実行している場合は、「インスタンスを起動」オプション、「リソース」および「プロパティー」のタブを使用できません。