Solaris のシステム管理 (基本編)

第 1 章 Oracle Solaris 管理ツール (製品概要)

この章では、Solaris 管理ツールの製品概要について説明します。

Oracle Solaris 管理ツールの新機能

Oracle Solaris 10 初期 3/05 リリースでは、次のツールが新たに追加または変更されました。

新機能の完全な一覧や各 Oracle Solaris リリースの説明については、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。

次の表は、新たに追加または変更された管理ツールの簡単な説明です。

表 1–1 このリリースで新たに追加または変更された Oracle Solaris 管理ツール

Solaris 管理ツール 

説明 

詳細 

admintool

このツールは使用できなくなりました。 

 

 

 

代わりに、次のツールを使用できます。

  • Solaris 管理コンソール (ユーザー、グループ、端末、およびモデムの管理)

  • Oracle Solaris Product Registry (ソフトウェアの管理)

  • Solaris 印刷マネージャー (プリンタの管理)

 

 

 

 

「ユーザーアカウントの設定 (作業マップ)」

「Oracle Solaris Product Registry の GUI によるソフトウェアの管理 (作業マップ)」

『Solaris のシステム管理 (印刷)』の第 5 章「LP 印刷コマンドを使用したプリンタの設定 (作業)」

『Solaris のシステム管理 (上級編)』「シリアルポートツールによる端末とモデムの設定 (概要)」

パッケージツールとパッチツール 

Oracle Solaris 10 以降では、パッケージツールとパッチツールが拡張されています。grep -pattern /var/sadm/install/contents の代わりに、P オプションを指定して pkgchk コマンドを使用してください。-P オプションでは部分パスが使えます。

「パッケージおよびパッチツールの拡張」

第 23 章patchadd コマンドによるパッチの管理 (手順)

Solaris 印刷マネージャー 

Solaris 印刷マネージャーの拡張されたプリンタサポートには、Oracle Solaris 10 で導入された次の機能が含まれています。

  • バナーを印刷しない」オプション

  • ラスターイメージプロセッサ (RIP) のサポート

  • PostScript プリンタ記述 (PPD) ファイルのサポート:

    • lpadmin コマンドの -n オプションで、プリンタの作成または変更時に PPD ファイルを指定できます。

    • Solaris 印刷マネージャーの「PPD ファイルを使用」オプションで、プリンタの作成または変更時に PPD ファイルを指定できます。

    • lpstat コマンドの出力に、PPD ファイルを使用する印刷待ち行列の PPD ファイルが表示されます。

『Solaris のシステム管理 (印刷)』「印刷の新機能」

Oracle Solaris 管理ツールとサポートされるリリースを示すマトリックス

この節では、主としてユーザー、グループ、クライアント、ディスク、プリンタ、シリアルポートの管理に使われるツールについて説明します。

次の表に、Oracle Solaris 管理用の各種 GUI ツールと、それらの現在のサポート状況を示します。

表 1–2 Solaris 管理ツールのサポート状況を示すマトリックス
 

Solaris 9 

Solaris 10 

admintool

サポートされています 

サポートされていません 

Solstice AdminSuite 2.3  

サポートされていません 

サポートされていません 

Solstice AdminSuite 3.0  

サポートされていません 

サポートされていません 

Solaris Management Tools 1.0 

サポートされていません 

サポートされていません 

Solaris Management Tools 2.0 

サポートされていません 

サポートされていません 

Solaris Management Tools 2.1 

サポートされています 

サポートされています 

コンソールにテキストベースの端末を使用しているシステムで管理作業を行う必要がある場合は、Solaris 管理コンソールのコマンドを使用してください。詳細は、表 1–5 を参照してください。

Oracle Solaris 管理ツールの機能説明

この表では、Oracle Solaris リリースで使用可能なツールについて説明します。

表 1–3 Solaris 管理ツールの説明

機能またはツール 

Solaris 管理コンソール 2.1 でのサポート 

コンピュータとネットワークツール 

サポートされています 

ディスクレスクライアントサポート 

ディスクレスクライアントのコマンド行インタフェースを使用できます 

ディスクツール 

サポートされています 

拡張ディスクツール (Solaris ボリュームマネージャー) 

サポートされています 

ジョブスケジューラツール 

サポートされています 

ログビューアツール 

サポートされています 

メール別名サポート 

サポートされています 

マウントと共有ツール 

サポートされています 

ネームサービスサポート 

ユーザー、グループ、ネットワーク情報に対してのみ 

パフォーマンスツール 

サポートされています 

プリンタサポート 

サポートされていません。ただし、独立したツールとして Solaris 印刷マネージャーを使用可能です 

プロジェクトツール 

サポートされています 

役割によるアクセス制御 (Role-Based Access Control、RBAC) のサポート 

サポートされています 

RBAC ツール 

サポートされています 

シリアルポートツール 

サポートされています 

ソフトウェアパッケージツール 

サポートされていません 

システム情報ツール 

サポートされています 

ユーザー/グループツール 

サポートされています 

Solaris 9 管理ツールの機能説明

この表では、Solaris 9 リリースで使用可能なツールについて説明します。

表 1–4 Solaris 9 管理ツールの機能説明

機能またはツール 

admintool でのサポート

Solaris 管理コンソール 2.1 でのサポート 

コンピュータとネットワークツール 

サポートされていません 

サポートされています 

ディスクレスクライアントサポート 

サポートされていません 

ディスクレスクライアントのコマンド行インタフェースを使用できます 

ディスクツール 

サポートされていません 

サポートされています 

拡張ディスクツール (Solaris ボリュームマネージャー) 

サポートされていません 

サポートされています 

ジョブスケジューラツール 

サポートされていません 

サポートされています 

ログビューアツール 

サポートされていません 

サポートされています 

メール別名サポート 

サポートされていません 

サポートされています 

マウントと共有ツール 

サポートされていません 

サポートされています 

ネームサービスサポート 

サポートされていません 

ユーザー、グループ、ネットワーク情報に対してのみ 

パフォーマンスツール 

サポートされていません 

サポートされています 

プリンタサポート 

サポートされています 

サポートされていません。ただし、独立したツールとして Solaris 印刷マネージャーを使用可能です 

プロジェクトツール 

サポートされていません 

サポートされています 

RBAC サポート 

サポートされていません 

サポートされています 

RBAC ツール 

サポートされていません 

サポートされています 

シリアルポートツール 

サポートされています 

サポートされています 

ソフトウェアパッケージツール 

サポートされています 

サポートされていません 

システム情報ツール 

サポートされていません 

サポートされています 

ユーザー/グループツール 

サポートされています 

サポートされています 

Solaris 管理コマンドの有効性

以下の各表に、Oracle Solaris 管理ツールの処理に対応するコマンドを示します。ディスクレスクライアントサポートについては、第 7 章ディスクレスクライアントの管理 (手順)を参照してください。

Solaris 10 システム管理コマンド

次の表に、Oracle Solaris 管理ツールと同じ機能を備えたコマンドを示します。これらのコマンドを使用する場合は、スーパーユーザーになるか、それと同等の役割を引き受ける必要があります。コマンドの中には、ローカルシステム専用のものもあります。また、ネームサービス環境で動作するものもあります。それぞれのマニュアルページで、-D オプションを参照してください。

表 1–5 Solaris 管理コマンドの説明

コマンド 

説明 

マニュアルページ 

smc

 

Solaris 管理コンソールを起動します 

smc(1M)

smcron

crontab ジョブを管理します

smcron(1M)

smdiskless

ディスクレスクライアントサポートを管理します 

smdiskless(1M)

smexec

exec_attr データベースのエントリを管理します

smexec(1M)

smgroup

グループエントリを管理します 

smgroup(1M)

smlog

WBEM ログファイルを管理/表示します 

smlog(1M)

smmultiuser

複数のユーザーアカウントに対する一括操作を管理します 

smmultiuser(1M)

smosservice

OS サービスとディスクレスクライアントサポートを追加します 

smosservice(1M)

smprofile

prof_attr および exec_attr データベースのプロファイルを管理します

smprofile(1M)

smrole

役割アカウントの役割とユーザーを管理します 

smrole(1M)

smserialport

シリアルポートを管理します 

smserialport(1M)

smuser

ユーザーエントリを管理します 

smuser(1M)

次の表は、コマンド行から RBAC を管理するためのコマンドです。これらのコマンドを使用する場合は、スーパーユーザーになるか、それと同等の役割を引き受ける必要があります。なお、これらのコマンドは、ネームサービス環境で RBAC 情報を管理する場合には使用できません。

表 1–6 RBAC コマンドの説明

コマンド 

説明 

参照ページ 

auths

ユーザーに付与されている権限を表示します 

auths(1)

profiles

ユーザーの実行プロファイルを表示します 

profiles(1)

roleadd

システムに新しい役割を追加します 

roleadd(1M)

roles

ユーザーに付与されている役割を表示します 

roles(1)

次の表は、コマンド行からユーザー、グループ、RBAC 機能を管理するためのコマンドです。これらのコマンドを使用する場合は、スーパーユーザーになるか、それと同等の役割を引き受ける必要があります。なお、これらのコマンドは、ネームサービス環境でユーザーやグループの情報を管理する場合には使用できません。

表 1–7 Oracle Solaris のユーザーおよびグループコマンドの説明

コマンド 

説明 

参照ページ 

useraddusermoduserdel

ユーザーを追加、変更、削除します 

useradd(1M)usermod(1M)userdel(1M)

groupaddgroupmodgroupdel

グループを追加、変更、削除します 

groupadd(1M)groupmod(1M)groupdel(1M)

Oracle Solaris 管理ツールの詳細情報

次の表に、Oracle Solaris リリースの管理ツールの詳細情報を入手できる場所を示します。

表 1–8 Solaris 管理ツールの詳細情報

ツール 

対応するリリース 

詳細 

Solaris 管理コンソール 2.1 のツール群 

Solaris 9 および Oracle Solaris 10 の各リリース 

このマニュアルとコンソールのオンラインヘルプ 

Solaris 管理コンソール 2.0 のツール群 

Solaris 8 1/01、4/01、7/01、10/01、2/02 の各リリース 

Solaris 管理コンソールのオンラインヘルプ 

admintool

Solaris 9 および以前の Solaris リリース 

admintool

AminSuite 3.0 

Solaris 8、Solaris 8 6/00、Solaris 8 10/00 の各リリース 

Solaris Easy Access Server 3.0 のインストール

ディスクレスクライアントのコマンド行インタフェース 

Solaris 8 1/01、4/01、7/01、10/01、2/02、Solaris 9、および Oracle Solaris 10 

第 7 章ディスクレスクライアントの管理 (手順)