Solaris のシステム管理 (基本編)

システムタイプの概要

システムタイプは、ルート (/) と /usr ファイルシステム (スワップ領域を含む) にアクセスする方法によって決まる場合があります。たとえば、スタンドアロンシステムとサーバーシステムでは、これらのファイルシステムをローカルディスクからマウントしていますが、その他のクライアントでは、これらのファイルシステムをリモートからマウントし、サーバーから提供されるサービスに依存しています。次の表にそれぞれのシステムタイプの特徴を示します。

表 6–1 システムタイプの特徴

システムタイプ 

ローカルファイルシステム 

ローカルスワップ空間 

リモートファイルシステム 

ネットワーク利用度 

相対パフォーマンス 

サーバー 

ルート (/)

/usr

/home

/opt

/export/home

 

使用可能 

使用不可 

高 

高 

スタンドアロンシステム 

ルート (/)

/usr

/export/home

使用可能 

使用不可 

低 

高 

OS サーバー 

/export/root

       

ディスクレスクライアント 

使用不可 

使用不可 

ルート (/)

スワップ領域 

/usr

/home

高 

 

 

 

 

 

 

高 

低 

 

 

 

 

 

 

低 

アプライアンス 

使用不可 

使用不可 

使用不可 

高 

高 

サーバー

サーバーシステム上には、次のファイルシステムがあります。

サーバー上には、ほかのシステムをサポートするために次のソフトウェアも格納できます。

スタンドアロンシステム

「ネットワークに接続されたスタンドアロンシステム」は、ネットワーク上のほかのシステムと情報を共有できますが、ネットワークから切り離されても機能できます。

スタンドアロンシステムは、ルート (/)、/usr/export/home の各ファイルシステムとスワップ空間を含むハードディスクを自ら持つため、独立して動作できます。つまり、スタンドアロンシステムは、OS ソフトウェア、実行可能ファイル、仮想メモリー空間、ユーザーが作成したファイルにローカルにアクセスできます。


注 –

スタンドアロンシステムには、必要なファイルシステムを保持できるだけのディスク容量が必要です。


「ネットワークに接続されないスタンドアロンシステム」は、ネットワークに接続されていない点を除き、ネットワークに接続されたスタンドアロンシステムと同じです。

ディスクレスクライアント

「ディスクレスクライアント」とは、ディスクが搭載されておらず、必要なすべてのソフトウェアおよび記憶装置をサーバーに依存しているシステムのことです。ディスクレスクライアントには、サーバーからリモートで、ルート (/)、/usr、および /home ファイルシステムがマウントされます。

ディスクレスクライアントでは、ネットワークを介して OS ソフトウェアや仮想メモリー空間に継続的にアクセスする必要があるため、多大なネットワークトラフィックが発生します。ディスクレスクライアントは、ネットワークから切り離されたり、そのサーバーが正しく機能しない場合は機能できません。

ディスクレスクライアントの概要については、「ディスクレスクライアント管理の概要」を参照してください。

アプライアンス

アプライアンス (Sun Ray アプライアンスなど) は、管理を必要としない X ディスプレイデバイスです。このデバイスには、CPU、ファン、ディスクがなく、メモリーもわずかしか搭載されていません。アプライアンスは、Sun のディスプレイモニターに接続されていますが、アプライアンスユーザーのデスクトップセッションは、サーバーで実行され、その結果がユーザーのモニターに表示されます。

ユーザーの X 環境は自動的に設定されます。この環境には次の特徴があります。

システムタイプ選択のガイドライン

次の特徴に基づいてそれぞれのシステムタイプを比較することにより、使用中の環境にどのシステムタイプが適切かを判断することができます。

一元管理:

パフォーマンス

ディスク使用率

この構成を効果的に導入するには、どれくらいのディスク容量が必要か。

次の表では、各システムタイプの点数を特徴別に表示しています。1 は、もっとも効果があることを意味します。4 は、もっとも効果が低いことを意味します。

表 6–2 システムタイプの比較

システムタイプ 

一元管理 

パフォーマンス 

ディスク使用率 

スタンドアロンシステム 

ディスクレスクライアント 

アプライアンス