この章では、ネットワーク環境でのサーバーとクライアントの管理について説明し、Oracle Solaris OS でサポートされる各システム構成 (「システムタイプ」と呼ぶ) に関する情報を紹介します。また、目的に合った最適なシステムを選択するためのガイドラインも示します。
Oracle Solaris ZFS ルートファイルシステムがインストールされているシステムでは、smosservice および smdiskless コマンドを使用できません。これは、ZFS ルートファイルシステムのインストールがサポートされているすべての Solaris リリースでの既知の問題です。
Solaris Flash インストール機能を使用すると、UFS ルートファイルシステムまたは ZFS ルートファイルシステムを実行するシステムをすばやくプロビジョニングできます。詳細は、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』の「ZFS ルートファイルシステムのインストール (Oracle Solaris フラッシュアーカイブインストール)」を参照してください。
この章の内容は次のとおりです。
ディスクレスクライアントサポートの管理手順については、第 7 章ディスクレスクライアントの管理 (手順)を参照してください。
この節では、この Solaris リリースで新たに追加または変更されたディスクレスクライアント機能について説明します。 Oracle Solaris リリースの新機能の完全な一覧やその説明については、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。
bootadm コマンドに、-p platform 引数が新たに追加されました。このオプションを使用すると、クライアントプラットフォームがサーバープラットフォームと異なる場合 (ディスクレスクライアントを管理している場合など) に、クライアントシステムのプラットフォームまたはマシンのハードウェアクラスを指定できます。
詳細は、bootadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
Oracle Solaris 10 で配布されていた set_nfs4_domain スクリプトは、NFSv4 ドメインの設定に使用されなくなりました。NFSv4 ドメインを設定するには、新しい nfs4_domain キーワードをディスクレスクライアントの sysidcfg ファイルに追加してください。sysidcfg ファイルに nfs4_domain キーワードがある場合は、ディスクレスクライアントの最初のブート時にドメインが適切に設定されます。
新しいディスクレスブート方式では、次の機能が拡張されています。
OS サーバーから複数の Solaris リリースを同時に提供できます。
新しいディスクレスブート方式で、pxegrub を使用してネットワークブートを実行すると、クライアントの GRUB メニューに複数のリリースを表示できます。
ベンダー固有のオプションをブートアーカイブに指定できます。
以前のリリースでは、クライアント固有のブートプロパティーは通常、bootenv.rc ファイルに定義されていて、DHCP を設定するときにベンダー固有のオプションを使用する方法で適用していました。このとき、必要な情報の合計長が DHCP 仕様の制限を超えることがよくありました。
新しいブート方式では、この情報はブートアーカイブに含まれるようになりました。PXE/DHCP サーバーは、Site Option 150 を使用してサーバー IP アドレス、ブートファイル、 pxegrub、およびクライアント固有のメニューファイル (使用する場合) を指定する場合にのみ必要となります。
ディスクレスクライアントを設定するには smdiskless コマンドを使用します。以前の smdiskless コマンドは、ルート (/) および /usr ファイルシステムを設定してから、NFS 経由でこれらのファイルシステムをクライアントにエクスポートしていました。クライアントをブートするには、さらに /tftpboot 領域を手動で構成する必要がありました。この手動で構成する手順が、ディスクレスクライアントを設定するときに必要なくなりました。smdiskless コマンドが、/usr/sadm/lib/wbem/config_tftp ファイルのスクリプトを自動的に呼び出して、PXE ブートのための /tftpboot 領域を準備します。
smdiskless コマンドの実行後に、/tftpboot/01 ethernet-address ファイルが pxegrub および /tftpboot/menu.lst.01 ethernet-address ファイルへのリンクとして表示されます。このファイルには、GRUB メニューエントリが含まれます。この例の ethernet-address では、クライアントネットワークインタフェースの Ethernet アドレスの先頭に 01 が付いています。 クライアントネットワークインタフェースの Ethernet アドレスを指定するときには、大文字を使用し、コロンは含めないでください。
ディスクレスクライアントのブートアーカイブは、シャットダウン時に自動的に更新されます。シャットダウン時にクライアントのブートアーカイブの期限が切れている場合は、OS サーバーから次のコマンドを実行して、ブートアーカイブを更新する必要があります。
# bootadm update-archive -f -R /export/root/host-name |
host-name はクライアントシステムのホスト名です。
詳細は、「x86: フェイルセーフモードでブートして、破壊されたブートアーカイブを強制的に更新する方法」 and the bootadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
この情報は、x86 ベースのクライアントを運用する SPARC および x86 ベースの OS サーバーに適用されます。
DHCP の設定および構成の詳細については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の第 14 章「DHCP サービスの構成 (手順)」を参照してください。
GRUB ブート環境でのディスクレスクライアントの管理方法の詳細は、「GRUB を使用して x86 システムをブートする (作業マップ)」を参照してください。
サーバーとクライアントサポートの設定手順については、次の表を参照してください。
クライアントとサーバーサービス |
詳細 |
---|---|
インストールまたは JumpStart クライアント | |
Solaris OS でのディスクレスクライアントシステム |
通常、ネットワーク上のシステムは、次の表に示されたいずれかのシステムタイプに該当します。
システムタイプ |
説明 |
---|---|
サーバー |
ネットワーク上のほかのシステムにサービスを提供するシステム。ファイルサーバー、ブートサーバー、Web サーバー、データベースサーバー、ライセンスサーバー、印刷サーバー、インストールサーバー、さらに、特定のアプリケーション用のサーバーなどもあります。この章では、「サーバー」とは、ネットワーク上のほかのシステムにブートサービスとファイルシステムを提供するシステムのことを意味します。 |
クライアント |
サーバーから提供されるリモートサービスを利用するシステム。クライアントによっては、ディスクの記憶容量に限りがあったり、まったくディスクを持たないものもあり、このようなクライアントは、サーバーから提供されるリモートファイルシステムに依存しなければ機能できません。ディスクレスシステム、および アプライアンスシステムは、このタイプのクライアントの一例です。 また、サーバーが提供するリモートサービス (インストールソフトウェアなど) を利用しながらも、サーバーに依存しなくても機能するクライアントもあります。このタイプのクライアントの例として、スタンドアロンシステムがあります。スタンドアロンシステムは、ルート (/)、/usr、/export/home の各ファイルシステムとスワップ空間を含む独自のハードディスクを備えています。 |
アプライアンス |
Sun Ray アプライアンスのようなネットワークアプライアンスを使うと、アプリケーションや Solaris OS にアクセスできます。アプライアンスを使うと、サーバー管理を一元化できるので、クライアント管理またはアップグレードを行う必要がなくなります。Sun Ray アプライアンスには「ホットデスク」機能も備わっています。ホットデスク機能を使用すると、サーバーグループのどのアプライアンスからでもただちに、作業中のコンピュータセッション (正確に言うと作業を中断したところ) にアクセスできます。詳細は、http://www.sun.com/software/index.jsp?cat=Desktop& を参照してください。 |
サポートには、次の項目が含まれます。
システムをネットワークに認識させる (ホスト名とイーサネットアドレス情報)
システムをリモートからインストールおよびブートできるインストールサービスを提供する
ディスク容量に限りがある、またはディスク容量がないシステムに Solaris OS サービスやアプリケーションサービスを提供する
システムタイプは、ルート (/) と /usr ファイルシステム (スワップ領域を含む) にアクセスする方法によって決まる場合があります。たとえば、スタンドアロンシステムとサーバーシステムでは、これらのファイルシステムをローカルディスクからマウントしていますが、その他のクライアントでは、これらのファイルシステムをリモートからマウントし、サーバーから提供されるサービスに依存しています。次の表にそれぞれのシステムタイプの特徴を示します。
表 6–1 システムタイプの特徴
システムタイプ |
ローカルファイルシステム |
ローカルスワップ空間 |
リモートファイルシステム |
ネットワーク利用度 |
相対パフォーマンス |
---|---|---|---|---|---|
サーバー |
ルート (/) /usr /home /opt /export/home
|
使用可能 |
使用不可 |
高 |
高 |
スタンドアロンシステム |
ルート (/) /usr /export/home |
使用可能 |
使用不可 |
低 |
高 |
OS サーバー |
/export/root | ||||
ディスクレスクライアント |
使用不可 |
使用不可 |
ルート (/) スワップ領域 /usr /home |
高
高 |
低
低 |
アプライアンス |
使用不可 |
使用不可 |
使用不可 |
高 |
高 |
サーバーシステム上には、次のファイルシステムがあります。
ルート (/) と /usr ファイルシステム、およびスワップ空間
/export と /export/home ファイルシステム。クライアントシステムをサポートし、ユーザーにホームディレクトリを提供します
アプリケーションソフトウェアを格納する /opt ディレクトリまたはファイルシステム
サーバー上には、ほかのシステムをサポートするために次のソフトウェアも格納できます。
別のリリースが動作するディスクレスシステム用の Oracle Solaris OS サービス
GRUB を x86 プラットフォームで実装しているか、新しいブートアーキテクチャーを SPARC プラットフォームで実装している Solaris リリースを実行しているシステムが 1 つだけの OS クライアントサーバー構成では、深刻な互換性の問題が発生する可能性があります。このため、ディスクレスクライアントサポートを追加する前に、ディスクレスシステムをインストールまたはアップグレードして、サーバー OS と同じリリースにすることをお勧めします。
GRUB ベースのブートは、Solaris 10 1/06 リリースで x86 プラットフォームに導入されました。新しい SPARC ブートアーキテクチャーは、Solaris 10 10/08 リリースで導入されました。
サーバーとは異なるプラットフォームを使用するクライアント
ネットワークに接続されたシステムがリモートインストールを実行するのに必要な Oracle Solaris CD または DVD のイメージソフトウェアとブート用ソフトウェア
ネットワークに接続されたシステムがカスタム JumpStart インストールを行うのに必要な Oracle Solaris JumpStart ディレクトリ
「ネットワークに接続されたスタンドアロンシステム」は、ネットワーク上のほかのシステムと情報を共有できますが、ネットワークから切り離されても機能できます。
スタンドアロンシステムは、ルート (/)、/usr、/export/home の各ファイルシステムとスワップ空間を含むハードディスクを自ら持つため、独立して動作できます。つまり、スタンドアロンシステムは、OS ソフトウェア、実行可能ファイル、仮想メモリー空間、ユーザーが作成したファイルにローカルにアクセスできます。
スタンドアロンシステムには、必要なファイルシステムを保持できるだけのディスク容量が必要です。
「ネットワークに接続されないスタンドアロンシステム」は、ネットワークに接続されていない点を除き、ネットワークに接続されたスタンドアロンシステムと同じです。
「ディスクレスクライアント」とは、ディスクが搭載されておらず、必要なすべてのソフトウェアおよび記憶装置をサーバーに依存しているシステムのことです。ディスクレスクライアントには、サーバーからリモートで、ルート (/)、/usr、および /home ファイルシステムがマウントされます。
ディスクレスクライアントでは、ネットワークを介して OS ソフトウェアや仮想メモリー空間に継続的にアクセスする必要があるため、多大なネットワークトラフィックが発生します。ディスクレスクライアントは、ネットワークから切り離されたり、そのサーバーが正しく機能しない場合は機能できません。
ディスクレスクライアントの概要については、「ディスクレスクライアント管理の概要」を参照してください。
アプライアンス (Sun Ray アプライアンスなど) は、管理を必要としない X ディスプレイデバイスです。このデバイスには、CPU、ファン、ディスクがなく、メモリーもわずかしか搭載されていません。アプライアンスは、Sun のディスプレイモニターに接続されていますが、アプライアンスユーザーのデスクトップセッションは、サーバーで実行され、その結果がユーザーのモニターに表示されます。
ユーザーの X 環境は自動的に設定されます。この環境には次の特徴があります。
ほかのファイルシステムおよびソフトウェアアプリケーションへのアクセスは、サーバーに依存します
ソフトウェアの一元管理およびリソース共有機能を提供します
永続的なデータがない、FRU (現場交換可能ユニット) として使用します
次の特徴に基づいてそれぞれのシステムタイプを比較することにより、使用中の環境にどのシステムタイプが適切かを判断することができます。
一元管理:
システムを FRU (現場交換可能ユニット) として扱えるか。
これは、時間がかかるバックアップや復旧操作を必要とせずに、またシステムデータを失わずに、障害が発生したシステムを直ちに新しいシステムと交換できることを意味します。
システムをバックアップする必要があるか。
数多くのデスクトップシステムのバックアップを実行するには、時間とリソースの点で多大の費用コストがかかる場合があります。
システムのデータは、中央サーバーから変更できるか。
クライアントシステムのハードウェアを操作せず、短時間で簡単にシステムを中央サーバーからインストールできるか。
パフォーマンス
この構成は、デスクトップで使用しても性能が低下しないか。
ネットワークにシステムを追加すると、既存のネットワーク上のシステムの性能に影響を与えるか。
ディスク使用率
この構成を効果的に導入するには、どれくらいのディスク容量が必要か。
次の表では、各システムタイプの点数を特徴別に表示しています。1 は、もっとも効果があることを意味します。4 は、もっとも効果が低いことを意味します。
表 6–2 システムタイプの比較
システムタイプ |
一元管理 |
パフォーマンス |
ディスク使用率 |
---|---|---|---|
スタンドアロンシステム |
4 |
1 |
4 |
ディスクレスクライアント |
1 |
4 |
1 |
アプライアンス |
1 |
1 |
1 |
次の節と第 7 章ディスクレスクライアントの管理 (手順)では、Oracle Solaris OS でのディスクレスクライアントサポートの管理方法について説明します。
「ディスクレスクライアント」とは、オペレーティングシステム、ソフトウェア、および記憶装置を「OS サーバー」に依存しているシステムのことです。ディスクレスクライアントは、そのルート (/)、/usr、およびその他のファイルシステムを OS サーバーからマウントします。ディスクレスクライアントは独自の CPU と物理メモリーを持っており、データをローカルで処理することができます。しかしディスクレスクライアントは、ネットワークから切り離されたり、その OS サーバーが正しく機能しない場合は機能できません。ディスクレスクライアントは、ネットワークを経由して継続的に機能する必要があるため、多大なネットワークトラフィックを発生させます。
Solaris 9 以降のリリースでは、ディスクレスクライアントの smosservice コマンドと smdiskless コマンドを使って、OS サービスやディスクレスクライアントサポートを管理できるようになりました。Solaris 8 リリースでは、Solstice GUI 管理ツールでディスクレスクライアントが管理されていました。
一方のシステムは新しいブート方式を実装しているが、もう一方のシステムは実装していない OS クライアントサーバー構成を使用してディスクレスクライアントサポートを追加しようとすると、深刻な互換性の問題が発生する可能性があります。新しいブート (GRUB) は、Solaris 10 1/06 リリースから x86 プラットフォームで実装され、Solaris 10 10/8 リリースから SPARC プラットフォームで実装されました。OS サーバー上で実行されているリリースよりも新しい Solaris リリースを実行しているシステムでのディスクレスサポートの追加も、サポートされていない構成です。問題が発生する可能性を回避するために、ディスクレスクライアントサポートを追加する前に最新の Solaris リリースをインストールすることをお勧めします。
smosservice および smdiskless コマンドでサポートされる Solaris リリースおよびアーキテクチャーの種類は次のとおりです。
SPARC ベースのサーバー: Solaris 8、Solaris 9、および Solaris 10 リリースでサポートされます。
SPARC ベースのクライアント: Solaris 8、Solaris 9、および Solaris 10 リリースでサポートされます。
x86 ベースのサーバー: Solaris 9 および Solaris 10 リリースでサポートされます。
x86 ベースのクライアント: Solaris 9 および Solaris 10 リリースでサポートされます。
次の表に、smosservice および smdiskless コマンドでサポートされる x86 OS クライアントサーバー構成を示します。この情報は、Solaris 9 および Oracle Solaris 10 FCS (3/05) リリースに適用されます。
Solaris 10 1/06 リリース以降を実行している場合は、ディスクレスクライアントサポートを追加する前に、同じリリースをインストールするか、同じリリースにアップグレードすることをお勧めします。
表 6–3 クライアントとサーバーでの x86 OS のサポート
ディスクレスクライアント OS | ||
サーバー OS |
Oracle Solaris 10 3/05 |
Solaris 9 |
Oracle Solaris 10 3/05 |
サポートされています |
サポートされています |
Solaris 9 |
サポートされていません |
サポートされています |
次の表に、smosservice コマンドと smdiskless コマンドでサポートされる SPARC OS クライアントサーバー構成を示します。この情報は、Solaris 8 と Solaris 9 リリース、および 10 5/08 OS までの Oracle Solaris OS に適用されます。
Solaris 10 10/08 リリース以上を実行している場合は、ディスクレスクライアントサポートを追加する前に、同じリリースをインストールするか、同じリリースにアップグレードすることをお勧めします。
表 6–4 クライアントとサーバーでの SPARC OS のサポート
ディスクレスクライアント OS | |||
サーバー OS |
Oracle Solaris 10 3/05 から Solaris 10 5/08 |
Solaris 9 |
Solaris 8 |
Oracle Solaris 10 3/05 から Solaris 10 5/08 |
サポートされています |
サポートされています |
サポートされています |
Solaris 9 |
サポートされていません |
サポートされています |
サポートされています |
Solaris 8 |
サポートされていません |
サポートされていません |
サポートされています |
smosservice コマンドおよび smdiskless コマンドを使うと、ネットワークにディスクレスクライアントサポートを追加したり、維持したりすることができます。ネームサービスを使うと、システム情報を一元管理できるので、ホスト名などの重要なシステム情報をネットワーク上のすべてのシステムに複製する必要がありません。
smosservice コマンドおよび smdiskless コマンドを使うと、次の作業を実行できます。
ディスクレスクライアントサポートを追加および変更します
OS サービスを追加および削除します
LDAP、NIS、NIS+、files の各ネームサービス環境でのディスクレスクライアント情報を管理します
x86 システム上で GRUB ベースのブートを実行する場合は、DHCP 構成を手動で設定する必要があります。詳細は、「x86: GRUB ベースのブート環境にディスクレスクライアントを追加するための準備方法」を参照してください。
ディスクレスクライアントコマンドは、ディスクレスクライアントのブートの設定にのみ使用できます。このコマンドは、リモートインストールまたはプロファイルサービスなど、ほかのサービスの設定では使用できません。リモートインストールを設定するには、sysidcfg ファイルにディスクレスクライアント仕様を定義する必要があります。詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』を参照してください。
次の表のコマンドを使って独自のシェルスクリプトを記述すると、簡単にディスクレスクライアント環境を設定および管理できます。
表 6–5 ディスクレスクライアントコマンド
コマンド |
サブコマンド |
作業 |
---|---|---|
/usr/sadm/bin/smosservice |
add |
OS サービスを追加します |
delete |
OS サービスを削除します |
|
list |
OS サービスをリスト表示します |
|
patch |
OS サービスのパッチを管理します |
|
/usr/sadm/bin/smdiskless |
add |
ディスクレスクライアントを OS サーバーに追加します |
delete |
ディスクレスクライアントを OS サーバーから削除します |
|
list |
OS サーバー上のディスクレスクライアントをリスト表示します |
|
modify |
ディスクレスクライアントの属性を変更します |
次に示す 2 種類の方法で、これらのコマンドに関するヘルプを参照することができます。
次の例に示すように、コマンド、サブコマンド、および必要なオプションを入力するときに -h オプションを使用します。
% /usr/sadm/bin/smdiskless add -p my-password -u my-user-name -- -h |
smdiskless(1M) および smosservice(1M) のマニュアルページを参照します。
smosservice コマンド および smdiskless コマンドはスーパーユーザーとして使用できます。役割によるアクセス制御 (RBAC) を使用している場合、割り当てられた RBAC 権限に応じて、すべてのディスクレスクライアントコマンドまたはそのサブセットのいずれかを使用できます。次の表にディスクレスクライアントコマンドを使用するのに必要な RBAC 権限を示します。
表 6–6 ディスクレスクライアント管理に必要な RBAC 権限
RBAC 権限 |
コマンド |
作業 |
---|---|---|
基本的な Solaris ユーザー、ネットワーク管理 |
smosservice list |
OS サービスをリスト表示します
|
|
smosservice patch |
OS サービスのパッチリストを表示します |
|
smdiskless list |
OS サーバー上のディスクレスクライアントのリストを表示します |
Network Management |
smdiskless add |
ディスクレスクライアントを追加します |
システム管理者 |
すべてのコマンド |
すべての作業 |
Oracle Solaris OS サーバーとは、ディスクレスクライアントシステムをサポートするオペレーティングシステム (OS) サービスを提供するサーバーのことです。OS サーバーを新たにサポートすることも、smosservice コマンドを使ってスタンドアロンシステムを OS サーバーに変換することもできます。
サポートする各プラットフォームグループおよび Oracle Solaris リリース用に、特定の OS サービスを OS サーバーに追加する必要があります。たとえば、Oracle Solaris リリースが動作する SPARC sun-4u システムをサポートするには、sun-4u/Oracle Solaris 10 OS サービスを OS サーバーに追加する必要があります。サポートするディスクレスクライアントごとに、そのクライアント用の OS サービスを OS サーバーに追加する必要があります。たとえば、Oracle Solaris 10 や Solaris 9 リリースが動作する SPARC sun-4m システムまたは x86 システムは、それぞれ異なるプラットフォームグループに属しているため、それぞれのシステムをサポートするための OS サービスを追加する必要があります。
OS サービスを追加するには、該当する Oracle Solaris ソフトウェア CD、DVD、またはディスクイメージへのアクセス権が必要です。
OS サーバーに OS サービスを追加しようとすると、サーバー上の OS と追加するサービスの OS のバージョンが一致しないというエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーメッセージは、OS サーバーにインストールされている OS のパッケージにパッチが適用されていても、追加しようとしている OS サービスのパッケージにはパッチが適用されていない (パッチがパッケージに組み込まれているため) 場合に表示されます。
たとえば、最新の Solaris リリースまたは Oracle Solaris OS が動作するサーバーがあるとします。このサーバーには、パッチがすでに適用された Solaris 9 SPARC sun-4m OS サービスなど、追加の OS サービスがロードされている可能性があります。このため、Solaris 8 SPARC sun-4u OS サービスを CD-ROM からこのサーバーに追加しようとすると、次のエラーメッセージが表示されることがあります。
Error: inconsistent revision, installed package appears to have been patched resulting in it being different than the package on your media. You will need to backout all patches that patch this package before retrying the add OS service option. |
ディスクレスクライアント環境を設定する前に、ディスクレスクライアントの各ディレクトリに必要なディスク容量があるかどうかを確認する必要があります。
以前のバージョンの Solaris リリースでは、インストール中にディスクレスクライアントサポートについてのプロンプトが表示されました。Solaris 9 以降のリリースでは、手動で、インストール中に /export ファイルシステムを割り当てるか、インストール後に作成する必要があります。具体的なディスク容量要件については、次の表を参照してください。
表 6–7 Solaris OS サーバーおよびディスクレスクライアントのディスク容量に関する推奨事項
サーバー OS/アーキテクチャータイプ |
ディレクトリ |
必要なディスク容量 |
---|---|---|
Oracle Solaris 10 SPARC の OS サーバー |
/export |
5 - 6.8G バイト |
Oracle Solaris 10 x86 の OS サーバー |
/export |
5 - 6.8G バイト |
Oracle Solaris 10 SPARC のディスクレスクライアント |
/export |
1 台のディスクレスクライアントにつき 200 - 300M バイトの容量を確保してください。 |
Oracle Solaris 10 x86 のディスクレスクライアント |
/export |
1 台のディスクレスクライアントにつき 200 - 300M バイトの容量を確保してください。 |
ディスク容量に関する推奨事項は、インストールされている Oracle Solaris リリースによって異なる場合があります。最新の Solaris リリースでのディスク容量に関する推奨事項の詳細については、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (インストールとアップグレードの計画)』の「ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量」を参照してください。