Solaris のシステム管理 (上級編)

フェーズ 4: 参照数の検査のメッセージ

このフェーズでは、フェーズ 2 と 3 で取得したリンク数情報が検査されます。次の原因によるエラー条件が表示されます。

このフェーズのすべてのエラー (lost+found ディレクトリ内の容量不足を除く) は、ファイルシステムを修復するときに解決できます。

フェーズ 4 では、次のメッセージ (アルファベット順) が表示される可能性があります。


BAD/DUP type I=inode-number OWNER=UID MODE=file-mode SIZE=file-size 
MTIME=modification-time (CLEAR)
エラーの発生原因

フェーズ 1 またはフェーズ 1B で、ファイルまたはディレクトリ i ノード inode-number に関連付けられた重複フラグメントまたは不良フラグメントが見つかりました。i ノード inode-number の所有者 UID、モード file-mode、サイズ file-size、および変更時刻 modification-time が表示されます。

Oracle Solaris 10:

フェーズ 1 またはフェーズ 1B で、ファイルまたはディレクトリ i ノード inode-number に関連付けられた重複ブロックまたは不良ブロックが見つかりました。i ノード inode-number の所有者 UID、モード file-mode、サイズ file-size、および変更時刻 modification-time が表示されます。

対処方法

i ノード inode-number の内容を消去して割り当てを解除するには、CLEAR プロンプトから y と入力します。このエラー条件を無視するには、n と入力します。


(CLEAR)
エラーの発生原因

直前の UNREF エラーメッセージで記述された i ノードを再び接続できません。ファイルシステムを修復していると、ファイルを接続し直すには容量が足りないため fsck が終了するので、このメッセージは表示されません。

対処方法

i ノードの内容を消去して割り当てを解除するには、CLEAR プロンプトから y と入力します。直前のエラー条件を無視するには、n と入力します。


LINK COUNT type I=inode-number OWNER=UID MODE=file-mode 
SIZE=file-size
MTIME=modification-time COUNT link-count SHOULD BE 
corrected-link-count (ADJUST)
エラーの発生原因

ディレクトリまたはファイル i ノード inode-number のリンク数は link-count になっていますが、corrected-link-count でなければなりません。i ノード inode-number の所有者 UID、モード file-mode、サイズ file-size、および変更時刻 modification-time が表示されます。-o p (preen、修復) オプションを指定すると、参照数が増えていない限り、リンク数が調整されます。この条件は、ハードウェア障害が存在する場合以外は発生しません。修復中に参照数が増加する場合、fsck は LINK COUNT INCREASING メッセージを表示して終了します。

対処方法

ディレクトリまたはファイル i ノード inode-number のリンク数を corrected-link-count に置き換えるには、ADJUST プロンプトから y と入力します。このエラー条件を無視するには、n と入力します。


lost+found IS NOT A DIRECTORY (REALLOCATE)
エラーの発生原因

lost+found のエントリがディレクトリではありません。

対処方法

ディレクトリ i ノードを割り当てて、それを参照する lost+found ディレクトリを変更するには、REALLOCATE プロンプトから y と入力します。lost+found による以前の i ノード参照は消去されません。非参照 i ノードとして再び取得されるか、そのリンク数がこのフェーズの後半で調整されます。lost+found ディレクトリを作成できない場合は、「SORRY. CANNOT CREATE lost+found DIRECTORY」というメッセージが表示され、消失 i ノードへのリンク試行が中止されます。このエラーにより、フェーズ 4 の後半で UNREF エラーメッセージが生成されます。消失 i ノードへのリンク試行を中止するには、n と入力します。


NO lost+found DIRECTORY (CREATE)
エラーの発生原因

ファイルシステムのルートディレクトリ内に lost+found ディレクトリがありません。修復するときに、fscklost+found ディレクトリを作成しようとします。

対処方法

ファイルシステムのルート内で lost+found ディレクトリを作成するには、CREATE プロンプトから y と入力します。lost+found ディレクトリを作成できない場合は、fsck によって「SORRY. CANNOT CREATE lost+found DIRECTORY」というメッセージが表示され、消失 i ノードへのリンク試行が中止されます。このエラーにより、フェーズ 4 の後半で UNREF エラーメッセージが生成されます。消失 i ノードへのリンク試行を中止するには、n と入力します。


NO SPACE LEFT IN / lost+found (EXPAND)
エラーの発生原因

ファイルシステムのルートディレクトリ内で、lost+found ディレクトリに別のエントリを追加する容量がありません。修復するときに、fscklost+found ディレクトリを拡張します。

対処方法

lost+found ディレクトリを拡張して新しいエントリを追加する余地をつくるには、EXPAND プロンプトから y と入力します。拡張試行に失敗すると、fsck によって「SORRY. NO SPACE IN lost+found DIRECTORY」というメッセージが表示され、lost+found ディレクトリへのファイルリンク要求が中止されます。このエラーにより、フェーズ 4 の後半で UNREF エラーメッセージが生成されます。lost+found ディレクトリ内で不要なエントリを削除します。修復 (-o p オプション) が有効なときは、このエラーによって fsck が終了します。消失 i ノードへのリンク試行を中止するには、n と入力します。


UNREF FILE I=inode-number OWNER=UID MODE=file-mode SIZE=file-size 
MTIME=modification-time (RECONNECT)
エラーの発生原因

ファイルシステムを走査したときに、ファイル i ノード inode-number がディレクトリエントリに接続されませんでした。i ノード inode-number の所有者 UID、モード file-mode、サイズ file-size、および変更時刻 modification-time が表示されます。fsck が修復しているときに、ファイルのサイズまたはリンク数が 0 であれば、そのファイルは消去されます。それ以外の場合は再び接続されます。

対処方法

i ノード inode-numberlost+found ディレクトリ内のファイルシステムに接続し直すには、y と入力します。i ノード inode-number lost+found ディレクトリに接続できないと、このエラーによってフェーズ 4 で lost+found エラーメッセージが生成されることがあります。このエラー条件を無視するには、n と入力します。このエラーが発生すると、フェーズ 4 で必ず CLEAR エラー条件が呼び出されます。


UNREF type I=inode-number OWNER=UID MODE=file-mode SIZE=file-size 
MTIME=modification-time (CLEAR)
エラーの発生原因

ファイルシステムを走査するときに、i ノード inode-number (その type はディレクトリまたはファイル) がディレクトリエントリに接続されませんでした。i ノード inode-number の所有者 UID、モード file-mode、サイズ file-size、および変更時刻 modification-time が表示されます。fsck が修復しているときに、ファイルのサイズまたはリンク数が 0 であれば、そのファイルは消去されます。それ以外の場合は再び接続されます。

対処方法

i ノード inode-number の内容を消去して割り当てを解除するには、CLEAR プロンプトから y と入力します。このエラー条件を無視するには、n と入力します。


ZERO LENGTH DIRECTORY I=inode-number OWNER=UID MODE=file-mode 
SIZE=file-size MTIME=modification-time(CLEAR)
エラーの発生原因

ディレクトリエントリ filename のサイズ file-size が 0 になっています。所有者 UID、モード file-mode、サイズ file-size、変更時刻 modification-time、およびディレクトリ名 filename が表示されます。

対処方法

i ノード inode-number の内容を消去して割り当てを解除するには、y と入力します。このエラー条件を無視するには、n と入力します。