この節には次の情報が含まれます。
マップ情報は、ypcat、ypwhich、ypmatch コマンドを使っていつでも取得できます。次の例では、mapname はマップの正式名とニックネーム (存在する場合) の両方を意味します。
マップのすべての値を表示するには、次のように入力します。
% ypcat mapname |
マップのキーと値 (存在する場合) の両方を表示するには、次のように入力します。
% ypcat -k mapname |
マップのすべてのニックネームを表示するには、次のいずれかのコマンドを入力します。
% ypcat -x % ypmatch -x % ypwhich -x |
使用可能なすべてのマップとそのマスターサーバーを表示するには、次のように入力します。
% ypwhich -m |
特定のマップのマスターサーバーを表示するには、次のように入力します。
% ypwhich -m mapname |
キーをマップのエントリと照合するには、次のように入力します。
% ypmatch key mapname |
検索している項目がマップのキーでない場合は、次のように入力します。
% ypcat mapname | grep item |
item は検索している情報です。ほかのドメインに関する情報を取得するには、これらのコマンドの -d domainname オプションを指定します。
デフォルト以外のドメインの情報を要求するマシンが、そのドメインに対するバインドを持っていない場合、ypbind は /var/yp/binding/domainname/ypservers ファイルを参照して、そのドメインのサーバーリストを検索します。このファイルが存在しない場合、ypbind は RPC 同報通信を送出してサーバーを検索します。この場合、検索先であるドメインのサーバーは要求元マシンと同じサブネットに存在している必要があります。
選択されたマップのマスターサーバーを変更するには、まず新しい NIS マスターサーバー上にマップを構築する必要があります。古いマスターサーバー名は既存のマップにキーと値のペアとして発生するので (このペアは makedbm で自動的に挿入される)、ypxfr でマップを新しいマスターサーバーにコピーしたり、コピーを新しいマスターサーバーに転送するだけでは不十分です。キーと新しいマスターサーバー名との対応づけをし直す必要があります。マップに ASCII ソースファイルが存在する場合は、このファイルを新しいマスターサーバーにコピーします。
新しいマスターで、スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の第 9 章「役割によるアクセス制御の使用 (手順)」を参照してください。
ディレクトリを変更します。
newmaster# cd /var/yp |
作成するマップを指定する前に、Makefile にこの新しいマップのエントリが必要です。新しいマップのエントリがない場合は、最初に、sites.byname というマップを使用して Makefile を編集します。
マップを更新または再作成するには、次のように入力します。
newmaster# make sites.byname |
古いマスターサーバーが NIS サーバーとして残っている場合は、古いマスターサーバーに遠隔ログイン (rlogin) してから、Makefile を編集します。sites.byname を作成した Makefile 内のセクションをコメントアウトして、このセクションで sites.byname が再び作成されないようにします。
sites.byname だけが ndbm ファイルとして存在している場合は、新しいマスターサーバー上に作成し直します。まず任意の NIS サーバーからコピーを分解し、次に makedbm を使ってそれを実行します。
newmaster# cd /var/yp newmaster# ypcat sites.byname | makedbm -domain-/sites.byname |
新しいマスターサーバー上でマップが作成されたら、そのコピーをほかのスレーブサーバーに送信する必要があります。この場合、yppush を使用しないでください。yppush を使用すると、スレーブサーバーは新しいマスターサーバーからではなく古いマスターサーバーから新しいコピーを取得します。このような動作を回避するには、一般にマップのコピーを新しいマスターサーバーから古いマスターサーバーに送り返すという方法が使用されます。これを行うには、古いマスターサーバーでスーパーユーザーになるか、同等の役割になり、次のように入力します。
oldmaster# /usr/lib/netsvc/yp/ypxfr -h newmaster sites.byname |
これで、yppush を使用できます。スレーブサーバーは古いマスターサーバーを現行のマスターサーバーとして認識しているので、マップの現行バージョンを古いマスターサーバーから取得しようとします。クライアントがこの処理を行うときは、新しいマスターサーバーが現行のマスターサーバーとして指定されている新しいマップを取得します。
この方法が失敗した場合は、各 NIS サーバーの root としてログインして上記の ypxfr コマンドを実行できます。
NIS は設定ファイルを正確に構文解析します。このため NIS 管理は容易になりますが、設定ファイルおよび構成ファイルにおける変更により、NIS の動作は影響を受けます。
次のファイルを変更する場合は、この節の手順を使用します。
/etc/resolv.conf。このファイルを追加または削除することで、DNS 転送が可能または不可になります
$PWDIR/security/passwd.adjunct。このファイルを追加したり削除したりすることで、C2 セキュリティーが可能または不可になります ($PWDIR は、/var/yp/Makefile で定義される)
NIS のマップまたはマップソースファイルを更新する場合は、NIS を停止および起動する必要はありません。
次の点に注意してください。
NIS マスターサーバーからマップまたはソースファイルを削除しても、スレーブサーバー上の対応するマップまたはソースファイルは自動的には削除されません。スレーブサーバー上の対応するマップまたはソースファイルの削除は、NIS 管理者が手作業で行う必要があります。
新しいマップは、自動的には既存のスレーブサーバーに転送されません。新しいマップを既存のスレーブサーバーに転送するには、NIS 管理者がそのスレーブサーバーで ypxfr を実行してください。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の第 9 章「役割によるアクセス制御の使用 (手順)」を参照してください。
NIS サーバーを停止します。
# svcadm disable network/nis/server |
必要に応じてファイルを変更します。
NIS サーバーを起動します。
# svcadm enable network/nis/server |
/var/yp で提供されたデフォルトの Makefile を更新することにより、NIS 管理者のニーズを満たすことができます。マップを追加したり削除したり、一部のディレクトリの名前を変更できます。
将来の参照のために、変更していない、元の Makefile のコピーを保存しておいてください。
新しい NIS マップを追加するには、マップの ndbm ファイルのコピーをドメインに存在する各 NIS サーバーの /var/yp/domainname ディレクトリに転送する必要があります。通常これは、Makefile によって行われます。どの NIS サーバーがマップのマスターサーバーであるかを決定したら、マップを容易に作成し直せるようにマスターサーバーの Makefile を更新してください。異なるサーバーを異なるマップのマスターサーバーとして設定することも可能ですが、このようにするとたいていの場合、管理上の混乱を招きます。したがって、1 つのサーバーだけをすべてのマップのマスターサーバーとして設定するようにしてください。
一般に、人が読めるテキストファイルは、makedbm に対する入力として適したものにするために awk 、sed、grep でフィルタリングされます。デフォルトの Makefile を参照してください。make コマンドの概要については、make(1S) のマニュアルページを参照してください。
make が認識する依存性の作成方法を決定する際には、Makefile にすでに備わっているメカニズムを使用してください。make では、依存ルール内の行の始まりにタブが存在するか否かが重要であることに注意してください。ほかの設定が正しくても、タブが存在しないというだけでエントリが無効になることがあります。
Makefile にエントリを追加する場合は、次の作業を行ってください。
データベース名を all ルールに追加する
time ルールを作成する
データベースのルールを追加する
たとえば、Makefile をオートマウンタ入力ファイルで動作させるには、auto_direct.time および auto_home.time マップを NIS データベースに追加する必要があります。
これらのマップを NIS データベースに追加するには、Makefile を修正する必要があります。
Makefile の先頭で定義されている変数の設定値を変更するには、等号 (=) の右側の値を変更します。たとえば、マップへの入力として /etc に存在するファイルではなく、別のディレクトリに存在するファイル (たとえば /var/etc/domainname など) を使用する場合は、DIR を DIR=/etc から DIR=/var/etc/domainname に変更します。また、PWDIR を PWDIR=/etc から PWDIR=/var/etc/domainname に変更します。
変数は次のとおりです。
DIR=。passwd と shadow を除くすべての NIS 入力ファイルが存在するディレクトリ。デフォルト値は /etc です。マスターサーバーの /etc ディレクトリのファイルを NIS 入力ファイルとして使用することは望ましくないので、この値は変更しなければなりません。
PWDIR=。NIS 入力ファイル passwd と shadow が存在するディレクトリ。マスターサーバーの /etc ディレクトリのファイルを NIS 入力ファイルとして使用することは望ましくないので、この値は変更しなければなりません。
DOM=。NIS ドメイン名。DOM のデフォルト値は、domainname コマンドで設定されます。ただし、大部分の NIS コマンドでは現在のマシンのドメイン (現在のマシンの /etc/defaultdomain ファイルに設定されている) が使用されます。
次の手順では、Makefile にデータベースを追加したり削除したりする方法を説明します。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の第 9 章「役割によるアクセス制御の使用 (手順)」を参照してください。
all という語で始まる行に、追加したいデータベース名 (1 つまたは複数) を追加します。
all: passwd group hosts ethers networks rpc services protocols \ netgroup bootparams aliases netid netmasks \ audit_user auth_attr exec_attr prof_attr \ auto_direct auto_home auto_direct.time auto_home.time |
エントリの順序は任意ですが、継続行の始まりの空白はスペースではなくタブにしてください。
Makefile の終わりに次の行を追加します。
auto_direct: auto_direct.time auto_home: auto_home.time |
ファイル中央に auto_direct.time エントリを追加します。
auto_direct.time: $(DIR)/auto_direct @(while read L; do echo $$L; done < $(DIR)/auto_direct $(CHKPIPE)) | \ (sed -e "/^#/d" -e "s/#.*$$//" -e "/^ *$$/d" $(CHKPIPE)) | \ $(MAKEDBM) - $(YPDBDIR)/$(DOM)/auto_direct; @touch auto_direct.time; @echo "updated auto_direct"; @if [ ! $(NOPUSH) ]; then $(YPPUSH) auto_direct; fi @if [ ! $(NOPUSH) ]; then echo "pushed auto_direct"; fi |
次に、各引数について説明します。
CHKPIPE は、次のコマンドに結果を渡す (パイピングする) 前に、パイプ (|) の左側の動作が正しく行われたことを確認します。パイプの左側の動作が正しく行われなかった場合は、「NIS make terminated」というメッセージが表示されてプロセスは終了します。
NOPUSH は、makefile が yppush を呼び出して新しいマップをスレーブサーバーに転送することを防止します。NOPUSH が設定されていない場合は、転送は自動的に行われます。
継続行の始まりにある while ループは、バックスラッシュで拡張された行を入力ファイルから削除するためのものです。sed スクリプトはコメント行と空行を削除します。
ほかのすべてのオートマウンタマップ (auto_home やほかのデフォルトでないマップなど) でも、同じ手順が必要となります。
make を実行します。
# make mapname |
mapname は、作成するマップの名前です。
Makefile で特定データベースのマップを作成しない場合は、Makefile を次のように編集してください。