Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

RBAC の役割

「役割」は、特権付きアプリケーションを実行できる特別な種類のユーザーアカウントです。役割は、ユーザーアカウントと同じ方法で作成され、ホームディレクトリ、グループ割り当て、パスワードなどを持ちます。権利プロファイルと承認は、役割に管理権限を与えます。役割は、ほかの役割やユーザーから権限を継承することはできません。個々の役割によってスーパーユーザー権限が分配されるため、安全な管理が行えるようになります。

ユーザーが役割を引き受けると、その役割の属性がすべてのユーザー属性を置き換えます。役割情報は、passwdshadow、および user_attr データベースに保存されます。役割情報の追加は、audit_user データベースに対して行うことができます。役割の設定についての詳細は、次の節を参照してください。

各役割は、複数のユーザーに割り当てることができます。同じ役割になるすべてのユーザーは、同じ役割のホームディレクトリを持ち、同じ環境で動作し、同じファイルへのアクセス権を持ちます。ユーザーは、コマンド行から su コマンドを実行し、役割名とパスワードを指定して役割を引き受けることができます。Solaris 管理コンソールツールで役割を引き受けることもできます。

役割自体が直接ログインすることはできません。ユーザーがまずログインし、続いて役割を引き受けます。役割を引き受けたあとは、その役割を終了するまでほかの役割を引き受けることはできません。つまり、その役割を終了すれば、ほかの役割を引き受けることができます。

root ユーザーを役割にする方法」に示しているように、root ユーザーを役割に変更することによって、匿名の root ログインを防ぐことができます。プロファイルシェルコマンド pfexec が監査の対象となっている場合、監査トレールにはログインユーザーの実 UID、そのユーザーが引き受けた役割、およびその役割が行ったアクションが記録されます。役割による処理を行うシステムまたは特定のユーザーを監査する方法については、「役割を監査する方法」を参照してください。

Solaris には、事前に定義された役割は用意されていません。ただし、ソフトウェアに付属している権利プロファイルは、役割に対応付けられています。たとえば、Primary Administrator 権利プロファイルを使用すると、Primary Administrator 役割を作成できます。