Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

Kerberos チケットの転送

「Kerberos コマンドの概要」で説明したように、一部のコマンドで -f または -F オプションを使用するとチケットを転送できます。チケットを転送すると、ネットワークトランザクションの「チェーン化」が可能となります。たとえば、あるマシンに遠隔ログインして、そこから別のマシンに遠隔ログインできます。-f オプションではチケットを転送することができますが、-F オプションでは転送済みのチケットを再転送することが可能です。

図 26–2 で、ユーザー davidkinit を使用して、転送不可能なチケット認可チケット (TGT) を取得します。-f オプションを指定しなかったため、チケットは転送不可能なチケットです。シナリオ 1 では、マシン B に遠隔ログインできますが、それ以上遠隔ログインできません。シナリオ 2 の rlogin -f コマンドは失敗します。なぜなら、彼は転送不可能なチケットを転送しようとしているからです。

図 26–2 転送不可能なチケットの使用

この図については、前の本文中で説明しています。

実際にはデフォルトで、kinit が転送可能なチケットを取得するように Kerberos 構成ファイルが設定されます。ただし、ユーザーの構成はこれと異なっても構いません。説明するために、TGT が kinit -f で起動されない限り、kinit は転送可能な TGT を取得できないと想定します。kinit には、-F オプションがないことに注意してください。TGT は、転送可能、転送不可能のいずれかです。

図 26–3 で、ユーザー david は、kinit -f を使用して、転送可能な TGT を取得します。シナリオ 3 では、rlogin で転送可能なチケットを使用するため、マシン C に到達できます。シナリオ 4 の 2 回目の rlogin は失敗します。なぜなら、このチケットは再転送可能ではないからです。シナリオ 5 のように -F オプションを代わりに使用すれば、2 回目の rlogin は成功し、チケットがマシン D に再転送されます。

図 26–3 転送可能チケットの使用

この図については、前の本文中で説明しています。