Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

Kerberos コマンドの使用 (例)

次の例は、Kerberos コマンドのオプションの使用方法を示しています。


例 26–5 telnet-a-f、および -x オプションを使用する

この例では、ユーザー david はすでにログインしており、マシン denver.example.comtelnet しようとしています。彼は、-f オプションを使って既存のチケットを転送し、-x オプションを使ってセッションを暗号化し、-a オプションを使って自動ログインを実行します。3 つ目のホストのサービスを使用する予定はないため、ここでは -F ではなく -f を使用しています。


% telnet -a -f -x denver.example.com 
Trying 128.0.0.5... 
Connected to denver.example.com. Escape character is '^]'. 
[ Kerberos V5 accepts you as "david@eng.example.com" ] 
[ Kerberos V5 accepted forwarded credentials ] 
SunOS 5.9: Tue May 21 00:31:42 EDT 2004  Welcome to SunOS 
%

david のマシンが、Kerberos を使用して denver.example.com に対する彼の認証を行い、さらに自動ログインしている点に注意してください。彼は、暗号化されたセッションと、いつでも利用可能なチケットのコピーとを手に入れましたが、パスワードを入力する必要は一度もありませんでした。Kerberos 以外のバージョンの telnet を使用している場合、パスワードの入力を要求され、そのパスワードは暗号化されていないネットワーク上で送信されます。その時点で侵入者がネットワークトラフィックを監視していると、侵入者は david のパスワードを知ることになります。

Kerberos チケットを転送した場合、telnet (およびここで説明したその他のコマンド) は、終了時にそのチケットを破棄します。



例 26–6 rlogin-F オプションを使用する

ここでは、ユーザー jennifer が自身のマシン boston.example.com にログインするものとします。-F オプションを使用して既存のチケットを転送し、-x オプションを使用してセッションを暗号化します。-f ではなく -F を選択します。これは boston にログインしたあとで、再転送されるチケットが必要な別のネットワークトランザクションを実行するためです。また、既存のチケットを転送するので、パスワードを入力する必要はありません。


% rlogin boston.example.com -F -x
This rlogin session is using encryption for all transmissions.
Last login Mon May 19 15:19:49 from daffodil 
SunOS Release 5.9 (GENERIC) #2 Tue Nov 14 18:09:3 EST 2003 
%


例 26–7 ftp で保護レベルを設定する

joeftp を使用して、マシン denver.example.com のディレクトリ ~joe/MAIL から自分宛てのメールを取得します。ただし、セッションを暗号化します。やり取りは次のようになります。


% ftp -f denver.example.com
Connected to denver.example.com
220 denver.example.org FTP server (Version 6.0) ready.
334 Using authentication type GSSAPI; ADAT must follow
GSSAPI accepted as authentication type 
GSSAPI authentication succeeded Name (daffodil.example.org:joe) 
232 GSSAPI user joe@MELPOMENE.EXAMPLE.COM is authorized as joe
230 User joe logged in.
Remote system type is UNIX.
Using BINARY mode to transfer files.
ftp> protect private
200 Protection level set to Private
ftp> cd ~joe/MAIL
250 CWD command successful.
ftp> get RMAIL
227 Entering Passive Mode (128,0,0,5,16,49)
150 Opening BINARY mode data connection for RMAIL (158336 bytes).
226 Transfer complete. 158336 bytes received in 1.9 seconds (1.4e+02 Kbytes/s)
ftp> quit
% 

セッションを暗号化するために、joe は保護レベルを private に設定しています。