新しい SDP セッション構造体を作成するには、最初に sdp_new_session() 関数を呼び出して新しい構造体用のメモリーを割り当てます。この関数は新しいセッション構造体へのポインタを返します。この節に示すほかの関数は、このポインタを使用して新しいセッション構造体を作成します。新しいセッション構造体を作成したら、sdp_session_to_str() 関数を使用してセッション構造体を文字列表現に変換します。
sdp_new_session() 関数は、session パラメータで指定された新しい SDP セッション構造体用のメモリーを割り当て、新しい構造体にバージョン番号を割り当てます。セッション構造体に割り当てられたメモリーは、sdp_free_session() 関数を呼び出すことで解放できます。
戻り値: sdp_new_session() 関数は、関数が正常に完了したときに、新しく割り当てられた SDP セッション構造体を返します。エラー発生時には NULL を返します。
sdp_add_origin() 関数は、name、id、ver、nettype、addrtype、address の各パラメータを使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に Origin (o=) SDP フィールドを追加します。
戻り値: sdp_add_origin() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_name() 関数は、name パラメータを使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に SessionName (s=) SDP フィールドを追加します。
戻り値: sdp_add_name() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_information() 関数は、value パラメータを使用して、セッション構造体 (sdp_session_t) またはメディア構造体 (sdp_media_t) に Info (i=) SDP フィールドを追加します。このフィールドは、SDP 記述のメディアセクションまたはセッションセクションに格納されます。最初の引数として &session->s_info または &media->m_info を渡すことにより、セクションを指定する必要があります。
戻り値: sdp_add_information() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_uri() 関数は、uri パラメータを使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に URI (u=) SDP フィールドを追加します。
戻り値: sdp_add_uri() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_email() 関数は、email パラメータを使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に Email (e=) SDP フィールドを追加します。
戻り値: sdp_add_email() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_phone() 関数は、phone パラメータを使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に Phone (p=) SDP フィールドを追加します。
戻り値: sdp_add_phone() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_connection() 関数は、nettype、addrtype、address、ttl、addrcount の各パラメータを使用して、セッション構造体 (sdp_session_t) またはメディア構造体 (sdp_media_t) に Connection (c=) SDP フィールドを追加します。IPv4 または IPv6 のユニキャストアドレスの場合は、ttl パラメータと addrcount パラメータの値をゼロに設定します。マルチキャストアドレスの場合は、ttl パラメータの値を 0 - 255 の範囲に設定します。マルチキャストアドレスの場合は、addrcount パラメータの値をゼロに設定できません。
このフィールドは、SDP 記述のメディアセクションまたはセッションセクションに格納されます。最初の引数として &session->s_info または &media->m_info を渡すことにより、セクションを指定する必要があります。
戻り値: sdp_add_connection() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_bandwidth() 関数は、type パラメータと value パラメータを使用して、セッション構造体 (sdp_session_t) またはメディア構造体 (sdp_media_t) に Bandwidth (b=) SDP フィールドを追加します。
このフィールドは、SDP 記述のメディアセクションまたはセッションセクションに格納されます。最初の引数として &session->s_info または &media->m_info を渡すことにより、セクションを指定する必要があります。
戻り値: sdp_add_bandwidth() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_time() 関数は、starttime パラメータと stoptime パラメータの値を使用して、セッション構造体に Time (t=) SDP フィールドを追加します。この関数は、新しい時間構造体を作成し、time パラメータにその構造体へのポインタを返します。
戻り値: sdp_add_time() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_repeat() 関数は、interval、duration、offset の各パラメータの値を使用して、セッション構造体に RepeatTime (r=) SDP フィールドを追加します。offset パラメータの値は、1 つ以上のオフセット値を保持する文字列 (60、60 1d 3h など) です。time パラメータの値は、sdp_add_time() 関数が作成する時間構造体へのポインタです。
戻り値: sdp_add_repeat() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_zone() 関数は、time パラメータと offset パラメータを使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に TimeZoneAdjustment (z=) SDP フィールドを追加します。1 つのゾーンフィールドに対して複数の時間およびオフセットの値を追加するには、時間/オフセットのペアごとにこの関数を呼び出します。
戻り値: sdp_add_zone() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_key() 関数は、method パラメータと enckey パラメータを使用して、セッション構造体 (sdp_session_t) またはメディア構造体 (sdp_media_t) に Key (k=) SDP フィールドを追加します。このフィールドは、SDP 記述のメディアセクションまたはセッションセクションに格納されます。最初の引数として &session->s_info または &media->m_info を渡すことにより、セクションを指定する必要があります。
戻り値: sdp_add_key() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_attribute() 関数は、name パラメータと value パラメータを使用して、セッション構造体 (sdp_session_t) またはメディア構造体 (sdp_media_t) に Attribute (a=) SDP フィールドを追加します。このフィールドは、SDP 記述のメディアセクションまたはセッションセクションに格納されます。最初の引数として &session->s_info または &media->m_info を渡すことにより、セクションを指定する必要があります。
戻り値: sdp_add_attribute() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
sdp_add_media() 関数は、name、port、portcount、protocol、format の各パラメータの値を使用して、session パラメータの値で指定されたセッション構造体 (sdp_session_t) に Media (m=) SDP フィールドを追加します。format パラメータは、1 つ以上の値を保持する文字列 (0 32 97 など) です。
この関数は、新しいメディア構造体を作成し、media パラメータにその構造体へのポインタを返します。メディア構造体に SDP フィールドを追加する関数は、このポインタを使用します。
戻り値: sdp_add_media() 関数は、関数が正常に完了したときに 0 を返します。必須のパラメータがなかった場合は、EINVAL を返します。メモリーの割り当てに失敗した場合は、ENOMEM を返します。errno の値は、エラーが発生した場合でも変化しません。
この例では、この節に示した関数を使用して、新しい SDP セッション構造体を作成し、構造体にフィールドを追加し、完成した構造体を文字列表現に変換します。この例では、最後にプログラムから sdp_free_session() 関数を呼び出して、セッションを解放します。
/* SDP Message we will be building "v=0\r\n\ o=Alice 2890844526 2890842807 IN IP4 10.47.16.5\r\n\ s=-\r\n\ i=A Seminar on the session description protocol\r\n\ u=http://www.example.com/seminars/sdp.pdf\r\n\ e=alice@example.com (Alice Smith)\r\n\ p=+1 911-345-1160\r\n\ c=IN IP4 10.47.16.5\r\n\ b=CT:1024\r\n\ t=2854678930 2854679000\r\n\ r=604800 3600 0 90000\r\n\ z=2882844526 -1h 2898848070 0h\r\n\ a=recvonly\r\n\ m=audio 49170 RTP/AVP 0\r\n\ i=audio media\r\n\ b=CT:1000\r\n\ k=prompt\r\n\ m=video 51372 RTP/AVP 99 90\r\n\ i=video media\r\n\ a=rtpmap:99 h232-199/90000\r\n\ a=rtpmap:90 h263-1998/90000\r\n" */ #include stdio.h> #include string.h> #include errno.h> #include sdp.h> int main () { sdp_session_t *my_sess; sdp_media_t *my_media; sdp_time_t *my_time; char *b_sdp; my_sess = sdp_new_session(); if (my_sess == NULL) { return (ENOMEM); } my_sess->version = 0; if (sdp_add_name(my_sess, "-") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_origin(my_sess, "Alice", 2890844526ULL, 2890842807ULL, "IN", "IP4", "10.47.16.5") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_information(&my_sess->s_info, "A Seminar on the session" "description protocol") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_uri (my_sess, "http://www.example.com/seminars/sdp.pdf") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_email(my_sess, "alice@example.com (Alice smith)") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_phone(my_sess, "+1 911-345-1160") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_connection(&my_sess->s_conn, "IN", "IP4", "10.47.16.5", 0, 0) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_bandwidth(&my_sess->s_bw, "CT", 1024) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_time(my_sess, 2854678930ULL, 2854679000ULL, &my_time) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_repeat(my_time, 604800ULL, 3600ULL, "0 90000") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_zone(my_sess, 2882844526ULL, "-1h") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_zone(my_sess, 2898848070ULL, "0h") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_attribute(&my_sess->s_attr, "sendrecv", NULL) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_media(my_sess, "audio", 49170, 1, "RTP/AVP", "0", &my_media) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_information(&my_media->m_info, "audio media") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_bandwidth(&my_media->m_bw, "CT", 1000) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_key(&my_media->m_key, "prompt", NULL) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_media(my_sess, "video", 51732, 1, "RTP/AVP", "99 90", &my_media) != 0) goto err_ret; if (sdp_add_information(&my_media->m_info, "video media") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_attribute(&my_media->m_attr, "rtpmap", "99 h232-199/90000") != 0) goto err_ret; if (sdp_add_attribute(&my_media->m_attr, "rtpmap", "90 h263-1998/90000") != 0) goto err_ret; b_sdp = sdp_session_to_str(my_sess, &error); /* * b_sdp is the string representation of my_sess structure */ free(b_sdp); sdp_free_session(my_sess); return (0); err_ret: free(b_sdp); sdp_free_session(my_sess); return (1); }