Solaris 動的トレースガイド

fileinfo_t

fileinfo_t 構造体は、ファイルに関する情報を提供します。start プローブ、done プローブ、wait-start プローブ、および wait-done プローブの args[2] は、入出力関連のファイルをポイントしています。ファイル情報が存在するかどうかは、入出力要求のディスパッチ時にこの情報を提供するファイルシステムによって決まります。一部のファイルシステム、特に第三者のファイルシステムは、この情報を提供しない場合があります。また、入出力要求の発行元ファイルシステムのファイル情報が存在しない場合もあります。たとえば、ファイルシステムのメタデータへの入出力には、関連ファイルはありません。さらに、高度に最適化されたファイルシステムは、複数の互いに無関係なファイルからの入出力を集積して、単一の入出力要求を作成することがあります。このようなファイルシステムからは、入出力の大部分を表現するファイルまたは入出力の「一部」を表現するファイルのファイル情報が提供されることがあります。また、このようなファイルシステムからファイル情報がまったく提供されないこともあります。

以下に、fileinfo_t 構造体の定義を示します。

typedef struct fileinfo {
	string fi_name;                 /* name (basename of fi_pathname) */
	string fi_dirname;              /* directory (dirname of fi_pathname) */
	string fi_pathname;             /* full pathname */
	offset_t fi_offset;             /* offset within file */
	string fi_fs;                   /* filesystem */
	string fi_mount;                /* mount point of file system */
} fileinfo_t;

fi_name フィールドには、ファイル名だけが入ります。ここには、ディレクトリ要素は含まれません。入出力に関連ファイル情報がない場合、fi_name フィールドには文字列 <none> が入ります。まれに、ファイルのパス名が未知であることもあります。この場合、fi_name フィールドには文字列 <unknown> が入ります。

fi_dirname フィールドには、ファイル名のディレクトリ要素だけが入ります。fi_name の場合と同じく、ファイル情報が存在しない場合、この文字列は <none> になります。ファイルのパス名が未知である場合、この文字列は <unknown> になります。

fi_pathname フィールドには、ファイルの完全パス名が入ります。fi_name の場合と同じく、ファイル情報が存在しない場合、この文字列は <none> になります。ファイルのパス名が未知である場合、この文字列は <unknown> になります。

fi_offset フィールドには、ファイル内のオフセットが入ります。ファイル情報が存在しない場合や、ファイルシステムがオフセットを指定していない場合は、-1 が入ります。