Wnn8 ユーザーズガイド

付録 A 実行コマンド

wnnstat

wnnstat は、jserver の利用状況を確認するコマンドです。

jserver の稼働状況やユーザーの利用状況、辞書の使用状況を確認することができます。

ファイルパス:

/usr/bin/wnnstat

起動オプション:

wnnstat  [-w] [-e] [-E] [-f] [-F] [-d] [-D] [-L] [-J] [-U] 

     [-S]  [-v]   hostname[:/]No 

-w

ユーザー名、(使用) ホスト名、ソケット番号、環境番号を表示します。

オプション未指定時のデフォルトになります。

$ wnnstat -w

ユーザー名 : ホスト名 

(ソケット No.) 

環境番号 

user1:hostA 

user2:hostB  

(0) 

(1) 

0 1 

2 3 

-e

環境番号、環境名、参照数を表示します。

$ wnnstat -e

ENV No. 

環境名 

参照数 

user3 

user3R 

-E

環境番号、環境名、参照数、付属語、辞書数 (辞書番号)、ファイル名を表示します。

$ wnnstat -E

ENV No. 

環境名 

参照数 

付属語 

辞書数(辞書 No.) 

ファイル 

user3 

user3R 

10 

10 

28 (0 1 2 33 …) 

0() 

10 1 24 25 2 26 3 … 

-f -F

辞書ファイル ID、種類、場所、参照数、ファイル名を表示します。

$ wnnstat -F

Fid 

種類 

場所 

参照数 

ファイル名 

FI 辞書 

辞書 

LOCAL 

LOCAL 

LOCAL 

: 

/var/lib/wnn/dic/system/fisd 

/var/lib/wnn/dic/system/kihon.dic 

-d

辞書番号、種類、ニックネーム、body、ファイル名を表示します。

$ wnnstat -d

No.種類 

ニックネーム 

ファイル名 

2:固定 

3:固定 

基本辞書 (Wnn8R1.01) 

記号辞書(Wnn8R1.01) 

: 

2:/var/lib/wnn/dic/system/kihon.dic(26) 

3:/var/lib/wnn/dic/system/symbol.dic(27) 

-D

辞書番号、種類、正 / 逆変換、語数、辞書 (頻度) ファイル更新の不可、使用の不可、プライオリティ、ニックネーム、body、辞書 (頻度) ファイル名、辞書 (頻度) パスワードを表示します。

$ wnnstat -D

No.種類 

正 / 逆 

語数 

更新 (頻) 使用 

プライオリティ 

[ニックネーム] 

2:固定 

3:固定 

正変換 

正変換 

: 

156613 

854 

不 (可) 中 

不 (可) 中 

基本辞書(Wnn8R1.01) 

記号辞書(Wnn8R1.01) 

-L LANG

LANG で指定した言語に対応する変換サーバーの使用状況を表示します。デフォルトは ja_JP (jserver) です。

-J

表示内容を JIS コードで出力します。

-U

表示内容を EUC コードで出力します。

-S

表示内容を S-JIS コードで出力します。

-v

バージョン情報を表示します。

hostname[:/]No

変換サーバーが稼働するホスト名を "hostname" で、ポート番号を "No" で指定します。

:No と指定すると相対ポート番号となり、jserver の標準ポート番号 (22273) に No を加えた値をポート番号とします。たとえば: 1 とした場合は 22274 が使用されます。

/No と指定すると絶対ポート番号となり、No の値をそのままポート番号として使用します。

それぞれ省略時は localhost の標準ポート (22273) が適用されます。

wnnenvutil

wnnenvutil は、Wnn8 のユーザー環境設定を行うツールです。

設定した内容は、各ユーザーの $HOME/.Wnn8 以下のファイルに保存されます。

ファイルパス:

/usr/bin/wnnenvutil

起動オプション:

wnnenvutil [-v] 

-v

バージョン情報を表示します。

wnndictutil

wnndictutil は、ユーザー辞書の編集を行うツールです。

単語の登録や削除 / 編集をはじめ、辞書コンバートなどの機能が搭載されています。

ファイルパス:

/usr/bin/wnndictutil

起動オプション:

wnndictutil [-D hostname:No] [-E envname] [-v] 

-D hostname[:/]No

変換サーバーが稼働するホスト名を "hostname" で、ポート番号を "No" で指定します。

:No と指定すると相対ポート番号となり、jserver の標準ポート番号 (22273) に No を加えた値をポート番号とします。たとえば :1 とした場合は 22274 が使用されます。

/No と指定すると絶対ポート番号となり、No の値をそのままポート番号として使用します。

それぞれ省略時は localhost の標準ポート (22273) が適用されます。

-E

使用する環境名を envname で指定します。

使用中の環境名は wnnstat コマンドで確認できます。

-v

バージョン情報を表示します。

wnndtoa

wnndtoa は、Wnn8 バイナリ形式の辞書を Wnn8 テキスト形式辞書に変換するコマンドです。

通常 jserver が読み込む辞書はバイナリ形式ですが、テキスト形式に変換することにより、ユーザーが直接編集することが可能になります。

ファイルパス:

/usr/bin/wnndtoa

起動オプション:

wnndtoa [-e] [-h hinsi_file] [-n] [-s No] [-v] dicfile 

-e

読みと候補が同一 (ひらがなのみの候補) の場合、読みから候補データを検索できるようにします。

これにより、辞書のサイズを小さくすることができます。

-h hinsi_file

使用する品詞データファイル名を hinsi_file で指定します。

省略時には標準の品詞データファイルが適用されます。

-n

テキスト形式辞書を登録順にソートします。

-s No

辞書に付加するシリアル番号を No で指定します。

-v

バージョン情報を表示します。

dicfile

変換対象となるバイナリ辞書ファイル名を指定します。

実行例

$ wnndtoa ud

ユーザー辞書 ud をテキスト形式に変換し、標準出力に表示します。

$ wnndtoa ud > ud.txt

ユーザー辞書 ud をテキスト形式に変換し、ud.txt に保存します。

wnnatod

wnnatod は、Wnn8 テキスト形式の辞書ファイルを Wnn8 バイナリ形式辞書に変換するコマンドです。

ユーザーが任意に作成したテキスト辞書をバイナリ形式辞書に変換することにより、jserver による読み込みが可能になります。

ただし、変換元となるテキスト形式辞書は、Wnn8 の辞書フォーマットに準拠し、EUC コードで作成されている必要があります。

ファイルパス:

/usr/bin/wnnatod

起動オプション:

wnnatod [-e] [-h hinsi_file] [-n] [-N] [-p filename] [-P filename] 

     [-r] [-R] [-s No] [-S] [-v] dicfile 

-e

読みと候補が同一 (ひらがなのみの候補) の場合、読みから候補データを検索できるようにします。

これにより、辞書のサイズを小さくすることができます。

-h hinsi_file

使用する品詞データファイル名を hinsi_file で指定します。

省略時には標準の品詞データファイルが適用されます。

-n

頻度パスワードに "*" を設定します。変更不可能な頻度ファイルになります。

-N

辞書パスワードに "*" を設定します。変更不可能な辞書ファイルになります。

-p filename

頻度パスワードを記述したファイルを filename で指定します。

-P filename

辞書パスワードを記述したファイルを filename で指定します。

-r

変換時に読みと語句を反転します。

-R

逆変換形式辞書として変換します。省略可能です。

-s No

辞書内で使用する文字の最大登録数を No で指定します。初期値は 70000 です。

通常は指定の必要はありませんが、指定する場合は辞書の語数より少し大きい数値にしてください。

-S

固定形式辞書として変換します。

-v

バージョン情報を表示します。

dicfile

変換対象となるテキスト辞書ファイル名を指定します。

実行例

$ wnnatod new.txt < new.dic

テキスト形式辞書 new.txt をバイナリ形式辞書に変換し、new.dic として保存します。


注意 – 注意 –

作成したバイナリ辞書を Wnn8 標準の辞書ディレクトリ以外に配置する場合は、配置後の辞書ファイルのオーナーとパーミッションに注意してください。

各クライアントソフトウェアのプロセスの権限で読み書きできない場合は、辞書を使用することができなくなります。


jserver

jserver は、かな漢字変換を行うサーバープログラムです。

ネットワーク上の複数のユーザーにかな漢字変換機能を提供することができます。

jserver の起動には root 権限が必要になります。

通常、システム起動時に起動されます。もし、マニュアルで起動または停止する必要のある場合は、以下のコマンドを使用してください。

(起動) svcadm enable wnn8/server

(停止) svcadm disable wnn8/server

ファイルパス:

/usr/lib/wnn/jserver

起動オプション:

jserver [-A file] [-f file] [-h file] [-L hostname] [-N No] 

    [-pno portNo] [-s file] [-S loglevel] [-v] 

-A file

アクセス許可ファイルとして file を読み込みます。

-f file

jserver 起動時の初期化ファイルとして file を読み込みます。

-h file

品詞データファイルとして file を読み込みます。

-L hostname

ライセンスサーバーが稼働するマシンのホスト名を hostname で指定します。

省略時には「dpkeyservlist での指定」->「localhost」の順でライセンスサーバーを検索します。

-N No

jserver が使用するポートを、相対ポート番号で指定します。

標準のポート番号 22273 (0x5701) に No を加えた値をポート番号に使用します。

たとえば -N 1 とした場合は 22274 が使用されます。

-pno portNo

jserver が使用するポートを、絶対ポート番号として portNO で指定します。

たとえば -pno 22276 とした場合は 22276 が使用されます。

-s file

jserver のログ情報を file に保存します。

file に "-" を指定した場合は、標準出力になります。

-S loglevel

ログレベルを指定し、syslog ファイルにログを保存します。

-v

バージョン情報を表示します。

syslog 出力:

-S オプション指定時は、syslog ファイルへ設定したレベルに従ってメッセージを保存することができます。

出力先ファイルは syslog.conf の設定で変更できます。詳細は syslog に関するドキュメントを参照してください。

表 A–1 ログレベル

値 

syslogd のレベル 

意味 

ログ内容の概略 

LOG_ERR 

エラー 

致命的なエラー。システムが終了する状態。 

LOG_WARNING 

ウォーニング 

すぐに終了はしないが、最終的にはシステムが終了する状態。 

LOG_NOTICE 

処理した方がよい状態 

システムは続行できるがエラーが検出された状態。 

LOG_INFO 

インフォメーション 

  • クライアントの使用開始 / 終了情報

  • ライセンスの取得先

  • 辞書の種類

  • クライアントのタイムアウト

  • バージョン情報

  • その他

LOG_DEBUG 

デバッグ用メッセージ 

変換した文字とその結果。使用されたプロトコル情報。 

表 A–2 レベルの指定方法

入力例 

指定内容 

-S 1 

レベル 1 のログ出力 

-S 1,2 

レベル 1 と 2 のログ出力 

-S 1-4 

レベル 1 から 4 (1、2、3、4) のログ出力 

-S (レベル省略時) 

レベル 4 のログ出力 

wnnaccess

wnnaccess は、jserver へのアクセス許可状況の情報表示と設定を行います。

wnnaccess の実行には root 権限が必要になります。

ファイルパス:

/usr/sbin/wnnaccess

出力情報:

オプション未指定で実行した場合、現在のアクセスコントロールの情報が表示されます。

先頭行はアクセスコントロールの ON / OFF の状態を示します。

次行以下は各ホストとユーザーのアクセス許可情報が表示されます。

表示例

host1

host2:

host3: userA,userB

@userC

host1

host1 からは全てのユーザーがアクセス可能です。

host2:

host2 からは全てのユーザーがアクセス不可能です。

host3:userA,userB

host3 からはユーザー名 userA、userB のみアクセス可能です。

userC

userC は全てのホストからアクセス可能です。

起動オプション

wnnaccess [+/- host1:userA,userB... host2... @userC @userD...] 

      [-D servername] [-L LANG] [-v] 

+ hostname:user @user...

ホスト名、ユーザー名を指定しない場合は、アクセスコントロールを OFF にします。

指定した場合は現在のアクセスコントロールにそれらの情報を追加します。

"+" は省略することができます。

- hostname:user @user...

ホスト名、ユーザー名を指定しない場合は、アクセスコントロールを ON にします。

指定した場合は現在のアクセスコントロールからそれらの情報を削除します。

-D server_name[:/]No

接続する変換サーバーが稼働するホスト名を "server_name" で、ポートを "No" で指定します。

:No と指定すると相対ポート番号となり、jserver の標準ポート番号 (22273) に No を加えた値をポート番号とします。たとえば:1 とした場合は 22274 が使用されます。

/No と指定すると絶対ポート番号となり、No の値をそのままポート番号として使用します。

それぞれ省略時は localhost の標準ポート (22273) が適用されます。

-L LANG

LANG で指定した言語に対応する変換サーバーに接続します。

省略時は環境変数 LANG の値が適用されます。

-v

バージョン情報を表示します。

実行例

# wnnaccess - host1:usrA,userB

host1 に対する userA、userB のアクセス許可情報を削除します。

# wnnaccess + @userD

userD を全てのホストからアクセス可能にします。

wnnsysenv_server

wnnsysenv_server は、jserver の環境設定を行うツールです。

設定した内容は /etc/wnn 以下のファイルに保存されます。

wnnsysenv_server の起動には root 権限が必要になります。

ファイルパス:

/usr/sbin/wnnsysenv_server

起動オプション:

wnnsysenv_server [-v] 

-v

バージョン情報を表示します。

wnnsysenv_client

wnnsysenv_client は、Wnn8 のシステム環境設定を行うツールです。

設定した内容は /etc/wnn 以下のファイルに保存されます。

wnnsysenv_client の起動には root 権限が必要になります。

ファイルパス:

/usr/bin/wnnsysenv_client

起動オプション:

wnnsysenv_client [-v] 

-v

バージョン情報を表示します。