Sun Java System Message Queue 3 2005Q1 管理ガイド |
第 1 章
管理タスクと管理ツールSun JavaTM System Message Queue の管理には、さまざまなタスクとこれらのタスクを実行するためのさまざまなツールがあります。
この章では、管理タスクの概要を述べてから、コマンド行管理ユーティリティの共通機能に的を絞って、管理ツールについて説明します。この章では、次の節について説明します。
開発環境の管理タスク開発環境では、Message Queue クライアントアプリケーションのプログラミングが作業の中心になり、プログラマは個人用のシステムを管理することが多くなります。Message Queue メッセージサーバーは、主にテストのために必要となります。開発環境では、柔軟性が重視されるため、通常、管理では次の要件が適用されます。
本稼動環境の管理タスク本稼動環境では、アプリケーションは確実に配置および実行される必要があるため、管理はより重要になります。実行する管理タスクは、メッセージングシステムの複雑さとメッセージングシステムがサポートするアプリケーションの複雑さによって異なります。一般的にこれらのタスクは、セットアップ操作とメンテナンス操作に分類することができます。
セットアップ操作
通常、次のセットアップ操作のうち少なくとも一部を実行する必要があります。
- 管理者のセキュリティ (保護された管理ツールの使用)
- 承認: 特定の個人またはグループが管理接続サービスにアクセスし、デッドメッセージキューからメッセージを消費できます (「コネクションサービスのアクセス制御」と「物理的な送信先のアクセス制御」を参照)。
- デフォルトの管理ユーザー (admin) と、ファイルベースのユーザーリポジトリを使用している場合、ユーザーパスワードを変更します (「デフォルトの管理者パスワードの変更」を参照)。
- グループを認証している場合、各管理者がそのグループに所属していることを確認します。
- ファイルベースのユーザーリポジトリ
ファイルベースのユーザーリポジトリには、管理者グループが 1 つ含まれています (admin)。新しく管理ユーザーを作成する場合、新しいユーザーが admin グループに属していることを確認してください。
- LDAP ユーザーリポジトリ
LDAP サーバーでグループを作成するか、既存のグループを使用します。管理者権限を付与するユーザーがグループのメンバーであること、またその場合はそのグループのメンバーに管理接続を許可していることを確認します。
詳細は、「ユーザーリポジトリに LDAP サーバーを使用する」を参照してください。
- 全般的なセキュリティ (第 7 章「セキュリティの管理」を参照)
- 承認: アクセス制御プロパティファイルのアクセス設定を変更します。
- 暗号化: SSL ベースのコネクションサービスを設定します (「SSL ベースのサービスの操作」を参照)。
- 管理対象オブジェクト (第 8 章「管理対象オブジェクトの管理」を参照)
- ブローカのクラスタ (第 9 章「ブローカクラスタを使用した作業」を参照)
- 持続: ブローカによるプラグイン持続または組み込み持続の使用を許可するかを決定し、必要なストアを設定します (「持続ストアの設定」を参照)。
- メモリー管理: メッセージ数とメッセージに割り当てられるメモリー量が使用可能なブローカのメモリーリソース内に納まるように送信先属性を設定します (表 15-1 を参照)。
メンテナンス操作
本稼動環境では、Message Queue メッセージサーバーのリソースを厳しく監視し、制御する必要があります。アプリケーションのパフォーマンス、信頼性、およびセキュリティが重視されるため、次に示すさまざまな運用タスクを Message Queue の管理ツールを使用して実行する必要があります。
- アプリケーション管理
- imq.autocreate.queue プロパティと imq.autocreate.topic プロパティの値を設定して、ブローカの自動作成機能を無効にする (「メッセージルーターのプロパティ」を参照)。
- アプリケーションのために、物理的送信先を作成する (第 6 章「物理的送信先の管理」を参照)。
- 送信先へのユーザーアクセスを設定する (「ユーザーの承認: アクセス制御プロパティファイル」を参照)。
- 送信先を監視および管理する (「永続サブスクリプションの管理」を参照)。
- 永続サブスクリプションを監視および管理する (「永続サブスクリプションの管理」を参照)。
- トランザクションを監視および管理する (「トランザクションの管理」を参照)。
- ブローカの管理および調整
- ブローカのメトリックスを使用して、ブローカの調整および再設定を行う (第 11 章「メッセージサービスの分析と調整」を参照)。
- ブローカのメモリーリソースを管理する (第 11 章「メッセージサービスの分析と調整」を参照)。
- クラスタにブローカを追加して、ロードバランスを実行する (第 9 章「ブローカクラスタを使用した作業」を参照)。
- 障害が発生したブローカを復元する (「ブローカのインタラクティブな起動」を参照)。
- アプリケーションの管理
- 必要に応じて、追加のコネクションファクトリと送信先の管理対象オブジェクトを作成する (「管理対象オブジェクトの追加および削除」を参照)。
- ConnectionFactory 属性の値を調整して、Java クライアントアプリケーションの正しい動作を確実にする (第 8 章「管理対象オブジェクトの管理」を参照)。
管理ツールMessage Queue の管理ツールは 2 つの種類に分けられます。
コマンド行ユーティリティ
この節では、Message Queue の管理タスクを実行する際に使用するコマンド行ユーティリティについて説明します。ブローカの起動と管理、その他の特殊な管理タスクを実行する場合に、Message Queue のユーティリティを使用します。
図 1-1 ローカルおよびリモートの管理ユーティリティ
Message Queue のユーティリティはすべて、コマンド行インタフェース (CLI) からアクセスできます。ユーティリティコマンドは、この章の後半で説明するように、共通の形式、構文規則、およびオプションを共有します。コマンド行ユーティリティの使い方の参照情報は、第 13 章「コマンドのリファレンス」で説明しています。
ブローカ (imqbrokerd) ブローカを起動するには、ブローカユーティリティを使用します。imqbrokerd コマンドのオプションを使用して、クラスタ内でブローカを接続するかどうかを指定したり、起動時にブローカで使用される追加の設定情報を指定したりします。
コマンド (imqcmd) ブローカの起動後に、コマンドユーティリティを使用して物理的送信先の作成、更新、および削除、ブローカとブローカのコネクションサービスの管理、およびブローカのリソースの管理を行います。
オブジェクトマネージャ (imqobjmgr) オブジェクトマネージャユーティリティを使用して、JNDI を介したアクセスが可能なオブジェクトストア内の管理対象オブジェクトの追加、一覧表示、更新、および削除を行います。管理対象オブジェクトを使用すると、JMS プロバイダ固有の命名および設定形式から独立するため、JMS クライアントはプロバイダに依存しなくなります。
ユーザーマネージャ (imqusermgr) ユーザーマネージャユーティリティを使用して、ユーザーの認証および承認に使用するファイルベースのユーザーリポジトリを設定します。
キーツール (imqkeytool) キーツールユーティリティを使用して、SSL 認証で使用される自己署名型証明書を生成できます。
データベースマネージャ (imqdbmgr) データベースマネージャユーティリティを使用して、持続ストレージ用の JDBC 互換のデータベースを作成および管理します。
サービス管理 (imqsvcadmin) サービス管理ユーティリティを使用して Windows のサービスとして、ブローカをインストール、クエリー、および削除します。
管理コンソール
管理コンソールは、コマンドユーティリティ (imqcmd) とオブジェクトマネージャユーティリティ (imqobjmgr) の 2 つのコマンド行ユーティリティの機能が組み合わされたものです。
管理コンソールおよび、これらの 2 つのコマンド行ユーティリティを使用すると、ブローカをリモートで管理したり、Message Queue の管理対象オブジェクトを管理したりすることができます。その他のコマンド行ユーティリティ (imqusermgr、imqdbmgr、および imqkeytool) は、図 1-1 に示すように、関連するブローカと同じホスト上で実行する必要があります。
管理コンソールに関する情報は、オンラインヘルプから入手できます。特殊なタスクを実行するのに一般的に使用するコマンド行ユーティリティについては、「コマンド行ユーティリティ」で説明します。
管理コンソールを使用すると、次のタスクを実行できます。
管理コンソールでは、実行できないタスクがいくつかあります。これには、ブローカの起動、ブローカのクラスタの作成、ブローカと物理的送信先の特殊なプロパティの設定、ユーザーデータベースの管理などが挙げられます。
第 2 章「管理のクイックスタート」では、管理コンソールについて説明し、管理コンソールを使用した基本的なタスクの実行方法を示した簡単で実践的な演習が用意されています。