『OpenBoot(TM) 2.x コマンド・リファレンスマニュアル』では、Sun(TM) システムの起動 PROM の一部である OpenBoot 2.x ファームウェアについて説明します。
OpenBoot ファームウェアの機能は、システム管理者や開発者だけでなく、エンドユーザーも使用できます。このマニュアルは、OpenBoot 2.x ファームウェアを使用してシステムを構成したりデバッグするすべてのユーザーを対象にしています。
このマニュアルでは、OpenBoot ファームウェアを使用して次の作業を行う方法について説明します。
オペレーティングシステムの起動
診断の実行
システムを起動するためのシステム変数の変更
プログラムの読み込みと実行
障害追跡
Forth プログラムを作成したり、このファームウェアの (デバッグ機能などの) より高度な機能を使用する読者のために、このマニュアルではさらに OpenBoot の Forth インタプリタのコマンドについても説明します。
このマニュアルでは、読者がバージョン 2.x の OpenBoot PROM を搭載する SPARC(R) システムを使用しているものとしています。このマニュアルで説明するツールや機能には、2.x より前の SPARC システムの PROM にはないものがあります。SPARCstation(TM) 1、SPARCstation IPC(TM) または、2. x より前のバージョンの PROM を使用しているシステムの場合、このマニュアルの前のバージョンである『Open Boot PROM Toolkit User's Guide』を参照してください。なお、このマニュアルの付録 C には、サポートされていないコマンドの一覧が載せてあります。
このマニュアルの構成は次のとおりです。
第 1 章「概要」では、OpenBoot ファームウェアのユーザーインタフェースなど、主要な機能について説明します。
第 2 章「システムの起動とテスト」では、OpenBoot ファームウェアを使用する最も一般的な作業を説明します。
第 3 章「システム変数の設定」では、NVRAM 変数を使ってどのようにシステム管理作業を実行するかについて、詳細に説明します。
第 4 章「Forth ツールの使用方法」では、OpenBoot の Forth 言語の基本、および高度な機能について説明します。
第 5 章「プログラムの読み込みと実行」では、(Ethernet、ディスク、シリアルポートなどの) 様々なソースからプログラムを読み込み実行する方法について説明します。
第 6 章「デバッグ」では、逆アセンブラ、Forth のソースレベルデバッガ、ブレークポイントを含む OpenBoot ファームウェアのデバッグ機能について説明します。
付録 A 「端末エミュレータを使うテスト」では、どのようにシリアルポートを使用してシステムを別のサンTM システムに接続するかについて説明します。
付録 B 「起動可能なフロッピーディスクの作成」では、プログラムやファイルを読み込める起動可能なフロッピーディスクを作成する方法について説明します。
付録 C 「サポートされていないコマンド」では、以前の OpenBoot システムでは利用できなかったコマンド、それらコマンドの機能を実現するための対処方法の一覧を示します。
付録 D 「障害追跡ガイド」では、オペレーティングシステムを起動できない代表的な状況に対する解決方法について検討します。
付録 E 「Forth ワードリファレンス 」には、現在サポートされているすべての OpenBoot の Forth コマンドを示します。
このマニュアルと関連するマニュアル :
『OpenBoot 2.x の手引き』
この手引きは、よく使用される OpenBoot Forth コマンドの要約一覧です。
FCode、つまり SBus カードを使用するための OpenBoot 2.x ファームウェアに実装された Forth についての詳細は、次のサンマニュアルを参照してください。
『Writing FCode 2.x Programs』
Forth 言語についての詳細は、次の刊行書をお読みください。
「ANSI X3.215-1994, American National Standard for Information Systems-Programming Languages-FORTH.」
『Starting FORTH』- 原書 (初版および第 2 版)
Leo Brody. FORTH, Inc., second edition, 1987.
Prentice-Hall Software Series
Eaglewood Cliffs, New Jersey 07632
『FORTH 入門』- 翻語版 (初版のみ)
レオ・ブロディ著
原道宏訳
工学社出版
『Starting Forth』の第 2 版 (未訳) では、現在の Forth の標準仕様である Forth 83 について説明しています。
上記の刊行書で説明している Forth のバージョンと、このマニュアルで説明しているバージョンにはいくつかの相違があります。特に起動 PROM Forth モニター は、16 ビットでなく、32 ビット版を使用しています。さらに、この刊行書で説明しているテキストエディタは、Forth モニターのエディタと異なります。
このマニュアルで使用する書体と記号について説明します。
表 P-1 このマニュアルで使用している書体と記号
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コーディング例。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% You have mail. |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して表します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
コマン行の可変部分。実際の名前または実際の値と置き換えてください。 |
rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『SPARCstorage Array ユーザーマニュアル』 |
「 」 |
参照する章、節、または強調する単語を示します。 |
第 6 章「データの管理」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
% |
UNIX の C シェルのプロント。 |
system% |
$ |
UNIX の Bourne シェルとKorn シェルのプロンプト。 |
system$ |
# |
スーパーユーザーのプロンプト ( シェルの種類を問わな問わない)。 |
system# |
¥ |
枠で囲まれたコーディング例で、テキストがページ行幅をこえる場合、バックスラッシュは継続を示します。 |
grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |