この章では、ネットワーク環境でのサーバーとクライアントの管理について説明し、Solaris 環境でサポートされる各システム構成 (「システムタイプ」と呼びます) に関する情報を記載します。また、目的に合った最適なシステムを選択するためのガイドラインも示します。
この章の内容は次のとおりです。
AutoClientTM とディスクレスシステムは、Solaris 8 リリースではサポートされません。既存のクライアントシステムの管理については、『Solstice AdminSuite 2.3 管理者ガイド』を参照してください。
ネットワーク上のシステムは、次の 2 つに分類できます。
サーバー - ネットワーク上の他のシステムにサービスを提供するシステムです。ファイルサーバー、ブートサーバー、データベースサーバー、ライセンスサーバー、印刷サーバー、インストールサーバー、さらに、特定のアプリケーション用のサーバーなどもあります。この章では、サーバーとは、ネットワーク上の他のシステムにファイルシステムとインストールソフトウェアを提供するシステムのことを意味します。
クライアント - サーバーから提供されるリモートサービスを利用するシステムです。クライアントによってはディスク容量に制限があったり、まったくディスクを持たず、サーバーから提供されるファイルシステムに依存するものもあります。
またサーバーが提供するリモートサービス (インストールソフトウェアなど) を利用しながらも、サーバーに依存しなくても機能するクライアントもあります。この種類のクライアントの例として、ルート (/)、/usr、/export/home ファイルシステムとスワップ空間をそのハードディスクに含むスタンドアロンシステムがあります。
「システムにサポートを提供する」とは、他のシステムを動作させるために必要な適切なソフトウェアとサービスを提供することです。これには次のものが含まれます。
システムをネットワークに認識させる (ホスト名とイーサネットアドレス情報)。
システムをリモートからインストールおよびブートできるインストールサービスを提供する。
ディスク領域が限られているか、まったくないシステムに、オペレーティングシステム (OS) のサービスを提供する。
システムタイプは基本的に、ルート (/) と /usr ファイルシステム (スワップ領域を含む) にアクセスする方法によって決まります。たとえば、スタンドアロンとサーバーシステムでは、これらのファイルシステムをローカルディスクからマウントしていますが、その他のクライアントでは、これらのファイルシステムをリモートからマウントし、サーバーから提供されるサービスに依存しています。表 5-1 に、各システムタイプの相違点を要約します。
表 5-1 システムタイプの概要
システムタイプ |
ローカルファイルシステム |
ローカルスワップ領域 |
リモートファイルシステム |
ネットワーク利用度 |
相対パフォーマンス |
---|---|---|---|---|---|
サーバー |
ルート (/) /usr /home /opt /export/home /export/root |
あり |
なし |
高 |
高 |
スタンドアロン |
ルート (/) /usr /export/home |
あり |
なし |
低 |
高 |
JavaStationTM |
なし |
なし |
/home |
低 |
高 |
ルート (/) と /usr ファイルシステム、およびスワップ領域。
/export、/export/swap、/export/home の各ファイルシステム。これらのファイルシステムはクライアントシステムをサポートし、ユーザーにホームディレクトリを提供します。
アプリケーションソフトウェアを格納する /opt ディレクトリまたはファイルシステム。
サーバー上には、他のシステムをサポートするために次のソフトウェアも格納できます。
ネットワークに接続されたシステムがリモートインストールを実行するのに必要な Solaris CD のイメージとブート用ソフトウェア。
ネットワークに接続されたシステムが カスタム JumpStart インストールを行うのに必要な JumpStart ディレクトリ。
「ネットワークに接続されたスタンドアロンシステム」は、ネットワーク上の他のシステムと情報を共有できますが、ネットワークから切り離されても機能できます。
スタンドアロンシステムは、ルート (/)、/usr、/export/home の各ファイルシステムとスワップ空間を含むハードディスクを自ら持つため、独立して動作できます。つまり、スタンドアロンシステムは、オペレーティングシステムのソフトウェア、実行可能ファイル、仮想メモリ空間、ユーザーが作成したファイルにローカルにアクセスできます。
スタンドアロンシステムに必要な 4 つのファイルシステムを保持するには、十分なディスク領域が必要です。
「ネットワークに接続されないスタンドアロンシステム」は、ネットワークに接続されていない点を除き、ネットワークに接続されたスタンドアロンシステムと同じです。
JavaStation は、システム管理が不要になるように設計されたクライアントです。このクライアントは Java(TM) を最適化します。つまり、JavaStation クライアントはネットワークの利点を活用して、Java アプリケーションとそのサービス、完全に統合されたシステムとネットワーク管理を提供します。JavaStation にはローカルの管理が必要ありません。つまり、ブート、管理、データの格納は、サーバーが処理します。