この章では、最も一般的なシステム情報を確認および変更するために必要な手順を示します。
表 27-1 に、一般的なシステム情報を表示するためのコマンドを示します。
表 27-1 システム情報を表示するためのコマンド
コマンド |
表示できるシステム情報 |
---|---|
psrinfo(1M) |
プロセッサタイプ |
isainfo(1) |
サポートされるアプリケーション、および動作しているシステムのネイティブアプリケーションによってサポートされるビット数。ビット数は、トークンとしてスクリプトに渡すことができる |
showrev(1M) |
ホスト名、ホスト ID 番号、リリース、カーネルアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、ハードウェアプロバイダ、ドメイン、およびカーネルのバージョン |
uname(1) |
オペレーティングシステム名、リリース、バージョン、ノード名、ハードウェア名、プロセッサタイプ |
hostid(1) |
ホスト ID 番号 |
prtconf(1) |
インストールされているメモリー量 |
date(1) |
日付と時刻 |
現在、64 ビット Solaris オペレーティング環境をサポートするプラットフォームは UltraSPARC システムだけです。システムが UltraSPARC システムか調べるには、次のコマンドを使用します。
$ uname -m sun4u |
uname -m コマンドの出力が sun4u なら、そのマシンは UltraSPARC システムです。
Solaris 8 リリースを実行している場合は、psrinfo コマンドを次のように使用します。
# psrinfo -v Status of processor 0 as of: 07/12/99 09:41:47 Processor has been on-line since 07/08/99 13:51:11. The sparcv9 processor operates at 333 MHz, and has a sparcv9 floating point processor. |
プロセッサタイプが sparcv9 であれば、そのプラットフォームで 64 ビット Solaris オペレーティング環境が実行できます。以前のバージョンの psrinfo コマンドでは、すべてのプラットフォームがプロセッサタイプ sparc として報告されるため、この検査は機能しません。
システムで 64 ビット Solaris 機能が有効になっているか調べるには isainfo コマンドが使用できます。有効になっていれば、システムは 64 ビットカーネルでブートされています。
32ビットカーネルが動作する UltraSPARC システムは、次のように表示されます。
$ isainfo -v 32-bit sparc applications |
この出力は、システムが 32 ビットアプリケーションだけをサポートすることを示します。
64 ビットカーネルが動作する UltraSPARC システムは、次のように表示されます。
$ isainfo -v 64-bit sparcv9 applications 32-bit sparc applications |
この出力は、システムが 32 ビットと 64 ビットのアプリケーションを両方サポートすることを示しています。
動作しているシステムのネイティブアプリケーションによってサポートされるビット数を表示するには、isainfo -b コマンドを使用します。
32 ビット Solaris オペレーティング環境が動作する SPARC、IA、UltraSPARC システムは、次のように表示されます。
$ isainfo -b 32 |
64 ビット Solaris オペレーティング環境が動作する 64 ビット UltraSPARC システムは、次のように表示されます。
$ isainfo -b 64 |
コマンドは 64 だけを返します。64 ビット UltraSPARC システムでは 32 ビットと 64 ビットのアプリケーションが両方動作しますが、64 ビットシステムで実行するには 64 ビットアプリケーションが最適です。
uname -p コマンドは sparc または i386 を返します。これは、既存の 32 ビットアプリケーションが問題なく動作することを示します。
特定のシステムとソフトウェアのリリース情報を表示するには、showrev コマンドを使用します。
$ showrev [-a] |
-a |
利用できるすべてのシステムおよびリリース情報を表示する |
次の例は、showrev コマンドの出力を示します。
$ showrev -a Hostname: starbug Hostid: nnnnnnnn Release: 5.8 Kernel architecture: sun4u Application architecture: sparc Hardware provider: Sun_Microsystems Domain: solar.com Kernel version: SunOS 5.8 s28_26 February 2000 OpenWindows version: OpenWindows Version 3.6.2 9 August 1999 No patches are installed $ |
システム情報を表示するには、uname コマンドを使用します。
$ uname[-a] |
-a |
オペレーティングシステム名とともに、システムノード名、オペレーティングシステムのリリース、オペレーティングシステムのバージョン、ハードウェア名、プロセッサタイプを表示する |
次の例は、uname コマンドの出力を示します。
$ uname SunOS $ uname -a SunOS starbug 5.8 Generic sun4u sparc SUNW,Ultra-5_10 $ |
ホスト ID 番号を 16 進形式で表示するには、hostid コマンドを使用します。
$ hostid |
次の例は、hostid コマンドの出力を示します。
$ hostid 80a5d34c |
システムにインストールされているメモリー量を表示するには、prtconf コマンドを使用します。
$ prtconf [| grep Memory] |
grep Memory |
コマンド出力をメモリー情報だけに限定する |
# prtconf | grep Memory Memory size: 128 Megabytes |
システムクロックに従った現在の日付と時刻を表示するには、date コマンドを使用します。
$ date |
$ date Thu Sep 16 14:06:44 MDT 1999 $ |
表 27-2 に、一般的なシステム情報を変更できるコマンドのマニュアルページと説明を示します。
表 27-2 システム情報を変更するためのコマンド
コマンド |
変更できるシステム情報 |
---|---|
日付と時刻を別のシステムの日付と時刻に合わせる |
|
日付と時刻を自分の指定に合わせる |
これらのコマンドを使用することにより、システムの日付と時刻を設定して、サーバーなどの別のシステムの日付と時刻に同期させることができます。また、新しい日付と時刻を指定して、システムの日付と時刻を変更することもできます。
その日のメッセージ (MOTD) は /etc/motd に置かれています。この機能を使用すると、ログイン時のシステムメッセージによりすべてのユーザーに通知や問い合わせを送ることができます。ただし、この機能を使用するときは、常に必要なメッセージだけを送ります。メッセージファイルは定期的に編集し、無用になったメッセージを削除するようにしてください。
/etc/system ファイルを編集することにより、次の作業が行えます。
Solaris 2.6 以降、Solaris ソフトウェアには Delaware 大学の Network Time Protocol (NTP) 公開ドメインソフトウェアが添付されています。
NTP を使用すると、ネットワーク環境における正確な時間やネットワーク時間の同期を管理できます。xntpd デーモンは、UNIX システムの時間を インターネット標準時間サーバーの時間と合うように調整し、保守します。xntpd デーモンは、RFC 1305 に規定されている Network Time Protocol バージョン 3 標準を完全に実装しています。
xntpd デーモンは、システムの起動時に /etc/inet/ntp.conf ファイルを読み取ります。構成オプションの詳細は、xntpd(1M) のマニュアルページを参照してください。NTP サーバーとクライアントの設定手順については、次の節を参照してください。
ネットワークで NTP を使用する場合、次のことを考慮してください。
xntpd デーモンは最小限のシステム資源だけしか使用しません。
NTP クライアントはブート時に自動的に同期します。同期が取れなくなった場合は、タイムサーバーにアクセスしたときに再度同期を取ります。
スーパーユーザーになります。
/etc/inet ディレクトリに移動します。
ntp.server ファイルを ntp.conf ファイルにコピーします。
# cp ntp.server ntp.conf |
/etc/init.d ディレクトリに移動します。
xntpd デーモンを起動します。
# ./xntpd start |
スーパーユーザーになります。
/etc/inet ディレクトリに移動します。
ntp.client ファイルを ntp.conf ファイルにコピーします。
# cp ntp.client ntp.conf |
/etc/init.d ディレクトリに移動します。
xntpd デーモンを起動します。
# ./xntpd start |
日付と時刻を設定し直して他のシステムと同期させるには、rdate コマンドを使用します。
# rdate another-system |
another-system |
別のシステム名 |
date コマンドを使用してシステムの日付と時刻を調べ、システムの日付と時刻が正しく変更できたことを確認します。
出力は同期させたシステムの日付と時刻に一致します。
次の例は、rdate を使用してシステムの日付と時刻を別のシステムに同期させる方法を示します。次の例は、数時間遅れていたシステム earth の日付と時刻をサーバー starbug の日付と時刻に一致させます。
earth# date Thu Sep 16 11:08:27 MDT 1999 earth# rdate starbug Thu Sep 16 14:06:37 1999 earth# date Thu Sep 16 14:06:40 MDT 1999 |
次のように新しい日付と時刻を入力します。
# date mmddHHMM[[cc]yy] |
mm |
月。2 桁を使用 |
dd |
日。2 桁を使用 |
HH |
時。2 桁で 24 時間制を使用 |
MM |
分。2 桁を使用 |
cc |
世紀。2 桁を使用 |
yy |
年。2 桁を使用 |
オプションを指定せずに date コマンドを実行し、システムの日付と時刻をチェックして、システムの日付と時刻が正しくリセットされていることを確認します。
出力は、他のシステムと同じ日付と時刻を示します。
次の例は、date コマンドを使用して手作業でシステムの日付と時刻を設定する方法を示します。
# date Thu Sep 16 14:00:00 MDT 1999 # date 0916141099 Thu Sep 16 14:10:00 MDT 1999 |
エディタを使って /etc/motd ファイルを開き、必要なメッセージを追加します。
テキストを編集して、スペース、タブ、復帰改行を含めて、ユーザーログインプロセスの一部として表示されるメッセージを挿入します。
/etc/motd の内容を表示して、変更結果を確認します。
$ cat /etc/motd Welcome to the UNIX Universe. Have a nice day. |
Solaris ソフトウェアのインストール時に、デフォルトのその日のメッセージが設定されます。メッセージの内容は次のような SunOS バージョン情報です。
$ cat /etc/motd Sun Microsystems Inc. SunOS 5.8 Generic February 2000 |
次の例は、編集後の /etc/motd ファイルの内容を示します。このファイルは、ログインする各ユーザーに対してシステムの利用度に関する情報を提供します。
$ cat /etc/motd The system will be down from 7:00 a.m to 2:00 p.m.on Saturday, July 10, for upgrades and maintenance. Do not try to access the system during those hours. Thank you... |
スーパーユーザーになります。
エディタを使って /etc/system ファイルを開き、次の行を追加します。
set maxuprc=value |
value |
1 人のユーザーが同時に実行できるプロセス数 |
maxuprc の値が変更されていることを確認します。
# grep maxuprc /etc/system set maxuprc=100 |
システムをリブートします。
次の例は、各ユーザーが 100 プロセスを実行できるようにする場合に、/etc/system ファイルに追加する行を示します。
set maxuprc=100
スーパーユーザーになります。
エディタを使って /etc/system ファイルを開き、次の変数を追加して共有メモリセグメントを増やします。
set shmsys:shminfo_shmmax=value set shmsys:shminfo_shmmin=value set shmsys:shminfo_shmmni=value set shmsys:shminfo_shmseg=value set semsys:seminfo_semmap=value set semsys:seminfo_semmni=value set semsys:seminfo_semmns=value set semsys:seminfo_semmsl=value set semsys:seminfo_semmnu=value set semsys:seminfo_semume=value |
共有メモリーの値が変更されていることを確認します。
# grep shmsys /etc/system |
# init 6 |
次の共有メモリー値は、大きなデータベースアプリケーションを実行するために、大容量のメモリー (たとえば 128M バイト) を搭載したシステムに適用されます。
set shmsys:shminfo_shmmax=268435456 set shmsys:shminfo_shmmin=200 set shmsys:shminfo_shmmni=200 set shmsys:shminfo_shmseg=200 set semsys:seminfo_semmap=250 set semsys:seminfo_semmni=500 set semsys:seminfo_semmns=500 set semsys:seminfo_semmsl=500 set semsys:seminfo_semmnu=500 set semsys:seminfo_semume=100 |