この章では、使用していないファイルや大きなディレクトリを見つけることにより、ディスク容量を最適化する方法を示します。この章で説明する手順は次のとおりです。
df コマンドとそのオプションを使用して、空きディスクブロック数とファイル数のレポートを得ることができます。詳細は、df(1M) のマニュアルページを参照してください。
次のように df コマンドを入力して、ディスク容量の利用状況に関する情報を表示します。
$ df [directory] [-F fstype] [-g] [-k] [-t] |
df |
オプションを指定しない場合、マウントされている全ファイルシステム、それらの装置名、使用されている 512 バイトのブロックの合計数、ファイル数のリストを表示する |
directory |
ファイルシステムを確認したいディレクトリ。装置名、使用ブロック数、ファイル数を表示する |
-F fstype |
マウントされていないファイルシステム、それらの装置名、使用されている 512 バイトのブロック数、タイプ fstype のファイルシステム上のファイル数のリストを表示する |
-g |
マウントされている全ファイルシステムの statvfs 構造を表示する |
-k |
ファイルシステム、使用されている K バイト数、空き K バイト数、容量の利用率、マウントポイントのリストを表示する |
-t |
マウントされている全ファイルシステムの合計ブロック数と使用されているブロック数を表示する |
次の例では、/usr/local を除き、すべてのファイルシステムがローカルでマウントされています。/usr/local はシステム mars からリモートにマウントされています。
$ df / (/dev/dsk/c0t0d0s0 ): 287530 blocks 92028 files /usr (/dev/dsk/c0t0d0s6 ): 1020214 blocks 268550 files /proc (/proc ): 0 blocks 878 files /dev/fd (fd ): 0 blocks 0 files /etc/mnttab (mnttab ): 0 blocks 0 files /var/run (swap ): 396016 blocks 9375 files /tmp (swap ): 396016 blocks 9375 files /opt (/dev/dsk/c0t0d0s5 ): 381552 blocks 96649 files /export/home (/dev/dsk/c0t0d0s7 ): 434364 blocks 108220 files /usr/dist (venus:/usr/dist ):14750510 blocks 2130134 files |
次の例では、ファイルシステム、合計 K バイト数、使用されている K バイト数、使用可能な K バイト数、容量の利用率、マウントポイントが表示されています。
$ df -k Filesystem kbytes used avail capacity Mounted on /dev/dsk/c0t0d0s0 192807 49042 124485 29% / /dev/dsk/c0t0d0s6 1190551 680444 450580 61% /usr /proc 0 0 0 0% /proc fd 0 0 0 0% /dev/fd mnttab 0 0 0 0% /etc/mnttab swap 198056 0 198056 0% /var/run swap 198064 8 198056 1% /tmp /dev/dsk/c0t0d0s5 192807 2031 171496 2% /opt /dev/dsk/c0t0d0s7 217191 9 195463 1% /export/home venus:/usr/dist 20612581 13237326 6963005 66% /usr/dist |
次の例は、上の例と同じシステムに関する情報を示していますが、表示されているのは UFS ファイルシステムの情報だけです。
$ df -F ufs / (/dev/dsk/c0t0d0s0 ): 287530 blocks 92028 files /usr (/dev/dsk/c0t0d0s6 ): 1020214 blocks 268550 files /opt (/dev/dsk/c0t0d0s5 ): 381552 blocks 96649 files /export/home (/dev/dsk/c0t0d0s7 ): 434364 blocks 108220 files |
/proc と /tmp はローカルファイルシステムですが、UFS ファイルシステムではありません (/proc は PROCFS ファイルシステム、/var/run および /tmp は TMPFS ファイルシステム、 /etc/mnttab は MNTFS ファイルシステムです)。
次の例は、マウントされているすべてのファイルシステム、装置名、使用されている 512 バイトブロックの合計数、ファイル数を示しています。2 行構成の各エントリの 2 行目は、それぞれのファイルシステムに割り当てられているブロックの合計数とファイルの合計数を示します。
$ df -t / (/dev/dsk/c0t0d0s0 ): 287530 blocks 92028 files total: 385614 blocks 96832 files /usr (/dev/dsk/c0t0d0s6 ): 1020214 blocks 268550 files total: 2381102 blocks 300288 files /proc (/proc ): 0 blocks 879 files total: 0 blocks 924 files /dev/fd (fd ): 0 blocks 0 files total: 0 blocks 72 files /etc/mnttab (mnttab ): 0 blocks 0 files total: 0 blocks 1 files /var/run (swap ): 396112 blocks 9375 files total: 396112 blocks 9395 files /tmp (swap ): 396112 blocks 9375 files total: 396128 blocks 9395 files /opt (/dev/dsk/c0t0d0s5 ): 381552 blocks 96649 files total: 385614 blocks 96832 files /export/home (/dev/dsk/c0t0d0s7 ): 434364 blocks 108220 files total: 434382 blocks 108224 files /usr/dist (venus:/usr/dist ): 14750510 blocks 2130134 files total: 41225162 blocks 2482176 files |
ls コマンドを使用して、ファイルサイズを調べたりソートしたりできます。また、find コマンドを使用して、サイズの制限を超えているファイルを探すことができます。詳細は、ls(1) と find(1) のマニュアルページを参照してください。
次のように入力して、ファイルのサイズを表示します。
$ ls [-l] [-s] |
-l |
長形式でファイルとディレクトリのリストを表示し、それぞれのサイズをバイト単位で示す |
-s |
ファイルとディレクトリのリストを表示し、それぞれのサイズをブロック単位で示す |
次の例は、lastlog と messages が /var/adm ディレクトリ内のその他のファイルよりも大きいことを示します。
$ cd /var/adm $ ls -l total 144 drwxrwxr-x 5 adm adm 512 Sep 1 14:11 acct/ -rw------- 1 uucp bin 0 Sep 1 14:08 aculog -r--r--r-- 1 root root 350700 Sep 3 10:37 lastlog drwxr-xr-x 2 adm adm 512 Sep 1 14:08 log/ -rw-r--r-- 1 root root 14619 Sep 2 16:11 messages -rw-r--r-- 1 adm adm 8200 Sep 3 14:35 pacct -rw-r--r-- 1 adm adm 920 Sep 3 10:47 pacct1 drwxr-xr-x 2 adm adm 512 Sep 1 14:08 passwd/ drwxrwxr-x 2 adm sys 512 Sep 1 14:11 sa/ drwxr-xr-x 2 root sys 512 Sep 1 14:36 sm.bin/ -rw-rw-rw- 1 root bin 0 Sep 1 14:08 spellhist -rw------- 1 root root 420 Sep 3 14:17 sulog -rw-r--r-- 1 root bin 4092 Sep 3 10:37 utmpx -rw-r--r-- 1 root root 122 Sep 1 15:39 vold.log -rw-r--r-- 1 adm adm 11904 Sep 3 10:47 wtmpx |
次の例は、lpsched.1 が 2 ブロックを使用していることを示します。
$ cd /var/lp/logs $ ls -s total 2 0 lpsched 2 lpsched.1 |
次のように入力して、ファイルのサイズをブロック単位に、最も大きいものから降順に表示します。
$ ls -s | sort -nr | more |
sort -nr |
ファイルのリストをブロックサイズの最も大きなものから降順に並べる |
次の例では、lastlog と messages が /var/adm ディレクトリ内で最も大きなファイルです。
$ cd /var/adm $ ls -s | sort -nr | more 48 lastlog 30 messages 24 wtmpx 18 pacct 8 utmpx 2 vold.log 2 sulog 2 sm.bin/ 2 sa/ 2 passwd/ 2 pacct1 2 log/ 2 acct/ 0 spellhist 0 aculog total 144 |
次のように find コマンドを使用して、指定したサイズを超えるファイルを見つけてファイル名を表示します。
$ find directory -size +nnn |
directory |
ファイルを探したいディレクトリ |
-size +nnn |
512 バイトブロック数。指定したサイズを超えるファイルがリストに表示される |
次の例は、作業中のカレントディレクトリ内の 400 ブロックを超えるファイルをどのように見つけるかを示します。
$ find . -size +400 -print ./Howto/howto.doc ./Howto/howto.doc.backup ./Howto/howtotest.doc ./Routine/routineBackupconcepts.doc ./Routine/routineIntro.doc ./Routine/routineTroublefsck.doc ./.record ./Mail/pagination ./Config/configPrintadmin.doc ./Config/configPrintsetup.doc ./Config/configMailappx.doc ./Config/configMailconcepts.doc ./snapshot.rs |
du コマンドとそのオプションを使用してディレクトリのサイズを表示できます。さらに quot コマンドを使用すれば、ユーザーアカウントによって占められるローカル UFS ファイルシステム上のディスク容量のサイズを知ることができます。これらのコマンドの詳細は、du(1M) と quot(1M) のマニュアルページを参照してください。
次のように du コマンドを入力して、1 つ以上のディレクトリ、サブディレクトリ、ファイルのサイズを表示します。サイズは 512 バイトブロック単位で表示されます。
$ du [-as] [directory ...] |
du |
指定した各ディレクトリとそれらの下の各サブディレクトリのサイズを合わせて表示する |
-a |
指定したディレクトリ内の各ファイルと各サブディレクトリのサイズと合計ブロック数を表示する |
-s |
指定したディレクトリ内の合計ブロック数を表示する |
directory ... |
調べたい 1 つ以上のディレクトリを指定する |
次の例は、2 つのディレクトリとそれらのすべてのサブディレクトリのサイズを表示します。
$ du -s /var/adm /var/spool/lp 130 /var/adm 40 /var/spool/lp |
次の例は、2 つのディレクトリとそれらのすべてのサブディレクトリとファイルのサイズ、および各ディレクトリ内の合計ブロック数を表示します。
$ du /var/adm /var/spool/lp 2 /var/adm/log 2 /var/adm/passwd 2 /var/adm/acct/fiscal 2 /var/adm/acct/nite 2 /var/adm/acct/sum 8 /var/adm/acct 2 /var/adm/sa 2 /var/adm/sm.bin 130 /var/adm 4 /var/spool/lp/admins 2 /var/spool/lp/fifos/private 2 /var/spool/lp/fifos/public 6 /var/spool/lp/fifos 2 /var/spool/lp/requests/starbug 4 /var/spool/lp/requests 2 /var/spool/lp/system 2 /var/spool/lp/tmp/starbug 2 /var/spool/lp/tmp/.net/tmp/starbug 4 /var/spool/lp/tmp/.net/tmp 2 /var/spool/lp/tmp/.net/requests/starbug 4 /var/spool/lp/tmp/.net/requests 10 /var/spool/lp/tmp/.net 14 /var/spool/lp/tmp 40 /var/spool/lp |
次のように入力して、ユーザー、ディレクトリまたはファイルシステム、1024 バイト単位のブロック数を表示します。
# quot [-a] [filesystem] |
-a |
マウントされている各 UFS ファイルシステムの全ユーザーと 1024 バイト単位のブロック数を表示する |
filesystem |
UFS ファイルシステム。ユーザーと使用されているブロック数が表示される |
quot コマンドは、ローカル UFS ファイルシステムに対してだけ使用できます。
次の例では、ルート (/) ファイルシステムのユーザーが表示され、次にマウントされているすべての UFS ファイルシステムのユーザーが表示されます。
# quot / /dev/rdsk/c0t0d0s0: 43340 root 3142 rimmer 47 uucp 35 lp 30 adm 4 bin 4 daemon # quot -a /dev/rdsk/c0t0d0s0 (/): 43340 root 3150 rimmer 47 uucp 35 lp 30 adm 4 bin 4 daemon /dev/rdsk/c0t0d0s6 (/usr): 460651 root 206632 bin 791 uucp 46 lp 4 daemon 1 adm /dev/rdsk/c0t0d0s7 (/export/home): 9 root |
ファイルの数が非常に多くなったファイルシステムを整理する場合、最近使用されていないファイルを見つけて削除します。使用されていないファイルは ls または find コマンドを使用して見つけることができます。詳細は、ls(1) と find(1) のマニュアルページを参照してください。
ディスク容量を節約するその他の方法としては、/var/tmp または /var/spool 内にあるような一時ファイルを空にしたり、core ファイルやクラッシュダンプファイルを削除したりするなどが含まれます。これらのファイルの詳細は、第 39 章「システムクラッシュ情報の生成と保存」を参照してください。
次のように ls -t コマンドを使用して、最も最近に作成または変更されたファイルから順番にファイルのリストを表示します。
$ ls -t [directory] |
-t |
最新タイムスタンプをリストの最初としてソートする |
directory |
ファイルを探したいディレクトリ |
次の例は、ls -t をどのように使用して /var/adm ディレクトリ内の最新のファイルを見つけるかを示しています。sulog が最も新しく作成または変更されたファイルです。
$ ls -tl /var/adm total 134 -rw------- 1 root root 315 Sep 24 14:00 sulog -r--r--r-- 1 root other 350700 Sep 22 11:04 lastlog -rw-r--r-- 1 root bin 4464 Sep 22 11:04 utmpx -rw-r--r-- 1 adm adm 20088 Sep 22 11:04 wtmpx -rw-r--r-- 1 root other 0 Sep 19 03:10 messages -rw-r--r-- 1 root other 0 Sep 12 03:10 messages.0 -rw-r--r-- 1 root root 11510 Sep 10 16:13 messages.1 -rw-r--r-- 1 root root 0 Sep 10 16:12 vold.log drwxr-xr-x 2 root sys 512 Sep 10 15:33 sm.bin drwxrwxr-x 5 adm adm 512 Sep 10 15:19 acct drwxrwxr-x 2 adm sys 512 Sep 10 15:19 sa -rw------- 1 uucp bin 0 Sep 10 15:17 aculog -rw-rw-rw- 1 root bin 0 Sep 10 15:17 spellhist drwxr-xr-x 2 adm adm 512 Sep 10 15:17 log drwxr-xr-x 2 adm adm 512 Sep 10 15:17 passwd |
スーパーユーザーになります。
次のように入力して、指定した日数の間アクセスのないファイルを見つけて、ファイルにそれらのリストを書き込みます。
# find directory -type f[-atime + nnn] [-mtime + nnn] -print > filename |
directory |
ファイルを調べたいディレクトリ。この下のディレクトリも調べられる |
-atime +nnn |
指定した日数の間アクセスのないファイルを見つける |
-mtime +nnn |
指定した日数の間変更のないファイルを見つける |
filename |
上の手順でリストに書き込んだ使用されていないファイルを削除します。
# rm `cat filename` |
filename |
上の手順で作成されるファイルの名前で、使用されていないファイルのリストを含む |
次の例では、/var/adm 内の通常のファイルと、最近 60 日間アクセスされていないディレクトリを見つけ、使用されていないファイルのリストを /var/tmp/deadfiles に保存しています。それらのファイルはその後 rm コマンドで削除されます。
# find /var/adm -type f -atime +60 -print > /var/tmp/deadfiles & # more /var/tmp/deadfiles /var/adm/log/asppp.log /var/adm/aculog /var/adm/spellhist /var/adm/wtmpx /var/adm/sa/sa13 /var/adm/sa/sa27 /var/adm/sa/sa11 /var/adm/sa/sa23 /var/adm/sulog /var/adm/vold.log /var/adm/messages.1 /var/adm/messages.2 /var/adm/messages.3 # rm `cat /var/tmp/deadfiles` # |
次のように入力して、/var/tmp ディレクトリに移動します。
# cd /var/tmp |
次の手順を実行する前に、正しいディレクトリにいることを確認してください。次の手順はカレントディレクトリ内のファイルをすべて削除します。
カレントディレクトリ内のファイルとサブディレクトリを削除します。
# rm -r * |
不要な一時サブディレクトリやファイル、または古いサブディレクトリやファイルがある他のディレクトリに移動して、上の手順 3 を繰り返してサブディレクトリやファイルを削除します。
次の例は、どのように /var/tmp ディレクトリを整理するかを示し、すべてのファイルとサブディレクトリが削除されたことを確認しています。
# cd /var/tmp # ls deadfiles wxconAAAa0003r:0.0 wxconAAAa000NA:0.0 test_dir wxconAAAa0003u:0.0 wxconAAAa000cc:0.0 wxconAAAa000zs:0.0 # rm -r * # ls # |
core ファイルの探索を始めたいディレクトリに移動します。
次のように入力して、ディレクトリとサブディレクトリ内のすべての core ファイルを見つけて削除します。
# find . -name core -exec rm {} ¥; |
次の例は、どのように find コマンドを使用して jones のユーザーアカウントから core ファイルを見つけて削除するかを示します。
# cd /home/jones # find . -name core -exec rm {} ¥; |
クラッシュダンプファイルは非常に大きくなる可能性があります。したがって、必要以上に長期間保存しないでください。
次のように入力して、クラッシュダンプファイルが格納されているディレクトリに変更します。
# cd /var/crash/system |
system |
クラッシュダンプファイルを生成したシステム |
次の手順を実行する前に、正しいディレクトリにいることを確認してください。次の手順はカレントディレクトリ内のすべてのファイルを削除します。
クラッシュダンプファイルを削除します。
# rm * |
クラッシュダンプファイルが削除されていることを確認します。
# ls |
次の例は、システム venus からどのようにクラッシュダンプファイルを削除するかと、クラッシュダンプファイルが削除されているかを確認する方法を示します。
# cd /var/crash/venus # rm * # ls # |