Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

システムクラッシュ情報の管理 (作業マップ)

表 39-1 作業マップ : クラッシュダンプの管理

作業 

説明 

手順の説明 

1. 現在のクラッシュダンプ構成を表示する  

dumpadm コマンドを使用して、現在のクラッシュダンプ構成を表示する

「現在のクラッシュダンプ構成を表示する方法」

2. クラッシュダンプ構成を変更する 

dumpadm コマンドを使用して、ダンプするデータの種類、システムが専用のダンプデバイスを使用するかどうか、クラッシュダンプファイルを保存するディレクトリ、およびクラッシュダンプファイルが書き込まれた後に残っていなければならない容量を指定する

「クラッシュダンプ構成を変更する方法」

3. クラッシュダンプファイルを調べる 

crash コマンドを使用して、クラッシュダンプファイルを表示する

「クラッシュダンプを検査する方法」

4. 完全なクラッシュダンプディレクトリから復元する 

(省略可能) システムがクラッシュしたが、savecore ディレクトリに空き容量がない。それでも、一部の重要なシステムクラッシュダンプ情報を保存したい

「フルクラッシュダンプディレクトリから復元する方法 (省略可能)」

5. クラッシュダンプファイルの保存を有効または無効にする 

(省略可能) dumpadm コマンドを使用して、クラッシュダンプファイルの保存を有効または無効にする。デフォルトでは、クラッシュダンプファイルは保存される

「クラッシュダンプの保存を有効または無効にする方法 (省略可能)」

現在のクラッシュダンプ構成を表示する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. dumpadm コマンドをオプションなしで実行して、現在のクラッシュダンプ構成を表示します。


    # dumpadm
          Dump content: kernel pages
           Dump device: /dev/dsk/c0t3d0s1 (swap)
    Savecore directory: /var/pluto
      Savecore enabled: yes

    上記の出力の意味は次のとおりです。

    • ダンプの内容は、カーネルメモリーページである

    • カーネルメモリーがスワップデバイス /dev/dsk/c0t3d0s1 にダンプされる。swap -l コマンドにより、すべてのスワップ領域を識別できる

    • システムクラッシュダンプファイルは /var/crash/venus ディレクトリに保存される

    • システムクラッシュダンプファイルの保存は有効に設定されている

クラッシュダンプ構成を変更する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. dumpadm コマンドで、現在のクラッシュダンプ構成を確認します。


    # dumpadm
          Dump content: kernel pages
           Dump device: /dev/dsk/c0t3d0s1 (swap)
    Savecore directory: /var/crash/pluto
      Savecore enabled: yes

    上記の構成は、Solaris 8 リリースを実行するシステムのデフォルトダンプ構成です。

  3. dumpadm コマンドでクラッシュダンプ構成を変更します。


    # dumpadm -c content -d dump-device -m nnnk | nnnm | nnn% -n -s savecore-dir
    

    -c content

    ダンプするデータの種類、つまり、カーネルメモリーまたはすべてのメモリーのいずれかを指定する。デフォルトはカーネルメモリー 

    -d dump-device

    システムがクラッシュしたときに、ダンプデータを一時的に保存するデバイスを指定する。デフォルトのダンプデバイスは 1 次スワップデバイス  

    -m nnnk | nnnm | nnn%

    現在の savecore ディレクトリに minfree ファイルを作成することにより、クラッシュダンプファイルを保存する最小限の空き容量を指定する。このパラメタは K バイト (nnnk)、M バイト (nnnm)、またはファイルシステムサイズのパーセント (nnn%) で指定できる。savecore コマンドは、クラッシュダンプファイルを書き込む前にこのファイルを調べる。クラッシュダンプファイルを書き込むと空き容量が minfree の値より少なくなる場合、ダンプファイルは書き込まれず、エラーメッセージが記録される。このような問題を解決するには、「フルクラッシュダンプディレクトリから復元する方法 (省略可能)」を参照

    -n

    システムがリブートするときに、savecore を実行しないように指定する。このダンプ構成は推奨できない。システムクラッシュ情報がスワップデバイスに書き込まれているときに、savecore が実行されないと、クラッシュダンプ情報はシステムがスワップを開始すると上書きされる

    -s

    クラッシュダンプファイルを保存する別のディレクトリを指定する。デフォルトのディレクトリは /var/crash/hostname で、hostnameuname -n コマンドの出力

例 -クラッシュダンプ構成を変更する

次の例は、すべてのメモリーを専用のダンプデバイス /dev/dsk/c0t1d0s1 にダンプします。また、クラッシュダンプファイルを保存した後に残っていなければならない最小空き容量は、ファイルシステム容量の 10% です。


# dumpadm
      Dump content: kernel pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t3d0s1 (swap)
Savecore directory: /var/crash/pluto
  Savecore enabled: yes
# dumpadm -c all -d /dev/dsk/c0t1d0s1 -m 10%
      Dump content: all pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t1d0s1 (dedicated)
Savecore directory: /var/crash/pluto (minfree = 77071KB)
  Savecore enabled: yes

クラッシュダンプを検査する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. crash ユーティリティを使用して、クラッシュダンプを検査します。


    # /usr/sbin/crash [-d crashdump-file] [-n name-list] [-w output-file]

    -d crashdump-file

    システムのメモリーイメージを格納するファイルを指定する。デフォルトのクラッシュダンプファイルは /dev/mem

    -n name-list

    システムのメモリーイメージへのシンボリックアクセスを調べる場合、シンボルテーブル情報を格納するテキストファイルを指定する。デフォルトのファイル名は /dev/ksyms

    -w output-file

    クラッシュセッションからの出力を格納するファイルを指定する。デフォルトは標準出力 

  3. クラッシュ状態情報を表示します。


    # /usr/sbin/crash
    dumpfile = /dev/mem, namelist = /dev/ksyms, outfile = stdout
    > status
       .
       .
       .
    > size buf proc queue
       .
       .
       .

例 - クラッシュダンプを検査する

次の例は、crash ユーティリティからのサンプル出力を示します。状態とバッファーについての情報、プロセス、および待ち行列のサイズが表示されます。


# /usr/sbin/crash
dumpfile = /dev/mem, namelist = /dev/ksyms, outfile = stdout
> status
system name:	SunOS
release:	5.8
node name:	earth
version:	s28_25
machine name:	sun4m
time of crash:	Wed Jun 30 16:02:31 1999
age of system:	18 min.
panicstr:	
panic registers:
	pc: 0      sp: 0
> size buf proc queue
120
1808
96

フルクラッシュダンプディレクトリから復元する方法 (省略可能)

ここでは、システムがクラッシュしてもメモリーイメージを格納する十分な空き容量が savecore ディレクトリにないが、それでも、一部の重要なシステムクラッシュダンプ情報を保存するものとします。

  1. システムがリブートした後で、スーパーユーザーとしてログインします。

  2. すでにサービスプロバイダに送ってある既存のクラッシュダンプファイルを削除して、savecore ディレクトリ (通常は /var/crash/hostname) を整理します。あるいは、savecore コマンドを実行し、十分な容量を持つ別のディレクトリを指定します (次の手順を参照してください)。

  3. 手作業で savecore コマンドを実行し、必要なら別の savecore ディレクトリを指定します。


    # savecore [ directory ]

クラッシュダンプの保存を有効または無効にする方法 (省略可能)

  1. スーパーユーザーになります。

  2. dumpadm コマンドにより、システム上にクラッシュダンプを保存するかどうかを指定します。

例 - クラッシュダンプの保存を無効にする

次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を無効にします。


# dumpadm -n
      Dump content: all pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t1d0s1 (dedicated)
Savecore directory: /var/crash/pluto (minfree = 77071KB)
  Savecore enabled: no

例 - クラッシュダンプの保存を有効にする

次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を有効にします。


# dumpadm -y
      Dump content: all pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t1d0s1 (dedicated)
Savecore directory: /var/crash/pluto (minfree = 77071KB)
  Savecore enabled: yes