Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

Solaris PPP の概要

PPP を用いると、モデムと電話回線を使用して、物理的に離れた場所にあるコンピュータとネットワークを接続することができます。ユーザーは PPP を使用して、自宅や職場から、所属するサイトのネットワークに接続できます。また、PPP ソフトウェア、モデム、電話回線を組み合わせて、別々の場所にあるネットワーク同士を結ぶルーターとして使用することもできます。PPP は、このようなマシンとネットワークを構成するための方法を提供します。この章ではその方法を紹介します。

Solaris PPP の仕様

Solaris PPP は、標準化されたデータリンクレベルの PPP の非同期実装の 1 つです。PPP は TCP/IP プロトコル群に含まれているもので、多くのルーターシステムのベンダーや端末集線装置から提供されています。Solaris PPP には標準化されたカプセル化プロトコルが組み込まれているので、ネットワーク層プロトコルにとってデータグラムの転送が透過的になります。

Solaris PPP の主な特性には次のものがあります。

このプロトコルの主な機能には次のものがあります。

PPP が使用する伝送機能

PPP は、Solaris ソフトウェアを実行するほとんどのマシンに備わっている CPU シリアルポートを使用した、RS-232-C(V.24) インタフェースをサポートします。さらに、PPP は、Solaris ソフトウェアを実行するマシンの製造元の多くが提供またはサポートしている、オプションの非同期シリアルポートでも動作します。PPP は、使用するマシンのシリアルポートで使用可能な最大のデータ速度をサポートします。マシンのシリアルハードウェアがサポートしている速度については、コンピュータシステムの製造元にお問い合わせください。

規格への適合性

PPP と、Solaris ソフトウェアに組み込まれているルーティング機能は、業界標準の規格に従って動作します。この規格は次のような機能をサポートしています。