Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

構成キーワード

この節では、asppp.cf 構成ファイルで使用できる構成キーワードと、それぞれについて定義する必要のある値について説明します。これらのキーワードのほとんどは必須ではありません。必須のものについてはその旨を示しています。キーワードについての詳しい説明は、RFC 1331、1332、1333、および 1334 を参照してください。

表 24-2 は、すべての asppp.cf ファイルに含まれていなければならない必須キーワードの一覧です。

表 24-2 asppp.cf の必須キーワード

キーワード 

値の定義 

ifconfig parameters

parameters に指定する値で ifconfig コマンドを実行するようリンクマネージャに指示する。詳細は、asppp.cf ファイルの ifconfig セクション」「マルチポイントダイヤルインサーバーの ifconfig セクション」、および ifconfig(1M) のマニュアルページを参照

path

この (現行の) パスの属性としてグループ化するトークンシーケンスの始まりを指定する。現行パスを形成する属性の集合は、後続の path キーワード、defaults キーワード、ファイルの終わり文字のどれかが生じた時点で終了する

interface (ipdptpnipdptp* または ipdn)

ネットワーク内の各インタフェースについて、ipdptp (静的ポイントツーポイント)、ipdptp* (動的ポイントツーポイント)、ipd (マルチポイント) のどれかのデバイスを指定する。ipdptpnipdn の場合は、このキーワードは、n で定義される特定のインタフェースを現行パスに関連付ける。n は 0 または正の整数でなければならない。この数は、path セクションに定義されているインタフェースと、ifconfig セクションに指定されているインタフェースが一致するようにする

 

ipdptp** インタフェースの場合は、* は、インタフェースが、down として構成されているどのポイントツーポイントインタフェースにも一致することを示す

peer_system_name hostnamepeer_system_name username

ダイヤルアウトマシンでは、ローカルマシンから呼び出したいリモートエンドポイントのホスト名 (hostname) を指定する。この名前は、/etc/uucp/Systems ファイルの中のシステム名と同じである。リモートシステム名を現行パスに関連付ける。この名前は、/etc/uucp/Systems ファイルから、アウトバウンド接続に関する、モデムと対等システムに固有の情報を見つけるために使用される

ダイヤルインマシンでは、そのダイヤルインマシンにログインするときにリモートマシンが使用するユーザー名 (username) を指定する。username と、接続の獲得に使用されたログイン名との突き合わせによって、適正なパスが決定される

peer_ip_address hostnamepeer_ip_address ip-address

宛先ホストアドレスを指定する。これは、マルチポイントリンクの場合に限り必要とされる。このアドレスは現行パスに関連付けされる。パスがポイントツーポイントインタフェースを示している場合は、この値は無視される。アドレスの形式は、ドット付き 10 進数、16 進数、シンボルのどれでもよい 

表 24-3 に、PPP 構成をさらに進んで定義するために使用できる、asppp.cf の省略可能キーワードを示します。

表 24-3 asppp.cf の省略可能キーワード

キーワード 

値の定義 

debug_level 0-9

ログファイルに書き込むデバッグ情報の量を定義する 0 〜 9 の整数。数値が大きいほど出力の量が多くなる 

defaults

次の path キーワードか、EOF 文字が現れるまでの後続のすべてのトークンシーケンスをデフォルトの属性に設定して、その間に定義されるパスに適用することを指示する

default_route

現行パスに対応する IP 層が完全に稼動状態にあるときに、このパスの対等 IP アドレスをデフォルトの宛先としてルーティングテーブルに追加するよう、リンクマネージャに指示する。IP 層がシャットダウンされると、このルートは削除される 

inactivity_timeout seconds

現行パスの接続が、終了しないでアイドル状態のままでいられる最大秒数を指定する。タイムアウトなしの場合は 0 を指定する。デフォルトは 120 秒 

ipcp_async_map hex-number

現行パスの非同期制御文字マップを指定する。hex-number は、マップを形成する 4 オクテットの自然 (ビッグエンディアン) 形式を示す。デフォルト値は 0x FFFFFFFF

ipcp_compression (vj または off)

IP 圧縮を使用可能にするかどうかを指定する。デフォルトは、Van Jacobson 圧縮アルゴリズム (vj) 

lcp_compression (on または off)

PPP アドレスフィールド、制御フィールド、プロトコルフィールドの圧縮を使用可能にするかどうかを指定する。デフォルトは on 

lcp_mru number

必要な最大受信ユニットパケットサイズの値を指定する。number はサイズを指定するオクテット数。デフォルトは 1500 

negotiate_address (on または off)

ローカル IP アドレス割り当てをネゴシエーションにより入手し動的に割り当てるかどうかを指示する。これを使用可能にした場合は、ローカルアドレスは PPP リンクのリモート側から渡される。このようにして渡された場合、0.0.0.0 を除くどのようなローカルアドレスでも、インタフェースの初期構成に使用できる。デフォルトはネゴシエーションなし (off) 

peer_ip_address hostnamepeer_ip_address ip-address

宛先ホストアドレスを指定する。このキーワードはポイントツーポイントリンクの場合に限りオプション。address は現行パスに関連付けされる。アドレスの形式は、ドット付き 10 進数、16 進数、シンボルのどれでもよい

version n

構成ファイルの内容が形式バージョン n に対応することを指定する。このキーワードを使用する場合は、ファイルの最初のキーワードとする必要がある。このキーワードがないときは、バージョンは 1 とみなされる。このマニュアルでは、バージョン 1 形式の定義を構成ファイルに使用している