Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

NFS コマンド

次のコマンドは、root 権限で実行しなければ、十分な効果がでません。しかし情報の要求は、すべてのユーザーが行えます。

automount

このコマンドは autofs マウントポイントをインストールし、オートマスターファイル内の情報を各マウントポイントに関連づけます。このコマンドの構文は次の通りです。


automount [ -t duration ] [ -v ]

-t duration はファイルシステムがマウントされた状態でいる時間 (秒) で、-v は詳細形式モードを選択します。詳細形式モードでこのコマンドを実行すると障害追跡が容易になります。

継続時間の値は、特に設定しないと 5 分に設定されます。ほとんどの場合この時間は適切な値ですが、自動マウントされたファイルシステムを多く持つシステムではこの時間を長くする必要がある場合があります。特に、サーバーを多くのユーザーが使用中の場合は、自動マウントされたファイルシステムを 5 分ごとにチェックするのは能率的でない場合があります。autofs ファイルシステムは 1800 秒 (30 分) ごとにチェックする方が適しています。このファイルシステムを 5 分ごとにアンマウントしないことで、df によりチェックされる /etc/mnttab が大きくなる可能性があります。-F オプション (df(1M) のマニュアルページを参照)、または egrep を使用して df からの出力にフィルタをかけて、この問題を解決することができます。

検討すべき他の要因に、この継続時間を調節するとオートマウンタマップへの変更が反映される速さを変えられることがあります。変更はファイルシステムがアンマウントされるまでは見ることができません。オートマウンタマップの変更方法については、「マップの修正」を参照してください。

clear_locks

このコマンドを使用すると、ある NFS クライアントのファイル、レコード、または共有のロックをすべて削除できます。このコマンドを実行するには、スーパーユーザーでなければなりません。NFS サーバーから解除できるのは特定のクライアントのロックであり、NFS クライアントから解除できるのは特定のサーバー上のそのクライアントに対するロックです。次の例では、現在のシステム上の tulip という NFS クライアントに対するロックが解除されます。


# clear_locks tulip

-s オプションを指定すると、どの NFS ホストからロックを解除するかを指定できます。これは、そのロックをかけた NFS クライアントから実行しなければなりません。次の場合、クライアントによるロックが bee という名前の NFS サーバーから解除されます。


# clear_locks -s bee

注意 - 注意 -

このコマンドは、クライアントがクラッシュしてロックを解除できないとき以外には使用しないでください。データが破壊されるのを避けるため、使用中のクライアントに関するロックは解除しないでください。


mount

このコマンドを使用すると、指定したファイルシステムをローカルかリモートで、指定したマウントポイントに添付できます。詳細は、mount(1M) のマニュアルページを参照してください。引数を指定しないと、現在ユーザーのコンピュータにマウントされているファイルシステムのリストが表示されます。

Solaris の標準インストールには、さまざまな種類のファイルシステムが含まれています。ファイルシステムの種類ごとにマニュアルページがあり、その種類に対して mount を実行するときに使用可能なオプションのリストが示されています。たとえば、NFS ファイルシステムは mount_nfs(1M) のマニュアルページ、UFS ファイルシステムは mount_ufs(1M) のマニュアルページなどです。

Solaris 7 では、server:/pathname という標準の構文の代わりに NFS URL を使用して NFS サーバー上のマウントするパス名を指定することが可能になりました。詳細は、「NFS URL を使用して NFS ファイルシステムをマウントする方法」を参照してください。


注意 - 注意 -

Solaris 2.6 以後の mount コマンドでは、無効なオプションがあっても警告されません。解釈できないオプションがあると無視されるだけです。予想外の結果が生じるのを避けるために、使用するオプションはすべて確認してください。


NFS ファイルシステムにおける mount オプション

NFS ファイルシステムをマウントするときに -o フラグの後に指定できるオプションの一部を以下に示します。

bg|fg

この 2 つは、マウントが失敗したときの再試行の方法を選択するオプションです。-bg オプションの場合はバックグラウンドで、-fg オプションの場合はフォアグラウンドでマウントが試みられます。デフォルトは -fg です。常に使用可能にしておく必要のあるファイルシステムに対しては -fg が適しています。この場合、マウントが完了するまで他の処理は実行できません。-bg は、マウント要求が完了しなくてもクライアントは他の処理を実行できるため、必ずしも必要でないファイルシステムに適しています。

forcedirectio

このオプションは大型ファイル上で連続した読み取りをする際に性能を向上させます。データは直接ユーザーファイルにコピーされ、クライアント上のカーネル内ではキャッシュへの書き込みは行われません。この機能はデフォルトではオフです。

largefiles

このオプションを使用すると、Solaris 2.6 が実行されているサーバーに置かれた 2G バイトを超えるサイズのファイルにアクセスできるようになります。大型ファイルにアクセスできるかどうかは、サーバーでしか制御できません。したがって、このオプションは NFS バージョン 3 のマウントでは無視されます。デフォルトでは、2.6 以後の UFS ファイルシステムはすべて -largefiles オプション付きでマウントされます。NFS バージョン 2 プロトコルを使用したマウントでこのオプションを指定すると、エラーが発生してマウントできません。

nolargefiles

UFS マウントでこのオプションを指定すると、ファイルシステム上に大型ファイルが存在せず、この後も作成されないことが保証されます (mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照してください)。大型ファイルが存在するかどうかは NFS サーバーでしか制御できないため、NFS マウントを使用する -nolargefiles にはオプションはありません。このオプションを指定してファイルシステムを NFS マウントしようとすると、エラーが発生して拒否されます。

public

このオプションを指定すると、NFS サーバーにアクセスするときに必ず公共ファイルハンドルを使用するようになります。NFS サーバーが公共ファイルハンドルをサポートしていれば、MOUNT プロトコルが使用されないため、マウント操作は短時間で行われます。また、MOUNT プロトコルを使用しないため、ファイアウォールを越えたマウントが可能です。

rw|ro

-rw オプションと -ro オプションは、ファイルシステムが読み書き可能と読み取り専用のどちらでマウントされるかを示します。デフォルトは読み書き可能で、これはリモートホームディレクトリやメールスプールディレクトリなどの、ユーザーによる変更が必要なファイルシステムに適しています。読み取り専用オプションは、ユーザーが変更してはいけないディレクトリに適しています。具体的には、マニュアルページの共有コピーなどです。

sec=mode

このオプションは、マウント時に使用される認証機構を指定します。mode の値は、表 31-2 に示したもののいずれかでなければなりません。モードは、 /etc/nfssec.conf ファイルにも定義されます。

表 31-2 NFS セキュリティモード

モード 

選択される認証サービス 

krb5

Kerberos バージョン 5 

none

認証なし 

dh

Diffie-Hellman (DH) 認証 

sys

UNIX の標準認証 

soft|hard

soft オプションを指定してマウントされた NFS ファイルシステムは、サーバーが応答しなくなるとエラーを返します。hard オプションが指定されていると、サーバーが応答するまで再試行が続けられます。デフォルトは hard です。ほとんどのファイルシステムには hard を使用します。ソフトマウントされたファイルシステムからの値を検査しないアプリケーションが多いので、アプリケーションでエラーが発生してファイルが破壊される恐れがあるためです。検査するアプリケーションの場合でも、ルーティングの問題などによってアプリケーションが正しい判断をできずに、ファイルが破壊されることがあります。原則として、soft は使用しないでください。hard オプションを指定した場合にファイルシステムが使えなくなると、そのファイルシステムを使用するアプリケーションはファイルシステムが復旧するまでハングする可能性があります。

mount コマンドの使用

次のコマンドのどちらも、bee サーバーから NFS ファイルシステムを読み取り専用としてマウントします。


# mount -F nfs -r bee:/export/share/man /usr/man

# mount -F nfs -o ro bee:/export/share/man /usr/man

このコマンドでは -O オプションによって、/usr/man がすでにマウントされていても bee サーバーのマニュアルページがローカルシステムにマウントされます。


# mount -F nfs -O bee:/export/share/man /usr/man

このコマンドでは、クライアント側フェイルオーバー機能が使用されています。


# mount -F nfs -r bee,wasp:/export/share/man /usr/man

注 -

コマンド行から使用する場合、リスト内のサーバーがサポートしている NFS プロトコルは同じバージョンでなければなりません。コマンド行から mount を実行するときは、バージョン 2 とバージョン 3 のサーバーを混在させないでください。autofs では混在が可能なので、バージョン 2 サーバーとバージョン 3 サーバーの最適な組み合わせを使用できます。


mount コマンドで NFS URL を使用する例を示します。


# mount -F nfs nfs://bee//export/share/man /usr/man

mount コマンドに引数を指定しないと、クライアントにマウントされたファイルシステムが表示されます。


% mount
/ on /dev/dsk/c0t3d0s0 read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/usr on /dev/dsk/c0t3d0s6 read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/proc on /proc read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/dev/fd on fd read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/tmp on swap read/write on Tues Jan 24 13:20:51 1995
/opt on /dev/dsk/c0t3d0s5 setuid/read/write on Tues Jan 24 13:20:51 1995
/home/kathys on bee:/export/home/bee7/kathys              
  intr/noquota/nosuid/remote on Tues Jan 24 13:22:13 1995

umount

このコマンドにより、現在マウントされているリモートファイルシステムが削除されます。umount コマンドは、テストのために -V オプションをサポートしています。また、-a オプションを使用することによって 1 度に複数のファイルシステムをアンマウントできます。-a オプションに mount_points を指定すると、そのファイルシステムがアンマウントされます。マウントポイントを指定しないと、/etc/mnttab のリストにあるファイルシステムのうち required でないものすべてのアンマウントが試みられます。required のファイルシステムとは、//usr/var/proc/dev/fd/tmp などです。

ファイルシステムがすでにマウントされていて、/etc/mnttab に項目が指定されている場合、ファイルシステムのタイプのフラグを指定する必要はありません。

ファイルシステムが使用中だと、このコマンドは実行できません。たとえば、あるユーザーが cd コマンドによってファイルシステムにアクセスしていると、作業ディレクトリが他に変更されるまでそのファイルシステムは使用中となります。umount コマンドは、NFS サーバーに接続できないと一時的にハングすることがあります。

umount コマンドの使用

次の例では、/usr/man にマウントしたファイルシステムのマウントが解除されます。


# umount /usr/man

次の例では、umount -a -V の実行結果が表示されます。


# umount -a -V
umount /home/kathys
umount /opt
umount /home
umount /net

このコマンドでは、ファイルシステムのアンマウント自体は実行されないことに注意してください。

mountall

このコマンドを使用すると、ファイルシステムテーブルに指定したすべてのファイルシステム、または特定グループのファイルシステムをマウントできます。アクセスするファイルシステムタイプを選択するための -F FSType オプション、ファイルシステムテーブル内のリモートファイルシステムをすべて選択する -r オプション、ローカルファイルシステムをすべて選択する -l オプションがあります。 NFS ファイルシステムタイプと指定されているファイルシステムはすべてリモートファイルシステムなので、これらのオプションは余分な指定になることがあります。詳細は、mountall(1M) のマニュアルページを参照してください。

mountall コマンドの使用

次の 2 つの例を実行すると、同じ結果になります。


# mountall -F nfs

# mountall -F nfs -r

umountall

このコマンドを使用すると、ファイルシステムのグループをアンマウントできます。-k オプションは、mount_point に結び付けられているプロセスを終了させるには fuser -k mount_point コマンドを使用する必要があることを表します。-s オプションは、アンマウントを並行処理しないことを示します。-l は、ローカルファイルシステムだけを使用することを、-r はリモートファイルシステムだけを使用することを示します。-h host オプションは、指定されたホストのファイルシステムをすべてアンマウントすることを指定します。-h オプションは、-l または -r とは同時に指定できません。

umountall コマンドの使用

次のコマンドでは、リモートホストからマウントしたすべてのファイルシステムが切り離されます。


# umountall -r

次のコマンドでは、bee サーバーからマウントしたすべてのファイルシステムが切り離されます。


# umountall -h bee

share

このコマンドを使用すると、NFS サーバーのローカルファイルシステムをマウントできるようになります。また、システム上のファイルシステムのうち、現在共有しているもののリストを表示します。NFS サーバーが動作していないと、share コマンドは使用できません。NFS サーバーソフトウェアは、/etc/dfs/dfstab に項目がある場合、ブートの途中で自動的に起動されます。NFS サーバーソフトウェアが動作していないくても、このコマンドはエラーを表示しません。NFS サーバーソフトウェアが動作していることを確認してからこのコマンドを使用するようにしてください。

ディレクトリツリーはすべて共有できるオブジェクトですが、各ファイルシステムの階層構造は、そのファイルシステムが位置するディスクスライスやパーティションで制限されます。たとえばルート (/) ファイルシステムを共有しても、/usr が同じディスクパーティションかスライスに存在しなければ、/usr を共有することはできません。通常、ルートはスライス 0 に、/usr はスライス 6 にインストールされます。また /usr を共有しても、/usr のサブディレクトリにマウントされているローカルディスクパーティションは共有できません。

すでに共有している大きいファイルシステムの一部であるファイルシステムを共有することはできません。たとえば /usr/usr/local が同じディスクスライスにある場合、/usr/usr/local も共有することができますが、両方を別々の共有オプションで共有する場合、/usr/local は別のディスクスライスに移動しなければなりません。


注 -

2 つのファイルシステムが同じディスクスライスにある場合、読み取り専用で共有しているファイルシステムに、読み取りと書き込みが可能な状態で共有しているファイルシステムのファイルハンドルでアクセスすることができます。読み取りと書き込みの両方を行うファイルシステムは、読み取り専用で共有する必要があるファイルシステムとは別のパーティションかディスクスライスに保存するほうが安全です。


非ファイルシステム用 share オプション

-o フラグに指定できるオプションの一部を次に示します。

rw|ro

pathname に指定したファイルシステムを、読み取りと書き込みの両方が可能な状態で共有するか、読み取り専用で共有するかを指定します。

rw=accesslist

ファイルシステムは、リスト上のクライアントに対してだけ読み書き可能で共有されます。それ以外の要求は拒否されます。accesslist に定義されるクライアントのリストは、Solaris 2.6 から拡張されました。詳細は、share コマンドを使用してアクセスリストを設定する」 を参照してください。このオプションは -ro オプションよりも優先されます。

NFS 用 share オプション

NFS ファイルシステムで指定できるオプションは、次のとおりです。

aclok

このオプションを指定すると、NFS バージョン 2 プロトコルをサポートしている NFS サーバーが NFS バージョン 2 クライアントのアクセス制御を行うように設定できます。このオプションを指定しないと、すべてのクライアントは最低限のアクセスしかできません。指定すると、最大限のアクセスができるようになります。たとえば -aclok オプションを指定して共有したファイルシステムでは、1 人のユーザーが読み取り権を持っていれば全員が読み取りを許可されます。このオプションを指定しないと、アクセス権を持つべきクライアントからのアクセスが拒否される可能性があります。アクセス権の与えすぎと制限しすぎのどちらを選ぶかは、現在のセキュリティシステムによって決定します。アクセス制御リスト (ACL) について詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「ファイルのセキュリティの適用手順」を参照してください。


注 -

ACL を活用するためには、クライアントでもサーバーでも NFS バージョン 3 と NFS_ACL プロトコルをサポートしているソフトウェアを実行します。NFS バージョン 3 プロトコルしかサポートしていないソフトウェアの場合、クライアントは正しいアクセス権を取得できますが、ACL を操作することはできません。NFS_ACL プロトコルをサポートしていれば、正しいアクセス権を取得した上で ACL の操作も可能です。この両方をサポートしているのは、Solaris 2.5 およびその互換バージョンです。


anon=uid

uid は、認証されていないユーザーのユーザー ID を選択するために使用します。uid-1 に設定すると、認証されていないユーザーからのアクセスは拒否されます。anon=0 とするとルートアクセス権を与えることができますが、これは認証されていないユーザーにルートアクセス権を与えることになるため、代わりに root オプションを使用してください。

index=filename

-index=filename オプションを使用すると、ユーザーが NFS URL にアクセスするとディレクトリのリストが表示されるのではなく、HTML (HyperText Markup Language) ファイルが強制的に読み込まれます。これは、HTTP URL がアクセスしているディレクトリに index.html ファイルが見つかるとブラウザのような動作をするというものです。このオプションを設定することは、httpd に対して DirectoryIndex オプションを指定するのと同じ意味があります。たとえば、dfstab ファイルのエントリが次のとおりであるとします。


share -F nfs -o ro,public,index=index.html /export/web

このとき、次の URL によって表示される情報はすべて同じです。


nfs://<server>/<dir>
nfs://<server>/<dir>/index.html
nfs://<server>//export/web/<dir>
nfs://<server>//export/web/<dir>/index.html
http://<server>/<dir>
http://<server>/<dir>/index.html
log=tag

このオプションは、ファイルシステム用の NFS サーバーレコード構成情報の入った /etc/nfs/nfslog.conf 内のタグを指定します。NFS サーバーログ機能を使用可能にするにはこのオプションを選択する必要があります。

nosuid

このオプションを使用すると、setuid モードまたは setgid モードを有効にしようとしても無視されます。NFS クライアントは、setuidsetgid のビットがオンの状態ではファイルを作成できません。

public

-public オプションは、WebNFS ブラウズのために追加されました。このオプションで共有できるのは、1 台のサーバーにつき 1 つのファイルシステムだけです。

root=accesslist

サーバーが、リスト上のホストに対してルートアクセス権を与えます。デフォルトでは、サーバーはどのリモートホストにもルートアクセス権は与えません。選択されているセキュリティモードが -sec=sys 以外だと、accesslist に指定できるホストはクライアントだけです。accesslist に定義されたクライアントのリストは、Solaris 2.6 で拡張されました。詳細については、share コマンドを使用してアクセスリストを設定する」 を参照してください。


注意 - 注意 -

他のホストにルートアクセス権を与えるには、広い範囲でセキュリティが保証されていることが前提です。-root= option は十分慎重に使用してください。


sec=mode[:mode]

mode は、ファイルシステムへのアクセス権を取得するために必要なセキュリティモードです。デフォルトのセキュリティモードは、UNIX の認証です。モードは複数指定できますが、コマンド行に指定するときは 1 行につき 1 つのセキュリティモードだけにしてください。-mode の各オプションは、次に -mode が出現するまでその後の -rw-ro-rw=-ro=-root=-window= オプションに適用されます。-sec=none とすると、すべてのユーザーがユーザー nobody にマップされます。

window=value

value は、NFS サーバーで資格が有効な時間の上限です。デフォルトは 30000 秒 (8.3 時間) です。

share コマンドを使用してアクセスリストを設定する

リリース 2.6 より前の Solaris で、share コマンドの -ro=-rw=-root= オプションに指定する accesslist の内容は、ホスト名がネットグループ名に限定されていました。Solaris 2.6 以降では、このアクセス制御リストにドメイン名、サブネット番号、およびアクセス権を与えないエントリも指定できます。この拡張により、名前空間を変更したり多数のクライアントを定義したリストを使用することなく、サーバーでのファイルアクセス制御を今までより簡単に管理できます。

次のコマンドでは、roselilac では読み取りと書き込みの両方のアクセスが認められますが、その他では、読み取りのみが許可されます。


# share -F nfs -o ro,rw=rose:lilac /usr/src

次の例では、eng ネットグループのすべてのホストで読み取りのみができるようになります。rose クライアントでは、読み取りと書き込みの両方ができます。


# share -F nfs -o ro=eng,rw=rose /usr/src

注 -

rwro には必ず引数が必要です。読み書き可能オプションを指定しないと、デフォルトによってすべてのクライアントが読み書き可能になります。


1 つのファイルシステムを複数クライアントで共有するには、すべてのオプションを同じ行に指定しなければなりません。同じオブジェクトに share コマンドを複数回実行しても、最後のコマンドしか有効になりません。以下のコマンドでは、3 つのクライアントシステムで読み取りと書き込みができますが、rosetulip では、ファイルシステムに root でアクセスできます。


# share -F nfs -o rw=rose:lilac:tulip,root=rose:tulip /usr/src

複数の認証機構を使用してファイルシステムを共有するときには、セキュリティモードの後に必ず -ro-ro=-rw-rw=-root-window の各オプションを指定してください。この例では、eng というネットグループ内のすべてのホストに対して UNIX 認証が選択されています。これらのホストは、ファイルシステムを読み取り専用モードでしかマウントできません。ホスト tuliplilac は、Diffie-Hellman (DH) 認証を使えば読み書き可能でファイル・システムをマウントできます。tuliplilac は、そのホスト名が eng ネットグループのリストに含まれていれば、DH 認証を使用していなくても読み取り専用でマウントすることは可能です。


# share -F nfs -o sec=dh,rw=tulip:lilac,sec=sys,ro=eng /usr/src

UNIX 認証はデフォルトのセキュリティモードですが、-sec を指定するとデフォルトは無効になります。他の認証機構とともに UNIX 認証も使用する場合には、必ず -sec=sys オプションを指定してください。

実際のドメイン名の名前にドットを付けると、アクセスリストの中で DNS ドメイン名が使えます。ドットは、その後の文字列が完全に修飾されたホスト名ではなくドメイン名であることを表します。次のエントリは、マウントから eng.sun.com ドメイン内のすべてのホストへのアクセスを許可するためのものです。


# share -F nfs -o ro=.:.eng.sun.com /export/share/man

この例で、"." はそれぞれ NIS または NIS+ 名前空間を通じて一致するすべてのホストに対応します。ネームサービスから返される結果にはドメイン名は含まれません。".eng.sun.com" というエントリは、名前空間の解決に DNS を使用するすべてのホストに一致します。DNS が返すホスト名は必ず完全に修飾されるので、DNS と他の名前空間を組み合わせると長いエントリが必要です。

実際のネットワーク番号かネットワーク名の前に "@" を指定すると、アクセスリストの中でサブネット番号が使えます。これは、ネットワーク名をネットグループ名や完全に修飾されたホスト名と区別するためです。サブネットは、/etc/networks の中か NIS または NIS+ 名前空間の中で識別できなければなりません。次のエントリは、サブネット 129.144eng ネットワークと識別されるならばすべて同じ意味を持ちます。


# share -F nfs -o ro=@eng /export/share/man
# share -F nfs -o ro=@129.144 /export/share/man
# share -F nfs -o ro=@129.144.0.0 /export/share/man

2 番目と 3 番目のエントリは、ネットワークアドレス全体を指定する必要がないことを表しています。

ネットワークアドレスの先頭部分がバイトによる区切りでなく、CIDR (Classless Inter-Domain Routing) のようになっている場合には、マスクの長さをコマンド行で具体的に指定できます。この長さは、ネットワーク名かネットワーク番号の後ろにスラッシュで区切ってアドレスの接頭辞に有効ビット数として指定します。たとえば、次のようにします。


# share -f nfs -o ro=@eng/17 /export/share/man
# share -F nfs -o ro=@129.144.132/17 /export/share/man

この例で、"/17" はアドレスの先頭から 17 ビットがマスクとして使用されることを表します。CIDR について詳細は、RFC 1519 を参照してください。

また、エントリの前に "-" を指定することでアクセスの拒否を示すこともできます。エントリは左から右に読み込まれるため、アクセス拒否のエントリはそのエントリを適用するエントリの前に置く必要があることに注意してください。


# share -F nfs -o ro=-rose:.eng.sun.com /export/share/man

この例では、eng.sun.com ドメイン内のホストのうち、rose を除いたすべてに対してアクセス権が許可されます。

unshare

このコマンドを使用すると、以前に使用可能な状態になっていたファイルシステムを、クライアントがマウントできないようにします。unshare コマンドを使用すると、share コマンドで共有したファイルシステムや、/etc/dfs/dfstab で自動的に共有しているファイルシステムが共有できないようになります。unshare コマンドを使用し、dfstab ファイルで共有しているファイルシステムの共有を解除する場合は、実行レベル 3 を終了して再度実行レベル 3 に戻ると、そのファイルシステムがまた共有されることに注意してください。実行レベル 3 を終了しても変更内容を継続させるには、そのファイルシステムを dfstab ファイルから削除しなければなりません。

NFS ファイルシステムの共有を解除している場合、クライアントから既存マウントへのアクセスは禁止されます。クライアントにはファイルシステムがまだマウントされている可能性がありますが、ファイルにはアクセスできません。

unshare コマンドの使用

次のコマンドでは、指定したファイルシステムの共有が解除されます。


# unshare /usr/src

shareall

このコマンドを使用すると、複数のファイルシステムを共有することができます。オプションなしで使用すると、/etc/dfs/dfstab 内のすべてのエントリが共有されます。share コマンドを並べたファイルの名前を指定することができます。ファイル名を指定しないと、/etc/dfs/dfstab の内容が検査されます。"-" を使用してファイル名を置き換えれば、標準入力から share コマンドを入力できます。

shareall コマンドの使用

次のコマンドでは、ローカルファイルに羅列されているすべてのファイルシステムが共有されます。


# shareall /etc/dfs/special_dfstab

unshareall

このコマンドを使用すると、現在共有されているリソースがすべて使用できなくなります。-F FSType オプションによって、/etc/dfs/fstypes に定義されているファイルシステムタイプのリストを選択します。このフラグによって、特定のタイプのファイルシステムだけを共有解除できます。デフォルトのファイルシステムタイプは、/etc/dfs/fstypes に定義されています。特定のファイルシステムを選択するには、unshare コマンドを使います。

unshareall コマンドの使用

次の例では、NFS タイプのすべてのファイルシステムの共有が解除されます。


# unshareall -F nfs

showmount

このコマンドを使用すると、NFS サーバーから共有したファイルシステムをリモートにマウントしたすべてのクライアントや、クライアントがマウントしたファイルシステム、または共有しているファイルシステムとクライアントのアクセス情報が表示されます。構文は以下のとおりです。


showmount [ -ade ] [ hostname ]

-a を指定すると、すべてのリモートマウント (クライアント名とディレクトリ) のリストが表示されます。-d を指定すると、クライアントがリモートにマウントしたディレクトリのリストが表示されます。-e では、共有 (またはエクスポート) しているファイルのリストが表示されます。hostname には、表示する情報が保存されている NFS サーバーを指定します。hostname を指定しないと、ローカルホストを入力するように要求されます。

showmount コマンドの使用

次のコマンドでは、すべてのクライアント、およびマウントしたディレクトリが表示されます。


# showmount -a bee
lilac:/export/share/man
lilac:/usr/src
rose:/usr/src
tulip:/export/share/man

次のコマンドでは、マウントしたディレクトリが表示されます。


# showmount -d bee
/export/share/man
/usr/src

次のコマンドでは、共有しているファイルシステムが表示されます。


# showmount -e bee
/usr/src								(everyone)
/export/share/man					eng

setmnt

このコマンドを使用すると、/etc/mnttab テーブルが作成されます。このテーブルは、mount コマンドと umount コマンドで参照されます。通常、このコマンドを使用することはありません。システムがブートされるときに自動的に使用されます。