Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

TCP/IP とは

ネットワーク通信プロトコルは、ネットワークの中でソフトウェアとハードウェアがどのように対話するかを規定した正規の規則です。ネットワークが正しく機能するためには、情報が目的の宛先に明瞭な形式で伝送される必要があります。ネットワークが機能するためには異なる種類のネットワーク用のソフトウェアとハードウェアが相互に対話できる必要があることから、通信プロトコルという概念が開発されました。

Solaris オペレーティングシステムには、組織でのネットワーク管理に必要なソフトウェアが含まれています。このネットワークソフトウェアは、総称的に TCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol) と呼ばれる通信プロトコル群を実装しています。TCP/IP は、多くの主要な国際標準化機構によって標準として認定されており、世界中で使用されています。TCP/IP は複数の規格を集まりなので、多くの異種コンピュータで実行することができます。またこれを用いることによって、Solaris オペレーティングシステムを実行する異機種のシステムが混在したネットワークを容易に設定することができます。

TCP/IP は、多くの異なる種類のコンピュータ、オペレーティングシステム、ネットワークに対して、サービスを提供します。TCP/IP は、Ethernet、FDDI、トークンリングなどのローカルエリアネットワークや、T1 (デジタル専用線)、X.25、ATM などの広域ネットワークに、適用することができます。

TCP/IP を使用することで、複数のローカルエリアネットワークから成る 1 つのネットワークを構築できます。また、TCP/IP を使用すれば、事実上どのようなポイントツーポイントデジタル回線を使用しても、広域ネットワークを構築することができます。

TCP/IP とそのプロトコル群については、第 4 章「TCP/IP の概要」で詳しく説明します。