Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

mount

このコマンドを使用すると、指定したファイルシステムをローカルかリモートで、指定したマウントポイントに添付できます。詳細は、mount(1M) のマニュアルページを参照してください。引数を指定しないと、現在ユーザーのコンピュータにマウントされているファイルシステムのリストが表示されます。

Solaris の標準インストールには、さまざまな種類のファイルシステムが含まれています。ファイルシステムの種類ごとにマニュアルページがあり、その種類に対して mount を実行するときに使用可能なオプションのリストが示されています。たとえば、NFS ファイルシステムは mount_nfs(1M) のマニュアルページ、UFS ファイルシステムは mount_ufs(1M) のマニュアルページなどです。

Solaris 7 では、server:/pathname という標準の構文の代わりに NFS URL を使用して NFS サーバー上のマウントするパス名を指定することが可能になりました。詳細は、「NFS URL を使用して NFS ファイルシステムをマウントする方法」を参照してください。


注意 - 注意 -

Solaris 2.6 以後の mount コマンドでは、無効なオプションがあっても警告されません。解釈できないオプションがあると無視されるだけです。予想外の結果が生じるのを避けるために、使用するオプションはすべて確認してください。


NFS ファイルシステムにおける mount オプション

NFS ファイルシステムをマウントするときに -o フラグの後に指定できるオプションの一部を以下に示します。

bg|fg

この 2 つは、マウントが失敗したときの再試行の方法を選択するオプションです。-bg オプションの場合はバックグラウンドで、-fg オプションの場合はフォアグラウンドでマウントが試みられます。デフォルトは -fg です。常に使用可能にしておく必要のあるファイルシステムに対しては -fg が適しています。この場合、マウントが完了するまで他の処理は実行できません。-bg は、マウント要求が完了しなくてもクライアントは他の処理を実行できるため、必ずしも必要でないファイルシステムに適しています。

forcedirectio

このオプションは大型ファイル上で連続した読み取りをする際に性能を向上させます。データは直接ユーザーファイルにコピーされ、クライアント上のカーネル内ではキャッシュへの書き込みは行われません。この機能はデフォルトではオフです。

largefiles

このオプションを使用すると、Solaris 2.6 が実行されているサーバーに置かれた 2G バイトを超えるサイズのファイルにアクセスできるようになります。大型ファイルにアクセスできるかどうかは、サーバーでしか制御できません。したがって、このオプションは NFS バージョン 3 のマウントでは無視されます。デフォルトでは、2.6 以後の UFS ファイルシステムはすべて -largefiles オプション付きでマウントされます。NFS バージョン 2 プロトコルを使用したマウントでこのオプションを指定すると、エラーが発生してマウントできません。

nolargefiles

UFS マウントでこのオプションを指定すると、ファイルシステム上に大型ファイルが存在せず、この後も作成されないことが保証されます (mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照してください)。大型ファイルが存在するかどうかは NFS サーバーでしか制御できないため、NFS マウントを使用する -nolargefiles にはオプションはありません。このオプションを指定してファイルシステムを NFS マウントしようとすると、エラーが発生して拒否されます。

public

このオプションを指定すると、NFS サーバーにアクセスするときに必ず公共ファイルハンドルを使用するようになります。NFS サーバーが公共ファイルハンドルをサポートしていれば、MOUNT プロトコルが使用されないため、マウント操作は短時間で行われます。また、MOUNT プロトコルを使用しないため、ファイアウォールを越えたマウントが可能です。

rw|ro

-rw オプションと -ro オプションは、ファイルシステムが読み書き可能と読み取り専用のどちらでマウントされるかを示します。デフォルトは読み書き可能で、これはリモートホームディレクトリやメールスプールディレクトリなどの、ユーザーによる変更が必要なファイルシステムに適しています。読み取り専用オプションは、ユーザーが変更してはいけないディレクトリに適しています。具体的には、マニュアルページの共有コピーなどです。

sec=mode

このオプションは、マウント時に使用される認証機構を指定します。mode の値は、表 31-2 に示したもののいずれかでなければなりません。モードは、 /etc/nfssec.conf ファイルにも定義されます。

表 31-2 NFS セキュリティモード

モード 

選択される認証サービス 

krb5

Kerberos バージョン 5 

none

認証なし 

dh

Diffie-Hellman (DH) 認証 

sys

UNIX の標準認証 

soft|hard

soft オプションを指定してマウントされた NFS ファイルシステムは、サーバーが応答しなくなるとエラーを返します。hard オプションが指定されていると、サーバーが応答するまで再試行が続けられます。デフォルトは hard です。ほとんどのファイルシステムには hard を使用します。ソフトマウントされたファイルシステムからの値を検査しないアプリケーションが多いので、アプリケーションでエラーが発生してファイルが破壊される恐れがあるためです。検査するアプリケーションの場合でも、ルーティングの問題などによってアプリケーションが正しい判断をできずに、ファイルが破壊されることがあります。原則として、soft は使用しないでください。hard オプションを指定した場合にファイルシステムが使えなくなると、そのファイルシステムを使用するアプリケーションはファイルシステムが復旧するまでハングする可能性があります。

mount コマンドの使用

次のコマンドのどちらも、bee サーバーから NFS ファイルシステムを読み取り専用としてマウントします。


# mount -F nfs -r bee:/export/share/man /usr/man

# mount -F nfs -o ro bee:/export/share/man /usr/man

このコマンドでは -O オプションによって、/usr/man がすでにマウントされていても bee サーバーのマニュアルページがローカルシステムにマウントされます。


# mount -F nfs -O bee:/export/share/man /usr/man

このコマンドでは、クライアント側フェイルオーバー機能が使用されています。


# mount -F nfs -r bee,wasp:/export/share/man /usr/man

注 -

コマンド行から使用する場合、リスト内のサーバーがサポートしている NFS プロトコルは同じバージョンでなければなりません。コマンド行から mount を実行するときは、バージョン 2 とバージョン 3 のサーバーを混在させないでください。autofs では混在が可能なので、バージョン 2 サーバーとバージョン 3 サーバーの最適な組み合わせを使用できます。


mount コマンドで NFS URL を使用する例を示します。


# mount -F nfs nfs://bee//export/share/man /usr/man

mount コマンドに引数を指定しないと、クライアントにマウントされたファイルシステムが表示されます。


% mount
/ on /dev/dsk/c0t3d0s0 read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/usr on /dev/dsk/c0t3d0s6 read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/proc on /proc read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/dev/fd on fd read/write/setuid on Tues Jan 24 13:20:47 1995
/tmp on swap read/write on Tues Jan 24 13:20:51 1995
/opt on /dev/dsk/c0t3d0s5 setuid/read/write on Tues Jan 24 13:20:51 1995
/home/kathys on bee:/export/home/bee7/kathys              
  intr/noquota/nosuid/remote on Tues Jan 24 13:22:13 1995