このマニュアルでは、NIS+、NIS、FNS、LDAP、DNS の各ネームサービスを設定および構成する方法について説明します。このマニュアルは、SolarisTM 8 リリースシステム管理マニュアルセットの一部です。
このマニュアルは、NIS+、NIS、FNS、DNS という 4 つの Solaris ネームサービスのどれか 1 つまたは複数を設定したいと考えているシステム管理者とネットワーク管理者を対象としています。読者にはシステム管理者としての経験があるものと想定しています。
このマニュアルでは Solaris ネームサービスに関連する概念を紹介しますが、ネットワークの基礎や、Solaris 環境の提供する管理ツールについては説明していません。ネットワークを管理する場合、このマニュアルでは、読者がすでにネットワークの動作に関する知識があり、好みのツールも選択しているものと想定しています。
(Solaris ネームサービス、ネームサービス関連用語、一般的なエラーメッセージの詳細は、『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。)
このマニュアルは、次の 5 部構成になっています。
パート I では、nsswitch.conf を使用して、複数の異なるネームサービスを同時に利用する方法について説明します。
第 1 章「ネームサービススイッチの設定」:ネームサービススイッチとその詳細な構成手順について説明します。
パート II では、NIS+ 名前空間を設定および構成する方法について説明します。第 2 章では、NIS+ とは何かを紹介します。第 3 章と第 4 章では、NIS+ 設定スクリプトを使って NIS+ 名前空間を設定する方法を説明します。第 5 章から第 9 章では、NIS+ の各種コマンドを使って NIS+ 名前空間を設定する方法を説明します。
第 2 章「NIS+ 入門」:NIS+ (Network Information Service Plus) の概要を説明し、NIS+ を設定する前に必要な作業を列挙します。さらに、NIS+ 名前空間の最低要件を明らかにし、NIS+ の設定方法を 2 通り紹介します。
第 3 章「NIS+ 設定スクリプト - 紹介」:NIS+ スクリプトの概要と、スクリプトを使ってできることとできないことを説明します。
第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」:NIS+ スクリプト (nisserver、nispopulate、nisclient) といくつかの NIS+ コマンドを組み合わせて基本的な NIS+ 名前空間を構成する方法について説明します。
第 5 章「ルートドメインの設定」:NIS+ コマンドを使用してルートドメインと DES 認証を設定する詳細な方法について説明します。
第 6 章「NIS+ クライアントの構成」:NIS+ コマンドを使って NIS+ クライアントを設定する手順、および 3 通りの初期設定方式について説明します。この章の内容は、NIS+ モード、NIS+ 互換モードを問わず、ルートドメイン、サブドメインに共通するものです。
第 7 章「NIS+ サーバーの構成」:NIS+ コマンドを使って NIS+ (ルートマスターサーバーを除く) サーバーを設定し、既存の NIS+ ドメインに複製サーバーを追加する手順を説明します。
第 8 章「非ルートドメインの構成」:NIS+ コマンドを使ってサブドメイン (非ルートドメインともいう) を設定する手順を説明します。この手順には、マスターサーバーと複製サーバーを指定する方法も含まれます。
第 9 章「NIS+ テーブルの設定」:NIS+ コマンドを使ってマスターサーバー上で /etc ファイルまたは NIS マップから NIS+ テーブル生成する手順、NIS+ テーブルから NIS マップに情報を戻す方法、さらに passwd テーブルのパスワード列へのアクセスを制限する方法を説明します。
第 10 章「NIS サービスの構成」:NIS (Network Information Service) の初期設定と初期構成について説明します。
第 11 章「FNS の設定と構成」:NIS+、NIS、/etc のそれぞれの名前空間環境において、FNS (Federated Naming Service) の初期設定および管理の方法について説明します。
このパートでは、DNS クライアントと DNS サーバーの設定方法について説明します。
第 12 章「DNS クライアントの設定」:DNS クライアントマシン上の DNS サービスの設定方法について説明します。
第 13 章「DNS サーバーの設定」:DNS ネームサーバーの設定方法について説明します。
NIS+、DNS に関してこのマニュアルの範囲を超えることがらについては、次に示すマニュアルを参照してください。これらのマニュアルは、日本語 Solaris 8 リリースシステム管理マニュアルセットの一部です。
『Solaris ネーミングの管理』 - すでに存在する NIS+ 名前空間のカスタマイズおよび管理の方法を説明しています。
『NIS+ への移行』 - NIS から NIS+ に移行する方法について説明しています。
Solaris 8 リリースマニュアルセット以外のマニュアル
『DNS and Bind』 - Cricket Liu、Paul Albitz 共著、浅羽登志也/上水流由香 監訳、アスキー出版局、1995年
『 NFS and NIS』 - Hal Stern 著、君骨彰訳、砂原秀樹 監訳、アスキー出版局、1992年
専門書を扱うインターネットの書店 Fatbrain.com から、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) のマニュアルをご注文いただけます。
マニュアルのリストと注文方法については、http://www1.fatbrain.com/documentation/sun の Sun Documentation Center をご覧ください。
http://docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索をおこなうこともできます。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P-1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、またはコード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力とは区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、または強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
¥ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を越える場合、バックスラッシュは継続を示します。 |
sun% grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |
ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。
コード例は次のように表示されます。
C シェルプロンプト
system% command y|n [filename] |
Bourne シェルおよび Korn シェルのプロンプト
system$ command y|n [filename] |
スーパーユーザーのプロンプト
system# command y|n [filename] |
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の場合、filename は省略してもよいことを示します。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
このマニュアルでは、「IA」という用語は、Intel 32 ビットのプロセッサアーキテクチャを意味します。これには、Pentium、Pentium Pro、Pentium II、Pentium II Xeon、Celeron、Pentium III、Pentium III Xeon の各プロセッサ、および AMD、Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。