Solaris ネーミングの設定と構成

NIS+ 設定の概要

NIS+ 名前空間の設定と構成には、スクリプトを使用する方法をお勧めします。NIS+ コマンド群を使って NIS+ 名前空間を設定する方法 (以降の章で説明) より簡単に実行できます。

(スクリプトの詳細は、nisserver(1M)nispopulate(1M)nisclient(1M) の各マニュアルページを参照してください。用語や略語の定義については、『Solaris ネーミングの管理』の用語集を参照してください。)

このチュートリアルで説明するサンプルの小さな NIS+ 名前空間を土台にして実際の NIS+ 名前空間を作ることはしないでください。名前空間についてひととおり理解できたら、サンプルの名前空間は削除してください。サンプルの名前空間に実際の名前空間を追加しないでください。あらためて、初めから NIS+ 階層の計画を注意深く立ててから、実際の名前空間を作成してください。

一般に推奨される設定手順を表 4-1 に要約します。左端の列には、ルートドメインの構成やクライアントの作成などの主な設定作業を示します。中央の列には作業の説明を、右端の列には各手順に必要なスクリプトまたは NIS+ コマンドをそれぞれ示します

表 4-1 NIS+ の推奨構成手順の概要

作業 

説明 

スクリプトまたは NIS+ コマンド 

NIS+ 名前空間の計画を立てる 

NIS+ 名前空間の計画を立てる。計画に関する要件と手順の詳細は、『NIS+ への移行』を参照。(試験的なネットワークで NIS+ チュートリアルを使用している場合、この手順は不要)

 

既存の名前空間を設定する 

スクリプトを正常に実行するためには、既存の名前空間を適切に設定する必要がある。必要な準備については、「名前空間がすでに存在する場合の設定」および『NIS+ への移行』を参照。(試験的なネットワークで NIS+ チュートリアルを使用している場合、この手順は不要)

 

Diffie-Hellman キー長を設定する 

DES 認証を使用する場合には、デフォルトの 192 ビットよりも長い Diffie-Hellman キーの使用を考慮する。キーを長くする場合、その長さはドメイン内のすべてのマシンで同一である必要がある。各初期設定スクリプトの実行する前に、目的のキー長を指定する 

nisauthconf

ルートドメインの構成 

ルートドメインを作成する。ルートマスターサーバーの構成と初期設定を行う。ルートドメイン管理グループを作成する 

nisserver

テーブルの生成 

テキストファイルまたは NIS マップからルートドメインの NIS+ テーブルを生成 (populate) する。ルートドメインクライアントの資格 (credential) を作成する。管理者の資格を作成する 

nispopulate

nisgrpadm

nisping

ルートドメインクライアントの構成 

クライアントマシンを構成する (そのうちの何台かは続いてサーバーになる)。ユーザーを NIS+ クライアントとして初期設定する 

nisclient

サーバーを使用可能にする 

ルートドメインの一部のクライアントをサーバーとして使用可能にする。サーバーの一部は後でルート複製サーバーとなり、そのほかは下位レベルのドメインをサポートする 

rpc.nisd

ルート複製サーバーの構成 

構成したばかりのサーバーのうち、1 台または複数をルートドメインの複製として指定する 

rpc.nisd

nisserver

非ルートドメインの構成 

新しいドメインを作成する。以前の手順で使用可能にしたサーバーを、そのマスターとして指定する。その管理グループと管理資格を作成する 

rpc.nisd

nisserver

テーブルの生成 

新しいドメインのクライアントの資格を作成する。テキストファイルまたは NIS マップから、新しいドメインの NIS+ テーブルを生成する 

nispopulate

非ルートドメインのクライアントを構成する 

新しいドメインのクライアントを構成する (一部のクライアントは、後に下位レベルのドメインのサーバーとなる場合がある)。ユーザーを NIS+ クライアントとして初期設定を行う 

nisclient

NIS+ スクリプトを使用することによって、上の作業で示される個々の手順の大部分を省略できます。