この付録では、NSP DECnet トランスポートプロトコルを使って、OpenWindows 環境と DECwindowsTM 環境をインターネットワークで接続する方法について説明します。
この章全体の説明は、SPARC ベースのマシンにだけ適用されることに注意してください。DECnet インターネットワーキングは、8.x DNI でだけ利用できます。
DNI には次の 2 通りの使い方があります。
VMS オペレーティングシステムで稼働する VAX システム上で X11 クライアントを実行し、OpenWindows マシン上で X11 クライアントのウィンドウを表示する場合
OpenWindows マシン上で X11 クライアントを実行し、VAX システム上で X11 クライアントのウィンドウを表示する場合
この付録ではまず、2 つの方法について DNI ソフトウェアの設定方法を説明した後、各方法について詳しく説明します。
DECnet インターネットワーキングを設定するには、次の手順を実行します。
DNI 経由の接続を指定します。
OpenWindows サーバとクライアントのライブラリでは、DNI トランスポートライブラリ libdni の中で動的にロードできるバージョンを使用します。OpenWindows サーバとクライアントのライブラリが libdni をロードできるようにするには、libdni.so がインストールされたディレクトリを指すように、環境変数 DNI_X_ENABLE を設定してください。
次の例では、pkgadd を使って DNI をデフォルトの位置にインストールしています。
$ DNI_X_ENABLE=/opt/SUNWconn/dni/lib |
OpenWindows サーバを起動します。
デフォルトでは、OpenWindows サーバは「MIT-MAGIC-COOKIE」セキュリティ機構がサポートします。このセキュリティ機構は、ホストベースではなくユーザベースです (つまり、サーバに接続できるマシンを指定するのではなく、サーバに接続できるユーザを指定します)。デフォルトモードでは、xhost コマンドは空のアクセスリストを戻し、セキュリティ機構だけが使用可能である旨を通知します。openwin コマンドを -noauth オプションとともに指定することによって、デフォルトのセキュリティ機構を無効にして、従来のバージョンの OpenWindows サーバのセキュリティ機構に戻すこともできます。
$ openwin -noauth |
X11 クライアントを OpenWindows サーバに接続する許可を、DEC VAX システムに与えるため、OpenWindows を実行しているマシンの所有者に対して、xhost コマンドを実行するよう依頼します。
DNI を使って X11 クライアントを OpenWindows サーバに接続するには、DECnet ノードのアドレスを DECnet ノード名に割り当てる必要があります。そのために、NCP データベースを作成して初期化します。この操作は DEC VAX システムに対しても実行する必要があります。
$ xhost decvax:: |
2 つのコロンは DECNet トランスポートを表します。
SunLink DNI の dnilogin コマンドを使って VAX システムにログインすることによって、VMS から X11 クライアントを実行できます。ログイン後まず最初に、ローカルマシンがリモートマシンの X11 サーバになるように、ローカルマシン (VAX) 上の環境変数 DISPLAY を設定します。次に、X11 クライアントを実行するためにクライアント名 (この例では x11_client) を入力します。VMS オペレーティングシステムの使い方について詳細は、『VMS DECwindows User's Guide, Running Applications Across the Network』を参照してください。
リモートクライアントの実行例
$ dnilogin decvax . . . $ define DECW$DISPLAY OW_machine::0 $ spawn/nowait run x11_client |
リモートの VAX システムを指すように環境変数 DISPLAY
を設定すると、OpenWindows マシン上で X11 クライアントを実行して、DECwindows サーバ上に表示できます。
X11 クライアントをこの方法で実行するためには、DECwindows サーバ上で OpenWindows フォントのコンパイルとインストールを実行する必要があります。これらのフォントは、X11R5 リリースまたは OpenWindows に付属のオプションフォントパッケージで提供されています。DECwindows サーバに適切なフォントをインストールするには、次の手順を実行します。
OpenWindows のオプションフォントソース (または X11R5 リリースのフォントソース) を OpenWindows マシン上にインストールします。
フォントのインストールについて詳細は、『Solaris X Window System 開発ガイド』を参照してください。
VAX システム上のディレクトリにフォントソースをコピーします。
$ cd /usr/openwin/share/src/fonts/misc $ dnicp *.bdf `decvax::[vaxdir]' |
VAX システム上でカーソル用のフォントをコンパイルします
コンパイルの結果、 olcursor.decw$font;1、olglyph10.decw$font;1 などのファイルが作成されます。
$ font olcursor.bdf $ font olglyph10.bdf ... |
VAX システム上の sysfont ディレクトリにフォントをコピーします。
$ set def sys$sysroot:[sysfont.decw.user_cursor16] $ copy [vaxdir]olcursor.decw$font;1 * |
sysfont ディレクトリにフォントをコピーするには、DEC VAX システムに「system」としてログインする必要があります。
/usr/openwin/share/src/fonts/75dpi と /usr/openwin/share/src/fonts/100dpi にある残りのカーソル用フォントおよび Lucida フォントについても、上記の手順 2〜5 を実行します。
Lucida フォントは、sys$sysroot:[sysfont.decw.user_75dpi] および sys$sysroot:[sysfont.decw.user_100dpi] にインストールしてください。
OpenWindows DeskSet ツールを実行するために最低限必要なフォントセットを次に示します。デフォルトフォントを使ってアプリケーションを実行する場合は、これらのフォントをインストールするだけで十分です。ただし、必要に応じてこれ以外のフォントをインストールすることもできます。
olcursor.bdf
olglyph10.bdf
olglyph12.bdf
olglyph14.bdf
olglyph19.bdf
luBS08.bdf
luBS10.bdf
luBS12.bdf
luBS14.bdf
luRS08.bdf
luRS10.bdf
luFS12.bdf
lutBs12.bdf
lutRS10.bdf
lutRS12.bdf
DECwindows サーバを再起動します。
フォントがインストールされたことを確認するために、DECwindows サーバで利用できるフォントのリストを表示します。
$ DISPLAY=decvax::0 $ xlsfonts | grep Sun (カーソル用フォント名) $ xlsfonts | grep Lucida |
DECwindows セッションマネージャの Security メニューを使って、OpenWindows のノードに DECwindows サーバ上で画面を表示する許可が与えられていることを確認します。
OpenWindows DeskSet ツールなどの X11 アプリケーションを実行します。
$ DISPLAY=decvax::0 $ mailtool |
DNI トランスポートライブラリ libdni が存在するディレクトリを指すように、環境変数 DNI_X_ENABLE
を設定しておく必要があります。詳細は、「DECnet インターネットワーキングの設定」の手順 1 を参照してください。
次に示すようなエラーメッセージが出力される場合は、指摘されたフォントを DECwindows サーバにインストールしてからアプリケーションを実行してください。
XView warning: Cannot load font `-b&h-lucida-medium-r-*-*-*-80-*-*-*-*-*-*' (Font package) |
このエラーメッセージは、luRS10.bdf フォントをインストールする必要があることを示しています。
フォントについての詳細は、『Solaris X Window System 開発ガイド』を参照してください。