ヘルプタグ・マークアップ言語を使用してヘルプ・ボリュームを記述する場合は、テキストのフォントおよびサイズは指定しません。ヘルプタグ・ソフトウェアを起動すると、入力した要素が、テキスト属性を含む実行時のヘルプ・ファイルにフォーマットされます。
フォント・スキーマは、テキスト属性を実際のフォント指定にマップします。たとえば、ヘルプ・トピックがボールドの sans serif (サンセリフ) フォントを使用してフォーマットされている場合、フォント・スキーマは、どの共通デスクトップ環境標準フォントまたは X フォントが実際にテキスト表示に使用されているかを識別します。
フォント・スキーマを使用する主な目的は、フォント・サイズの選択肢を提供することです。ヘルプタグ・ソフトウェアはほとんどのトピックの本文を 10 ポイントにフォーマットします。しかし、実際に表示されるフォントは使用されているフォント・スキーマが決定するため、10 ポイントのテキストはすべて 14 ポイント・フォントを使用するよう指定されます。
各フォント・スキーマは、実際は X リソースのセットです。X リソースは、ヘルプを表示しているアプリケーションによって読み取られます。フォント・スキーマを変更したい場合は、フォント・リソースをアプリケーションのデフォルトのリソース・ファイルに設定できます。
フォント・スキーマ内の各リソースの一般的な形式は次のとおりです。
*pitch.size.slant.weight.style.lang.char-set: font specification
文字間の水平方向の間隔を指定します。このフィールドは、p (プロポーショナル) か m (モノスペース) のいずれかです。
希望するフォントの高さを指定します。ヘルプタグでフォーマットされたヘルプ・ファイルは、この値は 6、8、10、12、14 のいずれかです。
希望するフォントの傾斜を指定します。このフィールドは通常、垂直な文字なら roman、傾斜した文字なら italic のいずれかになります。
希望するフォントの線の太さを指定します。このフィールドは通常、medium か bold のいずれかです。
希望するフォントの一般的なスタイルを指定します。ヘルプタグでフォーマットされたヘルプ・ファイルのこの値は serif か sans_serif のいずれかです。
この言語を使用してコンパイルされたボリュームが、これらのフォントを使用するように指定します。通常、指定された char_set を使用するすべてのボリュームがこれらのフォントを使用するように、* (アスタリスク) をエントリに使用します。
ヘルプ・テキストの記述に使用する文字セットを指定します。この値は、ヘルプタグを実行したときに指定した文字セットと一致しなければなりません。デフォルトは ISO-8859-1 です。一部の特殊文字は symbol 文字セットを使用して表示されます。
* (アスタリスク) を使用すると、特定の属性のすべての値を持つフォントを指定できます。たとえば、記号セット (特殊文字と特殊記号) はサイズと文字セットのみに基づいて一意のフォントを識別します。
フォント・リソースはフォント・スキーマ内で次のように表示されます。
*.6.*.*.*.*.DT-SYMBOL-1: -adobe-symbol-medium-r-normal-*-*-60-*-*-p-*-adobe-fontspecific *.8.*.*.*.*.DT-SYMBOL-1: -adobe-symbol-medium-r-normal-*-*-80-*-*-p-*-adobe-fontspecific *.10.*.*.*.*.DT-SYMBOL-1: -adobe-symbol-medium-r-normal-*-*-100-*-*-p-*-adobe-fontspecific *.12.*.*.*.*.DT-SYMBOL-1: -adobe-symbol-medium-r-normal-*-*-120-*-*-p-*-adobe-fontspecific *.14.*.*.*.*.DT-SYMBOL-1: -adobe-symbol-medium-r-normal-*-*-140-*-*-p-*-adobe-fontspecific
[char-set] フィールドは * (アスタリスク) を使用できない唯一のフィールドです。
日本語や韓国語などのマルチバイト言語を表示するには、フォント・セットを使用してフォント・リソースを指定しなければなりません。フォント・セットは、実際にはフォントのグループです。フォント・セットのリソース・エントリは、複数のフォント名が , (カンマ) で区切られ、指定が : (コロン) で終了する点を除き、単一のフォントと同様です。次の例は、日本語フォント・セット用の完全に指定したフォント・リソースです。
bridge-gothic-medium-r-normal--18-180-75-75-c-80-jisx0201.1976-0, bridge-gothic-medium-r-normal--18-180-75-75-c-160-jisx0208.1983-0, bridge-gothic-medium-r-normal--18-180-75-75-c-160-jisx0212.1990-0:
マルチバイト言語のフォントを指定するには、最小限の XLFD フォント指定を提供し、システムがフォント・セットを生成するために文字セットの値を指定できるようにすることも可能です。
*.12.roman.medium.*.ja_JP.EUC-JP: -*-*-*-*-*-*-*-120-*-*-*-*-*-*:
フォント・セットを指定するときには、必ず指定を : (コロン) で終了してください。これにより、ヘルプ・システムは情報を表示するためのフォント・セットをロードします。フォント・セットはマルチバイト言語の表示に使用されます。シングルバイト情報を持つボリュームについては、標準フォント指定を使用してください。
/usr/dt/dthelp/fontschemes ディレクトリには次の 4 つのフォント・スキーマが格納されています。
ヘルプ・システムが使用するデフォルト・フォント
大きなフォントの例
マルチバイト・フォントの例
X11 フォントの例
オンライン・ヘルプを表示するアプリケーション用のデフォルトのリソース・ファイルを編集します。(もしあれば) 現在のフォント・リソースを新規スキーマに置換します。
自分だけのためにこの変更を行う場合は、デフォルトのリソース・ファイルを自分のホーム・ディレクトリにコピーしてから編集を行なってください。
DtStopWatch という名前の個人用アプリケーションの大きいサイズのフォントを (ヘルプ・ダイアログで) 使用するには、次の手順を実行します。
ホーム・ディレクトリへ移動します。
cd
次に、アプリケーションのデフォルトのリソース・ファイル DtStopWatch をコピーし、書き込み可能にします。
cp /usr/dt/app-defaults/C/DtStopWatch . chmod u+w DtStopWatch
最大のスキーマ (fontLarge.fns) を追加するよう DtStopWatch ファイルを編集します。ファイルの最後に次のファイルの内容を挿入します。
/usr/dt/dthelp/fontschemes/fontLarge.fns
新しい DtStopWatch ファイルを保存します。
DtStopWatch アプリケーションを起動し、[ヘルプ] を選択し、ヘルプ・トピックが新しいフォント・スキーマを使用して表示されるかを確認します。