この節では、DiskSuite ツールの高度な使用法 (および制約) について説明します。
カラーマップ - DiskSuite ツールは、アプリケーションを終了するときに、「ディスク表示」ウィンドウのカラーマップを保存できません。DiskSuite ツールの使用を終了すれば、そのカラーマップは無効になり、保存することはできません。
メタデバイスの論理名 - 現在、DiskSuite ツールには table1 や log1 などの論理名をメタデバイスに割り当てる機能が存在しません。
スライスブラウザウィンドウの「使用状況」カラム - スライスが raw デバイスとして使用されている場合、スライスブラウザウィンドウの「使用状況」カラムは「未割り当て」から変化しません。現在、raw デバイスとして使用されるメタデバイスに限らず、すべての raw デバイスがこの問題を共有しています。使用するデバイスは、ファイルシステムや swap として登録するしか方法がありません。DiskSuite ツールには、このための独自の方法がありません。
メタデバイスエディタのキャンバスにおいて、画面の表示領域の管理に役立つ 3 つのヒントを紹介します。
オブジェクトのポップアップメニューから「拡大表示解除」を選択すると、より多くのオブジェクトをキャンバスに収容できます。
キャンバスに多数のオブジェクトがあり、マウスを使ってオブジェクトの再配置を行なったり、そのうちのいくつかを片付けたりする場合、「編集」メニューから「キャンバスを整理」を選択すると便利です。「キャンバスを整理」オプションは、キャンバス上のオブジェクトをグリッド単位に再配列し、表示を見やすくします。
キャンバスのサイズ変更にはサッシ (枠) を使用します。キャンバス領域を広げるには、「メタデバイスエディタ」ウィンドウの下部にあるサッシ上でマウスの SELECT ボタン (通常は左ボタン) を押し、右方向にドラッグします。
「スライス表示」ウィンドウと「ディスク表示」ウィンドウの内部でフィルタを設定すると、当面の作業に対して適当なスライスをすばやく探索するのに役立ちます。
多数のディスク (とスライス) を備えたシステムの場合、特定のサイズで使用できるスライスを探すことは面倒な仕事です。「スライスフィルタ」ウィンドウを使用すれば、この作業に要する時間を節約できます。
この作業では、200M バイトを超える使用可能なスライスに対して「スライスブラウザ」ウィンドウにフィルタを作成し、これらのスライスを「ディスク表示」ウィンドウにドラッグ&ドロップして、その位置を調べる方法について説明します。
「スライス」をクリックして「スライスブラウザ」ウィンドウを表示する。
「スライスブラウザ」ウィンドウが表示されます。
「スライスブラウザ」ウィンドウの「フィルタ」メニューから、「フィルタの設定」を選択する。
「スライスフィルタ」ウィンドウが表示されます。
使用可能なスライスを検索するには、「使用可能な種類」ラジオボタンがチェックされており、プルダウンメニューで「任意」が選択されていることを確認する。
200M バイトを超えるスライスを選別するには、「サイズ」ラジオボタンをチェックし、最初のプルダウンで「指定数値より大きい」を選択し、テキストボックスに 200 を入力し、2 番目のプルダウンメニューで「M バイト」を選択する。
「適用」をクリックし、「スライスブラウザ」ウィンドウで結果を見る。
必要ならば、「スライスフィルタ」ウィンドウの値を変更し、「適用」をクリックしてフィルタ方式を変更します。
希望に合わせてフィルタ方式を調節してから、「了解」をクリックして「スライスフィルタ」ウィンドウを閉じる。
「ディスク表示」をクリックして、「ディスク表示」ウィンドウを表示する。
「ディスク表示」ウィンドウが表示されます。
「スライスブラウザ」ウィンドウで「すべてを選択」をクリックする。
選択したスライスを「ディスク表示」ウィンドウのドロップ領域の色の部分にドラッグする。
「ディスク表示」ウィンドウで結果を見る。
DiskSuite ツールは、「ディスク表示」ウィンドウにドラッグされたすべてのスライスに対して、選択したドロップ領域の色を使用します。これで、「一般的なガイドライン」で概説した内容に従って、(たとえばサブミラーを作成するために) スライスを選択できます。
この作業では、DiskSuite ツールを使用することによって、サブミラー内のエラーの発生したスライスに対して、適切なサイズの交換用スライスを見つける方法を示します。
この手法はミラーだけに限定されません。この作業を使用すれば、どのタイプのメタデバイスに対しても、交換スライスを見つけることができます。
「ディスク表示」をクリックして「ディスク表示」ウィンドウを表示する。
「ディスク表示」ウィンドウが表示されます。
エラーの発生したミラーオブジェクトを、オブジェクトリストからキャンバスにドラッグする。
ミラーの内部で 1 つのサブミラー (連結方式オブジェクト) を選択し、「ディスク表示」ウィンドウにドラッグする。さらに、2 番目のサブミラーについても同じ操作を行う (3 面ミラーの場合は、3 番目のサブミラーについても同様)。
「ディスク表示」ウィンドウでは、ミラーオブジェクト内のサブミラーに対応する別のカラーでスライスが着色されます。このため、たとえばコントローラが異なっても、スライスの位置を探すために役立ちます。
「スライス」をクリックして「スライスブラウザ」ウィンドウを表示する。
「スライスブラウザ」ウィンドウが表示されます。
「スライスブラウザ」ウィンドウで「フィルタの設定」をクリックする。
「スライスフィルタ」ウィンドウが表示されます。
使用可能なスライスを検索するには、「使用可能な種類」ラジオボタンがチェックされており、プルダウンで「メタバイスコンポーネント」が選択されていることを確認する。
エラーの発生したスライスを交換するためのスライスを選別する。
これを行う 1 つの方法としては、エラーの発生したスライスよりも少しだけ小さいサイズを基準にして、それより大きなスライスを見つけるフィルタを設定します。この方法では、エラーの発生したスライスと同じサイズのスライスを検索するフィルタを設定する場合に比べて、広範囲なスライスが表示されます。
サイズを設定する。「サイズ」ラジオボタンをチェックし、最初のプルダウンで「指定数値より大きい」を選択する。テキストボックスにスライスのサイズ (M バイト単位で、エラーの発生したスライスより少しだけ小さなサイズ) を入力する。2 番目のプルダウンで「M バイト」を選択する。
「適用」をクリックし、「スライスブラウザ」ウィンドウで結果を見る。
必要ならば、「スライスフィルタ」ウィンドウの値を変更し、「適用」をクリックしてフィルタ方式を変更します。
「スライスブラウザ」ウィンドウで、「すべてを選択」をクリックする。選択したスライスを「ディスク表示」ウィンドウのドロップ領域の色の部分にドラッグする。
「ディスク表示」ウィンドウで結果を見る。
DiskSuite ツールは、「ディスク表示」ウィンドウにドラッグされたすべてのスライスに対して、この色を使用します。
交換用のスライスを選択する。
これで、「一般的なガイドライン」で概説したガイドラインに従って、DiskSuite オブジェクトに対するスライスを選択できます。十分な大きさのある交換スライスを選び、(別のコントローラ上で、あるいは少なくとも別のディスク上で) ミラーのガイドラインに従います。
交換用のスライスを、「ディスク表示」ウィンドウからエラーの発生したスライスをもつ連結方式オブジェクトの矩形までドラッグする。
ミラーを確定する。
デフォルトでは、DiskSuite ツールは、OpenWindowsTM のデスクトップアプリケーションと互換性のある色とフォントを使用します。この節では、これらの色とフォントの変更方法について説明します。
DiskSuite ツールでは多数の色を使用します。
標準のフォアグラウンドカラー - アプリケーション要素のほとんどすべてを表示するために使用する主要な色。標準では、ウィンドウ、ボタン、その他のコントロール用のデフォルトカラーを提供します。
標準のバックグラウンドカラー - ウィンドウ、ボタン、その他のコントロールで提示される情報の表示に使用される色。
キャンバスのバックグラウンドカラー - データ領域のバックグラウンドカラー。たとえば、エディタ、「ディスク表示」ウィンドウ、スクロールリストの表示領域は、すべてキャンバスのバックグラウンドカラーを使用します。
マッピングカラー - 論理デバイスから「ディスク表示」ウィンドウ内のスライスへのマッピングを表示する色。それぞれのディスク表示マッピングごとに 1 つずつ、全部で 8 つのマッピングカラーがあります。
状態カラー - 注意を必要とするオブジェクトの状態情報を強調する色。独自の色によって注意、緊急、重大な障害の 3 つの状態を表示します。
X ウィンドウシステムの RGB (赤、緑、青) 色指定機能を使用すれば、ほとんど無限に多彩な色を指定できます。もちろん、これらの色の多くは似ており、シェード (影の部分) や輝度がほんの少しずつ異なるだけです。
色の選択と指定に役立つよう、X ウィンドウシステムでは、RGB 値の代わりに名前で指定できる、標準のデフォルトカラーセットを提供します。このカラー名のデータベースを調べるには、標準の X ユーティリティ showrgb を使用します。このユーティリティは、RGB 値と対応する記述エイリアスを表示します。たとえば、次のようになります。
# showrgb 199 21 133 medium violet red 176 196 222 light steel blue 102 139 139 paleturquoise4 159 121 238 mediumpurple2 141 182 205 lightskyblue3 0 238 118 springgreen2 255 160 122 light salmon 154 205 50 yellowgreen 178 58 238 darkorchid2 69 139 116 aquamarine4 ... 107 107 107 gray42 71 71 71 gray28 61 61 61 gray24 255 255 255 white 0 205 205 cyan3 0 0 0 black |
/usr/openwin/lib/X11/rgb.txt ファイルを見ても、デフォルトのカラー名データベースを調べることができます。
残念ながら、色をブラウズするための標準アプリケーションは存在しません。パブリックドメインのカラーブラウザを入手できない場合、試行錯誤しながら希望の色を探してください。
DiskSuite ツールのデフォルトカラーを表 8-1に示します。
表 8-1 DiskSuite ツールのデフォルトカラー
カラータイプ |
色 |
---|---|
標準のフォアグラウンド |
black (黒) |
標準のバックグラウンド |
gray (グレー) |
キャンバスのバックグラウンド |
gray66 (グレー 66) |
マッピングカラー : |
|
mappingColor1 |
blue (青) |
mappingColor2 |
green (緑) |
mappingColor3 |
magenta (マゼンタ) |
mappingColor4 |
cyan (シアン) |
mappingColor5 |
purple (紫) |
mappingColor6 |
mediumseagreen (中間海緑色) |
mappingColor7 |
firebrick (耐火レンガ) |
mappingColor8 |
tan (黄褐色) |
mappingColor9 |
white (白) |
状態色 : |
|
重大な障害 |
red (赤) |
緊急 |
orange (オレンジ) |
注意 |
yellow (黄) |
DiskSuite ツールでは、4 つのフォントを使用します。
標準フォント - ツール (たとえば、ボタンラベル、メニュー、ダイアログボックス) 内の大部分のテキストを表示します。
モノスペース (固定幅) フォント - 一貫したカラム調整を可能にします (たとえば、さまざまなブラウザとスクロールリストで)。これは何回か指定する必要があります。
ボールドフォント - 属性名とラベルを実際の属性値から特定します。「情報」ウィンドウの名前 / ラベルは標準フォントで表示され、対応する値がボールドフォントで表示される。このフォントは控え目に使用されます。
スモールフォント -「ディスク表示」ウィンドウで 50% のスケーリングレベルにある物理デバイスを示します。
使用可能なフォントは、アプリケーションの表示に使用する X ウィンドウシステムのサーバーによって異なります。標準の X ユーティリティである xlsfonts(1) では、サーバーで使用可能なフォントを表示します。たとえば、次のようになります。
# xlsfonts --courier-bold-o-normal--0-0-0-0-m-0-iso8859-1 --courier-bold-r-normal--0-0-0-0-m-0-iso8859-1 --courier-medium-o-normal--0-0-0-0-m-0-iso8859-1 --courier-medium-r-normal--0-0-0-0-m-0-iso8859-1 --symbol-medium-r-normal--0-0-0-0-p-0--symbol -symbol-medium-r-normal--0-0-0-0-p-0-sun-fontspecific -adobe-courier-bold-i-normal--0-0-0-0-m-0-iso8859-1 ... utopia-bolditalic utopia-italic utopia-regular variable vshd vtbold vtsingle zapfchancery-mediumitalic zapfdingbats |
使用可能なフォントを表示するために便利なもう1つのユーティリティは xftonsel(1) です。詳細は、これらのユーティリティのマニュアルページを参照してください。
DiskSuite ツールのデフォルトフォントは、すべて Lucida フォントファミリーを基準にしています。
表 8-2 DiskSuite ツールのデフォルトフォント
フォントタイプ |
フォント |
---|---|
標準フォント |
lucidasans12 |
モノスペースフォント |
lucidasans-typewriter12 |
ボールドフォント |
lucidasans-bold12 |
スモールフォント |
lucidasans8 |
DiskSuite ツールでは、X ウィンドウシステムの資源データベース機能を使用して、どのフォントを使用するかを決定します。デフォルトの資源指定を次に示します。
表 8-3 DiskSuite ツールのデフォルトのフォント資源指定
資源 |
フォント |
---|---|
Metatool*fontList: |
Lucidasans12 |
Metatool*smallFontList: |
Lucidasans8 |
Metatool*boldFontList: |
Lucidasans-bold12 |
Metatool*fixedFontList: |
Lucidasans-typewriter12 |
Metatool*XmList.fontList: |
Lucidasans-typewriter12 |
Metatool*Help*helpsubjs.fontlist: |
Lucidasans-typewriter12 |
Metatool*Help*helptext.fontlist: |
Lucidasans-typewriter12 |
ja ロケールでは、Lucida フォントファミリーではなく、次のフォントをデフォルトに指定して使用しています。
-sun-gothic-medium-r-normal--14-120-75-75-c-120-jisx0208.1983-0
-sun-gothic-medium-r-normal--14-120-75-75-c-60-jisx0201.1976-0
DiskSuite ツールのデフォルトカラーとフォントを変更するには、次の 4 つの方法のいずれかを使用します。
DiskSuite ツールの 1 つの呼び出しに対しては、xrm ユーティリティを使用して、代わりのフォント資源やカラー資源を指定する。
# metatool -xrm '<資源名>' |
DiskSuite ツールのすべての呼び出しに対しては、自分の .Xdefaults ファイルを編集し、代わりのカラー資源やフォント資源を指定する。
.Xdefaults ファイルは、一般にデスクトップセッションの起動時にロードされます。このファイルを編集したら、次にデスクトップセッションを起動したときに、新しい資源または変更された資源が使用されます。
現在のセッションに対しては、再起動することなく、xrdb ユーティリティを使用する。
# xrdb -merge <.Xdefaults のパス名> |
DiskSuite ツールのすべてのユーザーに対しては、次のファイルを参照する。
ja ロケールの場合:
/usr/opt/sadm/lib/lvm/X11/ja/app-defaults/Metatool
C ロケールの場合:
/usr/opt/sadm/lib/lvm/X11/app-defaults/Metatool
このファイルに対する変更は、DiskSuite ツールが次に起動されたときに認識されます。
この例では、DiskSuite ツールの 1 つの呼び出しに対して、標準フォントを lucidasans16 に変更します。
# metatool -xrm 'Metatool*fontList: lucidasans16' |