Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド

保守状態と最後にエラーが発生した状態

ミラーや RAID5 メタデバイス内のスライスにエラーが発生した場合、DiskSuite はそのスライスを「Maintenance (保守状態)」にします。「Maintenance」のスライスには、それ以降の読み書きは実行されません。その後、同じメタデバイス内で他のスライスにエラーが発生しても、その取り扱いはメタデバイスの種類に応じて異なります。ミラーは、多数のスライスが「Maintenance」にあっても動作可能であり、まだ読み書きを行うことができます。RAID5 メタデバイスは、定義により、「Maintenance」にあるスライスを 1 つだけ許容できます。ミラーまたは RAID5 メタデバイスに「Last Erred (最後にエラーが発生した状態)」のスライスがある場合、「Last Erred」とマークされたスライスにはまだ入出力が試みられます。その理由は、「Last Erred」のスライスには、DiskSuite から見て現時点で最新の正しいデータコピーに近いものが含まれているためです。「Last Erred」のスライスをもつメタデバイスは、正常なデバイス (ディスク) のように振る舞い、アプリケーションに入出力エラーを返します。通常、この時点で一部のデータは消失していることがあります。

必ず「Maintenance」のスライスを最初に交換してから、「Last Erred」のスライスを交換します。スライスが交換されて再同期されたら、metastat(1M) コマンドを使用してその状態を確認し、データの妥当性をチェックして、その内容が正しいことを確認します。

ミラー : スライスが「Maintenance」にある場合、データは失われていません。スライスは任意の順序で交換したり有効にすることができます。スライスが「Last Erred」にある場合、まず「Maintenance」にある他のすべてのミラー化スライスを交換してから、このスライスを交換できます。通常、「Last Erred」にあるスライスを交換したり有効にするということは、一部のデータが消失した状態であることを意味します。ミラーを修復してから、ミラー上のデータの妥当性をチェックしてください。

RAID5 メタデバイス : RAID5 メタデバイスは、単一のスライス障害に耐性を持ちます。「Maintenance」にあるスライスは、データを失うことなく、安全に交換できます。他のスライスにエラーが発生した場合、そのスライスは「Last Erred」となります。この時点で、RAID5 メタデバイスは読み取り専用デバイスとなります。何らかのエラー回復処置を実行して、RAID5 メタデバイスの状態を非エラー状態とし、データ損失の可能性を低下させる必要があります。RAID5 メタデバイスが「Last Erred」になった場合、データが失われた可能性が高いと言えます。RAID5 メタデバイスを修復したら、そこにあるデータの妥当性をチェックしてください。