十分なネットワーク帯域幅および可用性を提供することが NFS サーバーを環境設定する上で最も重要な条件となります。これを実現するには、適切な数と種類のネットワークとインタフェースを設定する必要があります。
ネットワークを設定する際は、以下のことを注意してください。
すべてのクライアントネットワークにわたって、ネットワークトラフィックを効率よく分散し、どのネットワークにも過度に負荷がかからないようにします。
1 つのクライアントネットワークに過度の負荷がかかっている場合は、そのセグメントの NFS トラフィックを監視します。
サーバーに対して最大の要求をしているホストを特定し、負荷を分散させます。
クライアントを別のセグメントに移します。
ディスクに対する入出力の処理が、頻繁に行われるシステムではない場合は、単にシステムにディスクを追加しても、NFS の性能が向上することはありません。ファイルサーバーのサイズが大きくなるにしたがって、ネットワークが NFS の性能を制限する要素になる可能性が高くなります。システムのバランスを保つためには、ネットワークインタフェースを追加する必要があります。
1 つのネットワークでより多くのデータブロックを転送するのではなく、代表的なクライアントが使用するデータ量の特徴を把握して、複数のネットワークに NFS の読み書きを分散させてください。
データを扱うことの多い (Data-Intensive) アプリケーションは、ほとんどの場合はネットワークを必要としません。ただし、ネットワークを使用する場合は、大きな帯域幅が必要となります。
運用環境が以下のいずれかの特徴をもつ場合は、高速なネットワーク環境が必要になります。
クライアントが全体として毎秒 1 MB を超えるデータ転送速度を必要とする
複数のクライアントが、毎秒 1 MB を同時に使用できる必要がある
サーバーの主要アプリケーションが、データを扱うことが多い場合の推奨ネットワーク構成は、以下のとおりです。
SunFDDI、SunATM などの高速ネットワークを構築する
光ファイバケーブルを使用できない場合は、より対線式の SunFDDI や CDDI、SunFastEthernet の導入を検討してください。SunATM は、SunFDDI と同じサイズのファイバケーブルを採用しています。SunFDDI についての詳細は、『SunFDDI/S3.0 User's Guide』を参照してください。
同時に動作する完全に NFS アクティブなクライアント 5 〜 7 台につき、SunFDDI リング 1 つの割合でネットワークを構築する
データを扱うことの多いアプリケーションで、連続的に NFS 要求をするアプリケーションはほとんどありません。通常のデータを扱うことの多い EDA や地球資源アプリケーションでは、1 リング当たりのクライアント数は 24 〜 40 になります。
一般的には、操作対象の大きなデータブロックを読み込んで、サーバーに書き戻すという使用方法です。こうした環境では、データを書き戻す処理があるため、書き込みの割合が非常に大きくなる可能性があります。
Ethernet ケーブルを設置している場合は、アクティブなクライアント 2 台に対して Ethernet 1 つの割合でネットワークを構築し、1 ネットワークあたりのクライアント数を最高でも 4 〜 6 にする
コミュニティを有用なものにするには多くのネットワークが必要になります。したがって、SPARCserver 1000/1000E、SPARCcenter 2000/2000E、Ultra Enterprise 3000/4000/5000/6000 といったシステムが必要になります。1 ネットワークあたりのクライアント数は、最大でも 4 〜 6 にしてください。
データを扱うことの多いアプリケーションと比較して、大部分の属性依存 (Atribute-Intensive) のアプリケーションは、高価なネットワークを構築せずに容易に対処することができます。ただし、属性依存のアプリケーションでも、多数のネットワークが必要となります。Ethernet やトークンリングなどの低速のネットワークメディアを使用してください。
サーバーの主要アプリケーションが、属性依存の場合の推奨ネットワーク構成は、以下のとおりです。
Ethernet またはトークンリングを構築する
完全にアクティブな 8 〜 10 のクライアントに Ethernet 1 つの割合でネットワークを構築する
1 つの Ethernet あたりのクライアント数が 20 〜 50 を超えると、多数のクライアントがアクティブになったときに、性能が大幅に低下します。Ethernet は、衝突率は高くなりますが、SPECnfs_097 (LADDIS) ベンチマークで約 250 〜 300 NFS ops/秒の性能を維持することができます。継続して 200 NFS ops/秒を超えることはお勧めしません。
アクティブな 10 〜 15 のクライアントに対して、トークンリング 1 つの割合でネットワークを構成する
Ethernet と比較して、大きな負荷に対する性能低下が少ないため、必要に応じて、1 つのトークンリングネットワークに対して、クライアント 50 〜 80 という構成にすることができます。
複数のユーザークラスを持つサーバー用にネットワークを設定するには、異なる種類のネットワークを混在させます。たとえば、SunFDDI とトークンリングはともに、文書画像作成アプリケーション (データを扱うことが多い) や、PC で動作する財務分析アプリケーション (ほとんどの場合は属性依存) をサポートするサーバーに適しています。
多数のネットワークインタフェースカードが必要になることがあるため、選択するプラットフォームは、ネットワークの種類と数によって決まります。