Start with Record と Replay オプションは、テストセッション中での重要なイベントのシーケンスを記録し、後にこの情報を再生、または参照するための機能です。テストセッションが記録されていれば、この情報を使用して記録されたイベントのシーケンスを SunVTS カーネルに再現させることができます。記録および再生機能は、テスト条件の再現方法やデバッグの手助けとなる処理を提供しています。
Record および Replay オプションは、イベントの順番を厳密に再現することができますが、イベントの時間の長さを再現することはできません。これは、それぞれの実行時間が異なるためです。このオプションを使用してスケジュール再生した場合は、考慮されるのは、本来の実行でのイベント同士の順番と、相対的なスケジュール時間の差だけです。
テストセッションの再生方法は限られています。これは、Replay オプションが、コマンドの完了時ではなく、コマンドの開始時にのみ制御可能なためです。
Record with Replay オプションは、次のテストイベントを記録します。
テストの開始
テストの停止
Intervention モードの有効と無効
テストの選択と選択解除
イベントは、指定ログディレクトリ中に保存される vts_replay_file ファイルに記録されます。ログディレクトリが指定されていない場合は、デフォルトで /var/opt/SUNWvts/logs ディレクトリが使用されます。
vts_replay_file の最初の部分は、記録が開始された時点での SunVTS カーネルとテストオプションの設定情報から構成されます。再生では、この情報を使用して元のオプション設定が復元されます。
イベントは、オプション設定保存後に記録されます。各イベントについては、以下の形式で情報が記録されます。
イベントの種類 経過時間 対象オブジェクト [インスタンス番号] [イベント固有情報]
次の表は、各イベント文字列をまとめたものです。
表 5-4 vts_replay_file のイベント文字列
イベント列 |
説明 |
---|---|
イベントの種類 |
START、 STOP、 SELECT、 DESELECT、INTERVENTION のいずれかです。 |
経過時間 |
先行のイベントからの経過時間 (単位: 秒) |
対象オブジェクト |
このイベントに関係するオブジェクト。例: fpu (fputest)。INTERVENTION イベントのように値がハイフンの場合は、このフィールドは無視されます。 |
インスタンス番号 |
テストのインスタンス番号。START と STOP イベントには、有効な番号が必要です。INTERVENTION、 SELECT、DESELECT イベントの場合は、このフィールドの値は -1 になります。 |
イベント固有情報 |
イベントの再生に必要なイベント固有の追加情報。START イベントの場合は、このフィールドには、テストコマンド行の引数が含まれます。また、INTERVENTION イベントの場合は、使用可能かどうかを示す値です。STOP、 SELECT、DESELECT イベントの場合は、このフィールドは空です。 |