特記事項: Quad FastEthernet デバイスドライバ

第 1 章 Sun Quad FastEthernet アダプタ用のドライバソフトウェアの設定

この章では、Sun Quad FastEthernet アダプタが使用するドライバソフトウェアの設定手順を説明します。特に明記していないかぎり、どの設定手順も Sun Quad FastEthernet PCI アダプタおよび Sun Quad FastEthernet SBus アダプタの両方に適用されます。

この章の内容を以下に示します。

ドライバソフトウェアのインストール

Solaris™ CD には、Sun Quad FastEthernet アダプタを使用する際にインストールする必要のあるソフトウェアが収録されています。


注 -

Sun Quad FastEthernet アダプタに付属しているインストール CD は使用しないでください。Solaris CD に収録されている最新のソフトウェアを使用してください。


アダプタの 4 つのネットワークインタフェースを使用するには、システムホストファイルを作成して、編集する必要があります。システムホストファイルの設定方法については、次の節で説明します。

ホストファイルの設定

Sun Quad FastEthernet ドライバソフトウェアのインストールを終えたら、アダプタ上の Ethernet インタフェース用に hostname.qfenum ファイルを作成する必要があります。/etc/hosts ファイルに、Ethernet インタフェース用の IP アドレスとホスト名の両方を作成します。

ホストファイルを設定する
  1. コマンド行で grep コマンドを使用して、/etc/path_to_inst ファイルに qfe デバイスがあるかどうか調べます。

    • Sun Quad FastEthernet PCI アダプタの場合


      # grep qfe /etc/path_to_inst
      "/pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@0,1" 0 "qfe"
      "/pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@1,1" 1 "qfe"
      "/pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@2,1" 2 "qfe"
      "/pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@3,1" 3 "qfe"

    上記の例では、4 つの SUNW,qfe@x,1 インスタンスが、スロット 2 に取り付けられた Sun Quad FastEthernet PCI アダプタに対応しています。

    • Sun Quad FastEthernet SBus アダプタの場合


      # grep qfe /etc/path_to_inst
      "/sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c10000" 1 "qfe"
      "/sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c00000" 0 "qfe"
      "/sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c30000" 3 "qfe"
      "/sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c20000" 2 "qfe"

    上記の例では、4 つの SUNW,qfe@,1 インスタンスが、スロット 1 に取り付けられた Sun Quad FastEthernet SBus アダプタに対応しています。

  2. /etc/hostname.qfenumファイルを作成します。num は、使用するインタフェースのインスタンス番号です。

    手順 1 の例にあるネットワークインタフェースをすべて使用するには、4 つのファイルを作成する必要があります。

    ファイル名 

    インスタンス番号 

    Ethernet アダプタ ネットワークインタフェース 

    /etc/hostname.qfe0

    /etc/hostname.qfe1

    /etc/hostname.qfe2

    /etc/hostname.qfe3

    • Sun Quad FastEthernet アダプタのネットワークインタフェースのうちで、使用しないものについては /etc/hostname.qfenum ファイルを作成しないでください。

    • /etc/hostname.qfenum ファイルには、対応するネットワークインタフェースのホスト名を書き込みます。

    • ホスト名には IP アドレスが割り当てられている必要があり、その IP アドレスは /etc/hosts ファイルに書き込む必要があります。

    • 他のインタフェースと重複するホスト名を使用することはできません。たとえば、/etc/hostname.hme0/etc/hostname.qfe2 が同じホスト名を共有することはできません。

    手順 1 のインスタンス例では、Sun Quad FastEthernet アダプタが取り付けられた、zardoz という名のシステムに必要な 4 つの /etc/hostname.qfenum ファイルは以下のようになります (zardoz-11zardoz-12zardoz-13zardoz-14)。


    # cat /etc/hostname.hme0
    zardoz
    # cat /etc/hostname.qfe0
    zardoz-11
    # cat /etc/hostname.qfe1
    zardoz-12
    # cat /etc/hostname.qfe2
    zardoz-13
    # cat /etc/hostname.qfe3
    zardoz-14

  3. 使用する qfe ネットワークインタフェースのすべてについて、/etc/hosts ファイルに適切なエントリを作成します。

    上記の例では、エントリは以下のようになります。


    # cat /etc/hosts
    #
    # Internet host table
    #
    127.0.0.1     localhost
    129.144.10.57 zardoz    loghost
    129.144.11.83 zardoz-11
    129.144.12.41 zardoz-12
    129.144.13.67 zardoz-13
    129.144.14.30 zardoz-14


    注 -

    IPv6 (インターネットプロトコル バージョン 6) は、現在使用されている IPv4 の機能を拡張するものです。Solaris 8 オペレーティング環境の Quad FastEthernet デバイスドライバは、IPv4 と IPv6 の両方をサポートしています。IPv4 の設定は、/etc/hosts ファイルを使用しますが、IPv6 では異なる設定ファイルを使用します。IPv6 への移行、管理、実装については、『Solaris 8 のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。


  4. システムを再起動します。

ネットワークからの起動

Sun Quad FastEthernet アダプタの Ethernet インタフェースを起動デバイスとして使用するには、以下の作業を行ってください。

ネットワークから起動する
  1. ok プロンプトに対して以下のように入力します。


    ok show-devs
    

    show-devs コマンドは、システムデバイスを一覧表示します。以下の例のように、qfe デバイスのフルパス名が表示されます。

    • Sun Quad FastEthernet PCI アダプタの場合


      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@0,1
      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@1,1
      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@2,1
      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@3,1

    • Sun Quad FastEthernet SBus アダプタの場合


      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c30000
      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c20000
      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c10000
      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c00000


    注 -

    起動に使用する qfe デバイスは、1 つだけ選択することができます。


  2. ok プロンプトに対して以下のように入力します。


    ok boot qfeデバイスのフルパス名
    

インストール後の作業 (省略可)

Sun Quad FastEthernet アダプタの性能を調整するには、以下の節で説明する作業を行います。

ドライバのパラメタの設定

Solaris CD から読み込まれた qfe デバイスドライバは、SUNW,qfe Ethernet デバイスを制御します。qfe デバイスドライバは、接続相手と自動ネゴシエーションプロトコルを使用し、接続の速度を選択します。自動ネゴシエーションを参照してください。

qfe デバイスドライバのパラメタを設定して、システム内の各 SUNW,qfe デバイスを手動でカスタマイズすることができます。以下に示す 3 通りの方法のいずれかに従ってください。

詳細は、qfe ドライバのパラメタの設定を参照してください。


注 -

/etc/system ファイルは、今後使用されなくなる予定です。このファイルは、動的再構成 (DR: Dynamic Reconfiguration) に対応していません。


TCP/IP パラメタの変更が失われないようにする

/etc/rc2.d ディレクトリに、以下の例のようにパラメタを変更する実行制御スクリプトを追加します。


#!/sbin/sh
# Local kernel modifications
#
case "$1" in
'start')
	echo "Setting local kernel parameters...\c"
	ndd -set /dev/tcp tcp_rexmit_interval_max 60000
	echo ""
	;;
'stop')
	echo "No kernel parameters changed."
	;;
*)
	echo "Usage: $0 {start|stop}"
	;;
esac
exit 0

ネットワークの速度を強制的に 10 Mbps または 100 Mbps に設定する
  1. ok プロンプトに対して show-devs コマンドを入力し、システムデバイスの一覧を表示します。

    以下の例のように、qfe デバイスのフルパス名が表示されます。

    • Sun Quad FastEthernet PCI アダプタの場合


      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@0,1
      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@1,1
      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@2,1
      /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,qfe@3,1

    • Sun Quad FastEthernet SBus アダプタの場合


      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c30000
      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c20000
      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c10000
      /sbus@1f,0/SUNW,qfe@1,8c00000

  2. 以下のように入力します。


    ok nvedit
    

  3. 以下のように入力します。行 0 の最後で Return キーを押します。


    0: probe-all install-console banner
    1: apply transfer-speed=10 qfe_デバイスのフルパス名
    


    注 -

    すでに NVRAM にコマンドがある場合は、これらの行をファイルの最後に追加してください。


  4. qfe_デバイスのフルパス名を入力したら、Control キーを押しながら C キーを押します。

    すべての qfe ネットワークインタフェースに対して手順 2手順 4 を繰り返し、各インタフェースのネットワーク速度を設定します。


    注 -

    上記の例では、速度は強制的に 10 Mbps に設定されます。100 Mbps に設定するには、10 の部分を 100 に置き換えます。


  5. ok プロンプトに対して以下のように入力します。


    ok nvstore
    ok setenv use-nvramrc? true
    

  6. システムを再起動します。

    ネットワーク速度を強制的に設定する方法の詳細は、強制モードの設定を参照してください。

自動ネゴシエーション

Sun Quad FastEthernet アダプタの重要な機能の 1 つに、自動ネゴシエーション機能があります。100BASE-T 規格で規定されているように、自動ネゴシエーションプロトコルはアダプタの動作モード (半二重または全二重) を選択し、自動検知プロトコルは接続速度 (10 Mbps または 100 Mbps) を選択します。

Sun Quad FastEthernet アダプタは、以下の接続速度と動作モードに対応しています。

システムが起動すると、Sun Quad FastEthernet アダプタは、接続相手 (ホストシステムのハブ、スイッチ、または別のネットワークインタフェースカード) にこれらの機能を通知します。接続相手も自動ネゴシエーションに対応している場合は、接続相手も自身の機能を通知します。接続の両側が共通して対応しているモードのうち、最も優先順位の高いモードが選択されます。

Sun Quad FastEthernet アダプタが自動ネゴシエーション機能を持たない遠隔システムまたはインタフェースに接続した場合は、自動的に速度と半二重モードが選択されます。

自動ネゴシエーションプロトコルが正常に動作しない接続相手に Sun Quad FastEthernet アダプタが接続した場合は、自動検知プロトコルを使用しないで、強制的に特定のモードと速度でドライバが接続を確立するようにデバイスを設定することができます。

local-mac-address 属性

Sun Quad FastEthernet アダプタの各ネットワークインタフェースには、一意の MAC (Media Access Control) アドレスが割り当てられます。MAC アドレスは、ネットワークインタフェースの 48 ビットの Ethernet アドレスです。OpenBoot™ ファームウェアは、ネットワークインタフェースに対応するデバイスノードの local-mac-address 属性を使用して MAC アドレスを報告します。

システム共通の MAC アドレスが存在する場合は、システムは、ネットワークインタフェースに割り当てられた MAC アドレスを使用する必要はありません。そのような場合は、システム共通の MAC アドレスがそのシステムにあるすべてのネットワークインタフェースに適用されます。

デバイスドライバやその他のアダプタユーティリティーは、デバイスを設定する際にネットワークデバイスの MAC アドレス (local-mac-address) を使用することができます。ネットワークインタフェースの MAC アドレスは、ネットワークを介してシステムを起動するときに使用されます。

ネットワークデバイスの mac-address 属性は、システムを起動するときに使用するネットワークアドレス (システム共通のアドレスまたは local-mac-address) を指定します。Sun Quad FastEthernet アダプタのネットワークインタフェースに割り当てられた MAC アドレスを使用してシステムを起動するには、NVRAM 設定変数の local-mac-address?true に設定します。


ok setenv local-mac-address? true