Solaris 2.5.1 および Solaris 2.6 オペレーティング環境でシステムボードを取り外すときは、あらかじめ SNMP デーモンを終了し、SMT (ステーション管理) ドライバがカーネルから組み込み解除されていなければなりません。
この操作はホストウィンド?ウのコマンド行で以下のコマンドを入力することで実行できます。
# /etc/opt/SUNWconn/nf/bin/nf_snmd_kill |
SMT (ステーション管理) デーモンによってFDDI 統計情報が SunNet ManagerTM (SNM) コンソールに返されます。ネットワークのデータは、SNMP デーモンがないと監視できません。
システムボードを取り外し、最低 1 個以上の FDDI アダプタが検知されたら、以下のコマンドで SNMP デーモンを再起動し、SMT ドライバをカーネルへ再組み込みします。
#/etc/opt/SUNWconn/bin/nf_fddidaemon start |
FDDI 構成の一部であるシステムボードを一度取り外すと、データは FDDI アダプタ内で転送されなくなります。
構成を元に戻すには、システムボードを取り付けて ifconfig コマンドによって FDDI アダプタを割り当てます。データが FDDI アダプタ内を移動できるようになります。
FDDI アダプタには、IP アドレス、ネットマスク、ブロードキャストの各値がアクティブな状態に設定されている必要があります。データを転送しない FDDI アダプタの影響は、使用中のトポロジによって異なります。
SunSolve データベースには、DR および FDDI 6.0 に関するパッチが公開されていることがあります。
FDDI と AP をともに使う場合、メタネットワークに一意な MAC アドレスを指定する必要があります。起動時に MAC アドレスが正しく設定されるように、起動スクリプト /etc/rcS.d/S30rootusr.sh に ifconfig コマンドを追加してください。詳細は、使用中の AP のバージョンの『Alternate Pathing ユーザーマニュアル』を参照してください。
アクティブなメタネットワークに接続されたシステムボードを取り外す場合、あらかじめ FDDI パスグループを切り替えます。切り替えをしない場合、DR はシステムボードの取り外しを許可しません。
パスグループを切り替えることにより、メタネットワークで送受信されるデータに影響することなくシステムボードを取り外せるようになります。プライマリ、セカンダリのどちらの場合も、すべての AP デバイスはリングの一部となります。稼働中のトポロジによっては、FDDI デバイスを取り外すことによって FDDI リングが途切れてしまいます。
SunFDDI SBus アダプタ (SAS および DAS) と SunFDDI 6.0 ソフトウェアは、Sun Enterprise 10000 上の Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 オペレーティング環境での動作が保証されています。下記に Sun Enterprise 10000 上の 1 つのドメインでサポートできる SunFDDI アダプタの数の上限を示します。
表 3-1 FDDI アダプタの数の上限
オペレーティング環境 |
SAS アダプタの数の上限 (SBus のみ) |
DAS アダプタの数の上限 (SBus のみ) |
---|---|---|
Solaris 2.5.1 |
7 |
7 |
Solaris 2.6 |
7 |
7 |
Solaris 7(64 bit) |
9 |
9 |
Solaris 7(32 bit) |
9 |
9 |
Solaris 8(64 bit) |
9 |
9 |
Solaris 8(32 bit) |
9 |
9 |
ここでは、SunFDDI SAS アダプタの検証に用いた設定を説明します。
異なるドメイン上の FDDI SAS アダプタ 2 つを直接接続し、双方に同じサブネットアドレスを持たせます。たとえば、IP アドレス 10.10.1.80 を持つドメイン A 上の FDDI SAS アダプタと IP アドレス 10.10.1.81 を持つドメイン B 上の FDDI SAS アダプタを使用した場合、同じサブネットアドレス (10.10.1) を使っているので有効な環境を構築できます。
特長
FDDI コンセントレータは必要ありません。
制限
この設定では、最大 2 ドメインまでしかサポートできません。
2 つの FDDI アダプタがお互いに接続できるのみで、一方が接続に失敗すると接続が切れてしまいます。
Alternate Pathing (AP) はサポートされません。
FDDI コンセントレータ (端末集配信装置) は、ポート M 経由で 1 個以上の FDDI SAS アダプタを FDDI コンセントレータに接続します。FDDI コンセントレータには、複数の M ポートおよび A ポートと B ポートが 1 個ずつ必要です。FDDI コンセントレータは、各 FDDI SAS アダプタのサブネットアドレスが認識できなければなりません。
ポイントツーポイントの設定と同様、FDDI SAS アダプタ間で通信をするにはアダプタが互いに同じサブネットアドレスを持っている必要があります。
ドメイン内で 2 つ以上の FDDI SAS アダプタが FDDI コンセントレータに接続されている場合、AP が使えるようになります。
特長
複数のドメインおよび FDDI SAS アダプタと交信ができます。
DR と AP が使えます。
制限
FDDI コンセントレータが設定の一部となるため、コンセントレータが各 FDDI SAS アダプタのサブネットアドレスを認識できなければなりません。
このセクションでは、SunFDDI DAS アダプタの検証に用いた設定を説明します。
このリングは、ある FDDI DAS アダプタの A ポートを他の FDDI DAS アダプタの B ポートに接続することを繰り返して任意の数の FDDI DAS アダプタを環状につなげることで設定できます。
このリング設定は、ドメインを複数含むことができます。SAS アダプタの場合と同様、リング内の FDDI DAS アダプタが互いに通信するにはアダプタどうしが同じサブネットアドレスを持つ必要があります。リング内に同一ドメインの FDDI DAS アダプタが 2 つ以上インストールされている場合、リングで AP を使えるようになります。
たとえば、一切の FDDI コンセントレータ、デバイス、ハブなどの装置を使わずにリング接続されているドメイン A と B があるとします。
ドメイン A は 2 つのシステムボードで構成され、それぞれのボードに FDDI DAS アダプタがあります。システムボード 1 には FDDI DAS アダプタ nf0、システムボード 2 には FDDI DAS アダプタ nf1 がついています。
ドメイン B は 1 つのシステムボードで構成され、それには FDDI DAS アダプタ nf2 がついています。以上のような条件の場合、次のようにケーブルを接続してリングを構成します。
特長
FDDI コンセントレータが必要ありません。
単一ポイントの障害に対応できます。
DR と AP が使えます。
制限
FDDI は光バイパスをサポートしないため、リング内の FDDI DAS アダプタが設定されていない場合、リングが途切れてしまいます。
リング内の単一ポイントの障害にしか対応できません。
FDDI コンセントレータが 2 つある場合、FDDI DAS アダプタの B ポートを 1 つ目の FDDI コンセントレータの M ポートに、アダプタの A ポートを 2 つ目の FDDI コンセントレータの M ポートに接続することで、デュアルホーミングトポロジを構築できます。FDDI コンセントレータの M ポートすべてに対してこのプロセスを繰り返すこともできます。
同じ FDDI DAS アダプタの A ポートと B ポートを 1 つの FDDI コンセントレータに接続することはできません。
SAS アダプタと同様、FDDI アダプタ間で通信をするにはアダプタが互いに同じサブネットアドレスを持っている必要があります。
ドメイン内で 2 つ以上の FDDI DAS アダプタが FDDI コンセントレータに接続されている場合、AP が使えるようになります。
特長
アクティブとスタンバイの 2 つの FDDI リングができます。
複数ポイントでの障害に対応できます。
DR/AP が使えます。
制限
FDDI コンセントレータが設定の一部となるため、コンセントレータが各 FDDI DAS アダプタのサブネットアドレスを認識できなければなりません。
この節では、FDDI DAS アダプタと SAS アダプタをともに設定する方法を説明します。
基本的に SAS アダプタのポイントツーポイント接続の設定と同じ方法です。 FDDI SAS アダプタと同じ要領で、DAS アダプタのポートの A ポートまたは B ポートのどちらかを使います。FDDI SAS アダプタのポートを FDDI DAS アダプタのいずれかのポートに接続します。
特長
FDDI コンセントレータは必要ありません。
制限
この設定では最大 2 ドメインまでしかサポートできません。
FDDI SAS アダプタは、2 つまでしか互いに通信できません。片方がエラーを起こすと接続が切れてしまいます。
Alternate Pathing (AP) が使えません。
DAS アダプタと SAS アダプタが通信するように FDDI コンセントレータを設定するには、リングを使う方法、リングを使わない方法の 2 つの方法があります。ここでは両方の方法を説明します。
はじめに FDDI SAS アダプタを FDDI コンセントレータの M ポートに接続します。次に FDDI DAS リング設定のどこに FDDI コンセントレータを設置するかを決めます。
以下の例では、FDDI コンセントレータを FDDI DAS アダプタ nf1 と nf2 の間に設置します。FDDI DAS アダプタ nf1 の A ポートを FDDI コンセントレータの B ポートに接続し、FDDI コンセントレータの A ポートを FDDI DAS アダプタ nf2 の B ポートに接続してリングを完成させます。
例:
FDDI コンセントレータを使う前のリング設定
FDDI コンセントレータを使ったリング設定
特長
複数のドメインおよび複数の FDDI アダプタ (DAS および SAS) と通信できます。
DR/AP が使えます。
制限
FDDI コンセントレータが設定の一部となるため、コンセントレータが各 FDDI アダプタのサブネットアドレスを認識できなければなりません。
FDDI SAS アダプタを扱うのと同じ要領で FDDI DAS アダプタの A ポートまたは B ポートをコンセントレータの M ポートに接続します。そして、他のドメインの FDDI SAS アダプタのポートを同じコンセントレータの M ポートに接続します。
同じ DAS アダプタの A ポートと B ポートの両方を同じコンセントレータに接続しないでください。
コンセントレータの A ポートと B ポートを使って複数のコンセントレータを接続することもできます。
特長
複数のドメインおよび複数の FDDI アダプタ (DAS と SAS) と通信できます。
DR/AP が使えます。
制限
FDDI コンセントレータが設定の一部となるため、コンセントレータが各 FDDI アダプタのサブネットアドレスを認識できなければなりません。
この節では、SAS アダプタと DAS アダプタについての特記事項を説明します。
光バイパスは FDDI DAS、SAS の両アダプタでサポートされていません。コンセントレータを使わない DAS アダプタのリングでシャットダウンをバイパスするには、光バイパス (入力および出力ファイバに接続するためのデバイス) が必要です。FDDI コンセントレータを使う場合は、コンセントレータがバイパスを提供するため、ステーションをバイパスする必要はありません。
Solaris 2.6 環境においてドメイン間で大量の入出力を行っている場合、パイプが切断されてしまうことがあります。 tcp_rexmit_interval_max の値を確認してください。
# ndd -get /dev/tcp tcp_rexmit_interval_max |
# ndd -set /dev/tcp tcp_rexmit_interval_max 60000 |
スクリプトを作成して /etc/rc2.d ディレクトリに保存すると、システムのリブートで設定が失われないようにすることができます。