この節では、マルチパスインタフェースグループの構成手順とインタフェースを待機インタフェースに指定するための手順を説明します。
「物理インタフェースのグループ化」にも関連情報が記述されています。
作業 |
概要 |
参照する手順 |
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2 つのインタフェースでマルチパスインタフェースグループを構成 |
ifconfig コマンド、group オプション、-failover オプション、deprecated オプション、および /etc/hostname.interface ファイルを使用する。 | |
インタフェースの 1 つが待機インタフェースであるマルチパスグループを構成 |
ifconfig コマンド、group オプション、standby オプション、-failover オプション、および /etc/hostname.interface ファイルを使用する。 | |
物理インタフェースが属するグループを表示 |
ifconfig コマンドとインタフェース名を使用する。 | |
グループにインタフェースを追加 |
ifconfig コマンドとインタフェース名を使用する。 | |
グループからインタフェースを削除 |
ifconfig コマンドと空文字列を使用して、IP ネットワークマルチパスを無効にする。 | |
インタフェースを既存のグループから別のグループに移動 |
ifconfig コマンドと group オプションを使用する。 |
スーパーユーザーになります。
次のコマンドを使って、個々の物理インタフェースをマルチパスグループに入れます。
# ifconfig interface-name group group-name |
たとえば、hme0 と hme1 を test グループに入れるには、次のように入力します。
# ifconfig hme0 group test # ifconfig hme1 group test |
すべての物理インタフェースに対し検査用 IP アドレスを指定します。
IPv4 検査用アドレスの場合は、次のコマンドを使用します。
この手順では、物理インタフェースのアドレスがすでに構成されているものとします。
# ifconfig interface-name addif ip-address <parameters> -failover deprecated up |
たとえば、次の構成に基づいて hme0 の検査用 IP アドレスを設定します。
アドレスは 19.16.85.21
ネットマスクおよびブロードキャストアドレスをデフォルト値に設定する。
-failover と deprecated を指定する。
次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0 addif 19.16.85.21 netmask + broadcast + -failover deprecated up |
構成を確認するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0:1 hme0:1: flags=9000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,DEPRECATED,IPv4,NOFAILOVER> mtu 1500 index 2 inet 19.16.85.21 netmask ffffff00 broadcast 19.16.85.255 |
この検査用 IP アドレスをアプリケーションから使用されないようにするため IPv4 検査用アドレスを deprecated と指定する必要があります。
次に、下記の構成に基づいて hme1 の検査用 IP アドレスを設定します。
アドレスは 19.16.85.22
ネットマスクおよびブロードキャストアドレスをデフォルト値に設定する。
-failover と deprecated を指定する。
次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme1 addif 19.16.85.22 netmask + broadcast + -failover deprecated up |
IPv6 検査用 IP アドレスの場合は、次のコマンドを使用します。
# ifconfig interface-name inet6 -failover |
この時点では IPv4 アドレスをもつ物理インタフェースがすでにマルチパスグループに追加されているため、IPv6 アドレスをもつ物理インタフェースも自動的に同じマルチパスグループに追加されています。IPv6 アドレスをもつ物理インタフェースが最初にマルチパスグループに追加された場合も、IPv4 アドレスをもつ物理インタフェースは自動的に同じマルチパスグループに追加されます。
たとえば、hme0 に IPv6 検査用 IP アドレスを指定するには、次のコマンドを使用します。
# ifconfig hme0 inet6 -failover |
構成を確認するには、次のように入力します。
# ifconfig hme0 inet6 hme0: flags=a000841<UP,RUNNING,MULTICAST,IPv6,NOFAILOVER> mtu 1500 index 2 inet6 fe80::a00:20ff:feb9:17fa/10 groupname test |
検査用 IP アドレスをアプリケーションから使用されないようにするために IPv6 検査用 IP アドレスを deprecated と指定する必要はありません。
2 つ目のインタフェース hme1 には、次のコマンドを使用します。
# ifconfig hme1 inet6 -failover |
(この手順は、リブート後も構成を有効にしたい場合にだけ必要です。) リブート後も構成を有効にするには、次の手順を実行します。
IPv4 の場合は、/etc/hostname.interface ファイルに次の行を追加します。
interface-address <parameters> group group-name up ¥ addif logical-interface -failover deprecated <parameters> up |
この検査用 IP アドレスは、次回のリブートで有効になります。構成をその場で有効にするには、手順 1 から 3 を実行する必要があります。
たとえば、hme0 に対し次の構成に基づいて test グループを作成します。
物理インタフェース hme0 のアドレスが 19.16.85.19
論理インタフェースのアドレスが 19.16.85.21
deprecated と -failover を指定する。
ネットマスクおよびブロードキャストアドレスをデフォルト値に設定する。
/etc/hostname.hme0 ファイルに次の行を追加します。
19.16.85.19 netmask + broadcast + group test up ¥ addif 19.16.85.21 deprecated -failover netmask + broadcast + up |
同様に、hme1 を同じグループ (test) に入れ、検査用 IP アドレスを指定するには、次のコマンドを入力します。
19.16.85.20 netmask + broadcast + group test up ¥ addif 19.16.85.22 deprecated -failover netmask + broadcast + up |
IPv6 の場合は、/etc/hostname6.interface ファイルに次の行を追加します。
-failover group group-name up |
この検査用 IP アドレスは、次回のリブートで有効になります。構成をその場で有効にするには、手順 1 から 3 を実行する必要があります。
たとえば、IPv6 アドレスをもつ hme0 に対して test グループを作成するには、次の行を /etc/hostname6.hme0 ファイルに追加します。
-failover group test up |
同様に、hme1 を同じグループ (test) に入れ、検査用 IP アドレスを指定するには、次の行を /etc/hostname6.hme1 ファイルに追加します。
-failover group test up |
マルチパスグループにさらにインタフェースを追加する場合は、上記の手順 1 から 3 を繰り返します。新しいインタフェースを動作しているシステム上の既存のグループに追加することができます。ただし、リブート後は変更の内容は失われます。
この手順の例では、hme1 を待機インタフェースとして構成します。
待機インタフェースのアドレスには、検査用 IP アドレスしか指定できません。
「2 つのインタフェースでマルチパスインタフェースグループを構成するには」の手順 1 と 2 を実行します。
次の手順を実行し、すべての物理インタフェースに検査用 IP アドレスを設定します。
hme0 のような非待機インタフェースは、「2 つのインタフェースでマルチパスインタフェースグループを構成するには」の手順 3 を実行します。
待機インタフェースは、次のコマンドを使って検査用 IP アドレスを設定します。
待機インタフェースのアドレスには、検査用 IP アドレスしか指定できません。待機インタフェースは、これ以外の IP アドレスをもつことはできません。
# ifconfig interface-name plumb ip-address <other-parameters> deprecated -failover standby up |
-failover オプションは standby オプションより前に、standby オプションは up より前にそれぞれ指定する必要があります。
<other-parameters> には、実際の構成に応じたパラメータを指定します。詳細は、ifconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。
たとえば、次の構成に基づいて検査用 IP アドレスを作成します。
物理インタフェース hme1 を待機インタフェースにする。
アドレスは 19.16.85.22
deprecated と -failover を指定する。
ネットマスクおよびブロードキャストアドレスをデフォルト値に設定する。
次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme1 plumb 19.16.85.22 netmask + broadcast + deprecated -failover standby up |
結果を確認するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme1 flags=69040843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,DEPRECATED,IPv4,NOFAILOVER,STANDBY,INACTIVE> mtu 1500 index 4 inet 19.16.85.22 netmask ffffff00 broadcast 19.16.85.255 groupname test |
IPv6 の場合、検査用 IP アドレスを作成するには、次のコマンドを使用します。
ifconfig hme1 plumb -failover standby up |
INACTIVE は、このインタフェースが送信パケットには使用されないことを示します。この待機インタフェースに障害経路の迂回が行われると、INACTIVE 状態は取り消されます。
(この手順は、リブート後も構成を有効にしたい場合だけ必要です。) リブート後も構成を有効にするには、次の手順を実行します。
IPv4 の場合は、/etc/hostname.interface ファイルに次の行を追加します。
interface-address <parameters> group group-name up ¥ addif logical-interface-failover deprecated <parameters> up |
この検査用 IP アドレスは、次回のリブートで有効になります。構成をその場で有効にするには、手順 1 と 2 を実行する必要があります。
たとえば、hme0 に対し次の構成に基づいて test グループを作成します。
物理インタフェース hme0 のアドレスが 19.16.85.19
論理インタフェースのアドレスが 19.16.85.21
deprecated と -failover を指定する。
ネットマスクおよびブロードキャストアドレスをデフォルト値に設定する。
/etc/hostname.hme0 ファイルに次の行を追加します。
19.16.85.19 netmask + broadcast + group test up ¥ addif 19.16.85.21 deprecated -failover netmask + broadcast + up |
同様に、hme1 を同じグループ (test) に入れ、検査用 IP アドレスを指定するには、次のコマンドを入力します。
19.16.85.22 netmask + broadcast + group test -failover standby up |
IPv6 の場合は、/etc/hostname6.interface ファイルに次の行を追加します。
-failover group group-name up |
この検査用 IP アドレスは、次回のリブートで有効になります。構成をその場で有効にするには、手順 1 と 2 を実行する必要があります。
たとえば、IPv6 アドレスをもつ hme0 に対して test グループを作成するには、次の行を /etc/hostname6.hme0 ファイルに追加します。
-failover group test up |
同様に、hme1 を同じグループ (test) に入れ、検査用 IP アドレスを指定するには、次の行を /etc/hostname6.hme1 ファイルに追加します。
-failover group test standby up |
たとえば、hme0 のグループ名を表示するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0 hme0: flags=9000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 19.16.85.19 netmask ffffff00 broadcast 19.16.85.255 groupname test |
IPv6 だけのグループ名を表示するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0 inet6 hme0: flags=a000841<UP,RUNNING,MULTICAST,IPv6> mtu 1500 index 2 inet6 fe80::a00:20ff:feb9:19fa/10 groupname test |
たとえば、test グループに hme0 を追加するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0 group test |
たとえば、test グループから hme0 を削除するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0 group "" # ifconfig hme0 hme0: flags=9000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 19.16.85.19 netmask ffffff00 broadcast 19.16.85.255 # ifconfig hme0 inet6 hme0: flags=a000841<UP,RUNNING,MULTICAST,IPv6> mtu 1500 index 2 inet6 fe80::a00:20ff:feb9:19fa/10 |
「マルチパスグループからのネットワークアダプタの削除」に関連情報が記述されています。
インタフェースを新しいグループに追加すると、そのインタフェースは現在のグループから自動的に削除されます。
たとえば、test グループから hme0 を削除し、cs-link グループに追加するには、次のコマンドを入力します。
# ifconfig hme0 group cs-link |
そのインタフェースが現在のグループから削除され、cs-link グループに追加されます。