Solaris 8 のソフトウェア開発 (追補)

第 1 章 新規機能の概要

この章では、Solaris 8 Update リリースに追加された新機能について説明します。


注 –

最新のマニュアルページを参照するには、man コマンドを使用してください。Solaris 8 Update リリースのマニュアルページには、「Solaris 8 Reference Manual Collection」には記載されていない新しい情報も提供されています。


表 1–1 Solaris 8 の新規機能
 

機能 

更新リリース 

 

デバイスドライバの作成 

 

SPARC: ドライバ強化テストハーネスは、Solaris デバイスドライバの開発ツールです。開発中のドライバがハードウェアにアクセスするときに、テストハーネスによってハードウェア障害のさまざまなシミュレーションが投入されます。この障害投入テストハーネスは、SPARC ベースのデバイスドライバの耐性をテストします。 

詳細は、第 4 章「SPARC: ドライバ強化のテストハーネス」を参照してください。

4/01 

 

「高可用性ドライバ」の節では、ドライバの強化およびサービス利用可能性の確保によって高可用性をサポートするドライバの設計方法について、詳しく説明しています。これは、Solaris 8 の『Writing Device Drivers』の内容を補足するものです。

詳細は、第 3 章「高可用性ドライバ」を参照してください。

10/00 

 

Generic LAN ドライバ (GLD) を使用すると、Solaris ネットワークドライバに必要な STREAMS および Data Link Provider Interface (DLPI) 機能の大部分を実装できます。Solaris 8 10/00 より前のリリースでは、GLD モジュールを利用できるのは、Solaris の Intel 版ネットワークドライバに限定されていました。Solaris 8 10/00 からは、Solaris の SPARC 版ネットワークドライバでも GLD を利用できます。Solaris 8 4/01 リリースで、GLD はバグ修正により更新されました。

詳細は、第 5 章「ネットワークデバイス用のドライバ」を参照してください。

10/00。4/01 で更新。 

 

言語サポート 

 

File System Safe Universal Transformation Format (UTF-8) は、X/Open によって Unicode の複数バイト表現として定義されているエンコード方式です。UTF-8 は、ヨーロッパおよびアジア言語に対応する、従来の Solaris のシングルバイトおよび複数バイトロケールで使用できた文字をほぼ網羅します。Solaris 8 10/00 リリースでは、ロシア語およびポーランド語対応の UTF-8 ロケールと、カタロニア語対応の 2 つの新しいロケールが追加されました。Solaris 8 4/01 リリースでは、トルコ語の UTF-8 コードセットとロシア語の UTF-8 コードセットが、既存の東ヨーロッパのロケールの表に追加されました。 

詳細は、ヨーロッパ言語版 Solaris ソフトウェア用に追加された部分ロケールを参照してください。

10/00。4/01 で更新。 

 

mp プログラムは、さまざまな Solaris ロケールの国際テキストファイルを受け付け、指定されたロケールに合った出力を行います。出力には、双方向のテキストレンダリングなどの正確なテキストレイアウトも含まれます。また、mp では複合テキストレイアウト (CTL) としてのレイアウトもサポートされています。各ロケールの mp に対するシステムフォント構成によっては、PostScriptTM の出力ファイルに、Solaris システム上のスケーラブルフォントやビットマップフォントのグリフイメージを組み込めます。

詳細は、第 8 章「プリントフィルタ mp(1) の拡張」を参照してください。

4/01 

 

開発ツール 

 

appcert ユーティリティは、オブジェクトファイルの Solaris ABI への準拠を検証します。Solaris ABI に準拠していると、今後の Solaris ソフトウェアのリリースに対するアプリケーションの互換性が大幅に向上します。

詳細は、第 10 章「appcert の使用」を参照してください。

4/01 

 

Web-Based Enterprise Management (WBEM) では、複数のプラットフォーム上のシステム、ネットワーク、およびデバイスを Web ベースで管理するための標準が提供されています。Sun WBEM Software Developer's Toolkit (SDK) では、ソフトウェア開発者は、Solaris オペレーティング環境におけるリソースを管理する、標準ベースのアプリケーションの作成が可能になります。また、開発者はこのツールキットを使用して、データにアクセスするときに管理対象のリソースと通信するプログラムである、プロバイダを作成することもできます。Sun WBEM SDK には、Common Information Model (CIM) のリソースの記述や管理を行うためのクライアントアプリケーションプログラミングインタフェース (API: Client Application Programming Interface)、および管理対象リソースの動的データの取得や設定を行うためのプロバイダ API が含まれています。また、Sun WBEM SDK では、システム上で管理対象リソースの作成や表示を行うための Java アプリケーションである CIM WorkShop、および WBEM のクライアントプログラムとプロバイダプログラムのサンプル集も提供しています。 

詳細は、『Sun WBEM SDK 開発ガイド』を参照してください。

4/01 

 

SPARC: 『マルチスレッドのプログラミング』が更新され、バグ ID 4308968、4356675、4356690 が修正されました。

このマニュアルは、『マルチスレッドのプログラミング』を参照してください。

1/01 

 

リンカーとライブラリ』が更新され、新しい機能が追加されました。

詳細は、リンカーとライブラリ』の変更点を参照してください。

1/01 および 10/00 

 

システムインタフェースツール 

 

システムインタフェース』が更新され、バグが修正されました。このリリースでは、テキストやソースコード例のタイプミスがいくつか修正されています。

このマニュアルは、『システムインタフェース』を参照してください。

6/00 

 

JavaTM のリリース

 

J2SETM 1.3.0 としても知られている Java 2 SDK Standard Edition バージョン 1.3.0 は、Java 2 SDK のアップグレードリリースです。J2SE リリースには、次の新機能や拡張機能が組み込まれています。

  • パフォーマンスの向上

    Java HotSpotTM 技術と最適化された実行時ライブラリにより、J2SE 1.3.0 は今までで最も高速な Java プラットフォームとなっています。

  • より簡単な Web への展開

    アプレットのキャッシュやオプションパッケージの自動インストールなど、J2SE 1.3.0 の Java Plug-In コンポーネントによる機能が新たに追加されたため、プログラムを Web 上で表示するときの速度や柔軟性が向上しました。

  • 企業レベルでの相互運用性

    J2SE 1.3.0 に RMI/IIOP と Java Naming and Directory InterfaceTM が追加されたため、Java 2 プラットフォームの相互運用性が向上しました。

  • セキュリティの強化

    RSA 電子署名、動的信用管理、X.509 証明書、NetscapeTM 署名ファイルの検証が新たにサポートされたため、開発者はさまざまな手段で電子データを保護できるようになりました。

  • Java サウンド

    J2SE 1.3.0 には強力なサウンド API が新たに提供されています。これまでのプラットフォームのリリースでは、オーディオのサポートがオーディオクリップの基本的な再生に限定されていました。このリリースでは、低レベルのオーディオサポートに対する標準のクラスやインタフェースが、Java 2 プラットフォームによって定義されました。

  • 拡張された API と開発しやすさの向上

    開発側からの要望に応えて、J2SE 1.3.0 は Java 2 プラットフォームに多彩な機能を追加しています。追加された機能によって、プラットフォームの機能性がさらに向上し、一層強力なアプリケーションが開発できるようになりました。また、新規の機能の多くは、開発工程の短縮や効率化を実現する機能です。

J2SE の改善点の詳細は、Java 2 SDK Standard Edition バージョン 1.3.0を参照してください。

4/01 

 

J2SE 1.2.2_07a では、J2SE 1.2.2 シリーズの前回のリリースで見つかったバグが修正されています。J2SE 1.2.2_07a での重要なバグ修正に、J2SE 1.2.2_05 で発生したパフォーマンスの低下にに対する修正があります。J2SE 1.2.2_07a におけるバグ修正の詳細は、http://java.sun.com/j2se/1.2/ReleaseNotes.html を参照してください。

4/01 

 

Java 2 SDK 1.2.2_06 および JDKTM 1.1.8_12 が、前回リリースのバグ修正により改良されました。

1/01 

 

The Java 2 SDK 1.2.2_05a には、次の新機能が含まれます。

  • スケーラビリティの向上 (20 以上の CPU に対応)

  • JIT (just-in time) コンパイラの最適化の向上

  • テキストの描画性能の向上

  • poller クラスのデモパッケージ

  • Swing の向上

詳細は、表 18–1 を参照してください。

10/00 

 

32 ビット: mod_jserv モジュールおよび関連ファイルの追加によって、Apache Web サーバーで Java Servlet がサポートされるようになりました。

詳細は、Apache Web サーバーにおける Java Servlet のサポートを参照してください。

10/00 

 

アーリーアクセス 

 

このリリースでは、アーリーアクセス (EA) ディレクトリにアーリーアクセスソフトウェアが含まれています。詳細は、Solaris 8 のリリースの SOFTWARE 2 of 2 CD に含まれる各アーリーアクセスソフトウェアの README を参照してください。