Solaris スマートカードの管理

第 3 章 カードリーダーの設定 (タスク)

この章では、カードリーダーを設定および保守する方法を説明します。

この章では、次の手順について説明します。

カードリーダーの設定 (タスクマップ)

次の表に、カードリーダーを設定および保守するために必要なすべての作業を示します。

表 3-1 カードリーダーの設定のタスクマップ

作業 

説明 

参照先 

1. カードリーダーの追加 

スマートカードを使用する各システムにカードリーダーを追加します。 

「新しいカードリーダーを追加するには (SmartCard Console)」、または

「iButton リーダーを追加するには (コマンド行)」、または

「Sun SCRI External Card Reader 1 を追加するには (コマンド行)」、または

「Sun SCRI Internal Card Reader 1 を追加するには (コマンド行)」

2. カードリーダーの属性の表示または変更 

(オプション) 

カードリーダーの属性を表示または変更します。 

「カードリーダーの属性を表示または変更するには (SmartCard Console)」

3. カードリーダーの取り外し 

(オプション) 

カードリーダーが不要になった場合は、smartcard コマンドでカードリーダーのサポートを論理的に削除してから、カードリーダーをシステムから物理的に取り外すことができます。

「カードリーダーを取り外すには (SmartCard Console)」または 「カードリーダーを取り外すには (コマンド行)」

カードリーダーの設定

Solaris スマートカードは、iButton と Sun SCRI External Card Readr 1 という 2 種類の外付けカードリーダーと Sun SCRI Internal Card Reader 1 という 1 種類の内蔵カードリーダーをサポートしています。

次の表に、サポートされているカードリーダーと、これらのカードリーダーを追加するときに指定する必要がある値 (カード端末の出荷時の名前リーダーモデル名) を示します。

表 3-2 サポートされているカードリーダー

カードリーダーのタイプ 

カード端末の出荷時の名前 

リーダーモデル名 

Sun SCRI External Card Reader 1

com.sun.opencard.terminal.scm.SCMStc.SCMStcCardTerminalFactory

SunSCRI

iButton

com.ibutton.oc.terminal.jib.iButtonCardTerminalFactory

DS1402

Sun SCRI Internal Card Reader 1 

com.sun.opencard.terminal.scm.SCMI2c.SCMI2cCardTerminalFactory

SunISCRI

カードリーダーの追加 (SmartCard Console)

SmartCard Console でカードリーダーを設定する場合は、ナビゲーション区画で「カードリーダー」を選択します。このオプションでは、次のことを行うことができます。

新しいカードリーダーを追加するには (SmartCard Console)

SmartCard Console を起動する方法については、「SmartCard Console を起動するには (コマンド行)」を参照してください。

  1. (オプション) 外付けカードリーダーがシステムに物理的に取り付けられていることを確認します。

    カードリーダーのマニュアルの手順に従って、外付けスマートカードリーダーをシリアルポートに物理的に取り付けます。

  2. ナビゲーション区画で「カードリーダー」をクリックします。

  3. 「Add Reader」をダブルクリックします。

  4. 追加したいカードリーダーのタイプをダブルクリックします。

    「カードリーダー: SunCardReader」ダイアログボックスが表示されます。

  5. 「Basic Configuration」フォルダタブを選択します。

  6. 「Device Port」の下にある下矢印をクリックします。

  7. カードリーダーが取り付けられているポートをクリックします。

  8. 「了解」をクリックします。

  9. プロンプトが表示されたら、ocfserv を再起動します。

カードリーダーの属性の表示または変更 (SmartCard Console)

カードリーダーの「Basic Configuration」フォルダには、次のような属性があります。

「Advanced Configuration」フォルダには、メーカーが付けた、カードリーダーの card_terminal_factory_name が表示されます。メーカーが新しく発行したカードリーダーの名前を変更した場合などを除き、この名前を変更する必要はありません。

カードリーダーの属性を表示または変更するには (SmartCard Console)

カードリーダーの基本属性を表示または変更するには、次の手順を使用します。

  1. 「Unique Card Terminal Name」フィールドにカードリーダーの一意な名前を入力します。あるいは、デフォルトの名前をそのまま使用します。

    同じタイプのカードリーダーを何台もシステムに取り付けている場合は、各カードリーダーの一意なカード端末の出荷時の名前を入力する必要があります。

  2. 表示されたモデル名よりも新しいバージョンのカードリーダーを使用している場合は、カードリーダーのモデル名を入力します。

  3. 矢印をクリックして、適切なデバイスパスを選択します。

  4. ダイアログが表示されたら、ocfserv を再起動します。

カードリーダーの追加 (コマンド行)

コマンド行でカードリーダーを追加するには、smartcard -c admin コマンドを次の構文で使用します。


smartcard -c admin -t terminal -j card_terminal_factory_name -x add -d 
device_pathname -r user_friendly_reader_name -n card_reader_model

-c admin

OCF 属性の表示または変更を指定します。 

-t terminal

カードリーダーの構成を指定します。 

-j card_terminal_factory_name

カードリーダータイプのカード端末の出荷時の名前を指定します。特定のカード端末の出荷時の名前については、後述の手順を参照してください。 

-x add

カードリーダーの追加を指定します。 

-d device_pathname

カードリーダーが取り付けられているデバイスポートを指定します。 

-r user_friendly_reader_name

リーダーの一意な名前を指定します。 

-n reader_model_name

カードリーダーのモデル名を指定します。特定のカードリーダーのモデル名については、後述の手順を参照してください。 

詳細は、smartcard(1M) のマニュアルページを参照してください。

iButton リーダーを追加するには (コマンド行)

  1. カードリーダーを取り付けるシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 外付けカードリーダーがシステムに物理的に取り付けられていることを確認します。

    カードリーダーのマニュアルの手順に従って、外付けスマートカードリーダーをシリアルポートに物理的に取り付けます。

  3. 次のコマンドを 1 行に入力して、iButton リーダーを追加します。たとえば、次のようにします。


    # smartcard -c admin -t terminal 
    -j com.ibutton.oc.terminal.jib.iButtonCardTerminalFactory 
    -x add -d /dev/cua/b -r MyButtonReader -n DS1402
    

    -c admin

    OCF 属性の表示または変更を指定します。 

    -t terminal

    カードリーダーの構成を指定します。 

    -j com.ibutton.oc.terminal.jib.iButtonCardTerminalFactory

    iButton リーダーのカード端末の出荷時の名前を指定します。 

    -j オプションの後にカード端末の出荷時の名前を入力するときは、上記のように正確に入力してください。文字の間に空白文字や改行は挿入しないでください。

    -x add

    カードリーダーの追加を指定します。 

    -d /dev/cua/b

    カードリーダーが取り付けられているデバイスポートを指定します。 

    -r MyButtonReader

    iButton カードリーダーの一意な名前を指定します。 

    -n DS1402

    iButton カードリーダーのモデル名を指定します。 

  4. ocfserv を停止します。


    # pkill ocfserv
    

    次回 SmartCard Console または smartcard コマンドを使用すると、ocfserv プロセスが再起動します。

Sun SCRI External Card Reader 1 を追加するには (コマンド行)

  1. カードリーダーを取り付けるシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 外付けカードリーダーがシステムに物理的に取り付けられていることを確認します。

    カードリーダーのマニュアルの手順に従って、外付けスマートカードリーダーをシリアルポートに物理的に取り付けます。

  3. 次のコマンドを 1 行に入力して、Sun SCRI External Reader 1 を追加します。たとえば、次のようにします。


    # smartcard -c admin -t terminal 
    -j com.sun.opencard.terminal.scm.SCMStc.SCMStcCardTerminalFactory 
    -x add -d /dev/cua/b -r MyExternalReader -n SunSCRI
    

    -c admin

    OCF 属性の表示または変更を指定します。 

    -t terminal

    カードリーダーの構成を指定します。 

    -j com.sun.opencard.terminal.scm.SCMStc.SCMStcCardTerminalFactory

    Sun SCRI External Card Reader 1 のカード端末の出荷時の名前を指定します。 

    -j オプションの後にカード端末の出荷時の名前を入力するときは、上記のように正確に入力してください。文字の間に空白文字や改行は挿入しないでください。

    -x add

    カードリーダーの追加を指定します。 

    -d /dev/cua/b

    カードリーダーが取り付けられているデバイスポートを指定します。 

    -r MyExternalReader

    SCRI External Card Reader 1 の一意な名前を指定します。 

    -n SunSCRI

    Sun SCRI External Card Reader 1 のモデル名を指定します。 

  4. ocfserv を停止します。


    # pkill ocfserv
    

    次回 SmartCard Console または smartcard コマンドを使用すると、ocfserv プロセスが再起動します。

Sun SCRI Internal Card Reader 1 を追加するには (コマンド行)

  1. カードリーダーを取り付けるシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを 1 行に入力して、Sun SCRI Internal Card Reader 1 を追加します。たとえば、次のようにします。


    # smartcard -c admin -t terminal 
    -j com.sun.opencard.terminal.scm.SCMI2c.SCMI2cCardTerminalFactory 
    -x add -d /dev/scmi2c1 -r MyInternalReader -n SunISCRI
    

    -c admin

    OCF 属性の表示または変更を指定します。 

    -t terminal

    カードリーダーの構成を指定します。 

    -j com.sun.opencard.terminal.scm.SCMI2c.SCMI2cCardTerminalFactory

    Sun SCRI Internal Card Reader 1 のカード端末の出荷時の名前を指定します。 

    -j オプションの後にカード端末の出荷時の名前を入力するときは、上記のように正確に入力してください。文字の間に空白文字や改行は挿入しないでください。

    -x add

    カードリーダーの追加を指定します。 

    -d /dev/scmi2c1

    カードリーダーが取り付けられているデバイスポートを指定します (たとえば、/dev/scmi2cn)。このとき、scmi2cnn は、システム上で n 番目の SunISCRI リーダーであることを示します。

    -r MyInternalReader

    SCRI Internal Card Reader 1 の一意な名前を指定します。 

    -n SunISCRI

    SCRI Internal Card Reader 1 のモデル名を指定します。 

  3. ocfserv を停止します。


    # pkill ocfserv
    

    次回 SmartCard Console または smartcard コマンドを使用すると、ocfserv プロセスが再起動します。

カードリーダーの取り外し

スマートカードが不要になったとき、あるいは、カードリーダーを別のシステムに移動したいとき、外付けカードリーダーをシステムから物理的に取り外す必要があります。カードリーダーを物理的に取り外す前には、カードリーダーを論理的にも削除する必要があります。

カードリーダーを取り外すには (SmartCard Console)

SmartCard Console の起動については、「SmartCard Console を起動するには (コマンド行)」 を参照してください。

  1. ナビゲーション区画の「カードリーダー」をクリックします。

  2. コンソール区画で削除したいカードリーダーを選択します。

  3. 「アクション」メニューから「ターミナルを削除」を選択します。

  4. 「了解」をクリックして、カードリーダーを削除します。

  5. プロンプトが表示されたら、ocfserv を再起動します。

カードリーダーを取り外すには (コマンド行)

  1. カードリーダーを取り外すシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. カードリーダーを論理的に削除します。


    # smartcard -c admin -t terminal -r user_friendly_reader_name -x delete
    
  3. (オプション) 外付けカードリーダーをポートから物理的に取り外します。

  4. ocfserv を停止します。


    # pkill ocfserv
    

    次回 SmartCard Console または smartcard コマンド使用すると、ocfserv プロセスが再起動します。