Solaris 8 のインストール (上級編)

sysidcfg ファイルによる事前設定

sysidcfg ファイルに一連のキーワードを指定すると、システムを事前設定できます。表 7-2 は、これらのキーワードを示しています。

異なる構成情報を必要とするシステムごとに、固有の sysidcfg ファイルを作成する必要があります。すべてのシステムに同じ時間帯を割り当てる場合は、同じ sysidcfg ファイルを使用して、一連のシステムに時間帯を事前設定することができます。ただし、これらの各システムに異なる root (スーパーユーザー) パスワードを事前設定する場合は、各システムに固有の sysidcfg ファイルを作成する必要があります。

sysidcfg ファイルは、次のどちらかに置くことができます。


注 -

1 つのディレクトリまたはフロッピーディスクには、1 つの sysidcfg ファイルだけを入れることができます。複数の sysidcfg ファイルを作成する場合は、各ファイルを異なるディレクトリまたは異なるフロッピーディスクに置く必要があります。


sysidcfg ファイルの構文規則

sysidcfg ファイルで使用するキーワードには、非依存型と依存型の 2 種類があります。依存型キーワードは、非依存型キーワード内でのみ固有であることが保証されています。依存型キーワードは、対応する非依存型キーワードによって識別される場合にのみ存在します。

次の例では、name_service が非依存型キーワードであり、domain_namename_server が依存型キーワードです。

name_service=NIS {domain_name=marquee.central.sun.com
name_server=connor(129.152.112.3)}

構文規則 

例 

非依存型キーワードは任意の順序で指定可能 

pointer=MS-S
display=ati {size=15-inch}

キーワードは大文字と小文字のどちらでもよい 

TIMEZONE=US/Central
terminal=PC Console

関連する非依存型キーワードを結合するには、すべての依存型キーワードを中括弧 { } で囲む 

name_service=NIS 
       {domain_name=marquee.central.sun.com
        name_server=connor(129.152.112.3)}

値は単一引用符 (') または二重引用符 (") で囲んで指定可能 

network_interface='none'

キーワードは 1 回だけ指定可能。キーワードを複数回指定した場合は最初のキーワードだけが有効 

network_interface=none
network_interface=le0

sysidcfg ファイルキーワード

表 7-2 に、sysidcfg ファイルで使用できるキーワードを示します。

表 7-2 sysidcfg キーワード

構成情報 

プラットフォーム 

キーワード 

使用例または設定値 

ネームサービス、ドメイン名、ネームサーバー 

SPARC/IA 

name_service=NIS, NIS+, DNS, LDAP, NONE

 
   

NIS と NIS+ 用オプション {domain_name=domain_name name_server=hostname(ip_address)}

name_service=NIS {domain_name=west.arp.com name_server=timber(129.221.2.1)}

name_service=NIS+ {domain_name=west.arp.com name_server=timber(129.221.2.1)}

  

DNS 用オプション {domain_name=domain_name name_server=ip_address,ip_address, ip_address (最大 3 個) search=domain_name,domain_name,domain_name,domain_name,domain_name, domain_name (最大 6 個、合計の長さが 250 文字以下)}

name_service=DNS {domain_name=west.arp.com name_server=10.0.1.10,10.0.1.20 search=arp.com,east.arp.com}


注 -

name_service は 1 つの値だけを選択します。必要に応じて、domain_namename_server キーワードのどちらか 1 つまたは両方を設定するか、あるいはどちらも設定しません。どちらのキーワードも使用しない場合、中括弧 { } は省略します。


  

LDAP 用オプション: {domain_name=domain_name profile=profile_name profile_server=ip_address}

name_service=LDAP {domain_name=west.arp.com profile=default profile_server=129.221.2.1}

ネットワークインタフェース、ホスト名、IP アドレス、ネットマスク、DHCP、IPv6 

SPARC/IA 

network_interface=NONE, PRIMARY, value

 
    DHCP を使用する場合、次のように指定する。 {dhcp protocol_ipv6=yes_or_no}

network_interface=primary {dhcp protocol_ipv6=yes}

    DHCP を使用しない場合、次のように指定する。 {hostname=host_name ip_address=ip_address netmask=netmask protocol_ipv6=yes_or_no}

network_interface=le0 {hostname=feron default_route=129.146.88.1 ip_address=129.146.88.210 netmask=255.255.0.0 protocol_ipv6=no}


注 -

network_interface は、1 つの値だけを選択します。必要に応じて、hostnameip_addressnetmask キーワードのどれかを組み合わせて設定するか、あるいはどれも設定しません。どのキーワードも使用しない場合、中括弧 { } は省略します。



注 -

DHCP を使用しない場合、protocol_ipv6 および default_route は指定する必要はありません。


root パスワード 

SPARC/IA 

root_password=root_password

/etc/shadow にある暗号化された文字列

セキュリティポリシー 

SPARC/IA 

security_policy=kerberos, NONE

Kerberos 用オプション {default_realm=FQDN admin_server=FQDN kdc=FQDN1, FQDN2, FQDN3}

FQDN は完全修飾ドメイン名です。

security_policy=kerberos 
{default_realm=Yoursite.COM 
admin_server=krbadmin.Yoursite.COM 
kdc=kdc1.Yoursite.COM, kdc2.Yoursite.COM}


注 -

最大 3 つの鍵発行センターをリストできます。少なくとも 1 つは必須です。


インストールプログラムとデスクトップで表示する言語 

SPARC/IA 

system_locale=locale

有効なロケール値が、/usr/lib/locale ディレクトリまたは第 32 章「言語とロケールの値」 にある。

端末タイプ 

SPARC/IA 

terminal=terminal_type

有効な端末値が /usr/share/lib/terminfo ディレクトリのサブディレクトリにある。

時間帯 

SPARC/IA 

timezone=timezone

有効な時間帯値が /usr/share/lib/zoneinfo ディレクトリのサブディレクトリとファイルにある。時間帯値は /usr/share/lib/zoneinfo ディレクトリからの相対パス名です。たとえば、日本の時間帯値は Japan です。

日付と時刻 

SPARC/IA 

timeserver=localhost, hostname, ip_addr

localhost を指定した場合は、そのシステムの時刻が正しいものと見なされます。ネームサービスを実行していなくて、あるシステムの hostname または ip_addr を指定した場合は、そのシステムの時刻を使って時刻が設定されます。

モニタータイプ 

IA 

monitor=monitor_type

インストールしたいシステム上で kdmconfig -d filename を実行すると、その出力が sysidcfg ファイルに追加されます。

キーボード言語、キーボード配置 

IA 

keyboard=keyboard_language {layout=value}

インストールしたいシステム上で kdmconfig -d filename を実行すると、その出力が sysidcfg ファイルに追加されます。

グラフィックスカード、カラー深度、表示解像度、画面サイズ 

IA 

display=graphics_card {size=screen_size depth=color_depth resolution=screen_resolution}

インストールしたいシステム上で kdmconfig -d filename を実行すると、その出力が sysidcfg ファイルに追加されます。

ポインティングデバイス、ボタン数、IRQ レベル 

IA 

pointer=pointing_device {nbuttons=number_buttons irq=value}

インストールしたいシステム上で kdmconfig -d filename を実行すると、その出力が sysidcfg ファイルに追加されます。

sysidcfg 構成ファイルを作成する方法

  1. テキストエディタを使って sysidcfg という名前のファイルを作成します。

  2. 必要な sysidcfg のキーワードを入力します。

  3. sysidcfg ファイルを保存します。


    注 -

    複数の sysidcfg ファイルを作成する場合は、それぞれのファイルを別々のディレクトリまたは別々のフロッピーディスクに保存する必要があります。


  4. クライアントから次のファイルシステムまたはディレクトリを介して sysidcfg ファイルにアクセスできるようにします。

    • 共有 NFS ファイルシステム。システムがネットワーク上でインストールできるように設定する際に、add_install_client(1M)-p オプションで指定します。

    • UFS フロッピーディスクまたは PCFS フロッピーディスクのルート(/) ディレクトリ

SPARC: sysidcfg ファイルの例

一連の SPARC 搭載システムのための sysidcfg ファイルの例を次に示します。これらのシステムのホスト名、IP アドレス、およびネットマスクは、ネームサービスを編集することにより、すでに事前設定されています。このファイルにはすべてのシステム構成情報が事前設定されているので、カスタム JumpStart プロファイルを使ってカスタム JumpStart インストールを実行できます。

system_locale=en_US
timezone=US/Central
terminal=sun-cmd
timeserver=localhost
name_service=NIS {domain_name=marquee.central.sun.com
                  name_server=connor(129.152.112.3)}
root_password=m4QPOWNY

IA: sysidcfg ファイルの例

一連の IA 搭載システムで、キーボード、グラフィックスカード、ポインティングデバイスがすべて同じ場合の sysidcfg ファイルの例を次に示します。これらのデバイス情報 (keyboarddisplaypointer) は、kdmconfig(1M) -d コマンドを実行して取得したものです。この例では、Solaris インストールプログラムで使用される言語 (system_locale) を選択するプロンプトがインストール前に表示されます。

keyboard=ATKBD {layout=US-English}
display=ati {size=15-inch}
pointer=MS-S
timezone=US/Central
timeserver=connor
terminal=ibm-pc
name_service=NIS {domain_name=marquee.central.sun.com
                  name_server=connor(129.152.112.3)}
root_password=URFUni9