Solaris 8 のインストール (上級編)

第 9 章 Solaris オペレーティング環境のアップグレード

この章では、Solaris オペレーティング環境をアップグレードする前に行う必要がある作業についての情報や手順を説明します。

カスタム JumpStart によるアップグレード

カスタム JumpStart インストールを使用してアップグレードを行う場合は、カスタム JumpStart プロファイルに install_type upgrade を指定する必要があります。

さらに、実際にアップグレードを行う前に、システムの現在のディスク構成およびシステムに現在インストールされているソフトウェアに対して、カスタム JumpStart プロファイルが目的どおりのことを実行しようとしているかを確認する必要があります。プロファイルをテストするには、アップグレードするシステムで pfinstall -D コマンドを使用します。ディスク構成ファイルを使用してアップグレード用プロファイルをテストすることはできません。アップグレード用プロファイルのテストについての詳細は、「プロファイルのテスト」を参照してください。

ディスク容量の再配置を使用するアップグレード

Solaris 8 対話式インストールプログラムや Solaris Web Start のアップグレードオプションには、アップグレードに十分なディスク容量が現在のファイルシステム上にない場合、ディスク容量を再配置する機能があります。自動再配置機能が、アップグレードが成功するようにディスク容量を再配置します。

Solaris Web Start の自動配置機能がディスク容量をどのように再配置するかを決定できない場合は、Solaris 8 対話式インストールプログラムを使用してアップグレードを行う必要があります。

Solaris 8 対話式インストールプログラムの自動配置機能が、ディスク容量をどのように再配置するかを決定できない場合は、移動または変更してもよいファイルシステムを指定してから再び自動配置機能を実行します。

カスタム JumpStart によるアップグレードでアップグレード用プロファイルを作成する際に、ディスク容量が問題になることがあります。現在のファイルシステムに十分なディスク容量がない場合は、backup_medialayout_constraint キーワードを使用してディスク容量を再配置することができます。backup_medialayout_constraint キーワードの使用例については、「アップグレード用ディスク容量の再配置」を参照してください。

アップグレード前のシステムのバックアップ

Solaris オペレーティング環境のアップグレードを行う前に既存システムのバックアップを行う必要があります。ファイルシステムをテープなどの取り外し可能媒体にコピーすれば、データの損失や損傷、破壊などを防止できます。システムのバックアップ手順についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。

Solaris 8 Update リリースへのアップグレード

すでに Solaris 8 オペレーティング環境を実行していて、システムに個別のパッチがインストールされている場合、Solaris 8 Update リリースへのアップグレードを行うと、パッチは次のようになります。

パッチアナライザを使用すれば、Solaris 8 Update リリースにアップグレードしたときに、これらのパッチのうちどれが削除されるかを知ることができます。パッチアナライザの使い方は、インストール方法によって異なります。

パッチ解析結果の見方については、「パッチアナライザの出力の見方」を参照してください。

analyze_patches スクリプトを実行する方法


注 -

analyze_patches スクリプトを実行するには、NFS またはローカルにマウントされた媒体上のスクリプトによって、インストールされた既存のシステムおよび Solaris 8 SOFTWARE CD (またはネットワーク上のイメージ) にアクセスできる必要があります。


  1. Misc ディレクトリに移動します。

    • SPARC: イメージが、ローカルにマウントされた媒体上にある場合は、次のように入力します。


      # cd /cdrom/sol_8_Update_sparc/s0/Solaris_8/Misc
      

      ここで、Update は実際の Update 識別子です (600、1000、u4 など)。

    • IA: イメージが、ローカルにマウントされた媒体上にある場合は、次のように入力します。


      # cd /cdrom/sol_8_Update_ia/s2/Solaris_8/Misc
      

      ここで、Update は実際の Update 識別子です (600、1000、u4 など)。

    • イメージが NFS ファイルシステムにある場合は、次のように入力します。


      # cd /NFS_mount_directory/Solaris_8/Misc
      
  2. analyze_patches スクリプトを実行します。


    # ./analyze_patches [[-R rootdir]] [[-N netdir]] [[-D databasedir]]

    -R rootdir

    rootdir は、インストールされたシステムのルートです。デフォルトで / に設定されます。

    -N netdir

    netdir は、インストールされる OS イメージのルートへのパスです。デフォルトは /cdrom/cdrom0 です。つまり、netdir は、Solaris_8 ディレクトリを含むディレクトリへのパスです。patch_analyzer を NFS マウントポイントから実行する場合は、このオプションが必要です。

    -D databasedir

    スクリプトを OS イメージの Misc ディレクトリ以外のディレクトリから起動すると、パッチ解析に使用するデータベースを検索できません。したがって、-D オプションでこのデータベースへのパスを指定します。このデータベースがないと、スクリプトは正しく動作しません。このデータベースは、OS イメージの Solaris_8/Misc/database にあります。

パッチアナライザの出力の見方

解析を実行したら、次の手順で出力を検討します。

  1. パッチアナライザの出力を確認します。

    パッチアナライザからは、他のパッチによって削除、ダウングレード、置き換えられ削除されるパッチのリストが出力されます。パッチの置き換えは、パッチアップグレードと同等のものです。置き換えられるパッチは削除され、新しいパッチによってその修正が適用されます。パッチ解析の結果、次のようなメッセージが表示されます。


    パッチ 105644-03 を削除します。
    パッチ 105925 を -02 から -01 へ移行 (ダウングレード) します。
    パッチ 105776-01 は、パッチ 105181-05 によって置き換えられ削除されます。

    パッチアナライザからリストが出力されない場合は、システムにすでにインストールされているパッチに対する処理は何も行われません。

  2. パッチの置き換えや削除が適切かどうかを判断します。

    • 適切な場合は、システムをアップグレードします。

    • 適切でない場合は、システムのアップグレードを中止します。

      Solaris 8 Maintenance Update を使用すれば、パッチだけをシステムに適用することができます。


      注 -

      Solaris 8 Maintenance Update については、ご購入先にお問い合わせください。パッチの適用手順については、『Solaris 8 Maintenance Update ご使用にあたって』を参照してください。