この章では、フラッシュアーカイブをクローンシステムにインストールする手順を説明します。フラッシュアーカイブは、任意の Solaris のインストール方法でインストールできます。
この節では、Solaris 8 INSTALLATION CD に含まれている Solaris Web Start を使用して、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブをインストールする手順を説明します。
CD
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
HTTP サーバー
ローカルテープ
第 10 章「Solaris Web Start の使用」 に記述されている手順に従って、Solaris Web Start インストールを開始します。
「媒体の指定」画面で、フラッシュアーカイブのロケーションを選択します。
選択された媒体に応じて、Solaris Web Start が続行するためのプロンプトを表示します。
プロンプトに従って次の情報を入力します。
選択された媒体 |
プロンプト |
---|---|
CD |
フラッシュアーカイブを含む CD を挿入してください。 |
ネットワークファイルシステム |
フラッシュアーカイブを含むネットワークファイルシステムへのパスを指定してください。アーカイブのファイル名を入力することもできます。 |
HTTP |
フラッシュアーカイブにアクセスするための URL とプロキシ情報を指定してください。 |
ローカルテープ |
フラッシュアーカイブを含むローカルテープデバイスとその位置を指定してください。 |
CD または NFS サーバーに格納されたアーカイブのインストールを選択した場合は、「フラッシュアーカイブの選択」画面が表示されます。
CD または NFS サーバーに格納されたアーカイブについては、「フラッシュアーカイブの選択」画面で、インストールするフラッシュアーカイブを選択します (1 つでも複数でも可)。
「フラッシュアーカイブの一覧」画面で選択されたアーカイブを確認し、「次へ」をクリックします。
「追加するフラッシュアーカイブ」画面で、別のアーカイブを含む媒体を指定して、階層化されたフラッシュアーカイブのインストールを選択することができます。アーカイブをそれ以上インストールしない場合は、「なし - アーカイブの選択が完了しました」を選択し、「次へ」をクリックしてインストールを継続します。
この節では、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD に含まれる Solaris 8 対話式インストールプログラムの CLI を使用して、以下に格納されているフラッシュアーカイブをインストールする手順を説明します。
HTTP サーバー
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
ローカルファイル
ローカルテープ
CD を含むローカルデバイス
Solaris 8 対話式インストールプログラムの CLI を開始します (GUI ではなく、CLI を使用する必要があります)。
SPARC: Solaris 8 対話式インストールプログラムの CLI を開始するには、- w 引数を指定してシステムをブートします。
CD からブートする場合:
ok boot cdrom - w |
Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD イメージからブートする場合:
ok boot net - w |
IA: Solaris 8 対話式インストールプログラムの CLI を開始するには、次の手順を使用します。
「IA: Solaris Web Start を使用してインストールまたはアップグレードする方法」に従ってシステムをブートし、Solaris 8 対話式インストールプログラムを開始します。
「kdmconfig - Introduction」画面が表示されたら、F4 キー (Bypass) を押して kdmconfig テストを省略し、インストールを開始します。
「Flash Archive Retrieval Method」画面で、フラッシュアーカイブのロケーションを選択します。
選択された媒体に応じて、Solaris 8 Solaris Web Start インストールが続行するためのプロンプトを表示します。
プロンプトに従って次の情報を入力します。
選択された媒体 |
プロンプト |
---|---|
HTTP |
フラッシュアーカイブへのアクセスに必要な URL とプロキシ情報を指定してください。 |
ネットワークファイルシステム |
フラッシュアーカイブを含むネットワークファイルシステムへのパスを指定してください。アーカイブのファイル名を入力することもできます。 |
ローカルファイル |
フラッシュアーカイブを含むローカルファイルシステムへのパスを指定してください。 |
ローカルテープ |
フラッシュアーカイブを含むローカルテープデバイスとテープ上の位置を指定してください。 |
ローカルデバイス |
フラッシュアーカイブを含むローカルデバイスとパス、ファイルシステムのタイプを指定してください。 |
「Flash Archive Selection」画面で、「New」を選択すると、階層化されたフラッシュアーカイブのインストールを選択することができます。アーカイブをそれ以上インストールしない場合は、インストールを完了させるために「Continue」を選択します。
キャラクタベース (CLI) の対話式インストールでは、デフォルトロケールに日本語ロケールを指定しても、インストール画面の表示言語は英語になります。
この節では、カスタム JumpStart インストールを使用して、フラッシュアーカイブをインストールする手順を説明します。
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
HTTP サーバー
ローカルテープ
CD を含むローカルデバイス
ローカルファイル
インストールサーバーで、カスタム JumpStart の rules ファイルを作成します。
カスタム JumpStart ファイルの作成手順の詳細は、第 18 章「カスタム JumpStart インストールの準備」を参照してください。
インストールサーバーで、カスタム JumpStart のプロファイルを作成します。
install_type プロファイルキーワードの値を、flash_install と設定します。
新しい archive_location プロファイルキーワードを使用して、フラッシュアーカイブへのパスを追加します。
archive_location プロファイルキーワードの詳細は、「archive_location プロファイルキーワード」を参照してください。
ファイルシステム構成を指定します。
フラッシュアーカイブの抽出プロセスでは、パーティションの自動配置はサポートされません。
(省略可能) クローンシステムに階層化されたフラッシュアーカイブをインストールしたい場合は、インストールしたいアーカイブごとに archive_location 行を指定してください。
第 18 章「カスタム JumpStart インストールの準備」に記載されているカスタム JumpStart のプロファイルキーワードのリストの中で、フラッシュアーカイブをインストールする時に有効なキーワードは、以下のもののみです。
fdisk (IA のみ)
filesys - filesys プロファイルキーワードに値 auto は設定できません。
install_type (必須)
partitioning - partitioning プロファイルキーワードに、値 explicit または existing のみ設定できます。
インストールサーバーで、フラッシュアーカイブをインストールするクライアントを追加します。
手順の詳細は「ネットワーク上でインストールするためのシステムの設定」を参照してください。
クローンシステムへのカスタム JumpStart インストールを実行します。
手順の詳細は、第 21 章「カスタム JumpStart インストールの実行」を参照してください。
カスタム JumpStart インストールを使用してフラッシュアーカイブをインストールする場合、プロファイルに新しいカスタム JumpStart のプロファイルキーワード、archive_location を含める必要があります。このキーワードの構文は次のとおりです。
archive_location retrieval_type location
retrieval_type と location の値は、フラッシュアーカイブの格納場所によって異なります。retrieval_type と location に使用できる値や、archive_location キーワードの使用例については、次の各項を参照してください。
アーカイブがネットワークファイルシステム (NFS) サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。
archive_location nfs server_name:/path/filename retry n |
このコマンド行では :
server_name は、アーカイブが格納されているサーバーの名前です。
path は、指定したサーバーから取得するアーカイブの場所です。このパスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。
filename は、フラッシュアーカイブファイルの名前です。
retry n は省略可能なキーワードです。n は、フラッシュユーティリティがアーカイブのマウントを試みる最大回数です。
例:
archive_location nfs golden:/archives/usrarchive |
または
archive_location nfs://golden/archives/usrarchive |
アーカイブが HTTP サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。
archive_location http server_name:port path/filename optional_keywords |
このコマンド行では :
server_name は、アーカイブが格納されているサーバーの名前です。server_name は、ポート番号でも、実行時に決定されるポート番号を持つ TCP サービスの名前でもかまいません。
port は任意のポートです。ポートを指定しない場合、フラッシュインストールユーティリティはデフォルトの HTTP ポート番号、80 を使用します。
path は、指定したサーバーから取得するアーカイブの場所です。パスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。
filename は、フラッシュアーカイブファイルの名前です。
optional_keywords は、フラッシュアーカイブを HTTP サーバーから読み取るときに使用する省略可能なキーワードです。
表 15-1 optional_keywords で使用可能なオプションのキーワード
キーワード |
値の定義 |
---|---|
auth basic username password |
アーカイブがパスワード保護された HTTP サーバーに格納されている場合は、その HTTP サーバーへのアクセスに必要なユーザー名とパスワードをプロファイルに含める必要があります。 注 - カスタム JumpStart での使用を意図したプロファイルにおけるこの認証方法の使用は、リスクを伴います。これは、承認されていないユーザーが、パスワードが入ったプロファイルにアクセスできる可能性があるためです。 |
timeout min |
timeout キーワードには、HTTP サーバーからのデータ受信を待機する最長の時間を分単位で指定できます。この時間に達すると、接続が切断されて、再接続が行われ、タイムアウトが発生した地点から再開されます。timeout 値として 0 (ゼロ) を指定すると、何も起きないため再接続はなされません。 タイムアウトによる再接続が発生すると、フラッシュインストールユーティリティはアーカイブを取得した最後の位置から、再開を試みます。この位置での再開が不可能な場合、取得はアーカイブの初めから再度行われ、タイムアウト前に取得されたデータは破棄されます。 |
proxy host:port |
proxy キーワードを使用して、プロキシホストとプロキシポートを指定できます。プロキシホストを使用すると、ファイアウォール越しにフラッシュアーカイブを取得できます。proxy キーワードを指定する場合は、プロキシポートを指定する必要があります。 |
例:
archive_location http silver /archives/usrarchive auth basic user1 secret timeout 5 |
または
archive_location http://user1:secret@silver/archives/usrarchive timeout 5 |
アーカイブがテープに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。
archive_location local_tape device position |
このコマンド行では :
device は、フラッシュアーカイブを格納したテープドライブの名前です。デバイス名が正規のパスである場合は、フラッシュインストールユーティリティはデバイスノードへのパスからアーカイブを取得します。正規のパスでないデバイス名を指定した場合は、フラッシュインストールユーティリティはパスに /dev/rmt/ を加えます。
position は、アーカイブを保存したテープドライブ上の位置を示します。位置が指定されないと、フラッシュインストールユーティリティはテープドライブの現在の位置からアーカイブを取得します。position を指定することにより、テープドライブ上でアーカイブの前に開始スクリプトまたは sysidcfg ファイルを配置できます。
例:
archive_location local_tape /dev/rmt/0n 5 |
または
archive_location local_tape 0n 5 |
ファイルシステム指向のランダムアクセスデバイス (フロッピーディスクや CD-ROM など) にフラッシュアーカイブを格納した場合は、ローカルデバイスからフラッシュアーカイブを取得できます。archive_location プロファイルキーワードに以下の構文を使用してください。
ローカルテープ用の構文を使用すると、ストリーム指向のデバイス (テープなど) からアーカイブを取得できます。
archive_location local_device device path/filename file_system_type |
このコマンド行では :
device は、フラッシュアーカイブを格納したドライブの名前です。デバイス名が正規のパスである場合は、直接マウントされます。正規のパスでないデバイス名を指定すると、フラッシュインストールユーティリティはパスに /dev/dsk/ を加えます。
path は、フラッシュアーカイブへのパスです。これは、指定したデバイス上のファイルシステムのルートからの相対パスで指定します。このパスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。
filename は、フラッシュアーカイブファイルの名前です。
file_system_type は、デバイス上のファイルシステムのタイプを指定します。ファイルシステムのタイプを指定しない場合、フラッシュインストールユーティリティは、UFS ファイルシステムのマウントを試みます。UFS のマウントに失敗すると、フラッシュインストールユーティリティは HSFS ファイルシステムのマウントを試みます。
例:
UFS ファイルシステムとしてフォーマットされているローカルハードドライブからアーカイブを取得するには :
archive_location local_device c0t0d0s0 /archives/$HOST |
HSFS ファイルシステムを持つローカル CD-ROM からアーカイブを取得するには :
archive_location local_device c0t0d0s0 /archives/usrarchive |
クローンシステムをブートしたミニルートに格納したローカルファイルのアーカイブを取得できます。カスタム JumpStart インストールを実施する時に、CD-ROM または NFS ベースのミニルートからシステムをブートします。このミニルートからインストールソフトウェアがロードされ、実行されます。したがって、CD-ROM または NFS ベースのミニルートに格納したフラッシュアーカイブは、ローカルファイルとしてアクセスできます。archive_location プロファイルキーワードには次の構文を使用します。
archive_location local_file path/filename |
このコマンド行では :
path は、アーカイブの位置です。このパスは、システムを Solaris 8 INSTALLATION CD からブートしている間、システムからローカルファイルとしてアクセスできる必要があります。システムを Solaris 8 INSTALLATION CD からブートしている時は、そのシステムは /net にアクセスできません。
filename は、フラッシュアーカイブファイルの名前です。
例:
archive_location local_file /archives/usrarchive |
または
archive_location local_file:/archives/usrarchive |