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SMS DR ユーザーインタフェース

動的再構成 (DR) 機能は、System Management Services (SMS) ソフトウェアを実行する単一の制御ポイントである Sun Fire 15K/12K システムコントローラ (SC) をサポートします。ただし、DR はドメインからの管理制御もサポートします。この章では、SC での DR インタフェースについて説明します。cfgadm(1M) を使ってドメインで DR 機能を実行する方法については、『Sun Fire 15K/12K Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。


SMS DR のコマンドとオプション

この節では、SMS DR コマンドと関連オプションについて説明します。各 SMS DR コマンドについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.3 リファレンスマニュアル』を参照してください。

addboard(1M)

addboard(1M) コマンドは、特定のボードを特定のドメインに接続します。詳細は、ボードの追加の節、および addboard(1M) マニュアルページを参照してください。

次の表は、addboard(1M) コマンドのオプションとオペランドを説明しています。

オプションとオペランド

指定内容

board_id

追加されるボードのボード ID。ボード ID はボード位置に対応します (たとえば、SB2 はスロット 2 のボードです)。複数のボード識別子を使用できます。

-c function

次に移行するボードの構成状態。ボードは段階を追って追加できます。たとえば、ボードを割り当て、接続してから構成できます。

-d domain_id | domain_tag

対象ドメインを特定します。

-f

指定された処理を強制的に実行します。通常は、この処理は安全性よりも優先されるハードウェア特有の機能です。強制的に状態を変更すると、条件が ok または unknown 以外の占有装置のハードウェア資源を、ハードウェア固有の安全性チェックに基づいて使用できるようになります。

-h

使用法を説明するヘルプ

-n

すべてのプロンプトに対していいえ

-q

非出力モード。メッセージが標準出力に出力されないことを示します。

-r retry_count

操作に失敗したときに実行される再試行回数

-t timeout

再試行までの待機時間 (秒数)

-y

すべてのプロンプトに対してはい


次の表は、addboard(1M) コマンドの使用に必要な特権を示しています。プラットフォームオペレータ、プラットフォーム保守、およびスーパーユーザーグループは、addboard(1M) コマンドを開始できません。

プラットフォーム管理者

ドメイン管理者

ドメイン構成者

-c オプションを assign 機能で使用して、ドメインにボードを割り当てることができます。

ボードがドメインに割り当てられているか、またはドメインの使用可能構成要素リストに表示されていて他のドメインに割り当てられていない場合、ドメインにボードを接続、または構成できます。

ボードがドメインに割り当てられているか、またはドメインの使用可能構成要素リストに表示されていて他のドメインに割り当てられていない場合、ドメインにボードを接続、または構成できます。


次の addboard1(M) コマンドの例では、domain_id によって指定されたドメインにシステムボード 2 (SB2) を接続しています。必要に応じて、待機時間 10 分 (600秒) で 2 回再試行されます。

% addboard -d domain_id -r 2 -t 600 SB2



注 - DR 操作中に addboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。



deleteboard(1M)

deleteboard(1M) コマンドは、指定されたボードを現在常駐しているドメインから切り離そうとします。詳細は、ボードの削除の節、および deleteboard (1M) マニュアルページを参照してください。

次の表は、deleteboard(1M) コマンドのオプションとオペランドを説明しています。

オプションとオペランド

指定内容

board_id

削除されるボードのボード ID。ボード ID はボード位置に対応します (たとえば、SB2 はスロット 2 のシステムボードです)。複数のボード識別子を使用できます。

-c function

次に移行するボードの構成状態。ボードは段階を追って削除できます。たとえば、ボードの構成を解除し、切り離してから割り当て解除できます。

-f

指定された処理を強制的に実行します。通常は、この処理は安全性よりも優先されるハードウェア特有の機能です。強制的に状態を変更すると、条件が ok または unknown 以外の占有装置のハードウェア資源を、ハードウェア固有の安全性チェックに基づいて使用できるようになります。

-h

使用法を説明するヘルプ

-n

すべてのプロンプトに対していいえ

-q

非出力モード。メッセージが標準出力に出力されないことを示します。

-r retry_count

切り離しに失敗したときに実行される再試行回数

-t timeout

再試行までの待機時間 (秒数)

-y

すべてのプロンプトに対してはい


次の表は、deleteboard(1M) コマンドの使用に必要な特権を示しています。プラットフォームオペレータ、プラットフォーム保守、およびスーパーユーザーグループは、deleteboard(1M) コマンドを開始できません。

プラットフォーム管理者

ドメイン管理者

ドメイン構成者

-c オプションを unassign 機能で使用して、ドメインで有効 (active) でないボードを割り当て解除することができます。ユーザーがドメイン特権も所有している場合、deleteboard によってボードの構成解除と切り離しを行ってから、割り当て解除できます。

ドメインからボードを構成解除、切り離し、または割り当て解除できます。ドメインからボードを割り当て解除できるのは、そのボードが使用可能構成要素リストに表示されている場合だけです。

ドメインからボードを構成解除、切り離し、または割り当て解除できます。ドメインからボードを割り当て解除できるのは、そのボードが使用可能構成要素リストに表示されている場合だけです。


次の deleteboard(1M) コマンド例では、システムボード 2 (SB2) をその現在のドメインから切り離しています。必要に応じて、待機時間 15 分 (900秒) で 2 回再試行されます。

% deleteboard -r 2 -t 900 SB2



注 - DR 操作中に deleteboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。



moveboard(1M)

moveboard (1M) コマンドは、ボードが現在常駐しているドメインからボードを切り離して、指定されたドメインに接続します。詳細は、ボードの移動の節、および moveboard (1M) マニュアルページを参照してください。

次の表は、moveboard(1M) コマンドのオプションとオぺランドを説明しています。

オプションとオペランド

指定内容

board_id

移動されるボードのボード ID。ボード ID はボード位置に対応します (たとえば、SB2 はスロット 2 のシステムボードです)。複数のボード識別子を使用できます。

-c function

次に移行するボードの構成状態。ボードは段階を追って移動できます。たとえば、ボードを割り当て、接続してから構成できます。

-d domain_id | domain_tag

対象ドメインを特定します。

-f

指定された処理を強制的に実行します。通常は、この処理は安全性よりも優先されるハードウェア特有の機能です。強制的に状態を変更すると、条件が ok または unknown 以外の占有装置のハードウェア資源を、ハードウェア固有の安全性チェックに基づいて使用できるようになります。

-h

使用法を説明するヘルプ

-n

すべてのプロンプトに対していいえ

-q

非出力モード。メッセージが標準出力に出力されないことを示します。

-r retry_count

操作に失敗したときに実行される再試行回数

-t timeout

再試行までの待機時間 (秒数)

-y

すべてのプロンプトに対してはい


次の表は、moveboard(1M) コマンドの使用に必要な特権を示しています。プラットフォームオペレータ、プラットフォーム保守、およびスーパーユーザーグループは、moveboard(1M) コマンドを開始できません。

プラットフォーム管理者

ドメイン管理者

ドメイン構成者

-c オプションを assign 機能で使用して、あるドメインから別のドメインにボードを再割り当てできます。再割り当て元のドメインでボードを有効 (active) にすることはできません。

別のドメインにあるボードの割り当て、接続または構成を行うことができます。moveboard コマンドでは、ボードが別のドメインで有効になっている場合、そのドメインからボードを構成解除して、切り離します。moveboard コマンドを使用してボードの割り当て解除と再割り当てを行うには、そのボードが使用可能構成要素リストに表示されている必要があります。moveboard コマンドは、ボードの接続と構成を行うことができます。

ドメイン管理者は、moveboard(1M) コマンドを使用する両方のドメインに対するドメイン特権が必要です。

別のドメインにあるボードの割り当て、接続または構成を行うことができます。moveboard コマンドでは、ボードが別のドメインで有効になっている場合、そのドメインからボードを構成解除して、切り離します。moveboardコマンドを使用してボードの割り当て解除と再割り当てを行うには、そのボードが使用可能構成要素リストに表示されている必要があります。moveboard コマンドは、ボードの接続と構成を行うことができます。

ドメイン構成者は、moveboard(1M) コマンドを使用する両方のドメインに対するドメイン特権が必要です。


次の moveboard(1M) コマンドの例では、システムボード 5 (SB5) をその現在のドメインから、domain_id によって指定されたドメインに移動しています。必要に応じて、待機時間 15 分 (900秒) で 2 回再試行されます。

% moveboard -d domain_id -r 2 -t 900 SB5



注 - DR 操作中に moveboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。



rcfgadm(1M)

rcfgadm(1M) コマンドは、動的に再構成可能なハードウェア資源に関する遠隔構成管理を操作します。rcfgadm(1M) コマンドは、デバイスツリーのデバイスノードである接続点に対して構成管理を実行します。

次の表は、rcfgadm(1M) コマンドのオプションとオぺランドを説明しています。

オプションとオペランド

指定内容

-a

-a オプションは、一覧表示する動的接続点を指定します。

-c function

次に移行するボードの構成状態。ボードの切り離し、接続、構成、または構成解除ができます。

-d domain_id | domain_tag

対象ドメインを特定します。

-f

指定したアクションを発生させます。

-h ap_id | ap_type

ヘルプメッセージのテキストが出力されます。ap_id または ap_type が指定されている場合は、接続点についてのハードウェア特定のヘルプが表示されます。

-l ap_id | ap_type

状態と条件を一覧表示する接続点を指定します。

-n

すべてのプロンプトに対していいえ

-o hardware_options

ハードウェア特定オプション

-r retry_count

DR 操作の再試行回数

-s listing_options

一覧表示のオプション

-T timeout

再試行までの待機時間 (秒数)

-t

1 つまたは複数の接続点に対するテスト

-v

冗長モードを指定します。

-x hardware_function

ハードウェア特定機能

-y

すべてのプロンプトに対してはい


このコマンドの詳細と例については、rcfgadm(1M) マニュアルページを参照してください。

次の表は、rcfgadm(1M) コマンドの使用に必要な特権を示しています。プラットフォームオペレータ、プラットフォーム保守、およびスーパーユーザーグループは、rcfgadm(1M) コマンドを開始できません。

プラットフォーム管理者

ドメイン管理者

ドメイン構成者

-x オプションを assign または unassign 機能でそれぞれ使用して、ドメインでのボードの割り当てまたは割り当て解除を行うことができます。unassign 機能を使用するには、ボードが割り当てられている必要があります。また、実行中のドメインでボードを有効 (active) にすることはできません。

ドメインでボードの切り離し、接続、構成、または構成解除を実行できます。ボードがドメインの使用可能構成要素リストに表示されている場合、ボードの割り当てと割り当て解除を行うことができます。

ドメインでボードの切り離し、接続、構成、または構成解除を実行できます。ボードがドメインの使用可能構成要素リストに表示されている場合、ボードの割り当てと割り当て解除を行うことができます。




注 - DR 操作中に rcfgadm (1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。



scdrhelp(1M)

scdrhelp (1M) シェルスクリプトは、Sun Fire 15K/12K 動的再構成エラーヘルプシステムを起動します。このヘルプシステムでは、JavaHelptrademark hsviewer スクリプトを使用します。

ドメイン管理者とドメイン構成者を除くすべてのユーザー特権グループは、このコマンドを使用できます。

このスクリプトについての詳細は、エラーメッセージヘルプシステムの節、および scdrhelp (1M) マニュアルページを参照してください。

showboards(1M)

showboard (1M) コマンドは、ドメインのシステムボードの割り当て情報とステータスを表示し、ボードが COD (Capacity On Demand) ボードであるかどうかを示します。詳細は、ボード情報の表示の節、および showboards (1M) マニュアルページを参照してください。

showboards (1M) コマンドは DR に固有のコマンドではありませんが、DR コマンドと組み合わせて使用する必要があります。次の表は、showboards(1M) コマンドのオプションを説明しています。

オプション

指定内容

-d domain_id | domain_tag

対象ドメインを特定します。

-h

使用法を説明するヘルプ

-v

冗長モード。ドメイン構成ユニット (DCU) など、すべてのコンポーネントを表示します。DCU には、CPU、MCPU、hPCI、hsPCI+、および wPCI コンポーネントが含まれます。SC も表示します。


すべてのユーザー特権グループがこのコマンドを使用できます。ただし、ドメイン管理者とドメイン構成者は、特権を持つドメインでのみボードを表示できます。

showdevices(1M)

showdevices (1M) コマンドは、システムボード上の構成済み物理デバイスと、これらのデバイスによって使用可能になる資源を表示します。showdevices(1M) コマンドは DR に固有のコマンドではありませんが、DR コマンドと組み合わせて使用する必要があります。詳細は、デバイス情報の表示の節、および showdevices(1M) マニュアルページを参照してください。

使用情報は、システム資源をアクティブに管理しているアプリケーションとサブシステムによって提供されます。システムボード DR 操作の予測効果は、管理対象資源のオフライン照会で表示できます。

次の表は、showdevices(1M) コマンドのオプションとオぺランドを説明しています。

オプションとオペランド

指定内容

board_id

追加されるボードのボード ID。ボード ID はボード位置に対応します (たとえば、SB2 はスロット 2 のシステムボードです)。複数のボード識別子を使用できます。

-d domain_id | domain_tag

対象ドメインを特定します。

-h

使用法を説明するヘルプ

-p reports

オフライン照会情報

-v

すべての入出力デバイス


ドメイン管理者とドメイン構成者だけが、特権を持つドメインのデバイス情報を表示できます。

showplatform(1M)

showplatform(1M) コマンドは、使用可能構成要素リスト、各ドメインのドメイン状態、および COD (Capacity On Demand) 情報を表示します。showplatform(1M) コマンドは DR に固有のコマンドではありませんが、DR コマンドと組み合わせて使用する必要があります。詳細は、プラットフォーム情報の表示の節、および showplatform(1M) マニュアルページを参照してください。

次の表は、showplatform(1M) コマンドのオプションとオぺランドを説明しています。

オプションとオペランド

指定内容

-d domain_id | domain_tag

対象ドメイン名

-h

使用法を説明するヘルプ

-p domains | available ethernet | cod

以下の項目ごとにレポートを表示します: ドメイン状態 (domains)、ドメイン使用可能構成要素リスト (available)、ドメイン Ethernet アドレス (ethernet)、および COD (Capacity On Demand) 情報 (COD)

-v

使用可能なすべてのコマンド情報


プラットフォーム保守とスーパーユーザーグループを除くすべてのユーザー特権グループがこのコマンドを使用できます。ただし、ドメイン管理者とドメイン構成者は、特権を持つドメインでのみプラットフォーム情報を表示できます。


エラーメッセージヘルプシステム

SMS ソフトウェアには、特定のエラーメッセージの説明と回復方法を検索できるエラーメッセージヘルプシステムがあります。

DR エラーメッセージヘルプシステムを起動するには、次のコマンドを入力します。

% /opt/SUNWSMS/jh/scdrhelp &

標準的な JavaHelp システムビューア hsviewer によって、DR エラーメッセージヘルプシステムが表示されます。このビューアは、図 3-1 に示すように、ツールバーと 2 つの区画 (内容区画とナビゲーション区画) からなります。

図 3-1 hsviewer GUI コンポーネント

JavaHelp の目次

DR エラーメッセージは、図 3-1 に示すように、エラーのタイプによって論理グループに分けられます。これらのグループは、目次の最上位項目見出しとして表示される主要トピックを表します。エラーメッセージの番号と簡易テキストが、各グループ名の下に表示されます。

JavaHelp の索引

DR エラーメッセージは索引が付いているため、主要トピックが索引表示に現れます (図 3-2)。索引トピックの一部は、組み込みが適切と判断された場合には組み込まれます。これらのトピックでは、組み込まれたトピックだけがエラーメッセージへのリンクになります。

図 3-2 JavaHelp 索引表示

JavaHelp の検索

DR エラーメッセージヘルプシステムには全文検索機能があります。検索データベースは、エラーメッセージヘルプファイルに索引を付けることによって作成されます。

エラーメッセージを検索する前に、そのエラーメッセージのテキストの特定の文字列を検索してください。また、置換可能な文字列として処理されるため、数値を使用しないでください。エラーメッセージ JavaHelp システムのウィンドウを以下に示します。

図 3-3 JavaHelp 検索表示