現在のビジネスでは、ネットワークまたはインターネット環境を介して分散する、高いレベルのパフォーマンス、可用性、セキュリティー、スケーラビリティー、および保守性を備えたソフトウェアソリューションが必要とされています。
Java Enterprise System では、このような分散型のエンタープライズアプリケーション、つまり、通常次のような特徴を持つアプリケーションをサポートするために必要なインフラストラクチャーサービスを提供します。
分散型: アプリケーションは、地理的に離れたサイトも含むネットワーク環境にわたって配備された対話型のソフトウェアコンポーネントで構成されています。環境内のさまざまなコンピュータ上で動作するこれらの分散型コンポーネントは、互いに連携して動作することで、エンドユーザーおよびその他のビジネスアプリケーションに対して特定のビジネス機能を提供します。
エンタープライズ版: アプリケーションの適用範囲と規模が、本稼働環境またはインターネットサービスプロバイダのニーズを満たしています。このアプリケーションは通常、企業全体に及んでおり、多くの部門、オペレーション、およびプロセスを 1 つのソフトウェアシステムに統合します。アプリケーションは、パフォーマンス、可用性、セキュリティー、スケーラビリティー、および保守性に関する高度なサービス要件を満たす必要があります。
分散型のエンタープライズアプリケーションでは、分散型コンポーネントが互いに通信できるようにしたり、それらのコンポーネントの動作を調整したり、セキュリティー保護されたアクセスを実装したりする、基盤となる一連のインフラストラクチャーサービスが必要となります。さらに、これらのインフラストラクチャーサービスは、コンピュータやネットワークリストから成るハードウェア環境によってサポートされます。このハードウェア環境には、SPARC® と x86 (Intel および AMD) のハードウェアアーキテクチャーが含まれます。
次の図に、全体的な階層スキーマを示します。Java Enterprise System は基本的に、図 1–1 に示す分散型インフラストラクチャーサービス層を提供します。ただし、Java Enterprise System サービスには、エンドユーザーがアクセス可能なサービスなど、アプリケーションレベルのサービスもいくつか含まれます。
Java Enterprise System によって提供される主なサービスには、以下のものがあります。
ポータルサービス: これらのサービスを使用すると、従業員、在宅勤務者、知識労働者、パートナ企業、仕入先、および顧客が、企業ネットワーク内外の任意の場所から企業のリソースにアクセスできます。これらのサービスは、ユーザーコミュニティに対する時間と場所を問わないアクセス、配信の個人用にカスタマイズされた統合、集約、セキュリティー、モバイルアクセス、および検索の機能を提供します。
通信サービスと共同作業サービス: これらのサービスを使用すると、多様なユーザーコミュニティー間でセキュリティー保護された情報交換を行えます。具体的な機能には、ユーザーのビジネス環境で使用する、インスタントメッセージング、会議、カレンダのスケジューリングなどのメッセージング機能によるリアルタイムの共同作業があります。
ネットワークアイデンティティーサービスとセキュリティーサービス: グ ローバルベースのすべてのコミュニティー、アプリケーション、サービスの間で適切なアクセス制御が確実に適用されるようにすることで、企業の主要な情報資産のセキュリティーと保護を向上させます。これらのサービスは、アイデンティティープロファイル、アクセス特権、およびアプリケーションとネットワークリソースの情報を格納、管理するリポジトリと連携して機能します。
Web コンテナサービスとアプリケーションサービス: これらのサービスは、分散型コンポーネントが実行時に互いに通信することを可能にするほか、広範なサーバー、クライアント、およびデバイス用のアプリケーションの開発、配備、および管理をサポートします。これらのサービスは、J2EETM (Java 2 Platform, Enterprise Edition) 技術に基づいています。
Java Enterprise System は、可用性、スケーラビリティー、保守性、およびその他のアプリケーションまたはシステムの品質を向上させるサービスも提供します。Java Enterprise System によって提供されるサービス品質の機能には、以下のものがあります。
可用性サービス: これらのサービスは、アプリケーションコンポーネントとそれらをサポートするインフラストラクチャーコンポーネントに対して、ほぼ連続的な可用性を提供します。
アクセスサービス: これらのサービスは、Java Enterprise System サービスへのインターネットまたはブラウザベースのアクセスを提供します。
管理サービス: これらのサービスは、Java Enterprise System がサポートするアプリケーションのパフォーマンスを維持および調整する際に役立ちます。
ユーザーは、1 つまたは複数の Java Enterprise System サービスを配備できます。それらの各サービスには Java Enterprise System コンポーネントがいくつか含まれます。