Sun Java System Portal Server 7 には、次の新機能があります。
管理タグライブラリを使用して管理ポートレットを作成すると、管理者は自分のポータルデスクトップを通してポータルを管理できるようになります。ポータルデスクトップを通した管理では、管理タスクへのアクセスをポートレットとして付与することにより、管理者は委任管理者を指定できます。委任管理者は、特定の組織またはサブ組織において、パスワードのリセット、ユーザー、タブ、およびポートレットの作成と削除、ロールに基づくタブの配置といった各種のタスクを担当できます。タグライブラリには、ポートレットの作成によってこれらのタスクを実行するためのタグが用意されています。
ポートレットに関連付けられた管理タグライブラリを使用して、既成の管理ポートレットを変更したり、新しい管理機能を持つポートレットを開発したりできます。タグライブラリは、ユーザー管理、プロバイダ管理、およびポートレットと WSRP 管理の各タスクをサポートしています。このライブラリのタグは、JSPProvider ベースのチャネルの作成と管理に使用できます。タグライブラリのタグを使用して、カスタム GUI を備えたカスタム管理ポートレットを作成できます。タグライブラリを使用して、任意のカスタムチャネルを管理するための管理ポートレットを作成できます。
Portal Server ソフトウェアのこのリリースに含まれている管理ポートレットのサンプルセットを使用して、管理者のポータルデスクトップから管理タスクを実行できます。管理ポートレットは、コンテンツとユーザーの管理タスクに対するポータルベースのアクセスを提供します。管理チャネルは、管理タグライブラリの利用方法を示すだけでなく、委任管理者用の単純なポータルデスクトップの設計にも使用できます。委任管理のディスプレイプロファイルは OrganizationAdministration ロールにあります。
サンプルポートレットを使用するには、developerAdmin/developerAdmin を使用して開発者用サンプルにログインし、「管理」タブを選択します。これらのチャネルの詳細については、チャネルのオンラインヘルプを参照してください。
Portal Server のこのリリースでは、Portal Server の機能を管理するための新しいコンソールが導入されました。このコンソールには、ブラウザクライアントで特定の URL を使ってアクセスします。Portal Server 7.0 管理コンソールを使用すると、ポータル管理者は次のものを管理できます。
複数のポータルインスタンスおよびポータルサーバーインスタンス
ポータルリソースのインポートとエクスポート
デスクトップ
JavaServer Faces ポートレット
ロギング、ユーザー動作の追跡、および監視のためのサービス
WSRP (Web Services for Remote Portlets) レジストリ
登録、WSRP、および検索
Struts フレームワーク
Sun JavaTM System Secure Remote Access および SSO アダプタ
管理者は管理コンソールを使用してさまざまなタスクを管理できます。これらのタスクの多くは、管理コンソールの「共通タスク」タブから使用できます。次のようなものがあります。
問題を診断するために Portal Server ログファイルでエラーや警告を確認する
特定の LDAP ノードレベルでデフォルトのチャネルプロパティーを上書きして、標準のデスクトップチャネルをカスタマイズする
外部リソースの変更を反映させるために検索ロボットサイトを編集する
検索ロボットを開始および停止する
デスクトップにチャネルまたはコンテナを追加する
デスクトップにタブを追加する
ポートレットを配備する
ポートレットを配備解除する
新しい管理コンソールには次のような特徴があります。
アイドル状態のセッションのセッションタイムアウトをサポートする
要求ごとにユーザーセッションを検証する
セキュリティー保護された HTTP 接続の設定をサポートする
JavaTM 2 Platform, Enterprise Edition (J2EETM) プラットフォームテクノロジを用いてコンパイルするアプリケーションである
そのほかに次のような変更点があります。
委任管理は使用できない
リライタルールセットの編集は使用できない
Portal Server の以前のリリースでは、ポータル管理者がアクセス管理と Portal Server 機能の両方の管理に使用する管理コンソールが提供されていました。新しいコンソールで使用できる Portal Server 管理タスクを実行する場合は、Sun JavaTM System Access Manager コンソールを使用する必要はありません。ただし、ユーザー、ロール、組織などのアイデンティティーベースのオブジェクトを管理するには、引き続き Access Manager 管理コンソールを使用する必要があります。
アクセス管理に Access Manager 管理コンソールを使用する方法については、docs.sun.com にある Access Manager のマニュアルを参照してください。
Portal Server コマンド行インタフェースでも、ポータルを管理するためにいくつかの新しい psadmin サブコマンドが提供されています。次のようなサブコマンドがあります。
ポータルサーバーを Web コンテナインスタンスに再配備する
デスクトップデータをエクスポートおよびインポートする
指定した時間に実行するコマンドをスケジュールし、スケジュールされたコマンドをスケジュール解除する
すべての psadmin サブコマンドについては、『Sun Java System Portal Server 7 Command-Line Reference』を参照してください。
Portal Server ソフトウェアのこのリリースには、管理のためのコマンド行ツールが含まれています。
Portal Server 7 の管理 CLI には、psadmin と呼ばれる新しい管理 CLI ユーティリティーが導入されました。このユーティリティーは新しい Portal Server 管理フレームワークを使用して、Portal Server のすべての管理機能を簡単にします。この CLI には、次に示すポータルコンポーネントの管理機能が含まれています。
Portal Server 管理。管理 CLI では、次に示す機能の管理機能が提供されています。
ポータル管理 (作成 / 削除)
ポータル内での Portal Server インスタンス管理 (作成 / 削除 / 開始 / 停止)
Web コンテナへの Portal Server インスタンスの配備
ポータル内でのリソース管理 (ポータルデータのインポート / エクスポート)
Portal Server 監視サブシステム
デスクトップ
検索
リライタ
フレームワークの記録
ユーザー動作の追跡
SSO アダプタ
登録
WSRP プロデューサと WSRP コンシューマ
Mobile Access
Secure Remote Access
すべての CLI は、psadmin と呼ばれる単一のユーティリティーから呼び出されます。各 CLI は psadmin の 1 つのサブコマンドとして機能します。『Sun Java System Portal Server 7 Command-Line Reference』では、psadmin ユーティリティーとそのサブコマンドについて説明しています。
psadmin psadmin {--help | help | -?} [component=componentName] psadmin command {--help | -?} psadmin {--version | -V} --adminuser|-u userName --passwordfile|-f passwordFile
component を指定すると、コンポーネント固有のコマンドが一覧表示されます。有効なコンポーネント名は次のとおりです。portal、desktop、logging、monitoring、portlet、rewriter、search、sra、ssoadapter、subscriptions、ubt、および wsrp。
ポータルコラボレーション機能により、エンドユーザーはコミュニティーを作成して参加し、共同作業に役立つ一連のポートレットアプリケーション (コミュニティーサービス) を通して他のコミュニティーメンバーと対話できます。したがって、コミュニティーとは、メンバーとサービスの関連付けです。サービスには次のものがあります。ファイル共有、共有のタスクとイベント、調査とサーベイ、Wiki、およびディスカッション。
コミュニティーはエンドユーザーによって作成され管理されます。作成者であるユーザーはそのコミュニティーの委任管理者になります。ポータル管理者は、レイアウト機構と利用可能なサービスを定義するコミュニティーテンプレートを定義できます。エンドユーザーは、利用可能なテンプレートを使用して、カテゴリ内にコミュニティーを作成できます。ユーザーがコミュニティーコラボレーションに参加するには、コミュニティーに参加する必要があります。コミュニティーはすべて公開で、どのユーザーも参加できます。
エンドユーザーは次のことを実行できます。
コミュニティーの名前と説明に基づいて、コミュニティーを検索する。そして、見つかったコミュニティーに参加する。
カテゴリに基づいて、コミュニティーの名前と説明にざっと目を通す。そして、見つかったコミュニティーに参加する。
Portal Server ソフトウェアは、すべてのコンポーネントにわたるロギングのために、Java ロギング API (JSR 47) を使用します。ログおよびログ設定は、どのポータルコンポーネントについても同じです。ログメッセージには、程度別に分類された severe から fine までの 7 つの標準ログレベルがあります。ログは異なるファイルや受信端末装置に配信でき、1 つまたは複数のファイル、すなわち、コンポーネントごとに 1 つのファイルで構成することができます。
ログレベルはモジュールおよびサブモジュールごとに設定できます。また、各コンポーネントのモジュールおよびサブモジュールごとに個別のファイルにログを配信することもできます。各ポータルコンポーネントのロギングは、特定のプロパティーファイルを通して設定できます。
次の 3 つの psadmin サブコマンドは、ポータルインスタンスのロギングを設定します。
ロガーを一覧表示します。ログレベルやログファイル名などのルートロガーの詳細情報を表示することもできます。
ロガーのログレベルと個別ファイルを設定します。
ログレベルとログファイルをルートロガーのものにリセットします。
Portal Server には、CACAO サーバー上で動作する PAS (Portal Administration Server) が含まれています。この PAS を通して実行される管理作業の多くは、監査ロギングを使用して追跡できます。たとえば、ポータル CLI がバックグラウンドで PAS を使用して管理を実行するとき、それらのジョブは PAS 監査ロギングを通してログに記録されます。このロギングは JDK ロギング機能を基にして動作し、ポータルロギング機能に合ったその他の書式設定やログハンドラの要求に従います。
監視機能は、デスクトップ、チャネル、Secure Remote Access ゲートウェイなどのポータルコンポーネントのパフォーマンスに関する実行時情報を収集します。監視機能により、システム管理者にとってシステム状態の把握、システム利用率の追跡、およびシステムの健全性とセキュリティーの監視が容易になります。
監視データは、ポータルコマンド行インタフェース (psadmin CLI) を使用して照会できます。システム管理者は、パフォーマンスターゲットに到達しないときのアラートや通知を設定するために、この情報をサードパーティー製の管理ツールで使用できるようにすることができます。また、再起動なしで異なるログに対して別のデバッグログレベルを設定することもできます。
RSS ポートレットは、単純な提携コンテンツリーダーです。エンドユーザーはこれを使用して、一連の提携コンテンツのフィード (URL) を管理し、その中から表示するものを選択できます。エンドユーザーはポートレットをカスタマイズしたり、フィードの表示条件を制御したりできます。RSS ポートレットは RSS フィードをキャッシュします。URL によって一意に識別される特定のフィードはどれでも、ポートレットの cacheTimeout 設定で定義された秒数を最大として、キャッシュできます。
Portal Server ソフトウェアのこのリリースには、開発者用サンプルの他に 2 つの新しいサンプルが含まれています。ここでは、次のサンプルについて説明します。
コミュニティーサンプルは、コミュニティー機能を基にしたポータルの例です。コミュニティーサンプルにアクセスするには、ポータルの開始画面からコミュニティーサンプルのリンクをクリックし、test/test を使用してログインします。コミュニティーサンプルに参加するには、CommunitySample 組織のユーザーであることが必要です。
エンタープライズサンプルは、Portal Server ソフトウェアの主な特徴を紹介します。エンタープライズサンプルのデスクトップは、「ASC (Adventure Sports Cafe)」という名前の架空企業を使用して、典型的な社員の日常業務を示します。このサンプルでは、ログインせずに匿名ユーザーとしてデスクトップを表示できます。3 種類のログインが用意されており、ログインするユーザーに応じてページがどのように変化するかを確認できます。
エンタープライズサンプルは Access Manager 組織内にあり、サンプルユーザーが用意されています。エンタープライズサンプルは EnterpriseSample という組織内にあり、次のようなサンプルユーザーが用意されています。
「新しいツアー」プロジェクトと「オーストラリアオフィス拡張」プロジェクトの遂行を担当しています。組織のニュースとイベントについて最新情報を把握している必要があり、担当している ASC プロジェクトに固有のコンテンツを管理しています。Mary は ASC イントラネットポータルのコラボレーションツールを使用して、自分のチームと連絡を取っています。
「顧客ツアー」プロジェクトを担当し、Mary に報告を行います。Chris はポータルを使用して、組織のニュースとイベントについて最新情報を把握し、「顧客ツアー」プロジェクトチームと共同して働いています。
「オーストラリアオフィス拡張」プロジェクトを担当し、Mary に報告を行います。Ed もポータルを使用して、組織のニュースとイベントについて最新情報を把握し、「オーストラリアオフィス拡張」プロジェクトチームと共同して働いています。
ASC Web サイトのページには、タブを使ってアクセスできます。ページには、列に並べられたいくつかのチャネルと、ユーザー固有のコンテンツが表示されます。たとえば、ユーザーに作業リストのチャネル、電子メールとカレンダを表示するためのチャネル、および Instant Messaging 用のチャネルがあるとします。コンテンツとレイアウトはユーザーに合わせて変更できます。
Portal Server ソフトウェアでは、JSR-168 ポートレットの拡張機能である API が com.sun.portal.portlet Java パッケージで提供されています。この API を使用すると、異なる Web アプリケーションの JSR-168 ポートレットであっても、ポートレット間の通信が可能になります。ただし、これらすべてのポートレットが Portal Server の同じインスタンス上にあり、Portal Server ポートレットコンテナ内で実行されていることが前提です。この API は、イベントの生成と通知を使用して、ポートレット間で情報やデータを伝送します。イベント通知は、その特定のイベントを待機するように登録しているポートレット用です。
JSF ベースの既存のアプリケーションが Portal Server でポートレットとして動作できるように、Portal Server ソフトウェアには JSF サポートライブラリが含まれています。このライブラリを使用すると、既存のアプリケーションを最小限の変更で簡単にポートレットに変換できます。JSF ベースのポートレットは Portal Server 内で実行され、Portal Server による呼び出しに応答する必要があります。
JSF アプリケーションをポートレットとして Portal Server に配備する詳細については、『Sun Java System Portal Server 7 Configuration Guide』の第 9 章「Deploying JSF Application as a Portlet in Portal Server」を参照してください。
Portal Server のこのリリースでは、単一のユーザーリポジトリを使用して複数のポータルをサポートできます。ポータルごとに独立した設計、配備、および管理が可能です。
この機能を使用して次のことを実行できます
1 つまたは複数のホストに複数のポータルを配備する。
1 つまたは複数のホストに複数の Portal Server インスタンスを配備する。
すべてのポータルで同じユーザーリポジトリが共有されるので、Access Manager ソフトウェアを使用してすべてのポータルのユーザーを管理する。
ポータル間の SSO を提供する。
各ポータルのデスクトップをユーザー自身がカスタマイズできるようにする。
複数ポータルに関連する重要な用語は次のとおりです。
「ポータル」とは、単一の URL にマッピングできる 1 つ以上の Portal Server インスタンスの集まりです。ポータルによって提供されるコンテンツとサービスは、そのすべてのインスタンスに共通です。
「Portal Server インスタンス」とは、Web コンテナに配備された Web アプリケーションであり、特定のポータルコンテキスト URI を使用し、特定のネットワークポートで要求を処理するものです。各 Portal Server インスタンスは単一のポータルに関連付けられます。
「複数ポータル」は、同じユーザーセットを共有します。これらのポータルは、1 つまたは複数のホストに配備されますが、すべて同じユーザーリポジトリを共有します。複数ポータルは同じ Access Manager ポータルを共有するものなので、異なる Access Manager を使用するポータルは複数ポータルではありません。
Portal Server コマンド行インタフェースには、次に示すタスクを実行するためのコマンドが用意されています。
ポータルの作成と削除。
Portal Server インスタンスの作成と削除。
すべてのポータルとそのインスタンスの一覧表示。
ポータル Web アプリケーションの再配備。
ポートレットアプリケーションの配備と配備解除
Portal Server インスタンスの停止と開始。
このリリースでは、Struts アプリケーション全体をポータルサーバーデスクトップのチャネル内で JSR 168 ポートレットアプリケーションとして表示できます。Portal Server には、Struts ポートレットブリッジの機能を示すために、Struts アプリケーションのサンプルが用意されています。このアプリケーションは「Struts メーラーデモ」アプリケーション (strutssample.war ファイル) です。
スタンドアロンの Struts アプリケーションをポートレットアプリケーションとして配備する詳細については、『Sun Java System Portal Server 7 Configuration Guide』の第 8 章「Deploying Struts Application as a Portlet in Portal Server」を参照してください。
ユーザー動作の追跡 (User Behavior Tracking、UBT) は、ポータルデスクトップ上でのユーザーアクティビティーを追跡します。UBT は 3 つの主要機能で構成されています。
UBT 設定は、UBT ロギング機能と UBT レポーティング機能を設定するためのインタフェースを提供します。
UBT ロギング機能は、ポータルデスクトップでのユーザーアクションのとおりに、UBT データを動的に記録します。
UBT レポーティング機能は、UBT ロギングシステムで収集されたデータに基づいて生成された一連のサンプルレポートを提供します。
ポータルに関連するユーザー動作をサードパーティー製のツールで分析できるように、追跡されたユーザーアクティビティーは外部記憶装置に記録されます。