Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのデュアルパーティションアップグレードの実行

この節では、デュアルパーティションアップグレード方式を使用して、Sun Cluster 3.1 リリースから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする方法を説明します。

次の表に Sun Cluster 3.1 ソフトウェアから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするために実行する作業を示します。Solaris OS のバージョンだけをアップグレードする場合もこれらの作業を実行します。Solaris OS を Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアにアップグレードする場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。

表 8–2 作業マップ: Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのデュアルパーティションアップグレードの実行

作業 

参照先 

1. アップグレード要件と制約に関する説明を読む。使用する構成とニーズに適したアップグレード方法を決めます。 

「アップグレードの必要条件とソフトウェアサポートのガイドライン」

「Sun Cluster のアップグレード方法の選択」

2. クラスタを 2 つのグループのノードにパーティション分割 

「アップグレード用にクラスタを準備する (デュアルパーティション)」

3. 必要に応じて、Solaris ソフトウェアをサポートされている Solaris アップデートにアップグレード。クラスタが Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合は、メディエータの構成を解除。必要に応じて、VERITAS Volume Manager (VxVM) および VERITAS File System (VxFS) をアップグレード。Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアは、自動的に Solaris OS とともにアップグレードされます。 

「Solaris OS およびボリュームマネージャーをアップグレードする (デュアルパーティション)」

4. Sun Cluster 3.2 フレームワークとデータサービスソフトウェアをアップグレード。必要に応じて、アプリケーションをアップグレード。クラスタで二重列メディエータを使用しており、Solaris OS をアップグレードした場合は、メディエータを再構成します。VxVM をアップグレードした場合は、ディスクグループをアップグレード 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (デュアルパーティション)」

5. Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードに成功したことを確認 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」

6. リソースを有効にし、リソースグループをオンライン化。任意で、既存のリソースを新しいリソースタイプに移行します。 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」

7. (省略可能) SPARC: 必要に応じて、Sun Management Center 用 Sun Cluster モジュールをアップグレード 

「SPARC: Sun Management Center 用に Sun Cluster モジュールソフトウェアをアップグレードする 」

Procedureアップグレード用にクラスタを準備する (デュアルパーティション)

以下の手順を実行して、クラスタをデュアルパーティションアップグレード用に準備します。この手順では、ノードの 2 つのグループを、それぞれ 1 番目のパーティション、2 番目のパーティションと呼びます。2 番目のパーティションに割り当てるノードは、1 番目のパーティションをアップグレードしている間、クラスタサービスを継続します。1 番目のパーティションのすべてのノードをアップグレードしたら、クラスタサービスを 1 番目のパーティションに切り替えて、2 番目のパーティションをアップグレードします。2 番目のパーティションのすべてのノードをアップグレードしたら、クラスタモードでノードを起動して、再度 1 番目のパーティションからノードをクラスタに参加させます。


注 –

単一ノードのクラスタをアップグレードする場合は、このアップグレード方法を使用しないでください。代わりに、「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」または 「アップグレード用にクラスタを準備する (ライブアップグレード)」を参照します。


Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。

始める前に

次の作業を実行します。

  1. クラスタが正常に機能していることを確認してください。

    1. 任意のノードから次のコマンドを実行して、クラスタの現在の状態を表示します。


      % scstat
      

      詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. 同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

    3. ボリューム管理の状態を確認します。

  2. 必要であれば、アップグレード中クラスタサービスが一時中断することをユーザーに通知します。

    サービス中断の時間は、クラスタがサービスを別のノードに切り替えるために通常要する時間にほぼ等しくなります。

  3. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  4. Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアまたは Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアを使用する 2 ノードクラスタの場合、可用性サービス用の構成データが定足数ディスク上にあることを確認します。

    クラスタソフトウェアをアップグレードしたあと、Availability Suite が正しく機能するようにするには、構成データを定足数ディスク上に置く必要があります。

    1. Availability Suite ソフトウェアを実行するノード上でスーパーユーザーになります。

    2. Availability Suite 構成ファイルで使用されるデバイス ID とスライスを見つけます。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWscm/sbin/dscfg
      /dev/did/rdsk/dNsS
      

      この出力例では、N がデバイス ID でS がデバイス N のスライスです。

    3. 既存の定足数デバイスを見つけます。


      phys-schost# scstat -q
      -- Quorum Votes by Device --
                           Device Name         Present Possible Status
                           -----------         ------- -------- ------
         Device votes:     /dev/did/rdsk/dQsS  1       1        Online

      この出力例では、dQsS が既存の定足数デバイスです。

    4. 定足数デバイスが Availability Suite 構成データデバイスと同じでない場合は、構成データを定足数デバイス上の使用できるスライスに移します。


      phys-schost# dd if=`/usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg` of=/dev/did/rdsk/dQsS
      

      注 –

      ブロック DID デバイス、/dev/did/dsk/ ではなく、raw DID デバイス、/dev/did/rdsk/ の名前を使用する必要があります。


    5. 構成データを移した場合、新しい場所を使用するように Availability Suite ソフトウェアを構成してください。

      スーパーユーザーとして、Availability Suite ソフトウェアを実行する各ノード上で次のコマンドを実行します。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg -s /dev/did/rdsk/dQsS
      
  5. Solaris OS をアップグレードする場合に、クラスタで Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用するときは、メディエータを構成解除します。

    メディエータの詳細については、「二重列メディエータの構成」を参照してください。

    1. 次のコマンドを実行して、メディエータデータに問題がないことを確認します。


      phys-schost# medstat -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      Status フィールドの値が不良の場合、関連するメディエータホストを修復します。「不正なメディエータデータを修復する」の手順に従います。

    2. すべてのメディエータを一覧表示します。

      この情報は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」の手順でメディエータを復元するときのために保存しておいてください。

    3. メディエータを使用するディスクセットについては、ノードが所有権をまだ持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      phys-schost# scswitch -z -D setname -h node
      
      -z

      ホストするノードを変更します。

      -D devicegroup

      ディスクセットの名前を指定します。

      -h node

      ディスクセットの主となるノードの名前を指定します。

    4. ディスクセットのすべてのメディエータの構成を解除します。


      phys-schost# metaset -s setname -d -m mediator-host-list
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      -d

      ディスクセットから削除します。

      -m mediator-host-list

      削除するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

      metaset コマンドのメディエータ固有のオプションの詳細については、mediator(7D) のマニュアルページを参照してください。

    5. メディエータを使用する残りの各ディスクセットで、手順  c から手順  d までを繰り返します。

  6. Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) データサービスを、バージョン 4.4 以降の Sun Java System Application Server EE (HADB) ソフトウェアとともに実行している場合は、HADB リソースを無効にして HADB データベースをシャットダウンする必要があります。

    4.4 以前のバージョンの Sun Java System Application Server EE (HADB) ソフトウェアを実行している場合は、この手順をスキップできます。

    アップグレード中に 1 つのクラスタパーティションがサービスを停止した場合、アクティブなパーティションのノード数が、HADB メンバーシップの要件を満たすのに十分ではなくなります。このため、クラスタをパーティション分割する前に、HADB データベースを停止して、HADB リソースを無効にする必要があります。


    phys-schost# hadbm stop database-name
    phys-schost# scswitch -n -j hadb-resource
    

    詳細は、hadbm(1m) のマニュアルページを参照してください。

  7. 2 ノードクラスタをアップグレードする場合は、手順 16 に進んでください。

    それ以外の場合は、手順 8 に進んで、使用するパーティション分割スキーマを決めます。パーティション分割プロセスは中断しないような、各パーティションに含まれるノードを決めます。次に、すべてのリソースグループのノードリストを、使用するスキーマの各パーティションのノードメンバーと比べます。リソースグループに各パーティションのメンバーが含まれない場合は、ノードリストを変更する必要があります。

  8. DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。

  9. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (archsparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  10. scinstall ユーティリティーを対話モードで起動します。


    phys-schost# ./scinstall
    

    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Java Availability Suite DVD-ROM に含まれる scinstall コマンドを使用してください。


    scinstall のメインメニューが表示されます。

  11. 「デュアルパーティションアップグレードの管理」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。


    *** Main Menu ***
    
        Please select from one of the following (*) options:
    
            1) Create a new cluster or add a cluster node
            2) Configure a cluster to be JumpStarted from this install server
          * 3) Manage a dual-partition upgrade
          * 4) Upgrade this cluster node
          * 5) Print release information for this cluster node
     
          * ?) Help with menu options
          * q) Quit
    
        Option:  3
    

    「デュアルパーティションアップグレードの管理」メニューが表示されます。

  12. 「考えられるパーティション分割スキーマの表示と選択」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

  13. プロンプトに従って、次の作業を実行します。

    1. 使用中のクラスタで利用可能なパーティション分割スキーマを表示します。

    2. パーティション分割スキーマを選択します。

    3. 最初にアップグレードするパーティションを決めます。


      注 –

      作業を停止し、「デュアルパーティションアップグレードを開始しますか ?」 というプロンプトが表示されても、まだ応答しないでください。ただし、scinstall ユーティリティーは終了しないでください。このプロンプトには、この手順の手順 18 で応答します。


  14. パーティションスキーマで各パーティションにどのノードが属するかを書き留めます。

  15. クラスタの別のノードで、スーパーユーザーになります。

  16. 重要なデータサービスがパーティション間をスイッチオーバーできることを確認します。

    2 ノードクラスタの場合、各ノードはそのパーティションの唯一のノードになります。

    デュアルパーティションアップグレードのためにパーティションのノードがシャットダウンすると、それらのノードでホストされているリソースグループは、他のパーティションにスイッチオーバーします。リソースグループにノードリストの各パーティションのノードが含まれない場合、リソースグループはスイッチオーバーできません。重要なデータサービスをすべて確実にスイッチオーバーさせるために、関連リソースグループのノードリストに各アップグレードパーティションのメンバーが含まれていることを確認してください。

    1. アップグレード全体を通じて、サービスを残す必要のある各リソースグループのノードリストを表示します。


      phys-schost# scrgadm -pv -g resourcegroup | grep "Res Group Nodelist"
      
      -p

      構成情報を表示します。

      -v

      冗長モードで表示します。

      -g resourcegroup

      リソースグループの名前を指定します。

    2. リソースグループのノードリストに各パーティションの 1 つ以上のメンバーが含まれない場合は、ノードリストを再定義して、各パーティションのメンバーを潜在的な主ノードとして含めます。


      phys-schost# scrgadm -a -g resourcegroup -h nodelist
      
      -a

      新しい構成を追加します。

      -h

      カンマ区切りのノード名リストを指定します。

  17. 次の手順を決めます。

    • 2 ノードクラスタをアップグレードする場合、手順 8 から手順 13 に戻って、パーティション分割スキーマとアップグレード順序を指定します。

      Do you want to begin the dual-partition upgrade?」というプロンプトが表示されたら、手順 18 に戻ります。

    • 3 ノード以上のクラスタをアップグレードする場合は、対話型の scinstall ユーティリティーを実行しているノードに戻ります。

      手順 18 に進みます。

  18. 対話型の scinstall プロンプト「デュアルパーティションアップグレードを開始しますか ?」で、「Yes」と入力します。

    このコマンドで、リモートのインストール方法を使用できることが確認されます。

  19. プロンプトが表示されたら、Enter キーを押して、デュアルパーティションアップグレードの各準備段階を続行します。

    このコマンドによって、リソースグループが 2 番目のパーティションのノードに切り替えられ、1 番目のパーティションの各ノードがシャットダウンされます。

  20. 1 番目のパーティションのすべてのノードがシャットダウンしたら、そのパーティションの各ノードを非クラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


      ok boot -x
      
    • Solaris 9 OS を実行している x86 ベースのシステム上で、次のいずれかのコマンドを実行します。


      phys-schost# reboot -- -xs
      または
      ...
                            <<< Current Boot Parameters >>>
      Boot path: /pci@0,0/pci-ide@7,1/ata@1/cmdk@0,0:b
      Boot args:
      
      Type  b [file-name] [boot-flags] <ENTER>  to boot with options
      or    i <ENTER>                           to enter boot interpreter
      or    <ENTER>                             to boot with defaults
      
                        <<< timeout in 5 seconds >>>
      Select (b)oot or (i)nterpreter: b -xs
      
    • Solaris 10 OS を実行している x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

      1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

        GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

        GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

      2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

        次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.
      3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


        [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
        lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
        completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
        
        grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
        
      4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

        画面には、編集されたコマンドが表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.-
      5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


        注 –

        カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


  21. 2 番目のパーティションで動作するアプリケーションに Resource Group Manager (RGM) で制御されていないものがある場合は、これらのノードのアップグレードを開始する前にこれらのアプリケーションを停止するスクリプトを作成します。

    デュアルパーティションアップグレードの処理中、2 番目のパーティションのノードが停止する前に、これらのスクリプトが呼び出されて、 Oracle RAC などのアプリケーションを停止します。

    1. RGM で制御されていないアプリケーションを停止するために必要なスクリプトを作成します。

      • RGM で制御されるアプリケーションが停止される前に停止させるアプリケーションと、後に停止させるアプリケーションとには、それぞれ別のスクリプトを作成します。

      • パーティション内の複数のノードで動作しているアプリケーションを停止させるには、それに応じたスクリプトを書きます。

      • スクリプトには、任意の名前とディレクトリパスを使用します。

    2. クラスタ内の各ノードにそれぞれ、作成したスクリプトのコピーがあることを確認します。

    3. 各ノードで、次の Sun Cluster スクリプトを変更して、そのノードに置いたスクリプトを呼び出します。

      • /etc/cluster/ql/cluster_pre_halt_apps - RGM で制御されているアプリケーションが停止する前に実行するスクリプトを呼び出すには、このファイルを使用します。

      • /etc/cluster/ql/cluster_post_halt_app - RGM で制御されているアプリケーションが停止した後に実行するスクリプトを呼び出すには、このファイルを使用します。

      Sun Cluster スクリプトは、パーティションのアップグレード後の処理中に任意の 1 つのノードから発行されます。このため、パーティションの任意のノードのスクリプトがパーティション内のすべてのノードで必要な操作を実行することを確認してください。

次の手順

1 番目のパーティションの各ノードでソフトウェアをアップグレードします。

ProcedureSolaris OS およびボリュームマネージャーをアップグレードする (デュアルパーティション)

Solaris OS をアップグレードするには、この手順をクラスタ内の各ノードに実行してください。Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。 クラスタが既に Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをサポートするバージョンの Solaris OS で動作している場合は、さらに Solaris OS をアップグレードするかどうかは任意です。Solaris OS をアップグレードしない場合は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」に進みます。


注 –

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードをサポートするためには、クラスタは、少なくとも Solaris OS の必要最低条件のレベルで実行されているか、アップグレードされている必要があります。詳細は、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』のサポートされている製品を参照してください。


始める前に

「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」の手順がすべて完了していることを確認します。

  1. アップグレードするクラスタノードでスーパーユーザーになります。

    ノードは非クラスタモードのパーティションのメンバーである必要があります。

  2. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがインストールされている場合は、アンインストールしてください。

    アンインストールの手順については、使用中の Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

  3. 次の Apache 実行制御スクリプトがあるかどうか、および有効化されているか無効化されているかを調べます。


    /etc/rc0.d/K16apache
    /etc/rc1.d/K16apache
    /etc/rc2.d/K16apache
    /etc/rc3.d/S50apache
    /etc/rcS.d/K16apache

    Sun Cluster HA for Apache などの一部のアプリケーションでは、Apache 実行制御スクリプトを無効にする必要があります。

    • これらのスクリプトが存在し、ファイル名に大文字の K または S が含まれる場合、スクリプトは有効になっています。これらのスクリプトにこれ以上の操作は不要です。

    • これらのスクリプトが存在しない場合は、手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされた Apache 実行制御スクリプトがすべて無効になっていることを確認する必要があります。

    • これらのスクリプトが存在しても、ファイル名に小文字の k または s が含まれる場合、スクリプトは無効になっています。手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされる Apache 実行制御スクリプトがすべて無効になっていることを確認する必要があります。

  4. ノードの /etc/vfstab ファイル内でグローバルにマウントされているファイルシステム内のすべてのエントリをコメントアウトします。

    1. 後で参照するために、既にコメントアウトしたすべてのエントリを記録します。

    2. /etc/vfstab ファイル内のグローバルにマウントされているファイルシステム用のすべてのエントリを一時的にコメントアウトします。

      グローバルにマウントされているファイルシステム用のエントリに、global マウントオプションがあります。これらのエントリをコメントアウトすることにより、Solaris のアップグレード中にグローバルデバイスにマウントするのを防止します。

  5. Solaris OS をアップグレードするために実行する手順を決定します。

    ボリュームマネージャー 

    手続き 

    説明の場所 

    Solaris ボリュームマネージャー 

    ライブアップグレード方式以外の Solaris のすべてのアップグレード方法 

    Solaris のインストールマニュアル 

    VERITAS Volume Manager 

    「VxVM および Solaris アップグレード」 

    VERITAS Volume Manager のインストールマニュアル 


    注 –

    クラスタに VxVM がインストールされている場合は、Solaris アップグレード処理の一環として、既存の VxVM ソフトウェアを再インストールするか、Solaris 9 または 10 バージョンの VxVM ソフトウェアにアップグレードする必要があります。


  6. 手順 5 で選択した手順に従って、Solaris ソフトウェアをアップグレードします。

    1. プロンプトが表示されたら、手動リブートオプションを選択します。

    2. ノードを再起動するようにプロンプトが表示されたら、必ず非クラスタモードで再起動してください。


      注 –

      Solaris ソフトウェアアップグレードでは、インストール終了後の自動リブートを実行しないでください。代わりに次の作業を行なってください。

      1. この手順に戻って、手順 7 および手順 8 を実行します。

      2. 手順 9 で非クラスタモードで再起動して、Solaris ソフトウェアのアップグレードを完了します。


      次のコマンドを実行して、Solaris のアップグレード中にノードを非クラスタモードで起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のいずれかのコマンドを実行します。


        phys-schost# reboot -- -xs
        または
        ok boot -xs
        

        init S コマンドを実行するように指示された場合は、代わりにreboot -- -xs コマンドを実行します。

      • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        phys-schost# shutdown -g -y -i0
        
        Press any key to continue
        1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

          GRUB メニューは、次のように表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
          +-------------------------------------------------------------------------+
          | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
          | Solaris failsafe                                                        |
          |                                                                         |
          +-------------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
          commands before booting, or 'c' for a command-line.

          GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

        2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

          次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
          +----------------------------------------------------------------------+
          | root (hd0,0,a)                                                       |
          | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
          | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
          +----------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
          boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
          after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
          selected line, or escape to go back to the main menu.
        3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


          [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
          lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
          completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
          
          grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
          
        4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

          画面には、編集されたコマンドが表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
          +----------------------------------------------------------------------+
          | root (hd0,0,a)                                                       |
          | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
          | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
          +----------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
          boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
          after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
          selected line, or escape to go back to the main menu.-
        5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


          注 –

          カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


        init S コマンドを実行するように指示された場合は、システムをシャットダウンして、GRUB カーネルのブートコマンドを /platform/i86pc/multiboot -sx に変更します。

  7. /a/etc/vfstab ファイルで、手順 4 でコメントアウトした、グローバルにマウントしたファイルシステム用のエントリを、コメント解除します。

  8. Solaris OS をアップグレードする前に Apache 実行制御スクリプトが無効になっていたか、存在しなかった場合は、Solaris アップグレード中にインストールされたスクリプトが無効になっていることを確認します。

    Apache 実行制御スクリプトを無効にするには、次のコマンドを使用して、ファイル名の k または s を小文字に変更してください。


    phys-schost# mv /a/etc/rc0.d/K16apache /a/etc/rc0.d/k16apache 
    phys-schost# mv /a/etc/rc1.d/K16apache /a/etc/rc1.d/k16apache
    phys-schost# mv /a/etc/rc2.d/K16apache /a/etc/rc2.d/k16apache
    phys-schost# mv /a/etc/rc3.d/S50apache /a/etc/rc3.d/s50apache
    phys-schost# mv /a/etc/rcS.d/K16apache /a/etc/rcS.d/k16apache
    

    代わりに、ユーザーの通常の管理規則に従ってスクリプト名を変更することもできます。

  9. ノードを非クラスタモードで再起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

      コマンドに 2 つのダッシュ (--) を含めます。


      phys-schost# reboot -- -x
      
    • x86 ベースのシステムで、手順 6 で説明したシャットダウンおよび起動手順を実行します。ただし、カーネルのブートコマンドには -sx の代わりに -x を追加します。

  10. クラスタで VxVM を実行している場合は、「VxVM および Solaris のアップグレード」の残りの手順に従って、VxVM を再インストールするか、アップグレードします。

    手順に次の変更を加えます。

    • VxVM のアップグレードが完了して、再起動する前に/etc/vfstab ファイルのエントリを確認してください。

      手順 7 でコメントを解除したエントリのいずれかがコメントアウトされている場合は、これらのエントリをもう一度コメント解除します。

    • VxVM の手順で最終の再構成リブートを実行するように指示された場合、単独で -r オプションを使用しないでください。その代わりに、-rx オプションを使用して、非クラスタモードで再起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        phys-schost# reboot -- -rx
        
      • x86 ベースのシステムで、手順 6 で説明したシャットダウンおよび起動手順を実行します。ただし、カーネルのブートコマンドには -sx の代わりに -rx を追加します。


    注 –

    次のようなメッセージが表示された場合は、root パスワードを入力して、アップグレード処理を続行します。fsck コマンドは実行しないでください。また、Ctrl-D キーも使用しないでください。


    WARNING - Unable to repair the /global/.devices/node@1 filesystem. 
    Run fsck manually (fsck -F ufs /dev/vx/rdsk/rootdisk_13vol). Exit the 
    shell when done to continue the boot process.
    
    Type control-d to proceed with normal startup,
    (or give root password for system maintenance):  root パスワードを入力してください
    

  11. (省略可能) SPARC: VxFS をアップグレードします。

    VxFS のマニュアルに記載された手順に従ってください。

  12. Solaris ソフトウェアの必須パッチとハードウェア関連のパッチをすべてインストールし、ハードウェアパッチに含まれる必須ファームウェアをすべてダウンロードします。


    注 –

    パッチを追加した後で、再起動しないでください。Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードした後に、ノードを再起動してください。


    パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

次の手順

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレード「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (デュアルパーティション)」に進みます。


注 –

Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど、Solaris OS の新しいマーケティングリリースへのアップグレードを完了する場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。


ProcedureSun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (デュアルパーティション)

この手順を実行して、クラスタの各ノードを Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードします。この手順では、必要な Sun Java Enterprise System 共有コンポーネントもアップグレードします。また、別のマーケティングリリースへのアップグレード (Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど) のあとにも、この手順を実行する必要があります。

Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。


ヒント –

この手順は、パーティションの複数のノードで同時に実行できます。


始める前に

次の作業を実行します。

  1. 非クラスタモードでパーティションのメンバーになっているノードでスーパーユーザーになります。

  2. /usr/java/ ディレクトリが最小または最新バージョンの Java ソフトウェアへのシンボリックリンクであることを確認します。

    Sun Cluster ソフトウェアには、バージョン 1.5.0_06 以上の Java ソフトウェアが必要です。旧バージョンの Java をインストールするバージョンの Solaris へとアップグレードした場合、アップグレードによって、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアの最小要件を満たさないバージョンの Java をポイントするよう、シンボリックリンクが変更される場合があります。

    1. /usr/java/ ディレクトリがシンボリックリンクで接続されているディレクトリを調べます。


      phys-schost# ls -l /usr/java
      lrwxrwxrwx   1 root   other    9 Apr 19 14:05 /usr/java -> /usr/j2se/
    2. インストールされている Java ソフトウェアのバージョンを判別します。

      Java ソフトウェアの関連リリースのバージョンを表示するために使用するコマンドの例を下に示します。


      phys-schost# /usr/j2se/bin/java -version
      phys-schost# /usr/java1.2/bin/java -version
      phys-schost# /usr/jdk/jdk1.5.0_06/bin/java -version
      
    3. /usr/java/ ディレクトリが、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアに、シンボリックリンクによって接続されていない場合は、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアにリンクするよう、シンボリックリンクを作り直します。

      次の例は、Java 1.5.0_06 ソフトウェアを含む /usr/j2se/ ディレクトリへのシンボリックリンクの作成を示しています。


      phys-schost# rm /usr/java
      phys-schost# ln -s /usr/j2se /usr/java
      
  3. DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。

  4. DVD-ROM の インストールウィザードディレクトリに移動します。

    • SPARC プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_sparc
      
    • x86 プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_x86
      
  5. インストールウィザードプログラムを開始します。


    phys-schost# ./installer
    
  6. 画面の指示に従って、ノード上の共有コンポーネントソフトウェアを選択して、アップグレードします。


    注 –

    Sun Cluster ソフトウェアパッケージのインストールには、インストールウィザードプログラムを使用しないでください。


    インストールウィザードプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。

  7. インストールウィザードプログラムを終了します。

  8. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (archsparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  9. scinstall ユーティリティーを起動します。


    phys-schost# ./scinstall
    

    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Java Availability Suite DVD-ROM にある scinstall コマンドを使用する必要があります。


    scinstall のメインメニューが表示されます。

  10. 「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。


      *** Main Menu ***
    
        Please select from one of the following (*) options:
    
          * 1) Create a new cluster or add a cluster node
            2) Configure a cluster to be JumpStarted from this install server
          * 3) Manage a dual-partition upgrade
          * 4) Upgrade this cluster node
          * 5) Print release information for this cluster node
     
          * ?) Help with menu options
          * q) Quit
    
        Option:  4
    

    「アップグレードメニュー」が表示されます。

  11. 「このノード上で Sun Cluster フレームワークをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

  12. メニュープロンプトに従って、クラスタフレームワークをアップグレードします。

    Sun Cluster のアップグレード中、scinstall によって次のような構成の変更が生じることがあります。

    • NAFO グループを IPMP グループに変換しますが、元の NAFO グループ名はそのまま維持します。

      IPMP のテストアドレスについては、次のいずれかのマニュアルを参照してください。

      Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード中の NAFO グループから IPMP への変換の詳細については、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。

    • ntp.conf.cluster がノードにない場合は、ntp.conf ファイルの名前を ntp.conf.cluster に変更します。

    • local-mac-address? 変数が true に設定されていない場合は、true に設定します。

    アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster フレームワークのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。

  13. scinstall ユーティリティーを終了します。

  14. DVD-ROM ドライブから Sun Java Availability Suite DVD-ROM を取り出します。

    1. DVD-ROM が使用されていないことを確認し、DVD-ROM 上にないディレクトリに移動します。

    2. DVD-ROM を取り出します。


      phys-schost# eject cdrom
      
  15. データサービスパッケージをアップグレードします。

    すべてのデータサービスを Sun Cluster 3.2 バージョンにアップグレードする必要があります。


    注 –

    Sun Cluster HA for SAP Web Application Server の場合、J2EE エンジンリソース、Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソース、またはその両方を使用している場合は、リソースを削除して、新しい Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソースでもう一度作成する必要があります。新しいWeb アプリケーションサーバコンポーネントのリソースの変更には、J2EE 機能の統合が含まれます。詳細は、『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server Guide for Solaris OS』を参照してください。


    1. アップグレードされた対話型の scinstall ユーティリティーを開始します。


      phys-schost# /usr/cluster/bin/scinstall
      

      注 –

      データサービスパッケージのアップグレードには、インストールメディア上の scinstall ユーティリティーを使用しないでください。


      scinstall のメインメニューが表示されます。

    2. 「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

    3. 「このノード上で Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

    4. メニュープロンプトに従って、このノードにインストールされている Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレードします。

      アップグレードに使用できるデータサービスのリストから選択するか、またはインストールされたデータサービスをすべてアップグレードできます。

      アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster データサービスエージェントのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。

    5. 「Enter」を押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

  16. scinstall ユーティリティーを終了します。

  17. 高可用ローカルファイルシステムで Sun Cluster HA for NFS を構成した場合は、ループバックファイルシステム (LOFS) が無効になっていることを確認してください。


    注 –

    非大域ゾーンを設定している場合、LOFS は有効のままにしておく必要があります。LOFS の使い方、および LOFS の無効化を代替する手段については、「クラスタファイルシステム」を参照してください。


    Sun Cluster 3.2 リリースでは、LOFS は Sun Cluster ソフトウェアのインストールまたはアップグレード中にデフォルトでは無効にならなくなりました。LOFS を無効にするには、/etc/system ファイルに次のエントリが含まれていることを確認してください。


    exclude:lofs

    この変更は、次のシステム再起動後に有効になります。

  18. 必要に応じて、製品メディアで提供されないカスタムのデータサービスを手動でアップグレードします。

  19. データサービス用の更新がすべて正常にインストールされていることを確認します。

    アップグレード出力メッセージの最後に示されるアップグレードログを参照します。

  20. Sun Cluster 3.2 のフレームワークとデータサービスソフトウェアパッチをインストールします。

    パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

  21. クラスタにインストールされているソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。

    アプリケーションレベルが Sun Cluster および Solaris ソフトウェアの現在のバージョンと互換性があることを確認します。インストール方法については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。

  22. パーティション内のすべてのノードがアップグレードされたら、アップグレードの変更を適用します。

    1. アップグレードするパーティションの 1 つのノードから、対話型の scinstall ユーティリティーを起動します。


      phys-schost# /usr/cluster/bin/scinstall
      

      注 –

      インストールメディア上にある scinstall コマンドは使用しないでください。クラスタノード上にある scinstall コマンドだけを使用してください。


      scinstall のメインメニューが表示されます。

    2. 「デュアルパーティションアップグレードの変更の適用」というオプションに対応する番号を入力して、Return キーを押します。

    3. プロンプトに従って、アップグレード処理の各段階を続行します。

      コマンドを実行するパーティションに応じて、コマンドによって次の作業が実行されます。

      • 1 番目のパーティション - このコマンドにより、2 番目のパーティションの各ノードが 1 度に 1 ノードずつ停止されます。ノードが停止すると、関連リソースグループのノードリストに 1 番目のパーティションのノードが含まれている場合、そのノード上の任意のサービスが 1 番目のパーティションのノードに自動的にスイッチオーバーされます。2 番目のパーティションのすべてのノードが停止すると、1 番目のパーティションのノードがクラスタモードで起動して、提供するクラスタサービスを引き継ぎます。

      • 2 番目のパーティション - このコマンドは、2 番目のパーティションのノードをクラスタモードで起動し、1 番目のパーティションによって形成されたアクティブなクラスタに参加させます。すべてのノードがクラスタに参加したあと、コマンドは最終処理を行なって、アップグレードのステータスを報告します。

    4. scinstall ユーティリティーをまだ実行している場合は、これを終了します。

    5. 1 番目のパーティションのアップグレードを終了する場合は、2 番目のパーティションをアップグレード用に準備するために次のサブステップを実行します。

      それ以外の場合で、2 番目のパーティションのアップグレードを終了する場合は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」に進みます。

      1. 2 番目のパーティションの各ノードを非クラスタモードで起動します。

        • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


          ok boot -x
          
        • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

          1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

            GRUB メニューは、次のように表示されます。


            GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
            +-------------------------------------------------------------------------+
            | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
            | Solaris failsafe                                                        |
            |                                                                         |
            +-------------------------------------------------------------------------+
            Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
            Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
            commands before booting, or 'c' for a command-line.

            GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

          2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

            次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


            GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
            +----------------------------------------------------------------------+
            | root (hd0,0,a)                                                       |
            | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
            | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
            +----------------------------------------------------------------------+
            Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
            Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
            boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
            after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
            selected line, or escape to go back to the main menu.
          3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


            [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
            lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
            completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
            
            grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
            
          4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

            画面には、編集されたコマンドが表示されます。


            GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
            +----------------------------------------------------------------------+
            | root (hd0,0,a)                                                       |
            | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
            | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
            +----------------------------------------------------------------------+
            Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
            Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
            boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
            after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
            selected line, or escape to go back to the main menu.-
          5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


            注 –

            カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


      2. 2 番目のパーティションのノードをアップグレードします。

        Sun Cluster ソフトウェアのアップグレードを実行する前に Solaris ソフトウェアをアップグレードする場合は、「Solaris OS およびボリュームマネージャーをアップグレードする (デュアルパーティション)」に進みます。

        それ以外の場合は、2 番目のパーティションの Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードします。手順 1 に戻ります。

次の手順

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」に進みます。

注意事項

デュアルパーティションアップグレード中に回復不能なエラーが発生した場合は、「失敗したデュアルパーティションアップグレードからの回復」の手順に従ってください。