Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

第 8 章 Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード

この章では、Sun Cluster 3.0 また 3.1 構成を Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするための情報と手順について説明します。

アップグレードの必要条件とソフトウェアサポートのガイドライン

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするときは、次の必要条件とソフトウェアサポートのガイドラインを守ってください。

Sun Cluster のアップグレード方法の選択

次のいずれかの方法を選択して、クラスタを Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードします。

Sun Cluster 3.2 構成の計画の概要情報については、第 1 章「Sun Cluster 構成の計画」を参照してください。

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへの標準アップグレードの実行

この節では、標準アップグレード方式を使用して Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするための次の情報を紹介しています。

次の表に Sun Cluster 3.1 ソフトウェアから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするために実行する作業を示します。Solaris OS のバージョンだけをアップグレードする場合もこれらの作業を実行します。Solaris OS を Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアにアップグレードする場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。

表 8–1 作業マップ: Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへの標準アップグレードの実行

作業 

参照先 

1. アップグレード要件と制約に関する説明を読む。使用する構成とニーズに適したアップグレード方法を決めます。 

「アップグレードの必要条件とソフトウェアサポートのガイドライン」

「Sun Cluster のアップグレード方法の選択」

2. クラスタを稼動環境から削除し、共有データをバックアップ。 

「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」

3. 必要に応じて、Solaris ソフトウェアをサポートされている Solaris アップデートにアップグレード。クラスタが Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合は、メディエータの構成を解除。必要に応じて、VERITAS Volume Manager (VxVM) および VERITAS File System (VxFS) をアップグレード。Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアは、自動的に Solaris OS とともにアップグレードされます。 

「Solaris OS およびボリュームマネージャーソフトウェアをアップグレードする (標準)」

4. Sun Cluster 3.2 フレームワークとデータサービスソフトウェアをアップグレード。必要に応じて、アプリケーションをアップグレード。クラスタで二重列メディエータを使用しており、Solaris OS をアップグレードした場合は、メディエータを再構成します。VxVM をアップグレードした場合は、ディスクグループをアップグレード 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」

5. Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードに成功したことを確認 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」

6. リソースを有効にし、リソースグループをオンライン化。既存のリソースを新しいリソースタイプに移行します。 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」

7. (省略可能) SPARC: 必要に応じて、Sun Management Center 用 Sun Cluster モジュールをアップグレード 

「SPARC: Sun Management Center 用に Sun Cluster モジュールソフトウェアをアップグレードする 」

Procedureアップグレード用にクラスタを準備する (標準)

標準アップグレードを実行する前に、以下の手順を実行してクラスタを稼動環境から削除します。Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。

始める前に

次の作業を実行します。

  1. クラスタが正常に機能していることを確認してください。

    1. 任意のノードから次のコマンドを実行して、クラスタの現在の状態を表示します。


      phys-schost% scstat
      

      詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. 同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

    3. ボリューム管理の状態を確認します。

  2. アップグレード中、クラスタサービスが利用できなくなることをユーザーに通知します。

  3. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  4. 各リソースグループをオフラインにして、すべてのリソースを無効にします。

    非大域ゾーンにあるものも含めて、クラスタ内のすべてのリソースグループをオフラインにします。次に、リソースをすべて無効にして、ノードが誤って再起動されクラスタモードになっても、そのリソースが自動的にオンラインになるのを防止します。

    • Sun Cluster 3.1 ソフトウェアからのアップグレードを行なっており、scsetup ユーティリティーを使用する場合は、次の手順に従います。

      1. scsetup ユーティリティーを起動します。


        phys-schost# scsetup
        

        scsetup のメインメニューが表示されます。

      2. リソースグループのオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

        リソースグループメニューが表示されます。

      3. リソースグループのオンライン/オフライン化、またはスイッチオーバーを行うオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

      4. プロンプトに従って、リソースグループをすべてオフラインにして、管理されていない状態にします。

      5. すべてのリソースグループがオフラインになったら、q を入力して「リソースグループメニュー」に戻ります。

      6. scsetup ユーティリティーを終了します。

        q を入力して各サブメニューを取り消すか、Ctrl-C を押してください。

    • コマンド行を使用するには、次の手順を実行します。

      1. 各リソースをオフラインにします。


        phys-schost# scswitch -F -g resource-group
        
        -F

        リソースグループをオフラインに切り替えます。

        -g resource-group

        オフラインにするリソースグループの名前を指定します。

      2. 任意のノードから、クラスタ内のすべての有効なリソースの一覧を表示します。


        phys-schost# scrgadm -pv | grep "Res enabled"
        (resource-group:resource) Res enabled: True
      3. ほかのリソースに依存するリソースを確認します。

        リソースを無効にする前に、依存するリソースを先に無効にする必要があります。

      4. クラスタ内の有効なリソースをそれぞれ無効にします。


        phys-schost# scswitch -n -j resource
        
        -n

        無効にします。

        -j resource

        リソースを指定します。

        詳細については、scswitch(1M) のマニュアルページを参照してください。

      5. すべてのリソースが無効であることを確認します。


        phys-schost# scrgadm -pv | grep "Res enabled"
        (resource-group:resource) Res enabled: False
      6. 各リソースグループを非管理状態にします。


        phys-schost# scswitch -u -g resource-group
        
        -u

        指定したリソースグループを非管理状態にします。

        -g resource-group

        非管理状態にするリソースグループの名前を指定します。

  5. すべてのノード上のすべてのリソースが Offline で、すべてのリソースグループが Unmanaged 状態にあることを確認します。


    phys-schost# scstat
    
  6. Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアまたは Sun StorageTekTM Availability Suite ソフトウェアを使用する 2 ノードクラスタの場合、可用性サービス用の構成データが定足数ディスク上にあることを確認します。

    クラスタソフトウェアをアップグレードしたあと、Availability Suite が正しく機能するようにするには、構成データを定足数ディスク上に置く必要があります。

    1. Availability Suite ソフトウェアを実行するノード上でスーパーユーザーになります。

    2. Availability Suite 構成ファイルで使用されるデバイス ID とスライスを見つけます。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWscm/sbin/dscfg
      /dev/did/rdsk/dNsS
      

      この出力例では、N がデバイス ID でS がデバイス N のスライスです。

    3. 既存の定足数デバイスを見つけます。


      phys-schost# scstat -q
      -- Quorum Votes by Device --
                           Device Name         Present Possible Status
                           -----------         ------- -------- ------
         Device votes:     /dev/did/rdsk/dQsS  1       1        Online

      この出力例では、dQsS が既存の定足数デバイスです。

    4. 定足数デバイスが Availability Suite 構成データデバイスと同じでない場合は、構成データを定足数デバイス上の使用できるスライスに移します。


      phys-schost# dd if=`/usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg` of=/dev/did/rdsk/dQsS
      

      注 –

      ブロック DID デバイス、/dev/did/dsk/ ではなく、raw DID デバイス、/dev/did/rdsk/ の名前を使用する必要があります。


    5. 構成データを移した場合、新しい場所を使用するように Availability Suite ソフトウェアを構成してください。

      スーパーユーザーとして、Availability Suite ソフトウェアを実行する各ノード上で次のコマンドを実行します。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg -s /dev/did/rdsk/dQsS
      
  7. (省略可能) Sun Cluster 3.0 バージョンのソフトウェアからアップグレードしていて、ntp.conf ファイルの名前を ntp.conf.cluster に変更しない場合は、ntp.conf.cluster ファイルを作成します。

    各ノードで、/etc/inet/ntp.clusterntp.conf.cluster としてコピーします。


    phys-schost# cp /etc/inet/ntp.cluster /etc/inet/ntp.conf.cluster
    

    ntp.conf.cluster ファイルがあると、アップグレード処理で ntp.conf ファイルの名前を変更しなくてすみます。ntp.conf ファイルは、そのままクラスタ間で NTP を同期化するために使用されます。

  8. クラスタ内の各ノードで実行されているすべてのアプリケーションを停止します。

  9. すべての共有データをバックアップします。

  10. Solaris OS をアップグレードする場合に、クラスタで Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用するときは、メディエータを構成解除します。

    メディエータの詳細については、「二重列メディエータの構成」を参照してください。

    1. 次のコマンドを実行して、メディエータデータに問題がないことを確認します。


      phys-schost# medstat -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      Status フィールドの値が不良の場合、関連するメディエータホストを修復します。「不正なメディエータデータを修復する」の手順に従います。

    2. すべてのメディエータを一覧表示します。

      この情報は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」の手順でメディエータを復元するときのために保存しておいてください。

    3. メディエータを使用するディスクセットについては、ノードが所有権をまだ持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      phys-schost# scswitch -z -D setname -h node
      
      -z

      ホストするノードを変更します。

      -D devicegroup

      ディスクセットの名前を指定します。

      -h node

      ディスクセットの主となるノードの名前を指定します。

    4. ディスクセットのすべてのメディエータの構成を解除します。


      phys-schost# metaset -s setname -d -m mediator-host-list
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      -d

      ディスクセットから削除します。

      -m mediator-host-list

      削除するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

      metaset コマンドのメディエータ固有のオプションの詳細については、mediator(7D) のマニュアルページを参照してください。

    5. メディエータを使用する残りの各ディスクセットで、手順  c から手順  d までを繰り返します。

  11. ノードのどれか 1 つでクラスタを停止します。


    # scshutdown -g0 -y
    

    詳細については、metaset(1M) コマンドのマニュアルページを参照してください。

  12. 各ノードを非クラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


      ok boot -x
      
    • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

      1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

        GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

        GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

      2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

        次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.
      3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


        [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
        lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
        completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
        
        grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
        
      4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

        画面には、編集されたコマンドが表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.-
      5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


        注 –

        カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


  13. 各システムディスクをバックアップします。

次の手順

各ノードでソフトウェアをアップグレードします。

ProcedureSolaris OS およびボリュームマネージャーソフトウェアをアップグレードする (標準)

Solaris OS をアップグレードするには、この手順をクラスタ内の各ノードに実行してください。Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。 クラスタが既に Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをサポートするバージョンの Solaris OS で動作している場合は、さらに Solaris OS をアップグレードするかどうかは任意です。Solaris OS をアップグレードしない場合は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」に進みます。


注 –

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードをサポートするためには、クラスタは、少なくとも Solaris OS の必要最低条件のレベルで実行されているか、アップグレードされている必要があります。詳細は、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』のサポートされている製品を参照してください。


始める前に

「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」の手順がすべて完了していることを確認します。

  1. アップグレードするクラスタノードでスーパーユーザーになります。

    デュアルパーティションアップグレードを実行している場合は、ノードは非クラスタモードのパーティションのメンバーである必要があります。

  2. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがインストールされている場合は、アンインストールしてください。

    アンインストールの手順については、使用中の Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

  3. 次の Apache 実行制御スクリプトがあるかどうか、および有効化されているか無効化されているかを調べます。


    /etc/rc0.d/K16apache
    /etc/rc1.d/K16apache
    /etc/rc2.d/K16apache
    /etc/rc3.d/S50apache
    /etc/rcS.d/K16apache

    Sun Cluster HA for Apache などの一部のアプリケーションでは、Apache 実行制御スクリプトを無効にする必要があります。

    • これらのスクリプトが存在し、ファイル名に大文字の K または S が含まれる場合、スクリプトは有効になっています。これらのスクリプトにこれ以上の操作は不要です。

    • これらのスクリプトが存在しない場合は、手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされた Apache 実行制御スクリプトがすべて無効になっていることを確認する必要があります。

    • これらのスクリプトが存在しても、ファイル名に小文字の k または s が含まれる場合、スクリプトは無効になっています。手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされた Apache 実行制御スクリプトがすべて無効になっていることを確認する必要があります。

  4. ノードの /etc/vfstab ファイル内でグローバルにマウントされているファイルシステム内のすべてのエントリをコメントアウトします。

    1. 後で参照するために、既にコメントアウトしたすべてのエントリを記録します。

    2. /etc/vfstab ファイル内のグローバルにマウントされているファイルシステム用のすべてのエントリを一時的にコメントアウトします。

      グローバルにマウントされているファイルシステム用のエントリに、global マウントオプションがあります。これらのエントリをコメントアウトすることにより、Solaris のアップグレード中にグローバルデバイスにマウントするのを防止します。

  5. Solaris OS をアップグレードするために実行する手順を決定します。

    ボリュームマネージャー 

    手続き 

    説明の場所 

    Solaris ボリュームマネージャー 

    ライブアップグレード方式以外の Solaris のすべてのアップグレード方法 

    Solaris のインストールマニュアル 

    VERITAS Volume Manager 

    「VxVM および Solaris アップグレード」 

    VERITAS Volume Manager のインストールマニュアル 


    注 –

    クラスタに VxVM がインストールされている場合は、Solaris アップグレード処理の一環として、既存の VxVM ソフトウェアを再インストールするか、Solaris 9 または 10 バージョンの VxVM ソフトウェアにアップグレードする必要があります。


  6. 手順 5 で選択した手順に従って、Solaris ソフトウェアをアップグレードします。


    注 –

    Solaris ソフトウェアアップグレードでは、インストール終了後の自動リブートを実行しないでください。代わりに次の作業を行なってください。

    1. この手順に戻って、手順 7 および手順 8 を実行します。

    2. 手順 9 で非クラスタモードで再起動して、Solaris ソフトウェアのアップグレードを完了します。


    • プロンプトが表示されたら、手動リブートオプションを選択します。

    • アップグレードプロセス中にノードを再起動するように指示されたら、必ず非クラスタモードで再起動してください。boot および reboot コマンドの場合、コマンドに -x オプションを追加してください。-x オプションを指定することで、そのノードは非クラスタモードで再起動されます。たとえば、次のコマンドはいずれも、ノードをシングルユーザーの非クラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のいずれかのコマンドを実行します。


      phys-schost# reboot -- -xs
      または
      ok boot -xs
      

      init S コマンドを実行するように指示された場合は、代わりにreboot -- -xs コマンドを実行します。

    • Solaris 9 OS を実行している x86 ベースのシステム上で、次のいずれかのコマンドを実行します。


      phys-schost# reboot -- -xs
      または
      ...
                            <<< Current Boot Parameters >>>
      Boot path: /pci@0,0/pci-ide@7,1/ata@1/cmdk@0,0:b
      Boot args:
      
      Type  b [file-name] [boot-flags] <ENTER>  to boot with options
      or    i <ENTER>                           to enter boot interpreter
      or    <ENTER>                             to boot with defaults
      
                        <<< timeout in 5 seconds >>>
      Select (b)oot or (i)nterpreter: b -xs
      
    • Solaris 10 OS を実行している x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


      phys-schost# shutdown -g -y -i0Press any key to continue
      1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

        GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

        GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

      2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

        次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.
      3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


        [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
        lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
        completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
        
        grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
        
      4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

        画面には、編集されたコマンドが表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.-
      5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


        注 –

        カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


      init S コマンドを実行するように指示された場合は、システムをシャットダウンして、GRUB カーネルのブートコマンドを /platform/i86pc/multiboot -sx に変更します。

  7. /a/etc/vfstab ファイルで、手順 4 でコメントアウトした、グローバルにマウントしたファイルシステム用のエントリをコメント解除します。

  8. Solaris OS をアップグレードする前に、Apache 実行制御スクリプトが無効であったり、存在しなかったりした場合は、Solaris のアップグレード中にインストールされたスクリプトがすべて無効になっていることを確認してください。

    Apache 実行制御スクリプトを無効にするには、次のコマンドを使用して、ファイル名の k または s を小文字に変更してください。


    phys-schost# mv /a/etc/rc0.d/K16apache /a/etc/rc0.d/k16apache 
    phys-schost# mv /a/etc/rc1.d/K16apache /a/etc/rc1.d/k16apache
    phys-schost# mv /a/etc/rc2.d/K16apache /a/etc/rc2.d/k16apache
    phys-schost# mv /a/etc/rc3.d/S50apache /a/etc/rc3.d/s50apache
    phys-schost# mv /a/etc/rcS.d/K16apache /a/etc/rcS.d/k16apache
    

    代わりに、ユーザーの通常の管理規則に従ってスクリプト名を変更することもできます。

  9. ノードを非クラスタモードで再起動します。

    次のコマンドに 2 つのダッシュ (--) を含めます。


    phys-schost# reboot -- -x
    
  10. クラスタで VxVM を実行している場合は、「VxVM および Solaris のアップグレード」の残りの手順に従って、VxVM を再インストールするか、アップグレードします。

    手順に次の変更を加えます。

    • VxVM のアップグレードが完了して、再起動する前に/etc/vfstab ファイルのエントリを確認してください。

      手順 7 でコメントを解除したエントリのいずれかがコメントアウトされている場合は、これらのエントリをもう一度コメント解除します。

    • VxVM の手順で最終の再構成リブートを実行するように指示された場合、単独で -r オプションを使用しないでください。その代わりに、-rx オプションを使用して、非クラスタモードで再起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        phys-schost# reboot -- -rx
        
      • x86 ベースのシステムで、手順 6 で説明したシャットダウンおよび起動手順を実行します。ただし、カーネルのブートコマンドには -sx の代わりに -rx を追加します。


    注 –

    次のようなメッセージが表示された場合は、root パスワードを入力して、アップグレード処理を続行します。fsck コマンドは実行しないでください。また、Ctrl-D キーも使用しないでください。


    WARNING - Unable to repair the /global/.devices/node@1 filesystem. 
    Run fsck manually (fsck -F ufs /dev/vx/rdsk/rootdisk_13vol). Exit the 
    shell when done to continue the boot process.
    
    Type control-d to proceed with normal startup,
    (or give root password for system maintenance):  root パスワードを入力してください
    

  11. (省略可能) SPARC: VxFS をアップグレードします。

    VxFS のマニュアルに記載された手順に従ってください。

  12. Solaris ソフトウェアの必須パッチとハードウェア関連のパッチをすべてインストールし、ハードウェアパッチに含まれる必須ファームウェアをすべてダウンロードします。


    注 –

    パッチを追加した後で、再起動しないでください。Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードした後に、ノードを再起動してください。


    パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

次の手順

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレード「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」に進みます。


注 –

Solaris 8 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど、Solaris OS の新しいマーケティングリリースへのアップグレードを完了する場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。


ProcedureSun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)

この手順を実行して、クラスタの各ノードを Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードします。この手順では、必要な Sun Java Enterprise System 共有コンポーネントもアップグレードします。

また、別のマーケティングリリースへのアップグレード (Solaris 8 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど) のあとにも、この手順を実行する必要があります。

Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。


ヒント –

この手順は、複数のノードで同時に行えます。


始める前に

次の作業を実行します。

  1. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  2. /usr/java/ ディレクトリが最小または最新バージョンの Java ソフトウェアへのシンボリックリンクであることを確認します。

    Sun Cluster ソフトウェアには、バージョン 1.5.0_06 以上の Java ソフトウェアが必要です。旧バージョンの Java をインストールするバージョンの Solaris へとアップグレードした場合、アップグレードによって、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアの最小要件を満たさないバージョンの Java をポイントするよう、シンボリックリンクが変更される場合があります。

    1. /usr/java/ ディレクトリがシンボリックリンクで接続されているディレクトリを調べます。


      phys-schost# ls -l /usr/java
      lrwxrwxrwx   1 root   other    9 Apr 19 14:05 /usr/java -> /usr/j2se/
    2. インストールされている Java ソフトウェアのバージョンを判別します。

      Java ソフトウェアの関連リリースのバージョンを表示するために使用するコマンドの例を下に示します。


      phys-schost# /usr/j2se/bin/java -version
      phys-schost# /usr/java1.2/bin/java -version
      phys-schost# /usr/jdk/jdk1.5.0_06/bin/java -version
      
    3. /usr/java/ ディレクトリが、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアに、シンボリックリンクによって接続されていない場合は、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアにリンクするよう、シンボリックリンクを作り直します。

      次の例は、Java 1.5.0_06 ソフトウェアを含む /usr/j2se/ ディレクトリへのシンボリックリンクの作成を示しています。


      phys-schost# rm /usr/java
      phys-schost# ln -s /usr/j2se /usr/java
      
  3. DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。

  4. DVD-ROM の インストールウィザードディレクトリに移動します。

    • SPARC プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_sparc
      
    • x86 プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_x86
      
  5. インストールウィザードプログラムを開始します。


    phys-schost# ./installer
    
  6. 画面の指示に従って、ノード上の共有コンポーネントソフトウェアを選択して、アップグレードします。


    注 –

    Sun Cluster ソフトウェアパッケージのインストールには、インストールウィザードプログラムを使用しないでください。


    インストールウィザードプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。

  7. インストールウィザードプログラムを終了します。

  8. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (archsparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  9. scinstall ユーティリティーを起動します。


    phys-schost# ./scinstall
    

    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Java Availability Suite DVD-ROM にある scinstall コマンドを使用する必要があります。


    scinstall のメインメニューが表示されます。

  10. 「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。


      *** Main Menu ***
    
        Please select from one of the following (*) options:
    
          * 1) Create a new cluster or add a cluster node
            2) Configure a cluster to be JumpStarted from this install server
          * 3) Manage a dual-partition upgrade
          * 4) Upgrade this cluster node
          * 5) Print release information for this cluster node
     
          * ?) Help with menu options
          * q) Quit
    
        Option:  4
    

    「アップグレードメニュー」が表示されます。

  11. 「このノード上で Sun Cluster フレームワークをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

  12. メニュープロンプトに従って、クラスタフレームワークをアップグレードします。

    Sun Cluster のアップグレード中、scinstall によって次のような構成の変更が生じることがあります。

    • NAFO グループを IPMP グループに変換しますが、元の NAFO グループ名はそのまま維持します。

      IPMP のテストアドレスについては、次のいずれかのマニュアルを参照してください。

      Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード中の NAFO グループから IPMP への変換の詳細については、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。

    • ntp.conf.cluster がノードにない場合は、ntp.conf ファイルの名前を ntp.conf.cluster に変更します。

    • local-mac-address? 変数が true に設定されていない場合は、true に設定します。

    アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster フレームワークのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。

  13. scinstall ユーティリティーを終了します。

  14. DVD-ROM ドライブから Sun Java Availability Suite DVD-ROM を取り出します。

    1. DVD-ROM が使用されていないことを確認し、DVD-ROM 上にないディレクトリに移動します。

    2. DVD-ROM を取り出します。


      phys-schost# eject cdrom
      
  15. データサービスパッケージをアップグレードします。

    すべてのデータサービスを Sun Cluster 3.2 バージョンにアップグレードする必要があります。


    注 –

    Sun Cluster HA for SAP Web Application Server の場合、J2EE エンジンリソース、Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソース、またはその両方を使用している場合は、リソースを削除して、新しい Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソースでもう一度作成する必要があります。新しいWeb アプリケーションサーバコンポーネントのリソースの変更には、J2EE 機能の統合が含まれます。詳細は、『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server Guide for Solaris OS』を参照してください。


    1. アップグレードされた対話型の scinstall ユーティリティーを開始します。


      phys-schost# /usr/cluster/bin/scinstall
      

      注 –

      データサービスパッケージのアップグレードには、インストールメディア上の scinstall ユーティリティーを使用しないでください。


      scinstall のメインメニューが表示されます。

    2. 「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

    3. 「このノード上で Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

    4. メニュープロンプトに従って、このノードにインストールされている Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレードします。

      アップグレードに使用できるデータサービスのリストから選択するか、またはインストールされたデータサービスをすべてアップグレードできます。

      アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster データサービスエージェントのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。

    5. 「Enter」を押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

  16. scinstall ユーティリティーを終了します。

  17. 高可用ローカルファイルシステムで Sun Cluster HA for NFS を構成した場合は、ループバックファイルシステム (LOFS) が無効になっていることを確認してください。


    注 –

    非大域ゾーンを設定している場合、LOFS は有効のままにしておく必要があります。LOFS の使い方、および LOFS の無効化を代替する手段については、「クラスタファイルシステム」を参照してください。


    Sun Cluster 3.2 リリースでは、LOFS は Sun Cluster ソフトウェアのインストールまたはアップグレード中にデフォルトでは無効にならなくなりました。LOFS を無効にするには、/etc/system ファイルに次のエントリが含まれていることを確認してください。


    exclude:lofs

    この変更は、次のシステム再起動後に有効になります。

  18. 必要に応じて、製品メディアで提供されないカスタムのデータサービスを手動でアップグレードします。

  19. データサービス用の更新がすべて正常にインストールされていることを確認します。

    アップグレード出力メッセージの最後に示されるアップグレードログを参照します。

  20. Sun Cluster 3.2 のフレームワークとデータサービスソフトウェアパッチをインストールします。

    パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

  21. クラスタにインストールされているソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。

    アプリケーションレベルが Sun Cluster および Solaris ソフトウェアの現在のバージョンと互換性があることを確認します。インストール方法については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。

  22. (省略可能) プライベートネットワークのアドレス範囲を再構成します。

    プライベートインターコネクトで使用される IP アドレス範囲のサイズを増減させる場合に、この手順を実行します。構成する IP アドレス範囲は、最低限、クラスタ内のノードとプライベートネットワークの数をサポートするように構成する必要があります。詳細については、「プライベートネットワーク」を参照してください。

    1. 1 つのノードから clsetup ユーティリティーを開始します。

      非クラスタモードで実行している場合は、clsetup ユーティリティーで非クラスタモード操作のメインメニューが表示されます。

    2. 「クラスタトランスポート用のネットワークアドレス指定と範囲の変更」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

      clsetup ユーティリティーにより、現在のプライベートネットワーク構成が表示され、この構成を変更するかどうかを聞かれます。

    3. プライベートネットワーク IP アドレスを変更する場合は、 yes と入力して、Return キーを押します。

      clsetup ユーティリティーによりデフォルトのプライベートネットワーク IP アドレス (172.16.0.0) が表示され、このデフォルト値を受け入れるかどうかを聞かれます。

    4. プライベートネットワーク IP アドレスを変更するか、または受け入れます。

      • デフォルトのプライベートネットワーク IP アドレスを受け入れて IP アドレス範囲の変更に進む場合は、yes と入力して、Return キーを押します。

        clsetup ユーティリティーによりデフォルトのネットマスクを受け入れるかどうかを聞かれます。次の手順に進み、応答を入力します。

      • デフォルトのプライベートネットワーク IP アドレスを変更する場合は、次の手順を実行してください。

        1. clsetup ユーティリティーによりデフォルトのアドレスを受け入れるかどうかを聞かれたら、no と入力して、Return キーを押します。

          clsetup ユーティリティーにより、新しいプライベートネットワーク IP アドレスを入力するように求められます。

        2. 新しい IP アドレスを入力して、Return キーを押します。

          clsetup ユーティリティーによりデフォルトのネットマスクが表示され、デフォルトのネットマスクを受け入れるかどうかを聞かれます。

    5. デフォルトのプライベートネットワーク IP アドレスを変更するか受け入れます。

      デフォルトのネットマスクは 255.255.248.0 です。このデフォルトの IP アドレス範囲は、クラスタ内で最大 64 ノードおよび10 プライベートネットワークをサポートしています。

      • デフォルトの IP アドレス範囲を受け入れるには、yes と入力して、Return キーを押します。

        その後、次の手順に進みます。

      • IP アドレス範囲を変更するには、次の手順を実行します。

        1. clsetup ユーティリティーによりデフォルトのアドレス範囲を受け入れるかどうかを聞かれたら、no と入力して、Return キーを押します。

          デフォルトのネットマスクを使用しない場合、clsetup ユーティリティーからクラスタで構成するノードおよびネットワークの数を入力するように求められます。

        2. クラスタで構成する予定のノードおよびネットワークの数を入力します。

          これらの数から clsetup ユーティリティーが 2 つの推奨ネットマスクを計算します。

          • 1 番目のネットマスクは、指定したノードとプライベートネットマスクの数をサポートする最小ネットマスクです。

          • 2 番目のネットマスクは、指定したノードとプライベートネットマスクの数の 2 倍の数をサポートし、将来の拡張に対応します。

        3. 計算されたネットマスクを指定するか、予定されるノードとプライベートネットワークの数をサポートする別のネットマスクを指定します。

    6. clsetup ユーティリティーから更新を続けるかどうかを聞かれたら、yes と入力します。

    7. 完了後 clsetup ユーティリティーを終了します。

  23. クラスタ内のすべてのノードをアップグレードしたあと、アップグレードしたノードを再起動します。

    1. 各ノードを停止します。


      phys-schost# shutdown -g0 -y
      
    2. 各ノードをクラスタモードで起動します。

      • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


        ok boot
        
      • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。

        GRUB メニューが表示されたら、該当する Solaris エントリを選択して、Enter キーを押します。GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

        GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

次の手順

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」に進みます。

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのデュアルパーティションアップグレードの実行

この節では、デュアルパーティションアップグレード方式を使用して、Sun Cluster 3.1 リリースから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする方法を説明します。

次の表に Sun Cluster 3.1 ソフトウェアから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするために実行する作業を示します。Solaris OS のバージョンだけをアップグレードする場合もこれらの作業を実行します。Solaris OS を Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアにアップグレードする場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。

表 8–2 作業マップ: Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのデュアルパーティションアップグレードの実行

作業 

参照先 

1. アップグレード要件と制約に関する説明を読む。使用する構成とニーズに適したアップグレード方法を決めます。 

「アップグレードの必要条件とソフトウェアサポートのガイドライン」

「Sun Cluster のアップグレード方法の選択」

2. クラスタを 2 つのグループのノードにパーティション分割 

「アップグレード用にクラスタを準備する (デュアルパーティション)」

3. 必要に応じて、Solaris ソフトウェアをサポートされている Solaris アップデートにアップグレード。クラスタが Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合は、メディエータの構成を解除。必要に応じて、VERITAS Volume Manager (VxVM) および VERITAS File System (VxFS) をアップグレード。Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアは、自動的に Solaris OS とともにアップグレードされます。 

「Solaris OS およびボリュームマネージャーをアップグレードする (デュアルパーティション)」

4. Sun Cluster 3.2 フレームワークとデータサービスソフトウェアをアップグレード。必要に応じて、アプリケーションをアップグレード。クラスタで二重列メディエータを使用しており、Solaris OS をアップグレードした場合は、メディエータを再構成します。VxVM をアップグレードした場合は、ディスクグループをアップグレード 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (デュアルパーティション)」

5. Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードに成功したことを確認 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」

6. リソースを有効にし、リソースグループをオンライン化。任意で、既存のリソースを新しいリソースタイプに移行します。 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」

7. (省略可能) SPARC: 必要に応じて、Sun Management Center 用 Sun Cluster モジュールをアップグレード 

「SPARC: Sun Management Center 用に Sun Cluster モジュールソフトウェアをアップグレードする 」

Procedureアップグレード用にクラスタを準備する (デュアルパーティション)

以下の手順を実行して、クラスタをデュアルパーティションアップグレード用に準備します。この手順では、ノードの 2 つのグループを、それぞれ 1 番目のパーティション、2 番目のパーティションと呼びます。2 番目のパーティションに割り当てるノードは、1 番目のパーティションをアップグレードしている間、クラスタサービスを継続します。1 番目のパーティションのすべてのノードをアップグレードしたら、クラスタサービスを 1 番目のパーティションに切り替えて、2 番目のパーティションをアップグレードします。2 番目のパーティションのすべてのノードをアップグレードしたら、クラスタモードでノードを起動して、再度 1 番目のパーティションからノードをクラスタに参加させます。


注 –

単一ノードのクラスタをアップグレードする場合は、このアップグレード方法を使用しないでください。代わりに、「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」または 「アップグレード用にクラスタを準備する (ライブアップグレード)」を参照します。


Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。

始める前に

次の作業を実行します。

  1. クラスタが正常に機能していることを確認してください。

    1. 任意のノードから次のコマンドを実行して、クラスタの現在の状態を表示します。


      % scstat
      

      詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. 同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

    3. ボリューム管理の状態を確認します。

  2. 必要であれば、アップグレード中クラスタサービスが一時中断することをユーザーに通知します。

    サービス中断の時間は、クラスタがサービスを別のノードに切り替えるために通常要する時間にほぼ等しくなります。

  3. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  4. Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアまたは Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアを使用する 2 ノードクラスタの場合、可用性サービス用の構成データが定足数ディスク上にあることを確認します。

    クラスタソフトウェアをアップグレードしたあと、Availability Suite が正しく機能するようにするには、構成データを定足数ディスク上に置く必要があります。

    1. Availability Suite ソフトウェアを実行するノード上でスーパーユーザーになります。

    2. Availability Suite 構成ファイルで使用されるデバイス ID とスライスを見つけます。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWscm/sbin/dscfg
      /dev/did/rdsk/dNsS
      

      この出力例では、N がデバイス ID でS がデバイス N のスライスです。

    3. 既存の定足数デバイスを見つけます。


      phys-schost# scstat -q
      -- Quorum Votes by Device --
                           Device Name         Present Possible Status
                           -----------         ------- -------- ------
         Device votes:     /dev/did/rdsk/dQsS  1       1        Online

      この出力例では、dQsS が既存の定足数デバイスです。

    4. 定足数デバイスが Availability Suite 構成データデバイスと同じでない場合は、構成データを定足数デバイス上の使用できるスライスに移します。


      phys-schost# dd if=`/usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg` of=/dev/did/rdsk/dQsS
      

      注 –

      ブロック DID デバイス、/dev/did/dsk/ ではなく、raw DID デバイス、/dev/did/rdsk/ の名前を使用する必要があります。


    5. 構成データを移した場合、新しい場所を使用するように Availability Suite ソフトウェアを構成してください。

      スーパーユーザーとして、Availability Suite ソフトウェアを実行する各ノード上で次のコマンドを実行します。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg -s /dev/did/rdsk/dQsS
      
  5. Solaris OS をアップグレードする場合に、クラスタで Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用するときは、メディエータを構成解除します。

    メディエータの詳細については、「二重列メディエータの構成」を参照してください。

    1. 次のコマンドを実行して、メディエータデータに問題がないことを確認します。


      phys-schost# medstat -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      Status フィールドの値が不良の場合、関連するメディエータホストを修復します。「不正なメディエータデータを修復する」の手順に従います。

    2. すべてのメディエータを一覧表示します。

      この情報は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」の手順でメディエータを復元するときのために保存しておいてください。

    3. メディエータを使用するディスクセットについては、ノードが所有権をまだ持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      phys-schost# scswitch -z -D setname -h node
      
      -z

      ホストするノードを変更します。

      -D devicegroup

      ディスクセットの名前を指定します。

      -h node

      ディスクセットの主となるノードの名前を指定します。

    4. ディスクセットのすべてのメディエータの構成を解除します。


      phys-schost# metaset -s setname -d -m mediator-host-list
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      -d

      ディスクセットから削除します。

      -m mediator-host-list

      削除するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

      metaset コマンドのメディエータ固有のオプションの詳細については、mediator(7D) のマニュアルページを参照してください。

    5. メディエータを使用する残りの各ディスクセットで、手順  c から手順  d までを繰り返します。

  6. Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) データサービスを、バージョン 4.4 以降の Sun Java System Application Server EE (HADB) ソフトウェアとともに実行している場合は、HADB リソースを無効にして HADB データベースをシャットダウンする必要があります。

    4.4 以前のバージョンの Sun Java System Application Server EE (HADB) ソフトウェアを実行している場合は、この手順をスキップできます。

    アップグレード中に 1 つのクラスタパーティションがサービスを停止した場合、アクティブなパーティションのノード数が、HADB メンバーシップの要件を満たすのに十分ではなくなります。このため、クラスタをパーティション分割する前に、HADB データベースを停止して、HADB リソースを無効にする必要があります。


    phys-schost# hadbm stop database-name
    phys-schost# scswitch -n -j hadb-resource
    

    詳細は、hadbm(1m) のマニュアルページを参照してください。

  7. 2 ノードクラスタをアップグレードする場合は、手順 16 に進んでください。

    それ以外の場合は、手順 8 に進んで、使用するパーティション分割スキーマを決めます。パーティション分割プロセスは中断しないような、各パーティションに含まれるノードを決めます。次に、すべてのリソースグループのノードリストを、使用するスキーマの各パーティションのノードメンバーと比べます。リソースグループに各パーティションのメンバーが含まれない場合は、ノードリストを変更する必要があります。

  8. DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。

  9. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (archsparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  10. scinstall ユーティリティーを対話モードで起動します。


    phys-schost# ./scinstall
    

    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Java Availability Suite DVD-ROM に含まれる scinstall コマンドを使用してください。


    scinstall のメインメニューが表示されます。

  11. 「デュアルパーティションアップグレードの管理」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。


    *** Main Menu ***
    
        Please select from one of the following (*) options:
    
            1) Create a new cluster or add a cluster node
            2) Configure a cluster to be JumpStarted from this install server
          * 3) Manage a dual-partition upgrade
          * 4) Upgrade this cluster node
          * 5) Print release information for this cluster node
     
          * ?) Help with menu options
          * q) Quit
    
        Option:  3
    

    「デュアルパーティションアップグレードの管理」メニューが表示されます。

  12. 「考えられるパーティション分割スキーマの表示と選択」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

  13. プロンプトに従って、次の作業を実行します。

    1. 使用中のクラスタで利用可能なパーティション分割スキーマを表示します。

    2. パーティション分割スキーマを選択します。

    3. 最初にアップグレードするパーティションを決めます。


      注 –

      作業を停止し、「デュアルパーティションアップグレードを開始しますか ?」 というプロンプトが表示されても、まだ応答しないでください。ただし、scinstall ユーティリティーは終了しないでください。このプロンプトには、この手順の手順 18 で応答します。


  14. パーティションスキーマで各パーティションにどのノードが属するかを書き留めます。

  15. クラスタの別のノードで、スーパーユーザーになります。

  16. 重要なデータサービスがパーティション間をスイッチオーバーできることを確認します。

    2 ノードクラスタの場合、各ノードはそのパーティションの唯一のノードになります。

    デュアルパーティションアップグレードのためにパーティションのノードがシャットダウンすると、それらのノードでホストされているリソースグループは、他のパーティションにスイッチオーバーします。リソースグループにノードリストの各パーティションのノードが含まれない場合、リソースグループはスイッチオーバーできません。重要なデータサービスをすべて確実にスイッチオーバーさせるために、関連リソースグループのノードリストに各アップグレードパーティションのメンバーが含まれていることを確認してください。

    1. アップグレード全体を通じて、サービスを残す必要のある各リソースグループのノードリストを表示します。


      phys-schost# scrgadm -pv -g resourcegroup | grep "Res Group Nodelist"
      
      -p

      構成情報を表示します。

      -v

      冗長モードで表示します。

      -g resourcegroup

      リソースグループの名前を指定します。

    2. リソースグループのノードリストに各パーティションの 1 つ以上のメンバーが含まれない場合は、ノードリストを再定義して、各パーティションのメンバーを潜在的な主ノードとして含めます。


      phys-schost# scrgadm -a -g resourcegroup -h nodelist
      
      -a

      新しい構成を追加します。

      -h

      カンマ区切りのノード名リストを指定します。

  17. 次の手順を決めます。

    • 2 ノードクラスタをアップグレードする場合、手順 8 から手順 13 に戻って、パーティション分割スキーマとアップグレード順序を指定します。

      Do you want to begin the dual-partition upgrade?」というプロンプトが表示されたら、手順 18 に戻ります。

    • 3 ノード以上のクラスタをアップグレードする場合は、対話型の scinstall ユーティリティーを実行しているノードに戻ります。

      手順 18 に進みます。

  18. 対話型の scinstall プロンプト「デュアルパーティションアップグレードを開始しますか ?」で、「Yes」と入力します。

    このコマンドで、リモートのインストール方法を使用できることが確認されます。

  19. プロンプトが表示されたら、Enter キーを押して、デュアルパーティションアップグレードの各準備段階を続行します。

    このコマンドによって、リソースグループが 2 番目のパーティションのノードに切り替えられ、1 番目のパーティションの各ノードがシャットダウンされます。

  20. 1 番目のパーティションのすべてのノードがシャットダウンしたら、そのパーティションの各ノードを非クラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


      ok boot -x
      
    • Solaris 9 OS を実行している x86 ベースのシステム上で、次のいずれかのコマンドを実行します。


      phys-schost# reboot -- -xs
      または
      ...
                            <<< Current Boot Parameters >>>
      Boot path: /pci@0,0/pci-ide@7,1/ata@1/cmdk@0,0:b
      Boot args:
      
      Type  b [file-name] [boot-flags] <ENTER>  to boot with options
      or    i <ENTER>                           to enter boot interpreter
      or    <ENTER>                             to boot with defaults
      
                        <<< timeout in 5 seconds >>>
      Select (b)oot or (i)nterpreter: b -xs
      
    • Solaris 10 OS を実行している x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

      1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

        GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

        GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

      2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

        次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.
      3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


        [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
        lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
        completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
        
        grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
        
      4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

        画面には、編集されたコマンドが表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.-
      5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


        注 –

        カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


  21. 2 番目のパーティションで動作するアプリケーションに Resource Group Manager (RGM) で制御されていないものがある場合は、これらのノードのアップグレードを開始する前にこれらのアプリケーションを停止するスクリプトを作成します。

    デュアルパーティションアップグレードの処理中、2 番目のパーティションのノードが停止する前に、これらのスクリプトが呼び出されて、 Oracle RAC などのアプリケーションを停止します。

    1. RGM で制御されていないアプリケーションを停止するために必要なスクリプトを作成します。

      • RGM で制御されるアプリケーションが停止される前に停止させるアプリケーションと、後に停止させるアプリケーションとには、それぞれ別のスクリプトを作成します。

      • パーティション内の複数のノードで動作しているアプリケーションを停止させるには、それに応じたスクリプトを書きます。

      • スクリプトには、任意の名前とディレクトリパスを使用します。

    2. クラスタ内の各ノードにそれぞれ、作成したスクリプトのコピーがあることを確認します。

    3. 各ノードで、次の Sun Cluster スクリプトを変更して、そのノードに置いたスクリプトを呼び出します。

      • /etc/cluster/ql/cluster_pre_halt_apps - RGM で制御されているアプリケーションが停止する前に実行するスクリプトを呼び出すには、このファイルを使用します。

      • /etc/cluster/ql/cluster_post_halt_app - RGM で制御されているアプリケーションが停止した後に実行するスクリプトを呼び出すには、このファイルを使用します。

      Sun Cluster スクリプトは、パーティションのアップグレード後の処理中に任意の 1 つのノードから発行されます。このため、パーティションの任意のノードのスクリプトがパーティション内のすべてのノードで必要な操作を実行することを確認してください。

次の手順

1 番目のパーティションの各ノードでソフトウェアをアップグレードします。

ProcedureSolaris OS およびボリュームマネージャーをアップグレードする (デュアルパーティション)

Solaris OS をアップグレードするには、この手順をクラスタ内の各ノードに実行してください。Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。 クラスタが既に Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをサポートするバージョンの Solaris OS で動作している場合は、さらに Solaris OS をアップグレードするかどうかは任意です。Solaris OS をアップグレードしない場合は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」に進みます。


注 –

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードをサポートするためには、クラスタは、少なくとも Solaris OS の必要最低条件のレベルで実行されているか、アップグレードされている必要があります。詳細は、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』のサポートされている製品を参照してください。


始める前に

「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」の手順がすべて完了していることを確認します。

  1. アップグレードするクラスタノードでスーパーユーザーになります。

    ノードは非クラスタモードのパーティションのメンバーである必要があります。

  2. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがインストールされている場合は、アンインストールしてください。

    アンインストールの手順については、使用中の Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

  3. 次の Apache 実行制御スクリプトがあるかどうか、および有効化されているか無効化されているかを調べます。


    /etc/rc0.d/K16apache
    /etc/rc1.d/K16apache
    /etc/rc2.d/K16apache
    /etc/rc3.d/S50apache
    /etc/rcS.d/K16apache

    Sun Cluster HA for Apache などの一部のアプリケーションでは、Apache 実行制御スクリプトを無効にする必要があります。

    • これらのスクリプトが存在し、ファイル名に大文字の K または S が含まれる場合、スクリプトは有効になっています。これらのスクリプトにこれ以上の操作は不要です。

    • これらのスクリプトが存在しない場合は、手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされた Apache 実行制御スクリプトがすべて無効になっていることを確認する必要があります。

    • これらのスクリプトが存在しても、ファイル名に小文字の k または s が含まれる場合、スクリプトは無効になっています。手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされる Apache 実行制御スクリプトがすべて無効になっていることを確認する必要があります。

  4. ノードの /etc/vfstab ファイル内でグローバルにマウントされているファイルシステム内のすべてのエントリをコメントアウトします。

    1. 後で参照するために、既にコメントアウトしたすべてのエントリを記録します。

    2. /etc/vfstab ファイル内のグローバルにマウントされているファイルシステム用のすべてのエントリを一時的にコメントアウトします。

      グローバルにマウントされているファイルシステム用のエントリに、global マウントオプションがあります。これらのエントリをコメントアウトすることにより、Solaris のアップグレード中にグローバルデバイスにマウントするのを防止します。

  5. Solaris OS をアップグレードするために実行する手順を決定します。

    ボリュームマネージャー 

    手続き 

    説明の場所 

    Solaris ボリュームマネージャー 

    ライブアップグレード方式以外の Solaris のすべてのアップグレード方法 

    Solaris のインストールマニュアル 

    VERITAS Volume Manager 

    「VxVM および Solaris アップグレード」 

    VERITAS Volume Manager のインストールマニュアル 


    注 –

    クラスタに VxVM がインストールされている場合は、Solaris アップグレード処理の一環として、既存の VxVM ソフトウェアを再インストールするか、Solaris 9 または 10 バージョンの VxVM ソフトウェアにアップグレードする必要があります。


  6. 手順 5 で選択した手順に従って、Solaris ソフトウェアをアップグレードします。

    1. プロンプトが表示されたら、手動リブートオプションを選択します。

    2. ノードを再起動するようにプロンプトが表示されたら、必ず非クラスタモードで再起動してください。


      注 –

      Solaris ソフトウェアアップグレードでは、インストール終了後の自動リブートを実行しないでください。代わりに次の作業を行なってください。

      1. この手順に戻って、手順 7 および手順 8 を実行します。

      2. 手順 9 で非クラスタモードで再起動して、Solaris ソフトウェアのアップグレードを完了します。


      次のコマンドを実行して、Solaris のアップグレード中にノードを非クラスタモードで起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のいずれかのコマンドを実行します。


        phys-schost# reboot -- -xs
        または
        ok boot -xs
        

        init S コマンドを実行するように指示された場合は、代わりにreboot -- -xs コマンドを実行します。

      • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        phys-schost# shutdown -g -y -i0
        
        Press any key to continue
        1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

          GRUB メニューは、次のように表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
          +-------------------------------------------------------------------------+
          | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
          | Solaris failsafe                                                        |
          |                                                                         |
          +-------------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
          commands before booting, or 'c' for a command-line.

          GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

        2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

          次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
          +----------------------------------------------------------------------+
          | root (hd0,0,a)                                                       |
          | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
          | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
          +----------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
          boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
          after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
          selected line, or escape to go back to the main menu.
        3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


          [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
          lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
          completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
          
          grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
          
        4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

          画面には、編集されたコマンドが表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
          +----------------------------------------------------------------------+
          | root (hd0,0,a)                                                       |
          | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
          | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
          +----------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
          boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
          after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
          selected line, or escape to go back to the main menu.-
        5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


          注 –

          カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


        init S コマンドを実行するように指示された場合は、システムをシャットダウンして、GRUB カーネルのブートコマンドを /platform/i86pc/multiboot -sx に変更します。

  7. /a/etc/vfstab ファイルで、手順 4 でコメントアウトした、グローバルにマウントしたファイルシステム用のエントリを、コメント解除します。

  8. Solaris OS をアップグレードする前に Apache 実行制御スクリプトが無効になっていたか、存在しなかった場合は、Solaris アップグレード中にインストールされたスクリプトが無効になっていることを確認します。

    Apache 実行制御スクリプトを無効にするには、次のコマンドを使用して、ファイル名の k または s を小文字に変更してください。


    phys-schost# mv /a/etc/rc0.d/K16apache /a/etc/rc0.d/k16apache 
    phys-schost# mv /a/etc/rc1.d/K16apache /a/etc/rc1.d/k16apache
    phys-schost# mv /a/etc/rc2.d/K16apache /a/etc/rc2.d/k16apache
    phys-schost# mv /a/etc/rc3.d/S50apache /a/etc/rc3.d/s50apache
    phys-schost# mv /a/etc/rcS.d/K16apache /a/etc/rcS.d/k16apache
    

    代わりに、ユーザーの通常の管理規則に従ってスクリプト名を変更することもできます。

  9. ノードを非クラスタモードで再起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

      コマンドに 2 つのダッシュ (--) を含めます。


      phys-schost# reboot -- -x
      
    • x86 ベースのシステムで、手順 6 で説明したシャットダウンおよび起動手順を実行します。ただし、カーネルのブートコマンドには -sx の代わりに -x を追加します。

  10. クラスタで VxVM を実行している場合は、「VxVM および Solaris のアップグレード」の残りの手順に従って、VxVM を再インストールするか、アップグレードします。

    手順に次の変更を加えます。

    • VxVM のアップグレードが完了して、再起動する前に/etc/vfstab ファイルのエントリを確認してください。

      手順 7 でコメントを解除したエントリのいずれかがコメントアウトされている場合は、これらのエントリをもう一度コメント解除します。

    • VxVM の手順で最終の再構成リブートを実行するように指示された場合、単独で -r オプションを使用しないでください。その代わりに、-rx オプションを使用して、非クラスタモードで再起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        phys-schost# reboot -- -rx
        
      • x86 ベースのシステムで、手順 6 で説明したシャットダウンおよび起動手順を実行します。ただし、カーネルのブートコマンドには -sx の代わりに -rx を追加します。


    注 –

    次のようなメッセージが表示された場合は、root パスワードを入力して、アップグレード処理を続行します。fsck コマンドは実行しないでください。また、Ctrl-D キーも使用しないでください。


    WARNING - Unable to repair the /global/.devices/node@1 filesystem. 
    Run fsck manually (fsck -F ufs /dev/vx/rdsk/rootdisk_13vol). Exit the 
    shell when done to continue the boot process.
    
    Type control-d to proceed with normal startup,
    (or give root password for system maintenance):  root パスワードを入力してください
    

  11. (省略可能) SPARC: VxFS をアップグレードします。

    VxFS のマニュアルに記載された手順に従ってください。

  12. Solaris ソフトウェアの必須パッチとハードウェア関連のパッチをすべてインストールし、ハードウェアパッチに含まれる必須ファームウェアをすべてダウンロードします。


    注 –

    パッチを追加した後で、再起動しないでください。Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードした後に、ノードを再起動してください。


    パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

次の手順

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレード「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (デュアルパーティション)」に進みます。


注 –

Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど、Solaris OS の新しいマーケティングリリースへのアップグレードを完了する場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。


ProcedureSun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (デュアルパーティション)

この手順を実行して、クラスタの各ノードを Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードします。この手順では、必要な Sun Java Enterprise System 共有コンポーネントもアップグレードします。また、別のマーケティングリリースへのアップグレード (Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど) のあとにも、この手順を実行する必要があります。

Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。


ヒント –

この手順は、パーティションの複数のノードで同時に実行できます。


始める前に

次の作業を実行します。

  1. 非クラスタモードでパーティションのメンバーになっているノードでスーパーユーザーになります。

  2. /usr/java/ ディレクトリが最小または最新バージョンの Java ソフトウェアへのシンボリックリンクであることを確認します。

    Sun Cluster ソフトウェアには、バージョン 1.5.0_06 以上の Java ソフトウェアが必要です。旧バージョンの Java をインストールするバージョンの Solaris へとアップグレードした場合、アップグレードによって、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアの最小要件を満たさないバージョンの Java をポイントするよう、シンボリックリンクが変更される場合があります。

    1. /usr/java/ ディレクトリがシンボリックリンクで接続されているディレクトリを調べます。


      phys-schost# ls -l /usr/java
      lrwxrwxrwx   1 root   other    9 Apr 19 14:05 /usr/java -> /usr/j2se/
    2. インストールされている Java ソフトウェアのバージョンを判別します。

      Java ソフトウェアの関連リリースのバージョンを表示するために使用するコマンドの例を下に示します。


      phys-schost# /usr/j2se/bin/java -version
      phys-schost# /usr/java1.2/bin/java -version
      phys-schost# /usr/jdk/jdk1.5.0_06/bin/java -version
      
    3. /usr/java/ ディレクトリが、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアに、シンボリックリンクによって接続されていない場合は、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアにリンクするよう、シンボリックリンクを作り直します。

      次の例は、Java 1.5.0_06 ソフトウェアを含む /usr/j2se/ ディレクトリへのシンボリックリンクの作成を示しています。


      phys-schost# rm /usr/java
      phys-schost# ln -s /usr/j2se /usr/java
      
  3. DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。

  4. DVD-ROM の インストールウィザードディレクトリに移動します。

    • SPARC プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_sparc
      
    • x86 プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_x86
      
  5. インストールウィザードプログラムを開始します。


    phys-schost# ./installer
    
  6. 画面の指示に従って、ノード上の共有コンポーネントソフトウェアを選択して、アップグレードします。


    注 –

    Sun Cluster ソフトウェアパッケージのインストールには、インストールウィザードプログラムを使用しないでください。


    インストールウィザードプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。

  7. インストールウィザードプログラムを終了します。

  8. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (archsparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  9. scinstall ユーティリティーを起動します。


    phys-schost# ./scinstall
    

    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Java Availability Suite DVD-ROM にある scinstall コマンドを使用する必要があります。


    scinstall のメインメニューが表示されます。

  10. 「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。


      *** Main Menu ***
    
        Please select from one of the following (*) options:
    
          * 1) Create a new cluster or add a cluster node
            2) Configure a cluster to be JumpStarted from this install server
          * 3) Manage a dual-partition upgrade
          * 4) Upgrade this cluster node
          * 5) Print release information for this cluster node
     
          * ?) Help with menu options
          * q) Quit
    
        Option:  4
    

    「アップグレードメニュー」が表示されます。

  11. 「このノード上で Sun Cluster フレームワークをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

  12. メニュープロンプトに従って、クラスタフレームワークをアップグレードします。

    Sun Cluster のアップグレード中、scinstall によって次のような構成の変更が生じることがあります。

    • NAFO グループを IPMP グループに変換しますが、元の NAFO グループ名はそのまま維持します。

      IPMP のテストアドレスについては、次のいずれかのマニュアルを参照してください。

      Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード中の NAFO グループから IPMP への変換の詳細については、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。

    • ntp.conf.cluster がノードにない場合は、ntp.conf ファイルの名前を ntp.conf.cluster に変更します。

    • local-mac-address? 変数が true に設定されていない場合は、true に設定します。

    アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster フレームワークのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。

  13. scinstall ユーティリティーを終了します。

  14. DVD-ROM ドライブから Sun Java Availability Suite DVD-ROM を取り出します。

    1. DVD-ROM が使用されていないことを確認し、DVD-ROM 上にないディレクトリに移動します。

    2. DVD-ROM を取り出します。


      phys-schost# eject cdrom
      
  15. データサービスパッケージをアップグレードします。

    すべてのデータサービスを Sun Cluster 3.2 バージョンにアップグレードする必要があります。


    注 –

    Sun Cluster HA for SAP Web Application Server の場合、J2EE エンジンリソース、Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソース、またはその両方を使用している場合は、リソースを削除して、新しい Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソースでもう一度作成する必要があります。新しいWeb アプリケーションサーバコンポーネントのリソースの変更には、J2EE 機能の統合が含まれます。詳細は、『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server Guide for Solaris OS』を参照してください。


    1. アップグレードされた対話型の scinstall ユーティリティーを開始します。


      phys-schost# /usr/cluster/bin/scinstall
      

      注 –

      データサービスパッケージのアップグレードには、インストールメディア上の scinstall ユーティリティーを使用しないでください。


      scinstall のメインメニューが表示されます。

    2. 「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

    3. 「このノード上で Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

    4. メニュープロンプトに従って、このノードにインストールされている Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレードします。

      アップグレードに使用できるデータサービスのリストから選択するか、またはインストールされたデータサービスをすべてアップグレードできます。

      アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster データサービスエージェントのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。

    5. 「Enter」を押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

  16. scinstall ユーティリティーを終了します。

  17. 高可用ローカルファイルシステムで Sun Cluster HA for NFS を構成した場合は、ループバックファイルシステム (LOFS) が無効になっていることを確認してください。


    注 –

    非大域ゾーンを設定している場合、LOFS は有効のままにしておく必要があります。LOFS の使い方、および LOFS の無効化を代替する手段については、「クラスタファイルシステム」を参照してください。


    Sun Cluster 3.2 リリースでは、LOFS は Sun Cluster ソフトウェアのインストールまたはアップグレード中にデフォルトでは無効にならなくなりました。LOFS を無効にするには、/etc/system ファイルに次のエントリが含まれていることを確認してください。


    exclude:lofs

    この変更は、次のシステム再起動後に有効になります。

  18. 必要に応じて、製品メディアで提供されないカスタムのデータサービスを手動でアップグレードします。

  19. データサービス用の更新がすべて正常にインストールされていることを確認します。

    アップグレード出力メッセージの最後に示されるアップグレードログを参照します。

  20. Sun Cluster 3.2 のフレームワークとデータサービスソフトウェアパッチをインストールします。

    パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

  21. クラスタにインストールされているソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。

    アプリケーションレベルが Sun Cluster および Solaris ソフトウェアの現在のバージョンと互換性があることを確認します。インストール方法については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。

  22. パーティション内のすべてのノードがアップグレードされたら、アップグレードの変更を適用します。

    1. アップグレードするパーティションの 1 つのノードから、対話型の scinstall ユーティリティーを起動します。


      phys-schost# /usr/cluster/bin/scinstall
      

      注 –

      インストールメディア上にある scinstall コマンドは使用しないでください。クラスタノード上にある scinstall コマンドだけを使用してください。


      scinstall のメインメニューが表示されます。

    2. 「デュアルパーティションアップグレードの変更の適用」というオプションに対応する番号を入力して、Return キーを押します。

    3. プロンプトに従って、アップグレード処理の各段階を続行します。

      コマンドを実行するパーティションに応じて、コマンドによって次の作業が実行されます。

      • 1 番目のパーティション - このコマンドにより、2 番目のパーティションの各ノードが 1 度に 1 ノードずつ停止されます。ノードが停止すると、関連リソースグループのノードリストに 1 番目のパーティションのノードが含まれている場合、そのノード上の任意のサービスが 1 番目のパーティションのノードに自動的にスイッチオーバーされます。2 番目のパーティションのすべてのノードが停止すると、1 番目のパーティションのノードがクラスタモードで起動して、提供するクラスタサービスを引き継ぎます。

      • 2 番目のパーティション - このコマンドは、2 番目のパーティションのノードをクラスタモードで起動し、1 番目のパーティションによって形成されたアクティブなクラスタに参加させます。すべてのノードがクラスタに参加したあと、コマンドは最終処理を行なって、アップグレードのステータスを報告します。

    4. scinstall ユーティリティーをまだ実行している場合は、これを終了します。

    5. 1 番目のパーティションのアップグレードを終了する場合は、2 番目のパーティションをアップグレード用に準備するために次のサブステップを実行します。

      それ以外の場合で、2 番目のパーティションのアップグレードを終了する場合は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」に進みます。

      1. 2 番目のパーティションの各ノードを非クラスタモードで起動します。

        • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


          ok boot -x
          
        • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

          1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

            GRUB メニューは、次のように表示されます。


            GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
            +-------------------------------------------------------------------------+
            | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
            | Solaris failsafe                                                        |
            |                                                                         |
            +-------------------------------------------------------------------------+
            Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
            Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
            commands before booting, or 'c' for a command-line.

            GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

          2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

            次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


            GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
            +----------------------------------------------------------------------+
            | root (hd0,0,a)                                                       |
            | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
            | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
            +----------------------------------------------------------------------+
            Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
            Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
            boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
            after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
            selected line, or escape to go back to the main menu.
          3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


            [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
            lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
            completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
            
            grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
            
          4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

            画面には、編集されたコマンドが表示されます。


            GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
            +----------------------------------------------------------------------+
            | root (hd0,0,a)                                                       |
            | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
            | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
            +----------------------------------------------------------------------+
            Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
            Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
            boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
            after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
            selected line, or escape to go back to the main menu.-
          5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


            注 –

            カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


      2. 2 番目のパーティションのノードをアップグレードします。

        Sun Cluster ソフトウェアのアップグレードを実行する前に Solaris ソフトウェアをアップグレードする場合は、「Solaris OS およびボリュームマネージャーをアップグレードする (デュアルパーティション)」に進みます。

        それ以外の場合は、2 番目のパーティションの Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードします。手順 1 に戻ります。

次の手順

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」に進みます。

注意事項

デュアルパーティションアップグレード中に回復不能なエラーが発生した場合は、「失敗したデュアルパーティションアップグレードからの回復」の手順に従ってください。

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのライブアップグレードの実行

この節では、ライブアップグレード方式を使用して、Sun Cluster 3.1 リリースから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする方法を説明します。

次の表に Sun Cluster 3.1 ソフトウェアから Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードするために実行する作業を示します。Solaris OS のバージョンだけをアップグレードする場合もこれらの作業を実行します。Solaris OS を Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアにアップグレードする場合、Sun Cluster ソフトウェアと依存性ソフトウェアも新しいバージョンの Solaris OS と互換性のあるバージョンにアップグレードする必要があります。

表 8–3 作業マップ: Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのライブアップグレードの実行

作業 

参照先 

1. アップグレード要件と制約に関する説明を読む。使用する構成とニーズに適したアップグレード方法を決めます。 

「アップグレードの必要条件とソフトウェアサポートのガイドライン」

「Sun Cluster のアップグレード方法の選択」

2. クラスタを稼動環境から外し、リソースを無効にして、共有データとシステムディスクのバックアップを作成。クラスタが Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合は、メディエータの構成を解除。 

「アップグレード用にクラスタを準備する (ライブアップグレード)」

3. 必要に応じて、Solaris ソフトウェアをサポートされている Solaris アップデートにアップグレード。Sun Cluster 3.2 のフレームワークとデータサービスソフトウェアにアップグレードします。必要に応じて、アプリケーションをアップグレード。クラスタが二重列メディエータを使用している場合は、メディエータを再構成。必要に応じて、VERITAS Volume Manager (VxVM)ソフトウェア、ディスクグループおよびVERITAS File System (VxFS) をアップグレード 

「Solaris OS および Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (Live Upgrade)」

4. Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードに成功したことを確認 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」

5. リソースを有効にし、リソースグループをオンラインにします。既存のリソースを新しいリソースタイプに移行します。 

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」

6. (省略可能) SPARC: 必要に応じて、Sun Management Center 用 Sun Cluster モジュールをアップグレードします。

「SPARC: Sun Management Center 用に Sun Cluster モジュールソフトウェアをアップグレードする 」

Procedureアップグレード用にクラスタを準備する (ライブアップグレード)

以下の手順を実行して、クラスタをライブアップグレード用に準備します。

始める前に

次の作業を実行します。

  1. クラスタが正常に機能していることを確認してください。

    1. 任意のノードから次のコマンドを実行して、クラスタの現在の状態を表示します。


      phys-schost% scstat
      

      詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. 同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

    3. ボリューム管理の状態を確認します。

  2. 必要であれば、アップグレード中クラスタサービスが一時中断することをユーザーに通知します。

    サービス中断の時間は、クラスタがサービスを別のノードに切り替えるために通常要する時間にほぼ等しくなります。

  3. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  4. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがインストールされている場合は、アンインストールしてください。

    アンインストールの手順については、使用中の Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

  5. Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアまたは Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアを使用する 2 ノードクラスタの場合、可用性サービス用の構成データが定足数ディスク上にあることを確認します。

    クラスタソフトウェアをアップグレードしたあと、Availability Suite が正しく機能するようにするには、構成データを定足数ディスク上に置く必要があります。

    1. Availability Suite ソフトウェアを実行するノード上でスーパーユーザーになります。

    2. Availability Suite 構成ファイルで使用されるデバイス ID とスライスを見つけます。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWscm/sbin/dscfg
      /dev/did/rdsk/dNsS
      

      この出力例では、N がデバイス ID でS がデバイス N のスライスです。

    3. 既存の定足数デバイスを見つけます。


      phys-schost# scstat -q
      -- Quorum Votes by Device --
                           Device Name         Present Possible Status
                           -----------         ------- -------- ------
         Device votes:     /dev/did/rdsk/dQsS  1       1        Online

      この出力例では、dQsS が既存の定足数デバイスです。

    4. 定足数デバイスが Availability Suite 構成データデバイスと同じでない場合は、構成データを定足数デバイス上の使用できるスライスに移します。


      phys-schost# dd if=`/usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg` of=/dev/did/rdsk/dQsS
      

      注 –

      ブロック DID デバイス、/dev/did/dsk/ ではなく、raw DID デバイス、/dev/did/rdsk/ の名前を使用する必要があります。


    5. 構成データを移した場合、新しい場所を使用するように Availability Suite ソフトウェアを構成してください。

      スーパーユーザーとして、Availability Suite ソフトウェアを実行する各ノード上で次のコマンドを実行します。


      phys-schost# /usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg -s /dev/did/rdsk/dQsS
      
  6. すべての共有データをバックアップします。

  7. 各システムディスクをバックアップします。

次の手順

Solaris OS、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアおよびその他のソフトウェアのライブアップグレードを実行します。「Solaris OS および Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (Live Upgrade)」に進みます。

ProcedureSolaris OS および Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをアップグレードする (Live Upgrade)

以下の手順を実行し、ライブアップグレード方式を使用して、Solaris OS、Java ES 共有コンポーネント、ボリュームマネージャーソフトウェア、および Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードします。Sun Cluster のライブアップグレード方式では、Solaris Live Upgrade 機能を使用します。Solaris OS のライブアップグレードの詳細については、使用しているバージョンの Solaris のマニュアルを参照してください。


注 –

Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードをサポートするためには、クラスタは、少なくとも Solaris OS の必要最低条件のレベルで実行されているか、アップグレードされている必要があります。詳細は、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』のサポートされている製品を参照してください。


クラスタ内の各ノード上で次の手順を実行します。


ヒント –

cconsole ユーティリティーを使用して、この手順をすべてのノードで同時に実行できます。詳細は、「クラスタコントロールパネルソフトウェアを管理コンソールにインストールする」を参照してください。


始める前に

「アップグレード用にクラスタを準備する (ライブアップグレード)」の手順がすべて完了していることを確認します。

  1. サポートされているバージョンの Solaris Live Upgrade ソフトウェアが各ノードにインストールされていることを確認します。

    オペレーティングシステムが既に Solaris 9 9/05 または Solaris 10 11/06 にアップグレードされている場合、正しい Solaris Live Upgrade ソフトウェアを持っていることになります。オペレーティングシステムが旧バージョンの場合は、次の手順を実行します。

    1. Solaris 9 9/05 または Solaris 10 11/06 メディアを挿入します。

    2. スーパーユーザーになります。

    3. SUNWluu および SUNWlur パッケージをインストールします。


      phys-schost# pkgadd -d path SUNWluu SUNWlur
      
      path

      ソフトウェアパッケージのあるディレクトリの絶対パスを指定します。

    4. パッケージがインストールされていることを確認します。


      phys-schost# pkgchk -v SUNWluu SUNWlur
      
  2. Solaris OS をアップグレードする場合に、クラスタで Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用するときは、メディエータを構成解除します。

    メディエータの詳細については、「二重列メディエータの構成」を参照してください。

    1. 次のコマンドを実行して、メディエータデータに問題がないことを確認します。


      phys-schost# medstat -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      Status フィールドの値が不良の場合、関連するメディエータホストを修復します。「不正なメディエータデータを修復する」の手順に従います。

    2. すべてのメディエータを一覧表示します。

      この情報は、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」の手順でメディエータを復元するときのために保存しておいてください。

    3. メディエータを使用するディスクセットについては、ノードが所有権をまだ持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      phys-schost# scswitch -z -D setname -h node
      
      -z

      ホストするノードを変更します。

      -D devicegroup

      ディスクセットの名前を指定します。

      -h node

      ディスクセットの主となるノードの名前を指定します。

    4. ディスクセットのすべてのメディエータの構成を解除します。


      phys-schost# metaset -s setname -d -m mediator-host-list
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      -d

      ディスクセットから削除します。

      -m mediator-host-list

      削除するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

      metaset コマンドのメディエータ固有のオプションの詳細については、mediator(7D) のマニュアルページを参照してください。

    5. メディエータを使用する残りの各ディスクセットで、手順  c から手順  d までを繰り返します。

  3. アクティブでないブート環境 (BE) を作成します。


    phys-schost# lucreate options-n BE-name
    
    -n BE-name

    アップグレード対象のブート環境の名前を指定します。

    lucreate コマンドの重要なオプションの詳細は、『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』および lucreate(1M) のマニュアルを参照してください。

  4. 必要であれば、アクティブでない BE で Solaris OS をアップグレードします。

    クラスタが既に Sun Cluster 3.2 ソフトウェアをサポートする、適切なパッチを適用したバージョンの Solaris OS で動作している場合、この手順は省略可能です。

    • Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアを使用している場合は、次のコマンドを実行します。


      phys-schost# luupgrade -u -n BE-name -s os-image-path
      
      -u

      ブート環境のオペレーティングシステムイメージをアップグレードします。

      -s os-image-path

      オペレーティングシステムイメージが置かれているディレクトリのパス名を指定します。

    • VERITAS Volume Manager を使用している場合は、VxVM のインストールマニュアルのライブアップグレード手順に従ってください。

  5. lumount コマンドを使用して、アクティブでない BE をマウントします。


    phys-schost# lumount -n BE-name -m BE-mount-point
    
    -m BE-mount-point

    BE-name のマウントポイントを指定します。

    詳細は、『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』および lumount(1M) のマニュアルページを参照してください。

  6. /BE-mount-point/usr/java/ ディレクトリが最小または最新バージョンの Java ソフトウェアへのシンボリックリンクであることを確認します。

    Sun Cluster ソフトウェアには、バージョン 1.5.0_06 以上の Java ソフトウェアが必要です。旧バージョンの Java をインストールするバージョンの Solaris へとアップグレードした場合、アップグレードによって、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアの最小要件を満たさないバージョンの Java をポイントするよう、シンボリックリンクが変更される場合があります。

    1. /BE-mount-point/usr/java/ ディレクトリがシンボリックリンクで接続されているディレクトリを判別します。


      phys-schost# ls -l /BE-mount-point/usr/java
      lrwxrwxrwx   1 root   other    9 Apr 19 14:05 /BE-mount-point/usr/java -> /BE-mount-point/usr/j2se/
    2. インストールされている Java ソフトウェアのバージョンを判別します。

      Java ソフトウェアの関連リリースのバージョンを表示するために使用するコマンドの例を下に示します。


      phys-schost# /BE-mount-point/usr/j2se/bin/java -version
      phys-schost# /BE-mount-point/usr/java1.2/bin/java -version
      phys-schost# /BE-mount-point/usr/jdk/jdk1.5.0_06/bin/java -version
      
    3. /BE-mount-point/usr/java/ ディレクトリが、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアに、シンボリックリンクによって接続されていない場合は、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアにリンクするよう、シンボリックリンクを作り直します。

      次の例は、Java 1.5.0_06 ソフトウェアを含む /usr/j2se/ ディレクトリへのシンボリックリンクの作成を示しています。


      phys-schost# rm /BE-mount-point/usr/java
      phys-schost# cd /mnt/usr
      phys-schost# ln -s j2se java
      
  7. 必要な Solaris パッチを適用します。

    Live Upgrade 機能を使用するために Solaris ソフトウェアへのパッチの適用が必要な場合があります。Solaris OS に必要なパッチおよびそれらのダウンロード場所については、『Solaris 9 9/04 インストールガイド』「Solaris Live Upgradeによるパッケージやパッチの管理」または『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』「パッケージまたはパッチによるシステムのアップグレード」を参照してください。

  8. 必要な場合、かつ使用しているバージョンの VERITAS Volume Manager (VxVM) ソフトウェアがそれに対応している場合は、VxVM ソフトウェアをアップグレードしてください。

    使用しているバージョンの VxVM がライブアップグレード方式を使用できるかどうかを調べるには、VxVM ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

  9. (省略可能) SPARC: VxFS をアップグレードします。

    VxFS のマニュアルに記載された手順に従ってください。

  10. クラスタがホストしているソフトウェアアプリケーションに、アップグレードを必要としており、かつライブアップグレード方式でアップデート可能なものがある場合、それらのアプリケーションをアップグレードします。

    クラスタがライブアップグレード方式を使用できないソフトウェアアプリケーションをホストしている場合は、あとで手順 25 に従って、それらのアプリケーションをアップグレードします。

  11. DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。

  12. DVD-ROM の インストールウィザードディレクトリに移動します。

    • SPARC プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc
      
    • x86 プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_x86
      
  13. インストールウィザード プログラムを起動して、状態ファイルに直接出力します。

    状態ファイルに付ける名前、およびファイルを作成する場所の絶対パスまたは相対パスを指定します。

    • グラフィカルインタフェースを使用して状態ファイルを作成する場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# ./installer -no -saveState statefile
      
    • テキストベースのインタフェースを使用して状態ファイルを作成する場合は、次のコマンドを使用します。


      phys-schost# ./installer -no -nodisplay -saveState statefile
      

    詳細は、『Sun Java Enterprise System 5 Installation Guide for UNIX』「Generating the Initial State File」を参照してください。

  14. 画面の指示に従って、ノード上の共有コンポーネントソフトウェアを選択して、アップグレードします。

    インストールウィザードプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。

  15. インストールウィザードプログラムを終了します。

  16. installer プログラムをサイレントモードで実行して、代替ブート環境へのインストールを指示します。


    注 –

    installer プログラムは、状態ファイルの作成に使用したのと同じバージョンである必要があります。



    phys-schost# ./installer -nodisplay -noconsole -state statefile -altroot BE-mount-point
    

    詳細は、『Sun Java Enterprise System 5 Installation Guide for UNIX』「To Run the Installer in Silent Mode」を参照してください。

  17. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (archsparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  18. scinstall コマンドを使用して、Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードします。


    phys-schost# ./scinstall -u update -R BE-mount-point
    
    -u update

    Sun Cluster ソフトウェアのアップグレードを実行していることを指定します。

    -R BE-mount-point

    代替ブート環境のマウントポイントを指定します。

    詳細は、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。

  19. scinstall コマンドを使用して、データサービスをアップグレードします。


    phys-schost# BE-mount-point/usr/cluster/bin/scinstall -u update -s all  \
    -d /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster_agents -R BE-mount-point
    
  20. DVD-ROM ドライブから Sun Java Availability Suite DVD-ROM を取り出します。

    1. DVD-ROM が使用されていないことを確認し、DVD-ROM 上にないディレクトリに移動します。

    2. DVD-ROM を取り出します。


      phys-schost# eject cdrom
      
  21. アクティブでない BE をマウント解除します。


    phys-schost# luumount -n BE-name
    
  22. アップグレードしたアクティブでない BE を有効にします。


    phys-schost# luactivate BE-name
    
    BE-name

    手順 3 で構築した代わりの BE の名前。

  23. クラスタ内の各ノードで手順 1 から手順 22 を繰り返します。


    注 –

    クラスタ内のすべてのノードが、アクティブでない BE でアップグレードされるまで、どのノードも再起動しないでください。


  24. すべてのノードを再起動します。


    phys-schost# shutdown -y -g0 -i6
    

    注 –

    reboot または halt コマンドは使用しないでください。これらのコマンドは、新しい BE を有効にしません。新しい BE で再起動するには、shutdown または init コマンドだけを使用してください。


    ノードは、新しい、アップグレードした BE を使用して、クラスタモードで再起動します。

  25. (省略可能) ライブアップグレード方式を使用できず、かつアップグレードを必要としているソフトウェアアプリケーションを、クラスタがホストしている場合は、次の手順を実行してください。


    注 –

    ソフトウェアアプリケーションのアップグレードプロセス全体を通して、すべてのアップグレードが完了するまで、常に非クラスタモードで再起動してください。


    1. ノードを停止します。


      phys-schost# shutdown -y -g0 -i0
      
    2. 各ノードを非クラスタモードで起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        ok boot -x
        
      • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

        1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

          GRUB メニューは、次のように表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
          +-------------------------------------------------------------------------+
          | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
          | Solaris failsafe                                                        |
          |                                                                         |
          +-------------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
          commands before booting, or 'c' for a command-line.

          GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

        2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

          次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
          +----------------------------------------------------------------------+
          | root (hd0,0,a)                                                       |
          | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
          | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
          +----------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
          boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
          after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
          selected line, or escape to go back to the main menu.
        3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


          [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
          lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
          completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
          
          grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
          
        4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

          画面には、編集されたコマンドが表示されます。


          GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
          +----------------------------------------------------------------------+
          | root (hd0,0,a)                                                       |
          | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
          | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
          +----------------------------------------------------------------------+
          Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
          Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
          boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
          after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
          selected line, or escape to go back to the main menu.-
        5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


          注 –

          カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


        init S コマンドを実行するように指示された場合は、システムをシャットダウンして、GRUB カーネルのブートコマンドを /platform/i86pc/multiboot -sx に変更します。

    3. アップグレードの必要な各ソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。

      すべてのアプリケーションがアップグレードされるまでは、再起動するように指示された場合は、必ず非クラスタモードで再起動するように注意してください。

    4. 各ノードをクラスタモードで起動します。

      • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


        ok boot
        
      • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

        GRUB メニューが表示されたら、該当する Solaris エントリを選択して、Enter キーを押します。GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

例 8–1 Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのライブアップグレード

この例は、クラスタノードのライブアップグレードを示しています。この例では、SPARC ベースのノードから Solaris 10 OS、Sun Cluster 3.2 フレームワーク、およびライブアップグレード方式をサポートするすべての Sun Cluster データサービスにアップグレードします。この例で、sc31u2 はオリジナルのブート環境 (BE) です。アップグレードされた新しい BE は sc32 と名付けられ、マウントポイント /sc32 を使用します。/net/installmachine/export/solaris10/OS_image/ ディレクトリには、Solaris 10 OS のイメージが含まれています。Java ES インストーラの状態ファイルは、sc32state と名付けられています。

次のコマンドでは、通常、情報量の多い出力が作成されます。この出力は、説明に必要な部分だけを示しています。


phys-schost# lucreate sc31u2 -m /:/dev/dsk/c0t4d0s0:ufs -n sc32
…
lucreate: Creation of Boot Environment sc32 successful.

phys-schost# luupgrade -u -n sc32 -s /net/installmachine/export/solaris10/OS_image/
The Solaris upgrade of the boot environment sc32 is complete.
Apply patches

phys-schost# lumount sc32 /sc32
phys-schost# ls -l /sc32/usr/java
lrwxrwxrwx   1 root   other    9 Apr 19 14:05 /sc32/usr/java -> /sc32/usr/j2se/

Insert the Sun Java Availability Suite DVD-ROM.
phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc
phys-schost# ./installer -no -saveState sc32state
phys-schost# ./installer -nodisplay -noconsole -state sc32state -altroot /sc32
phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc/sun_cluster/Sol_9/Tools
phys-schost# ./scinstall -u update -R /sc32
phys-schost# /sc32/usr/cluster/bin/scinstall -u update -s all -d /cdrom/cdrom0 -R /sc32
phys-schost# cd /
phys-schost# eject cdrom

phys-schost# luumount sc32
phys-schost# luactivate sc32
Activation of boot environment sc32 successful.
Upgrade all other nodes

Boot all nodes
phys-schost# shutdown -y -g0 -i6
ok boot

この時点で、クラスタモードで再起動する前に、ライブアップグレード方式を使用できないデータサービスをアップグレードする場合があります。


注意事項

DID デバイス名エラー - アクティブでない BE 環境の作成中に、DID デバイス名 (/dev/dsk/did/dNsX) で指定したファイルシステムが存在しないというエラーが表示されたものの、実際にはそのデバイス名が存在する場合は、そのデバイスを物理デバイス名で指定する必要があります。続いて、代わりの BE で DID デバイスを使用するように vfstab エントリを変更します。次の手順を実行します。

マウントポイントエラー - アクティブでないブート環境の作成中、指定したマウントポイントがマウントされていないというエラーが表示された場合は、マウントポイントをマウントして、lucreate コマンドをもう一度実行します。

新しい BE のブートエラー - 新たにアップグレードした環境を起動するときに問題が発生した場合は、元の BE に戻すことができます。具体的な情報については、『Solaris 9 9/04 インストールガイド』「問題の解決: 元のブート環境へのフォールバック (コマンド行インタフェース)」または『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 10 章「障害回復: 元のブート環境へのフォールバック (作業)」を参照してください。

グローバルデバイスファイルシステムエラー - ルートディスクがカプセル化されているクラスタをアップグレードしたあと、アップグレード後の BE を最初に再起動する際、クラスタコンソールに次のいずれかのエラーメッセージが表示される可能性があります。

mount: /dev/vx/dsk/bootdg/node@1 is already mounted or /global/.devices/node@1 is busy Trying to remount /global/.devices/node@1 mount: /dev/vx/dsk/bootdg/node@1 is already mounted or /global/.devices/node@1 is busy

WARNING - Unable to mount one or more of the following filesystem(s):     /global/.devices/node@1 If this is not repaired, global devices will be unavailable. Run mount manually (mount filesystem...). After the problems are corrected, please clear the maintenance flag on globaldevices by running the following command: /usr/sbin/svcadm clear svc:/system/cluster/globaldevices:default

Dec 6 12:17:23 svc.startd[8]: svc:/system/cluster/globaldevices:default: Method "/usr/cluster/lib/svc/method/globaldevices start" failed with exit status 96. [ system/cluster/globaldevices:default misconfigured (see 'svcs -x' for details) ] Dec 6 12:17:25 Cluster.CCR: /usr/cluster/bin/scgdevs: Filesystem /global/.devices/node@1 is not available in /etc/mnttab. Dec 6 12:17:25 Cluster.CCR: /usr/cluster/bin/scgdevs: Filesystem /global/.devices/node@1 is not available in /etc/mnttab.

これらのメッセージは、各クラスタノードの vxio マイナー番号が同じであることを示します。各番号がクラスタ内で一意になるように、各ノードのルートディスクグループにマイナー番号を再割り当てします。「デバイスグループに新しいマイナー番号を割り当てる」 を参照してください。

次の手順

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」に進みます。

参照

元のアクティブでないブート環境を必要な間だけ保持することもできます。その後、アップグレードが正しく行われたことを確認してから、古い環境を削除するか、そのまま保持するかを選択できます。

アクティブでない BE を保持することもできます。環境の保持の詳細は、『Solaris 9 9/04 インストールガイド』の第 37 章「Solaris Live Upgrade ブート環境の管理 (作業)」または『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 11 章「Solaris Live Upgrade ブート環境の管理 (作業)」を参照してください。

アップグレードの完了

この節では、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのすべてのアップグレード方法の完了について説明します。

ProcedureSun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する

以下の手順を実行して、クラスタが Sun Cluster 3.2 ソフトウェアに正しくアップグレードされたことを確認します。Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。


注 –

この手順では、長い形式の Sun Cluster コマンドを紹介します。ほとんどのコマンドには、短い形式もあります。これらのコマンドは、コマンド名の形式以外は同一です。コマンドの一覧および短い形式については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。


始める前に

アップグレードするすべてのクラスタノードで、すべてのアップグレード手順が完了していることを確認します。

  1. 各ノードで、スーパーユーザーになります。

  2. アップグレードした各ノードで、Sun Cluster ソフトウェアのインストールレベルを表示します。


    phys-schost# clnode show-rev -v
    

    出力の最初の行は、どのバージョンの Sun Cluster ソフトウェアでノードが動作しているかを示します。このバージョンはアップグレードするバージョンと一致していなければなりません。

  3. 任意のノードから、アップグレードしたクラスタノードがすべてクラスタモード (Online) で動作していることを確認します。


    phys-schost# clnode status
    

    クラスタステータスの表示の詳細については、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  4. SPARC: Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアにアップグレードした場合は、ストレージ構成の整合性を確認してください。

    1. 各ノード上で、次のコマンドを実行して、ストレージ構成の整合性を確認します。


      phys-schost# cldevice check
      

      注意 – 注意 –

      構成がこの整合性検査を通過するまで、手順 bに進まないでください。この検査を通らないと、デバイスの識別でエラーが生じ、データの破損を引き起こす可能性があります。


      次の表は、cldevice check コマンドからの出力と、必要な対処がある場合は、その対処を示しています。

      メッセージの例 

      アクション 

      device id for 'phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t3d0' does not match physical device's id, device may have been replaced

      「不完全なアップグレードからの回復」に進んで、適切な修復手順を実行してください。

      device id for 'phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t0d0' needs to be updated, run cldevice repair to update

      なしこのデバイス ID は手順 b で更新します。

      出力メッセージなし 

      なし 

      詳細については、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。

    2. 各ノードで、Sun Cluster ストレージデータベースを Solaris 9 デバイス ID に移行します。


      phys-schost# cldevice repair
      
    3. 各ノード上で、次のコマンドを実行して、ストレージデータベースの Solaris 9 への移行が成功したことを確認します。


      phys-schost# cldevice check
      
      • cldevice コマンドでメッセージが表示された場合は、手順 a に戻って、ストレージ構成またはストレージデータベースにさらに修正を加えます。

      • cldevice コマンドでメッセージが表示されなければ、デバイス ID への移行に成功しています。すべてのクラスタノードでデバイス ID の移行が確認されたら、「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」に進みます。


例 8–2 Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードの確認

次の例は、2 ノードクラスタの Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを確認するために使用するコマンドを示しています。クラスタノード名は、phys-schost-1phys-schost-2 です。


phys-schost# clnode show-rev -v
3.2
…
phys-schost# clnode status
=== Cluster Nodes ===

--- Node Status ---

Node Name                                          Status
---------                                          ------
phys-schost-1                                      Online
phys-schost-2                                      Online

次の手順

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する」に進みます。

ProcedureSun Cluster 3.2 ソフトウェアへのアップグレードを終了する

以下の手順を実行して、Sun Cluster のアップグレードを終了します。Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。 最初に、アップグレードにより新しいバージョンを受け取るすべてのリソースタイプを登録します。2 番目にリソースが使用する新しいバージョンのリソースタイプを使用する該当リソースを変更します。3 番目に、リソースを再度有効にします。最後に、リソースグループをオンラインに戻します。

始める前に

「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアのアップグレードを確認する」の手順が完了したことを確認します。

  1. 共通エージェントコンテナ のセキュリティファイルをすべてのクラスタにコピーします。

    この手順により、すべてのクラスタノード上で共通エージェントコンテナのセキュリティファイルが同一であり、コピーされたファイルが正しいファイル許可を保持していることが保証されます。

    1. 各ノードで、Sun Java Web Console エージェントを停止します。


      phys-schost# /usr/sbin/smcwebserver stop
      
    2. 各ノードで、セキュリティーファイルエージェントを停止します。


      phys-schost# /usr/sbin/cacaoadm stop
      
    3. 1 つのノードで、/etc/cacao/instances/default/ ディレクトリに移動します。


      phys-schost-1# cd /etc/cacao/instances/default/
      
    4. /etc/cacao/SUNWcacao/security/ ディレクトリの tar ファイルを作成します。


      phys-schost-1# tar cf /tmp/SECURITY.tar security
      
    5. /tmp/SECURITY.tar ファイルを、その他の各クラスタノードにコピーします。

    6. /tmp/SECURITY.tar ファイルのコピー先である各ノードで、セキュリティファイルを抽出します。

      すでに /etc/cacao/instances/default/ ディレクトリにあるセキュリティファイルは、上書きされます。


      phys-schost-2# cd /etc/cacao/instances/default/
      phys-schost-2# tar xf /tmp/SECURITY.tar
      
    7. クラスタの各ノードから /tmp/SECURITY.tar ファイルを削除します。

      セキュリティリスクを回避するため、tar ファイルの各コピーは削除する必要があります。


      phys-schost-1# rm /tmp/SECURITY.tar
      phys-schost-2# rm /tmp/SECURITY.tar
      
    8. 各ノードで、セキュリティーファイルエージェントを起動します。


      phys-schost# /usr/sbin/cacaoadm start
      
    9. 各ノードで、Sun Java Web Console エージェントを起動します。


      phys-schost# /usr/sbin/smcwebserver start
      
  2. 製品メディアで提供されていないデータサービスをアップグレードした場合、それらのデータサービスの新しいリソースタイプを登録します。

    データサービスに付属のマニュアルに従ってください。

  3. Sun Cluster HA for SAP liveCache を Sun Cluster 3.0 または 3.1 バージョンから Sun Cluster 3.2 バージョンにアップグレードした場合は、/opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster 構成ファイルを変更してください。

    1. liveCache リソースをホストするノードでスーパーユーザーになります。

    2. 新しい /opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster ファイルを /sapdb/LC_NAME/db/sap/ ディレクトリにコピーします。

      データサービスの以前の構成からすでにある lccluster ファイルを上書きします。

    3. この /sapdb/LC_NAME/db/sap/lccluster ファイルを、『Sun Cluster Data Service for SAP liveCache Guide for Solaris OS』「How to Register and Configure Sun Cluster HA for SAP liveCache」で説明されているように構成します。

  4. Solaris OS のアップグレードを行い、使用中の構成で Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合、メディエータ構成を復元します。

    1. メディエータホストの追加先のディスクセットの所有権を持つノードを指定します。


      phys-schost# metaset -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

    2. ディスクセットをマスターしているか、マスターする予定のノードで、スーパーユーザーになります。

    3. どのノードも所有権を持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      phys-schost# cldevicegroup switch -n node devicegroup
      
      node

      ディスクセットの主となるノードの名前を指定します。

      devicegroup

      ディスクセットの名前を指定します。

    4. メディエータを再作成します。


      phys-schost# metaset -s setname -a -m mediator-host-list
      
      -a

      ディスクセットに追加します。

      -m mediator-host-list

      追加するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

    5. メディエータを使用するクラスタ内の各ディスクセットに対して、上記の手順を繰り返します。

  5. VxVM をアップグレードした場合は、すべてのディスクグループをアップグレードしてください。

    1. アップグレードするディスクグループをオンラインにして、所有権を取ります。


      phys-schost# cldevicegroup switch -n node devicegroup
      
    2. 次のコマンドを実行して、ディスクグループをインストールした VxVM リリースでサポートされる最高のバージョンにアップグレードします。


      phys-schost# vxdg upgrade dgname
      

      ディスクグループのアップグレードの詳細については、 VxVM の管理マニュアルを参照してください。

    3. クラスタ内の残りの各 VxVM ディスクグループで手順を繰り返します。

  6. リソースを新しいリソースタイプバージョンに移行します。

    すべてのリソースを Sun Cluster 3.2 リソースタイプバージョンに移行する必要があります。


    注 –

    Sun Cluster HA for SAP Web Application Server の場合、J2EE エンジンリソース、Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソース、またはその両方を使用している場合は、リソースを削除して、新しい Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソースでもう一度作成する必要があります。新しいWeb アプリケーションサーバコンポーネントのリソースの変更には、J2EE 機能の統合が含まれます。詳細は、『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server Guide for Solaris OS』を参照してください。


    コマンド行を使用する手順を含む『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「リソースタイプの更新」を参照してください。代わりに、clsetup ユーティリティの「リソースグループ」メニューを使用して同じ作業を実行することもできます。このプロセスには、次の作業が含まれます。

    • 新しいリソースタイプの登録。

    • 該当リソースの新しいバージョンのリソースタイプへの移行。

    • 『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』で指定されたリソースタイプの拡張プロパティーの変更。


      注 –

      Sun Cluster 3.2 リリースでは、Retry_interval プロパティーなどの一部の拡張プロパティー用に新しいデフォルト値が導入されています。この変更は、これらのプロパティーのデフォルト値を使用する既存のリソースの動作に影響します。以前のリソースのデフォルト値が必要な場合は、移行したリソースを変更して、プロパティーを以前のデフォルト値に設定してください。


  7. クラスタで Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) データサービスを実行していて、デュアルパーティションアップグレードを開始する前に HADB データベースを停止した場合は、リソースを再び有効にして、データベースを起動します。


    phys-schost# clresource enable hadb-resource
    phys-schost# hadbm start database-name
    

    詳細は、hadbm(1m) のマニュアルページを参照してください。

  8. Solaris 10 OS にアップグレードして、Apache httpd.conf ファイルがクラスタファイルシステムにある場合は、Apache 制御スクリプトの HTTPD エントリがまだその位置を指していることを確認します。

    1. /usr/apache/bin/apchectl ファイルの HTTPD エントリを表示します。

      次の例は、/global クラスタファイルシステムにある httpd.conf ファイルを示しています。


      phys-schost# cat /usr/apache/bin/apchectl | grep HTTPD=/usr
      HTTPD="/usr/apache/bin/httpd -f /global/web/conf/httpd.conf"
    2. ファイルに正しい HTTPD エントリが表示されない場合は、ファイルを更新してください。


      phys-schost# vi /usr/apache/bin/apchectl
      #HTTPD=/usr/apache/bin/httpd
      HTTPD="/usr/apache/bin/httpd -f /global/web/conf/httpd.conf"
      
  9. 任意のノードから clsetup ユーティリティーを開始します。


    phys-schost# clsetup
    

    clsetup のメインメニューが表示されます。

  10. すべての無効リソースを再度有効にします。

    1. リソースグループのオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

      リソースグループメニューが表示されます。

    2. 「リソースを有効化または無効化」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

    3. 有効にするリソースを選択し、プロンプトの指示に従います。

    4. 無効な各リソースで手順 c を繰り返します。

    5. すべてのリソースが再び有効になったら、 q を入力して「リソースグループメニュー」に戻ります。

  11. 各リソースグループをオンラインに戻します。

    この手順には、非大域ゾーンのリソースグループをオンラインにする手順も含まれます。

    1. リソースグループのオンライン/オフライン化、またはスイッチオーバーを行うオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。

    2. プロンプトに従って、各リソースグループを管理状態におき、リソースグループをオンラインに戻します。

  12. すべてのリソースグループがオンラインに戻ったら、clsetup ユーティリティーを終了します。

    q を入力して各サブメニューを取り消すか、Ctrl-C を押してください。

  13. アップグレードする前に、監視対象のすべてのディスクパスにエラーが発生した場合の自動ノード再起動を有効にした場合、この機能がまだ有効になっていることを確認します。

    また、初めて自動再起動を設定する場合もこの作業を実行します。

    1. 自動再起動機能が有効になっているか無効になっているかを確認します。


      phys-schost# clnode show
      
      • reboot_on_path_failure プロパティーが enabled に設定されている場合、それ以上の操作は不要です。

      • reboot_on_path_failure プロパティーが disabled に設定されている場合は、次の手順に進んで、このプロパティーをもう一度有効にしてください。

    2. 自動リブート機能を有効にします。


      phys-schost# clnode set -p reboot_on_path_failure=enabled
      
      -p

      設定するプロパティーを指定します。

      reboot_on_path_failure=enable

      クラスタ内の異なるノードから 1 つ以上のディスクにアクセスできる場合、監視されているすべてのディスクパスで障害が発生するとノードが再起動するように指定します。

    3. ディスクパスの障害発生時の自動リブートが有効になっていることを確認します。


      phys-schost# clnode show
      === Cluster Nodes ===                          
      
      Node Name:                                      node
      …
        reboot_on_path_failure:                          enabled
      …
  14. (省略可能) あとで参考にするために、ディスクのパーティション分割情報をとっておきます。


    phys-schost# prtvtoc /dev/rdsk/cNtXdYsZ > filename
    

    このファイルをクラスタ外の場所に保存します。ディスク構成を変更する場合は、このコマンドをもう一度実行して、変更した構成をキャプチャします。ディスクに障害が発生し、交換が必要な場合は、この上方を使用してディスクパーティション構成を復元できます。詳細は、prtvtoc(1M) のマニュアルページを参照してください。

  15. (省略可能) クラスタ構成のバックアップを取ります。

    クラスタ構成のバックアップを保存しておけば、クラスタ構成の回復がより簡単になります。

    詳細は、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』「クラスタ構成をバックアップする」を参照してください。

注意事項

リソースタイプの移行障害 - 通常、新しいリソースタイプへのリソースの移行は、リソースがオフラインのときに行います。しかし、一部のリソースはリソースタイプの移行を成功させるためにオンラインにする必要があります。この理由によってリソースタイプの移行が失敗すると、次のようなエラーメッセージが表示されます。

phys-schost - Resource depends on a SUNW.HAStoragePlus type resource that is not online anywhere. (C189917) VALIDATE on resource nfsrs, resource group rg, exited with non-zero exit status. (C720144) Validation of resource nfsrs in resource group rg on node phys-schost failed.

リソースがオフラインであるためにリソースタイプの移行が失敗する場合は、clsetup ユーティリティーを使用して、リソースをもう一度有効にしてから、関連リソースグループをオンラインにしてください。その後、リソースの移行手順を繰り返します。

Java バイナリ位置の変更 - 共有コンポーネントのアップグレード中に Java バイナリの位置が変更された場合、cacaoadm start または smcwebserver start コマンドを実行しようとすると、次のようなエラーが表示される場合があります。

# /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm startNo suitable Java runtime found. Java 1.4.2_03 or higher is required.Jan 3 17:10:26 ppups3 cacao: No suitable Java runtime found. Java 1.4.2_03 or higher is required.Cannot locate all the dependencies

# smcwebserver start/usr/sbin/smcwebserver: /usr/jdk/jdk1.5.0_04/bin/java: not found

これらのエラーは、開始コマンドが Java バイナリの現在の位置を特定できないために生成されています。JAVA_HOME プロパティーはまだ前のバージョンの Java があったディレクトリを指していますが、前のバージョンはアップグレード中に削除されました。

この問題を修正するには、次の構成ファイルの JAVA_HOME の設定を現在の Java ディレクトリを使用するように変更します。

/etc/webconsole/console/config.properties/etc/opt/SUNWcacao/cacao.properties

次の手順

SPARC ベースのシステムで、Sun Management Center を使用してクラスタを監視している場合は、「SPARC: Sun Management Center 用に Sun Cluster モジュールソフトウェアをアップグレードする 」に進んでください。

Sun Cluster Geographic Edition 3.2 ソフトウェアをインストールするか、アップグレードを完了する場合は、『Sun Cluster Geographic Edition のインストール』を参照してください。

それ以外の場合、クラスタのアップグレードは完了です。

不完全なアップグレードからの回復

この節では、特定の種類の不完全なアップグレードから回復するための次の事項を説明します。

Procedure失敗したデュアルパーティションアップグレードからの回復

アップグレード中に回復不能なエラーが発生した場合は、以下の手順でアップグレードを元に戻してください。


注 –

デュアルパーティションアップグレードで回復不能なエラーが発生したあと、デュアルパーティションアップグレードを再開することはできません。


  1. クラスタの各ノードのスーパーユーザーになります。

  2. 各ノードを非クラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。


      ok boot -x
      
    • x86 ベースのシステム上で、次のコマンドを実行します。

      1. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

        GRUB メニューは、次のように表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
        +-------------------------------------------------------------------------+
        | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
        | Solaris failsafe                                                        |
        |                                                                         |
        +-------------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
        commands before booting, or 'c' for a command-line.

        GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

      2. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

        次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.
      3. コマンドに -x を追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


        [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
        lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
        completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
        
        grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
        
      4. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

        画面には、編集されたコマンドが表示されます。


        GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
        +----------------------------------------------------------------------+
        | root (hd0,0,a)                                                       |
        | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
        | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
        +----------------------------------------------------------------------+
        Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
        Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
        boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
        after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
        selected line, or escape to go back to the main menu.-
      5. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


        注 –

        カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


  3. 各ノードで、インストールメディアからアップグレード回復スクリプトを実行します。

    ノードが正しく Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードされた場合は、/usr/cluster/bin ディレクトリからscinstall コマンドを実行することもできます。


    phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    phys-schost# ./scinstall -u recover
    
    -u

    アップグレードを行うよう指定します。

    recover

    /etc/vfstab ファイルと Cluster Configuration Repository (CCR) データベースを、デュアルパーティションアップグレードを開始する前の状態に戻します。

    回復プロセスでは、クラスタノードは、非クラスタモードのままになります。ノードをクラスタモードで再起動しないでください

    詳細は、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. 次のいずれかの作業を実行します。

    • 古いソフトウェアをバックアップから復元して、クラスタを本来の状態に戻します。

    • 標準のアップグレード方式を使用して、クラスタ上でアップグレードを継続します。

      この方法では、アップグレード中すべてのクラスタノードが非クラスタモードのままである必要があります。標準アップグレードの作業マップ (表 8–1) を参照してください。デュアルパーティションアップグレードが失敗する前に無事に完了していた、標準アップグレードの最後の作業または手順から、アップグレードを再開できます。

ProcedureSPARC: 部分的に完了したデュアルパーティションアップグレードから回復する

デュアルパーティションアップグレードが失敗して、クラスタの状態が次のすべての基準を満たす場合、この手順を実行してください。

1 番目のパーティションでアップグレードが成功したが、アップグレードを取り消したい場合もこの手順を実行できます。


注 –

2 番目のパーティションでアップグレード プロセスが始まったあとに、この手順を実行しないでください。代わりに、「失敗したデュアルパーティションアップグレードからの回復」を実行してください。


始める前に

開始する前に二次パーティションノードがすべて停止されていることを確認します。一次パーティションノードは、停止するか、または非クラスタモードで実行できます。

すべての手順をスーパーユーザーとして実行します。

  1. 2 番目のパーティションの各ノードを非クラスタモードで起動します。


    # ok boot -x
    
  2. 二次パーティションの各ノードで、scinstall -u recover コマンドを実行します。


    # /usr/cluster/bin/scinstall -u recover
    

    このコマンドで元の CCR 情報が復元され、元の /etc/vfstab ファイルが復元され、起動時の変更がなくなります。

  3. 2 番目のパーティションの各ノードをクラスタモードで起動します。


    # shutdown -g0 -y -i6
    

    二次パーティションのノードが起動すると、二次パーティションは古いソフトウェアを元の構成で実行しながら、クラスタデータサービスのサポートを再開します。

  4. 元のソフトウェアと構成データをバックアップメディアから一次パーティションのノードに戻します。

  5. 1 番目のパーティションの各ノードをクラスタモードで起動します。


    # shutdown -g0 -y -i6
    

    ノードはもう一度クラスタに参加します。

Procedurex86: 部分的に完了したデュアルパーティションアップグレードから回復する

デュアルパーティションアップグレードが失敗して、クラスタの状態が次のすべての基準を満たす場合、この手順を実行してください。

1 番目のパーティションでアップグレードが成功したが、アップグレードを取り消したい場合もこの手順を実行できます。


注 –

2 番目のパーティションでアップグレード プロセスが始まったあとに、この手順を実行しないでください。代わりに、「失敗したデュアルパーティションアップグレードからの回復」を実行してください。


始める前に

開始する前に二次パーティションノードがすべて停止されていることを確認します。一次パーティションノードは、停止するか、または非クラスタモードで実行できます。

すべての手順をスーパーユーザーとして実行します。

  1. 次の手順を完了して、二次パーティションの各ノードを非クラスタモードで起動します。

  2. GRUB メニューで矢印キーを使用して該当する Solaris エントリを選択し、e と入力してコマンドを編集します。

    GRUB メニューは、次のように表示されます。


    GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
    +-------------------------------------------------------------------------+
    | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
    | Solaris failsafe                                                        |
    |                                                                         |
    +-------------------------------------------------------------------------+
    Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
    Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
    commands before booting, or 'c' for a command-line.

    GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

  3. ブートパラメータ画面で矢印キーを使用して kernel エントリを選択し、e と入力してエントリを編集します。

    次のような GRUB ブートパラメータ画面が表示されます。


    GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
    +----------------------------------------------------------------------+
    | root (hd0,0,a)                                                       |
    | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
    | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
    +----------------------------------------------------------------------+
    Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
    Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
    boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
    after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
    selected line, or escape to go back to the main menu.
  4. コマンドに -x オプションを追加して、システムが非クラスタモードで起動するように指定します。


    Minimal BASH-like line editing is supported.
    For the first word, TAB lists possible command completions.
    Anywhere else TAB lists the possible completions of a device/filename.
    ESC at any time exits.

    # grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
    
  5. Enter キーを押して変更を承諾し、ブートパラメータ画面に戻ります。

    画面には、編集されたコマンドが表示されます。


    GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
    +----------------------------------------------------------------------+
    | root (hd0,0,a)                                                       |
    | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
    | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
    +----------------------------------------------------------------------+
    Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
    Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
    boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
    after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
    selected line, or escape to go back to the main menu.-
  6. b と入力して、ノードを非クラスタモードで起動します。


    注 –

    カーネルのブートパラメータへのこの変更は、システムの起動後には保持されません。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。非クラスタモードで起動するには、上記の手順を実行してもう一度カーネルのブートパラメータに -x オプションを追加してください。


  7. 二次パーティションの各ノードで、scinstall -u recover コマンドを実行します。


    # /usr/cluster/bin/scinstall -u recover
    

    このコマンドで元の CCR 情報が復元され、元の /etc/vfstab ファイルが復元され、起動時の変更がなくなります。

  8. 2 番目のパーティションの各ノードをクラスタモードで起動します。


    # shutdown -g0 -y -i6
    

    二次パーティションのノードが起動すると、二次パーティションは古いソフトウェアを元の構成で実行しながら、クラスタデータサービスのサポートを再開します。

  9. 元のソフトウェアと構成データをバックアップメディアから一次パーティションのノードに戻します。

  10. 1 番目のパーティションの各ノードをクラスタモードで起動します。


    # shutdown -g0 -y -i6
    

    ノードはもう一度クラスタに参加します。

アップグレード時のストレージ構成変更の回復

この節では、不注意からアップグレード中にストレージ構成が変更された場合に実行する修復手順を説明します。

Procedureアップグレード中のストレージの再構成に対処する

Sun Cluster コマンドの実行など、ストレージトポロジに対する変更は、クラスタを Solaris 9 または Solaris 10 ソフトウェアにアップグレードする前に行なってください。ただし、アップグレード中にストレージトポロジが変更された場合は、次の手順を実行します。この手順では、新しいストレージ構成が正しいことと、再構成されなかった既存のストレージは誤って変更されないことを保証します。


注 –

この手順では、長い形式の Sun Cluster コマンドを紹介します。ほとんどのコマンドには、短い形式もあります。これらのコマンドは、コマンド名の形式以外は同一です。コマンドの一覧および短い形式については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。


始める前に

ストレージトポロジが正しいことを確認します。変更されている可能性を示すフラグ付きデバイスが、実際に変更されているデバイスにマップされているかどうかを確認します。デバイスが変更されていない場合、誤ったケーブル接続など、偶発的な構成変更の可能性を調べて修正します。

  1. 未確認のデバイスに接続されているノードでスーパーユーザーになります。

  2. 未確認のデバイスを手動で更新します。


    phys-schost# cldevice repair device
    

    詳細については、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  3. DID ドライバを更新します。


    phys-schost# scdidadm -ui
    phys-schost# scdidadm -r
    
    -u

    デバイス ID の構成テーブルをカーネルに読み込みます。

    -i

    DID ドライバを初期化します。

    -r

    データベースの再構成を指定します。

  4. 未確認のデバイスに接続された他のすべてのノードで、手順 2から手順 3を繰り返します。

次の手順

残りのアップグレード作業に戻ります。「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」手順 4に進みます。

Procedureアップグレード中の誤ったストレージ変更を解決する

アップグレード中に、ストレージのケーブル接続が誤って変更された場合、次の手順を実行して、ストレージ構成を正しい状態に戻します。


注 –

この手順では、物理ストレージが実際に変更されていないことを前提とします。物理ストレージデバイスまたは論理ストレージデバイスが変更されたか交換された場合は、「アップグレード中のストレージの再構成に対処する」の手順に従います。


始める前に

ストレージトポロジを本来の状態に戻します。変更の可能性を示すフラグが付いたデバイスの構成を、ケーブル接続も含め検査します。

  1. クラスタの各ノードで、スーパーユーザーになります。

  2. クラスタの各ノードで DID ドライバを更新します。


    phys-schost# scdidadm -ui
    phys-schost# scdidadm -r
    
    -u

    デバイス ID の構成テーブルをカーネルに読み込みます。

    -i

    DID ドライバを初期化します。

    -r

    データベースの再構成を指定します。

    詳細は、scdidadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. 手順 2scdidadm コマンドでエラーメッセージが返された場合は、ストレージ構成を修正するために必要な変更を加えてから手順 2 を繰り返します。

次の手順

残りのアップグレード作業に戻ります。「Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードする (標準)」手順 4に進みます。